AMPが着目したのは、シリコンバレー“以外”のスタートアップ事情

木村和貴氏:これより『エストニア・スタートアップ最新動向レポート』ということで、ビジネスメディア「AMP」にようるイベントを開始したいと思います。

まず、自己紹介からさせてください。私はAMPというビジネスメディアで共同編集長をしております、木村和貴と申します。もともとはインターネット広告代理店などのデジタルマーケティング畑にいた人間です。そのなかでスタートアップなどさまざまな新しいテクノロジーやビジネスモデルに興味をもって、今のメディアを創刊するにいたります。

最初に「ビジネスメディアAMPとはなにか」というところです。知的好奇心を増幅させ、インスピレーションを与えるビジネスメディアというところで、ミレニアル世代が主なターゲットになっています。

ビジネスのインスピレーションを与える情報を出していき、そしてこれからの未来を作っていく先端テクノロジーやビジネスモデル、カルチャーといったものを取り上げて、みなさんに発信することで、自分たちのビジネスでいろんなことを起こしていってほしいという願いの元、つくられたメディアになっております。

AMPでは、実はエストニアの連載記事というのを創刊当時からずっとやっております。

なぜかというと、シリコンバレーの情報っていろんなメディアから入ってくると思うんですが、小国のスタートアップの事情や事例ってなかなか日本に入ってこないなと。我々がグローバルの先端の取り組みであったりシステムみたいなところも取り上げて情報発信することは、みなさんにとって有益なんじゃないかというところで、エストニアの連載を開始しました。

ゲストは、エストニア留学生と来日したエストニア人

エストニアの連載をやっていると、エストニアのことについて聞かれることも増えてきました。しかし、僕自身がその当時はエストニアに行っていなかったので、聞かれても答えられなかったと……。うちは海外に編集のデスクがあったり、ライターがいるので、彼らの情報をずっと拾い上げていたんです。

そこで「実際に行ってみよう!」ということで、エストニア視察に行ってきました。エストニアに行ってきたことで、僕が感じたことであったり、体験したことを、今日はみなさんにお伝えしたいなというところです。

こちら(スライド)が本日のプログラムです。

最初は僕からスタートアップなど視察のレポートというところで、フィードバックさせていただきます。

セッション2では、エストニア移住と教育というところです。Robotex JapanのCEOをやっている齋藤侑里子さんは、筑波大学の4年生の方で、タリン大学エストニアの大学に一時期留学をしていました。そこで経験した話を話してもらえればうれしいなと思っています。

最後のセッション3は、トークセッションです。齋藤侑里子さんと僕と、あともう1人、ハッラステ・ポールさんという日本にいらっしゃるエストニア人の方です。後ほど、詳しい自己紹介をしていただく予定です。この3名でトークセッションを進めていければと思います。

それではさっそく、セッション1のエストニアスタートアップ視察レポートに移りたいと思います。よろしくお願いします。

(会場拍手)

大きさは九州と同じくらい、人口はその10分の1

今日ここに来ている方々の中には、すごくエストニアに詳しい方々もいれば、まったく知らない人もいると思います。いろんな方がいると思うので、基本情報からおさらいしていければいいなと思います。さて、エストニアはどこでしょうか? 

ちょっと手を挙げていただけたら。1、2、3のどこかで手を挙げてください。

1だと思う方?

(会場挙手)

2だと思う方?

(会場挙手)

3だと思う方?

(会場挙手)

なるほどなるほど。正解は3ですね!

