デジタルスクリーンの光は眼に悪い?

ステファン・チン氏:この動画を観ているなら、みなさんはデジタルスクリーンを見て過ごす時間が長いということでしょう。例えば、今まさにそうしているように、この世の終わりにでもならない限り、スクリーンというものはずっと私たちの周りに存在し続けるでしょう。

もちろん、多くの人はこういった人工的な光に晒されることは有害だと心配しています。けれどデジタルスクリーンは本当に有害なのでしょうか?

一時的な頭痛などに悩まされることはあります。しかし、永久的な害があるという研究結果はまだ出ていません。スクリーンを長時間見すぎていると、デジタル眼精疲労やコンピューター視覚症候群として知られる症状を感じるかも知れません。

最も一般的な症状は、かすみ目や頭痛、首や肩の痛みなどです。残念ながら、それが長時間スクリーンを見ていることと関連があるとわかっていながら、考えられる原因はいくつもあるのです。

スクリーンを見つめることで瞬きが減ったり、目を細めたりするため、瞳が反応する時間に影響があったり、ブルーライトに晒される時間が増えたり。理由はさまざまです。

デジタル眼精疲労に悩まされている人々は、レンズ処方が合っていないのかも知れません。もしかしたら、乱視に気づいていない可能性もあります。原因は一つではありません。

幸運なことに、デジタル眼精疲労の症状は休憩を取れば治ります。そして慢性的に悩まされていたとしても、研究によって長期に渡る影響などは示されていないのです。

そういう苦痛は避けたいのならば、医師は20分に一度、20秒の休憩を取り、20フィート先にあるものを見つめるように推奨しています。

まだスクリーンが害を与える可能性は残っています。それはブルーライトに晒されることで眼の細胞を殺してしまうことが原因です。

ブルーライトは短い波長からできており、それはつまりブルーライトが強いエネルギーを持っていて目を傷つけたり網膜にある細胞を殺したりするということを意味しています。ライトはある分子に反応します。

その分子を減らし、何でも結びつく活性酸素を生み出します。それが多くのダメージを与えるので、細胞は最終的にはアポトーシスと呼ばれるプロセスの中で自分自身を壊してしまうのです。

研究者たちが多くの実験を行なってきたので、こういったことが起こるのはわかっています。もちろん人の目に実際に実験を行ったわけではありません。ネズミなどの動物やペトリ皿で培養した人間の網膜細胞などに対する実験です。

そういった研究の多くが、LEDランプから出る強い光や一日中晒されるライトについて焦点を当てています。強いブルーライトは網膜細胞を殺してしまうとわかっているのに、スクリーンの現実的な危険性を教えてはくれません。

2017年に一般的なスクリーンから放出される3つの異なる波長における低強度のブルーライトの影響に注目した実験が行われました。とくに、449ナノメートルの波長のブルーライトが有害な活性酸素の最大の増加を引き起こすということがわかりました。

しかし、それより少し長めの470ナノメートルの波長を持つライトはあまりダメージを与えませんでした。21ナノメートルの波長の違いは大きいとは思えません。しかし、その違いは2色のライトはそれぞれ違うエネルギーを持つということを意味しているのです。

ターコイズの一種である470ナノメートルのライトは分子を効果的に壊すのに十分なエネルギーを持っていませんでした。もし眼球を守りたいのであれば、スクリーンからの短い波長のブルーライトの量を減らしたべきということを示しています。

しかし、まだ目を閉じないでください。一つ重要なことを忘れています。太陽光の問題です。晴れた日に周りを見渡せば多くの青色を目にするでしょう。そのブルーライトはコンピューターのスクリーンを見つるときよりもずっと強いのです。

2016年に発行された本では、電子スクリーンの範囲からの通常のライトとスペクトラムの青い部分にあるライトの量に注目し、それをみなさんが晒されている日光から出るブルーライトの量と比べています。

ラップトップやスマートホンなどの電子機器からのブルーライトは、長い間見ていたとしてもバイオハザードになるわけではありません。ですから、好きなだけSciShowの動画を見てくださいね。無害ですよ。