Soup Stock Tokyo が評価するのは「誰の体温をどうあげたか」
抽象的な理念の実現を計る、独自の評価システム

“Soup Stock Tokyoを創るヒト”トークセッション #2/2

2018年8月28日、株式会社スマイルズにて「クリエイティブの密談 vol.6 ~"Soup Stock Tokyoらしさ"を創るデザイン~」が開催されました。「Soup Stock Tokyo」「giraffe」「PASS THE BATON」「100本のスプーン」といった幅広い業態を運営する株式会社スマイルズで、クリエイティブおよびブランディングを担うクリエイティブ本部。そこではどんな人たちが働いているのか、またどうやって仕事を進めているか。それを解剖して見えてきた、クリエイティブのあるべき姿を参加者の方とともに探るのがこのイベント「クリエイティブの密談」です。第6回目の開催となる今回登場したのは、同社のデザインチーム。本記事では、“Soup Stock Tokyoを創るヒト”をテーマに行われたトークセッション後半の模様をお送りします。

Soup Stock Tokyoで問われる「成果」とは

中神美佳氏(以下、中神):ありがとうございます。3つ目のSoup Stock Tokyo Grand Prix、こちらも江澤さんから。

江澤身和氏(以下、江澤):はい。先ほどから何度か出ている私たちの理念、「世の中の体温をあげる」ですが、実際にどうやってその理念を叶えていくかが、1番やるべき仕事だと思っているんですね。

その中で、みんながそれぞれの店舗で試行錯誤しながら実際にやっていたりするアクションというのを、たとえば私は(役員として)エリア会などに行くと聞くことができるんですけど、違うエリアの仲間たちはそれを聞けない。

(そして聞くならば)やっている本人から聞きたいっていうのがすごくあって、Soup Stock Tokyo Grand Prixという「成果発表会」をやっています。ここで問われる「成果」っていうのは、昨対比が何パーセントだとか、客数がなんだとか、売上がなんだとかではなくて、(理念が)「世の中の体温をあげる」なので「誰の体温をあげたか」っていうことを成果発表してもらうものですね。

全店舗がエントリーして、自分たちのやっている小さいことでも、大きいことでもなんでもいいので、「誰かの体温をあげる」ために動いたこと、アクションを発表してもらうという場です。

江澤:そして68店舗(2018年8月時点)の中から最終的にはこのSoup Stock Tokyo Grand Prix、本戦では9チームが発表します。(この成果には)優劣ってないんですけど、「世の中の体温をあげる」って理念に1番近いアクションをした方たちにグランプリを渡すということで、今まで3回やっていて、現在4回目のエントリーが始まったところですね。

上村貴之氏(以下、上村):だから、世にあるいわゆるロールプレイング大会とか表彰みたいなものとはちょっと違うんですね。本当に江澤が言ったとおり、成果は「この人がこれだけ体温があがった」っていう1つだけでもいいというのが大きな特徴ですね。

Grand Prix優勝チームに見る「成果」の出し方とは

江澤:最近やった3回目のSoup Stock Tokyo Grand Prixでグランプリを取った店舗が発表していた内容は、お店の中のメンバーの雰囲気が変わったというもので、ちゃんと仲間同士が「ありがとう」を言うようになって、そうするとお店の雰囲気が変わった、ということでした。

そこで終わってしまうのはよくあると思うんですけども、お店の雰囲気が変わったら、そのお店の雰囲気が変わったことをお客様も感じ取ります。さっきもあったんですけれども「ここの店でうちの娘を働かせたい!」と声をいただいたりして、実際にその娘さんが働いているんですね。さらには「あの人と働きたいから(Soup Stock Tokyoで)働きたい」という方も出てきました。

アルバイトってやっぱり「なにかの媒体を見て」とかではなくて、実際にお店に行って、お店の空気を見て(応募を)決めると思うんですけど、そのお店は「どんどん人が人を呼ぶお店になっていきました」という発表をしてくれていました。世の中的にもですけど、まさに私たち自身も目指している姿だったので、その店がグランプリを取りました。

