地方創生を進めていく人材を育てる

勝眞一郎氏(以下、勝):先ほど片山大臣からお話があったように、地方の大学を応援していこうというのと同時に、地方の創生に資する大学人を育てていこうというのがあって、奄美にも20大学くらいがフィールドワークで来ています。そこの拠点として、空き家や小学校を使うケースはかなり増えています。

伊藤明子氏(以下、伊藤):そういう意味で言うと、今の空き家はどうしても不動産関係だと定住のイメージですが、完全に定住しなくても観光や交流人口のようなところで使われていくのも、大事なのかなと思います。

ただ、おそらくお気づきのように、ここの2人はどちらかというと小さいコミュニティを中心にして回しているので、顔の見える経済の中で、公共団体との関係もうまく作られているのだと思います。

実はいま私がやっている地方創生の大学も、優等生なところは、すごく小さなところが多くて。もう少し真ん中くらいのところにもがんばってもらってはいるのですが、正直、効果がなかなか見えにくいんですね。役割分担などを理屈で考えると、渡辺さんのところみたいに、協定を結んだりということになると思います。

人材育成も含めて、公共団体の関係やワンストップの状況を、もう少し具体的に補足して説明していただけませんか?

渡辺昌宏氏(以下、渡辺):まず、どのようなことを考えているかと申し上げますと、僕たちは全国版空き家バンクという集客のシーンを、地域と連携してどんどんやっていくと。そして、それに対して、先ほどお話しさせていただいた地域の窓口業務というものは、地域コミュニティがやはり必要なので、そこに自治体さまの信用力をお借りする。

ここの連携プラス、メディアの連携というかたちで、地域と連携させていただき、インストールさせていただく中で、メインとしてのサポートができるのではないかなと考えています。

空き家問題のネックはマネタイズの難しさ

渡辺:その中で、僕たちがいろいろなパートナーを見ていったときに……例えば、これは奈良県の事例です。今まさに6年間この窓口業務をやっていらして、結果的には窓口業務はなにをやっているのかというと、いろんな悩みがあるんです。

例えば物件だけでも、相続の問題とか、物件の境界がきちんとしていないものを士業につなげないといけないとか。造設の問題で建て替えをどうするかなど、一つひとつの問題に寄り添いながら、問題を選別していって士業につないだり解決したりします。

結果的には、ここからいろんな事業が生まれていて。例えば、そこに対して移住者をつないだ時に、リフォーム会社につなぐことで手数料みたいなビジネスになったり、不動産会社に仲介してもらうことによる手数料になったり。

先ほどサブリースという話が出たように、まさしくこの業者さんも約150件の物件をサブリースとして収益化させています。このように、モデルケースとしては各地各地にきちっとしたものがあるので、ノウハウと集客をセットにして、そこに信用力もセットにして地域と連携させていただくことで、メインとしての事業化サポートが構築できるのではないかという思いでスタートしました。

伊藤:わかりました。先ほどの私の資料で1枚出したように、空き家問題で難しいのは、もともと物件が安いので、不動産会社さんからすると手数料がすごく安いんです。

実は手数料も、宅建業法の手続きの見直しをして若干とれるようにしたのですが、物件価格の何パーセントという世界だと、交通費も出ないような世界になっていました。

それよりもサブリースなりなんなりで、いろんなものでトータルしてワンストップが便利だという話と、ワンストップじゃないと正直ビジネスとして成り立たないというのもあると思います。

空き家を売却するより賃貸のほうが儲かるケースも

伊藤:あと、いろいろなところと連携しないといけないというのは、それぞれのステークホルダーのほうが、そっちのビジネスで儲けられるということもあるのだと思います。おそらく都会の場合はもう少し金融機関、信金さんとかが相続の前にいろいろご相談されるときに、この話もセットで考えることはあると思います。

(スライドを指して)ここで「住宅」と書いたのですが、住宅を住宅で使うといういわゆる中古住宅の売買みたいな世界もあれば、賃貸や、いまもサブリースという話がありました。

やはり、空き家というのは売買のほうが手離れがいいのですが、逆にちょっとハードルが高い。とにかく賃貸でもいいから、まずはステップを上がってもらうほうがいい面も出てきたりします。

あるいは田舎では、意外と賃貸のほうが実は儲かって、売ると二束三文なこともあるかもしれません。もう1つ最近多いのは、住宅としては使わず、他のちょうどいい箱として使おうという方が多いかもしれません。

