日本が直面する、ヒューマニズムだけでは語れない「移民問題」の難しさ

「グローバル・政治経済」における創造的破壊とは? #3/4

G1カレッジ2018
に開催

2018年12月9日、多様な分野におけるリーダーが一堂に会する「G1カレッジ2018」が開催されました。第3部分科会「『グローバル・政治経済』における創造的破壊とは?」には、五常・アンド・カンパニー株式会社代表の慎泰俊氏、衆議院議員の細野豪志氏、参議院議員の森まさこ氏、東京大学・慶應義塾大学教授の鈴木寛氏が登壇。本パートでは、参加者からのさまざまな質問に答えます。

「創造する側」と「破壊する側」の信頼関係

鈴木寛氏(以下、鈴木):ありがとうございます。実は、どうやったら暴落をさらにpostpone(後回し)するかについては、いろんな知恵があります。それは経済・通貨・税制などですね。

例えば、国債での相続を特別扱いするだけで、国債への買いはずっと維持できます。それだけでpostponeできたりします。だけど、結果としてそれを相続したやつは壊れてしまいます。

今日『西郷どん』が最終日ですけど、録画して見てほしいと思います。あるいは来週の土曜日ですね。要するに、あの場合は武士階級が暴落するわけです。だけど、武士階級の中でも生き延びるやつと本当に没落するやつがいます。

今回の創造的破壊で、どこが武士階級になるのか。その武士階級の中で、創造する武士とそのまま自決する武士をよく見極めて、それを今回の創造的破壊に置き換えるとどういうことになるんだろうか? あの時は武力でしたが、今回は経済力なんですね。

みなさん、だいたい総論はわかってきていると思うけど、それをどうやって各論で突破していくか。もちろん政府が良好になるほうに進む人も絶対にいてほしい。半分はいてほしいです。

だけど、半分は創造する側です。(政府側も)そこと気脈を通じていることがものすごく重要で、そのためにこのG1カレッジはとても大事なインフラだと思うんです。

それこそ江戸城の無血開城だって、結局、西郷と勝が裏でちゃんと通じて信頼関係を築いていたからできたんです。これから君らは、いったん創造する側と破壊する側に分かれることになると思います。

ですが、人間と人間の信頼関係がちゃんとできていれば、この危機を破壊だけじゃない、創造的な破壊に持っていけると思います。そういう意味では、僕はG1カレッジが日本を救うと思っています。

日本の国債が暴落したら世界経済も一発で飛ぶので、日本を救うだけでなく、世界の経済システムをどうイノベートしていくかの鍵すら握っていると思うんです。

そろそろインタラクティブセッションにいきたいと思いますので、みなさん、どうぞ。じゃあ最初に手が挙がった方。

外国人の受け入れにどう対応していくか

質問者1:森さんが最初におしゃっていた人口構造で、日本の今後の未来を考える上で、そしてすべてのソリューションとして、僕は「外国人の受け入れ」があると思っています。最近もテレビで見ない日はないと思いますし、一昨日ぐらい前は特定技能の成立の話もありました。

今後、外国人受け入れに関してどのようなことを考えているかを4人の方に聞きたいです。なぜこの質問をしたかというと、僕はいまクロスボーダーという、世界で働く人の国境をなくすという会社をやっているんです。

もともと去年ドイツに留学していて、その時にシリアの難民の方と一緒に勉強して、「お前は本当にいいな」と言われました。「お前は日本に生まれて、大学生になれて、勝ちゲーだ」と。

「俺は生まれた場所を選べなかったから」という部分を聞いて、僕は「世界で一番平和で安全というブランドのある日本に来れる道をつくりたい」と思っています。

そんな中で「外国人が必要」と言っているけれど、受け入れ体制がぜんぜん整っていない会社もあります。いまだにいじめが残っていたり、それこそ技能実習生や特定技能制度など、日本を好きだったのに嫌いになって帰る子がいます。

あと、日本に来るインセンティブも下がっています。韓国では、例えば日本語学科が無料とか、留学に来たら必ず無料になったりします。日本という国がやっていないことを僕らが解決していきたいと思っていますが、今後、外国人の受け入れに対してどういった考えを政治的にしているかを聞きたいです。

鈴木:質問の人、もう1回手を挙げてくれる?