上村:しかもたぶん、(それは)このSoup Stock Tokyo Grand Prixがなければ、他の人たちはほぼ知らなかったことですよね。この9店舗が発表するのにサポーターがついて、「発表のスライド、もうちょっとこういうのがいいんじゃない」っていうのをやるんですね。僕はたまたま優勝した店舗のサポートをしていました。

彼らは決勝まで行ったんですけど、店の雰囲気が良くなったっていうことは分かっているし、結果もさっき言っていたように「ここで働きたい」っていう「人の連鎖」は起きているんですけど、彼ら自身「なんでこうなったのか」っていう分析ができてなかったんですよ。なんでかねえって(笑)。

「たぶん、それに気づいてないっていうのは、本当に小さいことの積み重ねなんじゃない?」って言って、それを聞きながら出してもらいました。他の店舗が真似できるようなものがあぶりだされていったのもポイントです。

他店の「成果」に学び、盛大に真似し合えばいい

上村:ここ(Soup Stock Tokyo Grand Prix)は「真似していく場所」だと思います。悔しさもあるかもしれないんですけどでも、他の店舗がやったことを「それをやったらまず、これはクリアできるかも」というヒントにする会です。出場する9店舗だけじゃなくて全店舗から社員とパートナーさんも参加して、全体で200人以上いる会になっているんですけれども、そこでみんなが真似し合うっていうのが僕の目指しているところです。

だんだん基準が高くなっていって、「去年の大会で出たことは、(今年は)みんなできている」という状態になっていくと良いなと思っていますね。

ちなみにこれ(Soup Stock Tokyo Grand Prix)は社内のイベントなんですけど、ちゃんとクリエイティブもつくっています。毎回テーマが決まっていて、(スライドを指しながら)これは2回目の時なんですけど、その時は「山」っていうテーマで、「この山の頂上をみんなで目指す」というものでした。

(クリエイティブとしては)たとえばそれをテーマにして、みんなにお土産みたいなものとして、金太郎飴を作ったりしたんですね。そこでちゃんとラベルも作って、(スライドを指しながら)あのキャラクターの顔の金太郎飴を作ったりもしました。そういう小さなこだわりをやっていくと、パートナーさんたちの中には学生さん、しかも女の子が多いので、「かわいいな」とか言って、作ったシールを携帯に貼ってくれるとかいうことがありましたね。そういうところは抜け目なくやるというのが、裏側の話ですね。

「ただの飲食ではない」会社であり続けるために

中神:ありがとうございます。「これからどうしていきたい」とか、「まさに今ここの部分を試行錯誤しています」とか、「これからの話」があればぜひ、お話いただけないかなと思います。

江澤:そうですね。「今やっている」とか「これから考えている」ところでいくと、Soup Stock Tokyoっていう会社もそうですし、もともとのスマイルズって会社もそうですけど、やっぱり最初にできた時って、「世の中にはない価値」というかそういうものを提示していて、(それは)「他にはないな」ってものだったと思うんですね。

そこはSoup Stock Tokyoがこれからもずっとやり続けていきたいことでもあるし、それをやり続けることが「ただの飲食ではない」っていうところにも繋がっていくと思っています。

「ただの飲食ではない」って言うからには、いわゆる普通の飲食が「当たり前」にやっていることもちゃんとやりつつ、その中で、いわゆる悪い意味で「当たり前」になってしまっていることはひっくり返しつつ、自分たちがさらにまた、次にチャレンジしていくってことをしていきたいなと思っているんですね。

Soup Stock Tokyoも、今までやってきた自分たちのパターンというのをちょっと壊すというか、お客様への商品の提供の方法とかも、ちょっと今までやってきたものではない、もっとコミュニケーションが生まれる提供の仕方にチャレンジしたいと思っています。