それからもう1つは、(スライドの)最後に書いた「まちづくり」です。私もセーフティネット賃貸住宅というのを作っていて、それは高齢者や障がい者や子育て世帯とかに貸してくれるなら、リフォーム代を少し出しますという制度なのですが、これはなかなか伸びないんです。

実は空き家って、誰に働きかければいいかとても難しくて。そういう意味では、LIFULLさんのような「ここに相談すればいい」というところがあるのは、とても大事なのではないかと思います。

空き家を活用して地域にコミュニティをつくる

伊藤:もう1つ、コミュニティの話がありましたね。私が最近好きな空き家のプロジェクトがあって、それは空き家を活用して地域を作るというパターンです。

今(まーぐん広場のように、高齢者施設と障がい者施設と宿泊者施設が)ごちゃまぜの話をされましたけれども。高齢者っぽいものだと、輪島でカブーレというものをやっておりまして。地域が空き家を使って、子育て施設や障がい者・高齢者などのものをやっています。

商工会議所も実は協力していて、ゴルフのカートを使って、自動運転でくるくる回せないかとか、そういうことをやるところができていたり。北九州市さんだと、魚町商店街の中で空きビルをコンバージョンにするとかですね。これは北九州のリノベスクールにすることをやられています。

宿泊だと菅官房長官が気に入っていたもので、能とかをやられている篠山の街づくりとか、いろんなパターンが出ています。空き家というのは、今までは単体で捉えてどうするかと議論していたのですが、もっとコミュニティづくりとか、地域の中でどう考えていくべきなのかという議論が必要。

先ほど風景を残さなければいけないという話があったように、遊休不動産活用をするにあたって、今後どういうことが大事かというのを3人に一言ずついただきたいです。

:全国規模でやろうとすると、やはり仕組化・制度化をしないといけない。そうなるとかなり使い勝手が悪いというか、そこに大きいビジネスが入ってきたり、地域のことにならなかったり、いろいろな制限が出てきます。そこと小さい地域であり、民であるところの間くらいの使い勝手のいい仕組みを作って、調整しながら。

でも我々がやっているのは、現実化しないと意味がないので、具体的に我々から手を付けようということで伝泊をやっているところです。このごちゃまぜのところを見に行って、昔のスタイルに戻るけど、そのままでは戻らないので工夫をするという。

高齢者も障がい者も子どももいるし、いろいろな子育て世代がいる、という混ざった昔の状態を工夫して戻していく取り組みが、これから全国で始まっていくと思います。我々もごちゃまぜの展開が、地域の特性を活かしながらできてくるだろうなという気がしています。

工場や廃校などを活用する際の3つのポイント

森弘行氏(以下、森):まず、空き家の話をうかがって、個人が使う空き家と大きな施設は、分けて考えなければいけないと思いました。個人が使うぶんには渡辺さんがおっしゃったような、いかに多様なニーズに応えるかが重要だと思います。大きな施設……空いた工場や廃校を使うのにはポイントが3つあると思います。文化継承・コミュニティ・お金がかかること。

私は地域おこし協力隊に入っているので、地域活性ってなにかというところですね。私は、地域がいかに継続していくかだと思います。それは、地域の文化が新しい時代に合わせて変わりながら、いかに続いていくかが重要だと思います。

そのためには、人をつないでいくためのコミュニティ作りが大切だと思います。先ほども言いましたが、大学や地域の人などですね。いまは移住ということにあまりこだわらなくてもいいかなと思っています。月に1回、年に1回来てくれる人たちをどうやって受け入れていくか。多様なニーズをどう取りこんでいくかが大事だと思います。

3つ目はお金が回るというのが重要で、きちんとお金が回りながら施設を維持していくような仕組みが必要なのではないかと思っています。

渡辺:いろいろと1年やらせていただいて、僕たちは今、使えるところから使っていこうというところにいっています。ただし、使えないものはどうするんだという問題もでてきます。

そういうものを見てきたときに、街ぐるみというか、街の未来図ってどうなのかというところで、スーパーシティやコンパクトシティとか、いろいろな話が出ています。

そういう方向性の中で、良質な住宅団地などを整理していくと、古くからの住宅団地やまとまった農地エリアなど、無秩序に開発が進んでしまったエリアを、最終的にはどういうかたちにまとめていくかが重要になると思っています。