(会場挙手)

いっぱいいますね。これは全員に聞きたいので、3人ずつぐらい聞いていい? もう1回手を挙げてください。じゃあ……彼から。

外国人を受け入れることで意識が変化していく

質問者2:PoliPoliの伊藤です。政治と市民のコミュニティアプリのようなものを作っています。政治分野におけるITの活用で、なにができるかをおうかがいしたいです。

鈴木:はい。じゃあもう1人。

質問者3:ICUから来ました。パワーバランスの話がよく出ていましたが、やっぱり日本は日中間でどうしても挟まれてしまいます。

先ほど言っていた人権や途上国における支援といったソーシャルノームを日本から出していくために、どうやってその役割を作るのか。それについて意見を聞けたらうれしいです。

鈴木:はい、じゃあとりあえずこの3人で。今度は、森さんからいきましょうか。

森まさこ氏(以下、森):入管法の改正が徹夜で行われました。細野さんは「スローな意思決定」と言いましたが、本当にそのとおりなんです。この問題については、もっと早く始めるべきなのですが、一つひとつがスローなんです。そういう意味で、国会改革もしていかなければいけません。

人口減少の中で、先ほど言った生産年齢人口、つまり働き手が少なくなっていくので、やはり外国人の方には来ていただきたいですね。働き手や研修生だけではなく、観光客も4倍になっています。外国人留学生も増えていますので、これから多くの外国人の方と一緒に生活をしていくことは、避けて通れない課題です。

その中で、もちろん受け入れ体制が整っていないところもあります。一方で、たくさん来ていただいて、好きになってもらって、そのリターンでまた来ていただくという良いほうの効果もあるんです。

ですから、そこはマイナスの部分をなるべく少なくしていくために、政府ももっと巻きを入れて対策をしていかなければならないと思います。

地方の議員として1つ言うと、地方でもやっと外国人が少しずつ増えてきていますが、東京と比べると、さらに受け入れ体制がないことが問題です。ITも非常に遅れていますし、クレジットカードも使えないところが本当に多いのですが、そういうところもどんどん意識を変えていかなければならない。

しかし、入ってきたことによってまた意識が変わることもあるんです。そこにはもちろん摩擦が起きますが、そこを一つひとつ解消しながらがんばっていきたいと思います。

移民問題はヒューマニズムの観点だけでは捉えられない

鈴木:はい、じゃあ細野さん。

細野豪志氏(以下、細野):そうですね。1点目だけ簡潔に答えると、移民の問題はヒューマニズムだけでいくのも危険なところがあります。もちろんシリアからでもどこからでも、貧しい人が来てくれれば、その人にとってはいいことです。

一方で、現実に今回の政策で入ってきたときにはさまざまな問題も起こります。来てくれた人に対して中途半端に「じゃあ帰ってください」とは言えないので、壁のようなものは明確に作らざるを得ないだろうと思います。

ただ、ちゃんと入ってきた方については、人としてきっちり受け入れていく必要があります。私が特定技能1号に関して今回懸念しているのはこのあたりです。2号は、できるだけ限らせる方針ですね。「永住は認めません」というような議論がややあるんですよ。

そんなことでしか受け入れない国に、本当に外国人が来てくれるのかという問題はあるわけです。

難民に関してはちょっと別問題だけど、移民については……政府は「移民」とは言っていませんが、実質的に移民に近いものについては、私は壁をきちっと作った上で、ヒューマニズム以外の日本にとってメリットがあるかどうかで受け入れるのがいいと思います。

受け入れた場合については、彼らが努力をしたら、家族の帯同や永住などのさまざまな可能性について、もっと積極的に開く国にしていかないとまずいんじゃないかと思っています。今回は最初の議論で、両側からの攻撃があったので、こういうところへ落とさざるを得なかったが、やがてそういう議論になってくると思います。

日本の政治の世界はなぜかネットでは動かない

細野:最後の方の質問に関しては、やっぱり途上国の中には、中国のやり方に対する相当な反発もあるわけです。日本はこれまで比較的伴走型でやってきていて、人徳というか国徳というか、ある種の徳を積むべく努力をしてきた。

