日本発のヘルスイノベーションの可能性を探る

平手晴彦氏(以下、平手):よろしくお願いします。ヘルスケアの関係ですので、ヘルスケア関係にお詳しい方か興味のある方が来られている可能性が高いかなと思っております。

「日本からのイノベーションをどういうかたちで出していくか」という部分では、実は待ち望まれているイノベーションというのがたくさんあります。

端的に言えば、アルツハイマーの特効薬が出てくれば間違いなくノーベル賞ものですし、日本からそんなものが出てくれば、世界中の患者さん、それをまた介護している家族、山ほどいる人たちが助かるわけですよね。そういうヘルスケアの分野のイノベーションを日本から出すためにどういうことをしていかなきゃいけないのかと。

今日はそれぞれおもしろい立場で違う切り口からご発言いただけるタレントが集まっていますので、そういったかたちでお話を聞いていただければ、あるいはパネルのディスカッションが展開できればと思っています。

ほとんどぶっつけ本番のようなかたちですので、一人ひとりの話を聞いていただいて、なるべくQ&Aの時間を多く取って、議論を引き出したいなと思いますので、よろしくお願いいたします。

G1ではあまり自己紹介はしないんですけれども、今回の場合は一人ひとり立場がすごく違うので、まずは瀧口さんから順番に、自己紹介というよりも自分がやられている事業の簡単な概略をお話しいただいて、そこの勘所を少し掘り下げていきたいと思います。事業紹介的なかたちで、御三方、順番にお願いします。

瀧口浩平氏(以下、瀧口):瀧口と申します。よろしくお願いします。「医療ヘルスケア分野の課題を解決する」というミッションを掲げて会社を作っています。

インターネット業界には2~3年ぐらいで芽が出るものに取り組む会社が多い中で、僕らは「5~10年ぐらいの時間をかけてしかビジネスにならないような社会的課題」に対して好んで挑戦しているという、少し特殊な会社です。

事業としては、医療機関とか介護施設、福祉関連のところに対してSaaSやメディアサービスを提供しております。人材採用のシステムだったり、オンライン診療のシステムだったり、最近だと電子カルテを作ったり、そういうことをやっている会社ですね。

とにかく顧客数が多いところがポイントで、この業界に今63万事業者ぐらいあるんですけれども、その13万超が顧客になっているというところです。こんな感じでいいですか?

薬局でよりよい体験を

平手:じゃあ中尾さんお願いします。

中尾豊氏(以下、中尾):私はもともとこのお二方のいる武田薬品にいて、独立した人間なんです。なんでこの会社を立ち上げたかというと、どちらかというと患者さんの医療体験、サービス領域で、「楽に医療を受けられる」とか「得する医療を受けられる」かたちにしていきたいと思ってやっています。

領域は、薬局・薬剤師向けのSaaSを展開している会社です。必ず通る薬局でよりよい体験ができるかたちにしていこうとやっているんですね。会社としては、今、3年目でして、社員が50人ぐらいになってきています。

プロダクトをローンチしたのは昨年夏で、業務効率化のSaaSですね。この業界には、「薬歴」と言われているカルテみたいなものがあって、薬歴の効率化の部分と、患者さんが薬局に来てただ薬をもらう体験ではなくて、得した情報をもらった上で帰ってもらうというような(ものです)。

薬局は、「医療の終わりでもあって、生活の始まり」だと私たちは考えています。「ここからどうやって学校とかスーパーとか家に帰った上で、どう生活したらよりよいのか」というのを国民に気づいてもらうプラットフォームに変えて、そこから文化を変えていこうというような会社です。よろしくお願いします。

平手:ありがとうございます。じゃあ湘南のほうを。

藤本利夫氏(以下、藤本):みなさんはじめまして。湘南ヘルスイノベーションパーク、略しまして湘南アイパーク。Innovationの「I」でアイパークと呼んでおります。アイパークの藤本と申します。

東海道線に乗ると、大船と藤沢の間に巨大な研究所、白亜の建物があるんです。のぞみが縦に1本入るぐらいの大きな建物です。

これ、もともと武田の自社の研究所で、世界中から、研究をそこで行うというコンセプトで2011年に建てられたものなんです。そこを今年4月に完全に開放して、外のバイオベンチャー、ベンチャーキャピタル、いろいろなヘルスケアのイノベーションに関わる方々を集めて。一緒にイノベーションを行っていく、というコンセプトで「サイエンスパーク」として再出発したのが、湘南ヘルスイノベーションパーク、アイパークです。

昨年の12月に入社というか、武田に入社したようで武田じゃない。武田もヘルスイノベーションパークのテナントの1つとして対処していて、独立したような組織を運営しています。

もともと来る前は外資系の製薬企業で十数年働いてまして、外資系にいると毎年のようにいろんな新しい機序の新薬が生まれてくるんです。それに対して、日本の企業からはほとんど生まれてきておらず、「この違いはなんなのかな」ってずっと疑問で。外資系で働きながら考えていたんです。

モデルとしては、もうすでにイノベーションの裾野が広がりすぎているんです。新たなアイデアや技術の発生はだいたい、アカデミアや小さなバイオベンチャーにシフトしてしまっています。

今の大手のメガファームのモデルとしては、そういったアイデアに早くアクセスして、早めに取り込んでプラットフォームを取り込むことによって新薬を生み出していく。そういう流れが外国にはできているんですが、日本ではそれができていなくて、非常に弱い。

この湘南アイパーク自体をホットスポットにして、いろいろな技術が集まって、最先端の技術・アイデアにアクセスできるような場にしていく。そんなコンセプトに惹かれて、この湘南にやってまいりました。

平手:ありがとうございます。

ヘルス業界の課題や展望

平手:御三方がご説明された中で共通の課題が、まだオーディエンスのみなさんの中で見えてこないと思います。もう少し突っ込んで、自分の事業で今一番おもしろいと思っている部分と、一番課題だな、困ってるなと思っている部分。まず1つずつ、御三方順番に、瀧口さんからお願いします。

瀧口:僕、全部の事業が大好きなので、とにかくどれをやっていてもおもしろいです。世間の反応を見ると、世の中的には「オンライン診療」がおもしろいと思っていただいているのかなと思っています。

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