2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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慎泰俊氏(以下、慎):テクノロジーと民主主義。僕はこれをずっと考えているんです。世紀単位で見ると、統治機構というかシステムはけっこう変わってきています。
おっしゃるとおり、民主主義も数百年、200年、300年、400年ぐらいしか歴史がない制度です。人権という発想も、別に人類の中でずっと続いてきたものじゃないので、これからも変わりうるとは思います。
今はAIぐらいで済んでいますが、これからテクノロジーがどうなっていくのか。ようやく日本で出版された『ホモ・デウス』にも書いているように、たぶん人間の中でも一部のお金持ち、スーパーヒューマンみたいな人たちと、そうじゃない大勢の普通の人たちの間での政治機構は変わってくる。
あまり言葉にするのも怖いので、ぼんやり想像ばかりしていますが、これは本当になんとかしなければいけない課題だと思っているところです。考え中って感じですね。
日本をいい国にするために、個人的に一番思うのは、仕事をして力をつけることですね。私が大学生の時は本しか読んでいなかったので、みなさんほど立派でなかったので、言うのも恐縮なのですが。
例えば、私は二宮金次郎をすごく尊敬しているんですけれども、彼は日本中の農村をターンアラウンド(事業再生)した人ですね。やっぱり自分に力があることが大切だと思っています。私もいつか地方復興みたいなことをやりたいですが、もうちょっとしたらできそうなくらい自分に力がつくなと思っているので、がんばっています。
慎:人口のことに少し触れると、地球のベストの人口は15〜20億人程度と言われているんですね。今はそもそも多すぎなんですよ。減ったほうが地球への負荷は少ない。
今、地球への負荷が大変なことになっているのはみなさんもご承知のとおりです。これから多くの人が中流階級になっていくので、もっと負荷は大きくなります。
だからこそ、人口が減った状態でも国がいい感じに保たれることが重要なんじゃないかと個人的には思っていて。もちろん国力に関しては異論があります。だけど、そういった国のモデルづくりは世界的に大切じゃないかなと思っています。
そして、ぜひ世界に出てほしいです。海外10ヶ国以上に行ったことがある人?
(会場挙手)
すごいですね。けっこういるね。いろんな国に行って、いろんな人たちと会って話して、できれば仕事を一緒にして、というのをやってほしいなと強く思っています。
それがみなさんの知見も広めるし、世界のあり方もわかる。自分のポジションがわかるだけじゃなくて、本当に危ぶまれている世界の平和を守るためには、みなさん一人ひとりが世界中の人と個人的につながることが一番重要なことだと思うからです。以上です。
細野豪志氏(以下、細野):私?
鈴木寛氏(以下、鈴木):はい。
細野:男性で「政治で誰かが死ぬということを意識しているか?」という質問がありましたね、これは政治家として答えなきゃいけません。私はすごく意識しています。それはあんまり隠さないほうがいいと思っていて。誰かに必ず負担してもらうことになるので、それをちゃんと意識した上でどうするか。
やや情緒的ですが、私は根本的に政治というのは、やっぱり弱い立場の人のためにあると思っています。世代でいうと、政治的・財政的にものすごく厳しい立場にいるのは若い世代なんです。
それを意識しながらやっているということです。ほかの議員がどれくらいやっているかは、本当に人によると思う。だから、そういう人をどれだけ送り出せるか。そういうことだと思います。
デモクラシーとテクノロジーの話については、本質的な質問ですね。私は結果で出すしかないと思っています。日本は民主主義的・自由主義的価値観を守りながら技術を持って、どう生き残っていくかというチャレンジをしていて、その結果を問われている。
先ほど日本のニッチでどう生きるかという質問もあったけれど、技術的に言うと、やっぱり全部でアメリカと正面から勝負するのはけっこう難しくなっている。
だから、ニッチを持ちながら、そしてそのニッチの技術を持って、システムとして社会をどう持続させ、経済成長し、豊かさを維持するか。外国人に適度に入ってもらいながらやるという意味では、これは十分モデルになり得ます。
その仕組みをきちっと作ることで、中国型の社会とはまた違う姿を見せられるかどうか、という気がします。
細野:(来年からドイツに留学するという)彼の質問は非常におもしろかったですね。でも、自分で考えましょう。ただ、1つだけ私なりのヒントを言うと、「何歳でなにをしているか・どんな自分になりたいか」を、できるだけ明確に意識したほうがいいですね。
30歳でなにをしていたいのか。40歳でなにをしていたいのか。そのときにどれぐらい社会的な影響を自分が及ぼしたいのかを明確に、年齢も含めて、先に行きたいなら意識をすること。そして、それを書いて、毎年更新することです。そうやってすごい結果を出してきた人を見てきているから、それをおすすめします。
それと……ちょっと答えておいたほうがいいかな。若い人の政治参加について質問した人が多かったので、最後に1つだけ結論として言います。結論というか現状を言うと、非常にシビアです。