これからさらにやったほうがいいなと思うのは、特定の地方にさらにフォーカスをすることですね。中央政府だけじゃなく、場合によっては慎さんがやっているように、個人にフォーカスをする。

本当の意味で支援すべきところをしっかり見定めて、間接的に支援するようなことも、国としてはあるかもしれない。

(質問をしてくださった方は)たぶんそういう活動をしていかれるんだろうから、国だけじゃないところも含めて、そういうところにフォーカスをしていく。そして本当の意味で途上国の支援になることをできるか、ということじゃないかと思います。

ITに関しては行き詰まっています。いろいろやってみたけれど、なぜか日本でITは……まぁ、そこを使ってものすごくバズった政治家自体があんまりいない。お金を集めることが目的じゃないけれど、それでものすごくお金を集めた政治家もあんまり聞いたことがないんです。

だけど、これだけ世界中がネットで動かしているのに日本はなぜ動かないのか。この問いに対して、私はまだ解がないです。しばらく発信を控えめにしながら世の中の趨勢を見ている感じかな。そこはぜひディスカッションさせてもらえるといいなと思います。

鈴木:はい、ありがとうございます。では、慎さん。

フィルターバブルとフェイクニュースに対抗する重要性

慎泰俊氏(以下、慎):入管については、自分も当事者なのでとくにコメントしません。僕は国籍がないので。

ITに関しては、フィルターバブル(サーチエンジンなどの学習機能によって、利用者の望む情報が優先され、望まない情報から遠ざけられる様子を、泡の膜に包まれている状態に例えたもの)とフェイクニュースに対して、どうやってカウンターを作り出すのかについて真剣に考えてほしいなと思っています。この2つに対抗できないと、本当に民主主義が死んでしまう。

日本でも、デマっぽいニュースがたくさん飛んでいると思います。ああいうものに対抗できて、かつよく読まれるニュースが出てくる状況をどうやって作れるか。これがすごく重要なテーマだと思っています。私に解はないですが、考えてもらえたらうれしいです。

ソーシャルノームに関しては2つあります。1つが、体制間競争というか、「人権と民主主義を尊重する社会のほうが成功するんだ」というモデルを国レベルで作っていく必要があるわけですね。社会制度は長期的に見ると、結局生産活動がうまく行われるものに収れんしていきます。これが私たちがやるべきと思うことのマクロレベルの話です。

ミクロレベルでやることは、もし現地に行くなら、現地で会社をやるとかですかね。日本の会社は世界にいっぱい出ていますが、うまくいっている会社は、とにかく現地の人たちを下に見ないで一緒にやっているんですね。

私が途上国に行っている豊かな国の人たちを見て、ときどき「残念だな」と思うのは、自分の国の常識だけで判断して、それができない人たちを馬鹿にするような人がいることです。それだと仕事にならないし尊敬もされないので、現地に行って、そこにいる人たちと同じ目線で仕事をしてほしいなと思います。

そうして日本から来た会社の中で1つでも多く立派な会社ができれば、その国での印象はだいぶ変わっていくんじゃないかなと思っています。

テクノロジーと民主主義はどうすれば両立できるか

鈴木:ありがとうございます。残り時間があと16分ですが、僕は君たちの質問をぜひレコードしたいので、全員質問してください。あとはこっちで考えます(笑)。

質問者4:民主主義について2点おうかがいしたいです。「テクノロジーと民主主義を分断せずに両立させるためには、なにをすればいいのか?」ということが1点。

2点目が、「400年以上社会を構成する思想が更新されていない中で、民主主義がもし破壊されてしまったら、その先にはどんな社会があるのか?」もしくは「なにが創造されて、台頭するのか?」をお聞きしたいです。

鈴木:はい。

質問者5:再生可能エネルギーの推進政策を経済学のほうから研究しています。来年から京都大学大学院に進学します。これは僕のわがままな質問ですが、ぜひお聞きしたい質問です。

僕は日本を守る人材に成長したいなと思っています。都市・地方を守りたいです。至上命題は、人口減少を止めること、緩和することです。キーワードは「まちづくり」。その中でも都市経営・都市計画ができるまちづくりをしたいです。

