ファッション業界で起こっている「エゴよりエコ」のムーブメント

丸山智恵子氏(以下、丸山):私たちがやるべきさまざまなことや、1つの家族として今後どういうことを学んでいき、何をしていったらいいかという、ダライ・ラマ法王猊下の教えに感謝申し上げます。

まずは2人のゲストスピーカーの方に、今のお話を聞かれてどのように考えられたか、思っていることなどをコメントいただけますでしょうか。では、冨永さんからお願いいたします。

冨永愛氏(以下、冨永):はい。非常にありがたいお話だったと思います。最初の方に、人間の欲望というお話がありましたけれども、私がいるファッション業界というのは、ある意味欲望が成している世界だと思います。

この服が欲しい、今流行っているこの服が着たい、そういう欲望がやはり私たちを動かしているというのもあるんですけれども、最近のファッション業界では「エゴよりエコ」という言葉が聞こえ始めたり、自分が着る服、新しいコレクションの服でもリサイクルされた素材を使ったり。

やはり人権問題、労働問題、環境問題というのも付随してくることなので、そういったことを考え始めているデザイナーさんが、非常に多くいらっしゃいます。やはり、これから先続いていく歴史のなかで、自分たちが何を後世に残していくのか。

今自分たちが何をするべきかということとしては、ファッション業界で起きている、この1つのムーブメントを続けていくこと。そしてみなさまがもう少し、私たちがもう少し、それに目を向けること。そういうことを発信していくべきなんだなというのを、今強く感じました。ありがとうございます。

丸山:ありがとうございます。エゴよりエコということで、お話しいただきました。小橋さんはいかがでしょうか。

日本人は「have to」ではなく「want to」に目を向けるべき

小橋賢児氏(以下、小橋):はい。僕自身は普段、自分のイベントを通じて、そうした気付きのきっかけの場作りに取り組んでいます。そもそも日本人って、良くも悪くもすごく気を使うという文化があるなかで、日本の教育のなどによって、同調圧力という、本来の自分の考えではなく、他者から見られる自分というものを、子どもの頃から知らず知らず作ってしまっています。

そのせいで、本来の自分がやるべきこと、本来自分がやりたいという「want to」ではなく、何かにならなければならないという「have to」ということが、多いと思うんですね。例えばいい会社に入るために、いい学校に入らなければならない。want toではなく、しなければならないという、have toがすごく多い。

僕は、そういうことをまずは楽しむというところから(始めています)。何かしたい、これがしたいと言って、何も考えずに何かにチャレンジすることが、子どものときはできていたのに、大人になるとなかなかできないと。

そういうきっかけのなかで、やっぱり自分が何かをした行動によって愛を知るとか。本来の自分とつながるという愛を知らなければ、なかなか他人に愛を向けられないというのが、今の日本の状況なんじゃないかなと思います。

僕自身、山登りで本当に死に直面するほどの危険な目にあったり、あとは深い瞑想(に入る)道場に行って、2週間誰とも話さないで(外の)情報も取らないで、自分の内側のエネルギーを観察して、すべてのものとつながるような経験をしたことがあるんです。

そのときに、自分という我が外れて、この世はすべて一緒なんだと。すべての生物、生命体、すべてのここにある物質は一緒なんだという感覚が得られたんです。なかなか今の日本において、そういう感覚を味わったことがない方が、すごく多いんじゃないかなと思うんですね。

なので、やっぱり一人ひとりが、まずはそれぞれの宇宙というものを作れるはずなんです。自分のwant toから始まる自分の宇宙というのを、どうやったら(作れるか)。僕はイベントをきっかけとして、そういうものを作りたいなと思っているんですけれども。

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