君らのおじいちゃんおばあちゃんは70代だよね。もしくは80代。70代の人の投票率はだいたい……6〜7割、多い場合は8割。20代はちょうど半分です。なので、影響力は半分かと思ったら大間違い。みなさんは人口が半分だから、影響力は4分の1なんです。これが現実です。
それを変えるべく私も努力してきたつもりだけど、なかなか変わらない。どうやってみなさんに関心を持ってもらうかについては、私がやってきた中で言うと、方法は1つしかないかなと思っていて。できるだけ自分を晒すこと。政策から入るのはけっこう難しい。
例えば小泉進次郎さんは非常にいいモデルだと思うけど、そういう若い世代で政治を変えようと思っている人が、「実はけっこうまじめにやっている」「実はこんなことを考えているんだ」と直に知ってもらうことをできるだけやるしかない。
政治で「このテーマです」と入ると、メディアは、とくに政治と関わりのないメディアは非常に冷たいです。それにアクセスする人も少ないから、なにか違うアプローチを考えざるを得ないかなと思いながら試行錯誤しています。
答えられていない質問もたくさんあるけど、そんなところです。
鈴木:ありがとうございました。じゃあ森さん。
森まさこ氏(以下、森):いっぱいあって、わからなくなっちゃったな(笑)。
なぜ若い人が政治に行かないのか。これは、不信感が1つあると思いますね。政治に関心を持って勉強している人から見ると、「あの国会の体たらくはなんだ?」ということで不信感を持ってしまう。
それからもう1つは、情報が溢れていて「政治家がなにをやっているのか?」「この国会でなにをやっているのか?」がよくわからなくなっている。「くだらない」と思われている予算委員会の裏で、実は何十という委員会でまじめな議論もされているのですが、そこにまではなかなか見ることができません。
わからないことと不信感かなと思うのですが、実は私はそっち側にいました。私は貧困家庭の出身で、中学の後半から自分で働いて高校に行き、大学に行きました。働きながら司法試験に受かって、「この不条理な世の中はなんだ?」と。とにかく世の中全体が憎々しかった。
それを変えるために自分が弁護士になりました。消費者弁護士といって、非常に少なく、弱い人のためにやる弁護士なのでまったく儲かりませんが、それをずっとやっていました。
1人で来た人は、もう100パーセント裁判で負けたことはないです。しかし、1人しか救えないんですね。大勢を救うにはどうしたらいいか?
森:弁護士の武器は、六法全書です。法律になにが書いてあるかで裁判で戦える。そこで司法の世界から、行政・立法と経て、今は国会議員にまでなりました。法律を作ればたくさんの人が救えると思ったんですね。
そこで、先ほど「死ぬ人がいる」と言ったけれど、今の法律で死んでいる人もいるんです。なぜうちが貧しかったか。うちは非常に大きな経済的被害を受けたのですが、貧しい人こそターゲットにされます。なぜ貧しい人・弱い人・学問をする機会がなかった人を騙してお金を盗るのか?
そういう人たちを一斉に法律で規制したいと思って、金融庁の時もがんばりました。国会議員になって法律も変えたのですが、その今の制度で死んでいる人もいる。それを救おうと思って法律を作るのですが、新しい法律ができたら、もちろんそれで死ぬ人もいる。つまり、被害を受ける人もいるんです。
国会では、どの側の国会議員も立ち上がって質問をします。だいたい政府が新しい法律を出したら、野党のほうで「いや、その法律を出したらこの人たちが死ぬでしょう」となります。
もちろんその批判の中で質問が来ます。ですから、すべての国会議員は耳では聞いています。どのぐらいハートに突き刺さっているかわからないけど。我々は、それを常に考えて、より多くの人を救わなければならない。それによって被害を受ける人を最小限にしていかなければならない。
そして、最小限になってもまだ被害を受ける人を救うセキュリティシステムをつくらなければならない。それは弁護士など、いろいろあると思いますけれど、それをしなければならないと常に意識をしております。
鈴木:ありがとうございました。
森:あっ、「人口減少」でドイツに行く人について……時間がない?(笑)。
鈴木:いや、あと10秒なので。
森:じゃあまたあとで、これが終わってからですね。
鈴木:いや、みなさんの質問は本当にすばらしいと思います。ちょっと3名の方にお願いがあります。今日のセッションはこれで終わりますが、延長戦をやります。
クボ君と私とで相談して、あそこに事業設計部長もいますけど、G1カレッジとすずかんゼミで延長戦をやりたいと思います。3名の方、一人ひとり呼びますので来ていただけますか?
森:了解です。
鈴木:ちょっとその了解だけ。「いいとも」と言っていただいて(笑)。
細野:はい、喜んで。
慎:喜んで。
鈴木:なんらかのかたちでみなさんもご案内しますので、ぜひ。今日はかなり消化不良だと思うけど、君たちの質問は絶対に出したかったんです。録画したものを見るから、レコードしたかった。
延長戦をやりますので、お答えはそのときにもう1回しっかりみなさんから聞いていきたいと思います。では、とりあえずこのセッションを終わりたいと思います。
改めて、やっぱり問題発見と問題設定が大事ですね。解くのはみんなで知恵を集めて試行錯誤しながら解けばいいんだけれど、すばらしい問題発見と問題設定をしていただいたフロアのみなさんに拍手をして終わりたいと思います。ありがとうございました。
(会場拍手)
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