来年からドイツのシュタットベルケに行って、インターンをしてドイツの成功事例を学んできます。僕に、なにを学んでくるべきなのかをぜひ教えていただきたい。お願いします。

鈴木:はい、青いTシャツの彼。

質問者5:今回、財政破綻に関してのお話が少し出たと思います。僕はそういうことにまったく知識がないのですが、もし財政破綻が起こるとしたらいつ頃になる想定で、どれぐらいの確率で起こりそうだと見積もられているか。

それと、僕自身は今AIやARで起業していますが、財政破綻した中、日本ベースで会社をやっていること自体がそもそもリスクになってくる話もあると思います。そこで、「財政破綻をした場合に、今の若者たちはどう立ち回らなければいけないのか?」という話をお聞きしたいなと思っています。

なぜ政治は扱いづらいテーマなのか

鈴木:はい、どうぞ。

質問者6:若者の政治参加についておうかがいしたいことがあります。来年から若者向けWebメディアの編集者をやるのですが、政治については、よく「扱いづらい」と言われていて、どう扱えばいいのか悩んでいます。

そもそもどうして政治が扱いづらいのか。そして、どうすれば扱いづらい政治を扱うことができるのかについておうかがいしたいです。お願いします。

鈴木:ありがとうございます。じゃあ、次。

質問者7:人口構造が変化するという話の中で、今後医療費が高額化する問題もあると思います。今ある医療の質を、経済破綻を防ぎながらいかにして保っていくのかに関してお話しいただきたいなと思います。

鈴木:はい。

質問者8:お話ありがとうございます。僕の個人的な感覚として、政治的な意思決定は、巡り巡って誰かを殺すというか、死ぬ人の種類が変わることになると思うんです。ダメージがいく対象の中で、一番弱い人たちが死んでしまうと思っています。

みなさんが国会の中で審議や意思決定をされる上で、誰かが死ぬ、誰を殺すかという選択をしていることを、どれぐらい意識されているかお聞きしたいです。

鈴木:はい、じゃあその後ろの彼。

質問者9:先ほどブリュッセルのスキームの話が少し出ましたが、ヨーロッパの今の財政状況と日本の財政状況に対する意見を、時間軸を踏まえた上でもう少し詳しくうかがいたいです。

鈴木:はい、じゃあその前にマイク回して。

質問者10:人口構造の話についてですが、今の政治に対して、若者の票が少ないから、短期的な目線で高齢者に向けた施策が意思決定されやすいところがあると思います。

PoliPoliの伊藤君がやっているように、若者の政治的関心が高まったときに政治が変わる可能性があるのか。実際に意思決定に対してボトルネックになっているものはなにか。そのお話をうかがいたいです。

グローバルで日本はどういう立ち位置であるべきか

鈴木:はい、じゃあ彼。

質問者11:細かな論点はいろいろあると思いますが、もう少し大局的なお話として、「グローバルで見たときに日本は今後どういう立ち位置であるべきか、どういうあり方をすべきか?」について、どのようなご意見を持っているかをおうかがいしたいです。

個人的な仮説としては、中国やアメリカと正攻法で戦っていくよりは、鯖江のメガネ工場のように、グローバルニッチトップの立ち位置を築くべきじゃないかと思っています。そのあたりについて、もしご意見があればおうかがいしたいです。

鈴木:はい、どうぞ。

質問者12:若者の政治関心についてです。まず「本当に若者は政治に関心がないのか?」。そして、「若者は選挙に行かない」と言われていますが、どうして行かないのかご存じですか? この2つをお聞きしたいです。

鈴木:はい、じゃあそのお二人。

質問者13:本年度、沖縄県ではU-25の若者沖縄ビジョンというものを作成しました。それを提出したくても、県知事がなかなか時間をとってくれない状況です。政治家のみなさんが政策提言をするときは、なにを一番伝えてほしいのかをお聞きしたいです。

鈴木:はい。

質問者14:テクノロジーの進歩によって日本人の働き口自体がなくなろうとしています。そんな中で外国人人材を受け入れている状況を、政府としてどう考えているのかをお聞きしたいです。

鈴木:はい、ありがとうございました。これで全員かな。残り10分です(笑)。慎さんから3分ずつ。

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