砂糖を口にすることで感じる痛みの秘密

砂糖は人生の中で最も喜びをもたらしてくれるものの一つかもしれません。しかし、とても甘いものにかぶりついた時、その期待を裏切られることがあります。甘い美味しさの代わりに、突然の刺すような痛みに涙が出ることだってあります。

もちろん砂糖をたくさん含んだ食べ物をたくさん食べていると虫歯になり、不快を感じるかもしれませんが、そのような痛みは「インスタント虫歯」になったことによる痛みではないのです。

その痛みは、「象牙質知覚過敏」によるものか、歯磨き粉の売り場でよく目につく「知覚過敏の歯」によるものなのです。この症状による痛みは通常、熱いものや冷たいものを食べると感じられますが、とても甘いものを食べる時にも生じる場合があります。

ではなぜ砂糖を食べるとそうなるのでしょうか?これについて理解するため、一般的な歯科細胞学について少し知っておく必要があります。

甘いものと露出した象牙質のコンビネーション

私たちの歯には主に3つの層があります。外側は硬いエナメル質、そして内側にパルプ質の層があり、その層には血管や神経があります。そしてその間に象牙質の層があります。

象牙質はかなり固いですが、エネメル質とは異なり、多孔です。パルプ質の層からエナメル質の層の下まで、微細な、液体の入った細管が通っています。エナメル質の層は体の中で最も硬い部位ですが、それでもダメージを受けることがあります。

例えば、歯ぎしりをしたり、虫歯になったり、酸性のソーダをたくさん飲んだ場合にダメージを受けることがあります。そのようにして薄くなると、象牙質の層と細管が出てきてしまいます。そして時に、甘いものと露出した象牙質のコンビネーションがあの痛みの原因となるのです。

昔科学の授業で聞いたことがあるでしょう、「浸透」によるものです。「浸透」は水のようなものが選択的浸透性バリアの間を動くその動きを指します。その場合水分は、物質の溶解度が低い側から高いほうへと移動します。または、正式な言い方をしますと、濃度の低い溶質の側から、高い溶質のほうへと移動します。

「浸透」は「均等」にするのが好きなのです。そこで、キャンディのようにとても甘いものにかじりついたとします。露出した象牙質に接触するキャンディには、砂糖分子という濃度の高い溶質が入っています。そして象牙質が「選択的」の働きをしてしまうのです。象牙質の微小管の中にある液体が、砂糖に向かって勢いよく出ていってしまいます。そしてその流れが歯のパルプ部の神経を刺激すると、例の痛みが生じるのです。

砂糖で痛みを感じたら、それは歯に問題がある証拠

塩や砂糖の代わりとなる調味料などの溶質は砂糖よりもよく解けることができますし、食品や飲料に含まれる濃度はそんなに高くありませんから、砂糖のように象牙質内の液体を勢いよく流してしまう原因にはならないのです。

つまり、それらの調味料は神経を刺激することも少ないですし、そうなると痛みを引き起こすことも少なくなります。しかしそのような痛みは、砂糖を食べた時より、冷たいものや熱いものを食べたり飲んだりした時の方が経験することが多いのです。その時は、細管の中の液体が収縮したり膨張したりしていることが原因です。

私たちが「ラトガーズ歯科学校」のケネス・マーコウィッツ先生にお話をうかがったところ、甘い食べ物は歯の痛みを引き起こすには比較的弱い刺激物であるとのことでした。通常、甘いもので痛みを感じた場合、すでに歯の中のパルプと神経が炎症を起こしているはずだというのです。

つまり、あなたがキャンディを食べる前にすでに歯に問題があったということなのです。それは虫歯かもしれませんし、詰め物に欠陥があるのかもしれません。ですからもし甘いものを食べて不快感を感じたなら、歯医者さんに行った方がいいかもしれません。治療すれば涙を流さずに甘いものを堪能することができますよ。