ゲストの齋藤さんが1で手を挙げていたので、つられて挙げてしまった方もいるんじゃないかなと思います。

(会場笑)

エストニアはバルト三国の1番北に位置していて、北欧エリアにある国です。

続いて、「国土面積はどのくらい?」ということです。日本と比較してというところですが、「1. 本州くらい」「2. 九州くらい」「3. 四国くらい」ということで……。正解は2です。九州くらいの大きさということですね。九州本土の約1.2倍の大きさとなっています。

続きまして、国土面積が九州と同じくらいということだったんですが、人口は九州に比べてどのくらいでしょう?「1.約150パーセント」「2.約50パーセント」「3.約10パーセント」。

正解は3なんですね。約1,300万人の九州に対して、エストニアは約130万人ということです。九州と同じくらいのサイズなんですが、人口は10パーセント、10分の1になっているというような国が、エストニアという国になっています。

ここからは、環境面のおさらいです。人口密度が非常に低いということで、国土の約40パーセントが森林などに覆われています。あとは湖や湿地帯など、まだまだ手付かずの自然がすごく残っている国が、エストニアになります。

続いてエストニアの政治です。ここにざっと並べて出させていただきました。基本的にいろんな国に占領されてきた歴史があります。

主にソ連の占領というのが、1番大きかったです。その後、1991年に独立回復を宣言して国連に加盟したということで、国としての歴史は非常に新しいです。国として新しいというところも、これから話していくエストニアのスタートアップ環境の強みというところに繋がってくることが多いです。

実際に足を運んだエストニアの視察レポート

エストニア経済は、急成長を遂げています。独立してからどんどんどんどん成長していて、平均賃金というのも高まっていっているというところがあります。

そんなエストニアを視察してきたというところで、レポートに移りたいと思います。

丸々3日間、現地を見る時間がありました。「こういったところを周りました!」と、これだけパッと見せられても、「なんじゃそりゃ?」という感じだと思うので、ちょっとカテゴリー別に分けていきます。

まず政府系というところで「e-Estonia Showroom」。政府がやっている、電子政府のショールームというところです。人材では、国を超えた人材サービスのスタートアップ、「jobbatical」と、後ほど説明するe-Residentのビジネスサポートをやっている「LeapIN」。あとは教育というところで、「Mektory」というタリン工科大学にあるスタートアップ支援施設に、「VIVISPOT」という子どもたちの創造的な教育のための施設。そしてエコシステムというところで、「Funderbeam」という投資のプラットフォームのスタートアップでかなり有名なところです。

あとは「LIFT99」という、インキュベーション&コワーキングスペース。最後に「Robotex」というロボットに関する大規模なカンファレンスを見てきましたので、そのレポートについて簡単に説明できればなと思います。

IT立国を目指したエストニアの電子政府事情

まずe-Estoniaのショールームです。こちらはエストニア政府が運営しておりまして、いろんな外国の企業や行政の方々を受け入れて、エストニアでどんな電子政府の取り組みをしているかを伝えているような場所になっています。

エストニアの独立時の背景ということで、少ない人口・厳しい自然環境というところだったんですが、どうやってそこから経済を高めていくかというところで、IT技術の高さがありました。COMECONで情報通信を担当していたということなどもありまして、IT教育とかITスキル・技術が進んでいました。そういったところからのIT立国です。IT技術を使って、国を復刻していこうという話が進みました。

具体的に、電子政府としてどんな取り組みがされているか。1番よく話をされるのが、eIDというものです。これは日本でいうと、マイナンバーみたいなものです。国民一人ひとりにIDを付与していて、すべての行政のシステムをその番号と連動させて行っているというようなシステムになっています。

この裏側を支えているのが、X-Roadという仕組みです。すごく高いサイバーセキュリティの技術といったものがありますので、それを活用してeIDとすべての情報を紐づけて、国民がそこで生活をしています。

非常におもしろいポイントとして「同じ質問は2度しない」というポリシーを行政が持っています。例えばどこかの役所で、名前とか住所とか電話番号とかなにか書いて出したときに、同じことをまた別の場所で書くことは一切ないということですね。1回答えた質問には、国民は2度と答えなくて大丈夫と。システムでデータがつながっているので、それを利用して行政サービスを受けることができるということで、行政サービスを非常に効率的に受けることができるというような技術となっております。