また、今までの駅近の立地だけではなく、もうちょっと広めのお店の展開で、どういうふうにお客様とコミュニケーションをするかっていうことにもチャレンジしていきたいなと思っています。どちらかというとこれから、2019年以降ですね。本当に、いろんなことにまたチャレンジしていくタームに入るのかなと思っています。

今で言うと、さっき言った人事施策の12個をまだ始めたばかりで、なんの成果も出せていないものもたくさんあります。なので、しっかりこの1つ1つの精度を高め、成果を出していくっていうこともやりつつ地盤・土台を固めていく中で、より高く飛ぶために今ここの地盤も固めつつやりつつですが、次のチャレンジも考える。そういうことを始めているところです。

中神:ありがとうございます。

江澤:「具体的になにを?」っていうのは、まだ言えないことがたくさんあります。でも、来年・再来年でまたかなりいろんなことにチャレンジしていくということで、今経営のメンバーも頭を動かしているところではあります。

上村:一緒に働く仲間も募集中です!

江澤:そうですね(笑) 本当に、募集中です! 

チェーン展開でも個性を持たせよう

中神:ありがとうございます。じゃあ最後に、ちょっと(時間が)押しちゃっているんですけど質疑応答を2問ぐらいいきたいなと思います。では、お願いします。

質問者1:大変勉強になるお話を、どうもありがとうございました。Soup Stock Tokyoが目指しているものとか、人をすごく大切にするところが非常に伝わってきて、やっていることはよくわかりました。Soup Stock Tokyoはお客様との関係が非常に強いんじゃないかなと僕は感じているんですけれども、「どういう関係を築いていきたいか」とか、「お客様との関係性をどう捉えているか」っていうところを、少しお伺いできればなと思いました。

上村:そうですね。「関係性が強い」って言っていただくのは嬉しいんですけど、僕はまだぜんぜんだと思っていて、さっきの「beyond the counter」じゃないですけれども、もっと深めていきたいんですよね。

(Soup Stock Tokyoは)チェーン店ではあるんですけど、お店の個性があり、場所が違えばサービスも違う。今でもたとえば、丸の内にあるお店とたまプラーザにあるお店とではぜんぜんお店の造りも違うんですけれども、そういう事例をもっと出していきたいですね。

(お店が違う)ということはそこで働いている人たちも違うし、コミュニケーションの質も違う。今後って意味で僕は、そういうことをもっと強化していきたいなと思っています。

質問者1:ありがとうございました。

中神:他に質問はありますか?

ネガティブな情報こそ共有し、閉鎖的な解決方法を選ばない

質問者2:ありがとうございました。私は(先ほどの)「Soup Stock Tokyoらしさ」で「スタッフの方の笑顔」って言ったんですけれども、そもそもSoup Stock Tokyoのみなさんの笑顔って「本物」だなって感じていたんですね。絶対作っていないし、本当に楽しんでいるなあって思います。

「それはなぜか」「どういう教育をしているのかな」と思っていたところ、お話を聞いていると、「教育」じゃないんだなって(わかりました)。教育って、相手が受け身になるじゃないですか。でもぜんぜんそういったことはなくて、制度を充実させて、自分を発揮できる場、発信できる場を作っているから必然的に(笑顔に)なるんだなっていうことがすごく理解できました。

とはいえ実際には、店舗の中に女性が多いじゃないですか。(人間関係で)いろんなことがあるのではないかと思いまして。具体的にどんなことがあって、どのように解決しているのか……。「密談」だから聞けたらいいなあって(思って、お伺いします)。

(会場笑)

江澤:人がたくさん集まるといろんなことが起きますよね。Soup Stock Tokyoでも同じく、あります。その時に、1つのお店の中だけで解決させたりはせず、なるべく「閉鎖的にならないようにする」っていうのは、けっこう意図的にやっているところがあります。

なので「Smash」で店舗の垣根を越えていろいろやり取りができるようにするっていうのもそうなんですけど、1つのエリアは8店舗とかがグループになっているので、けっこう、近隣のお店とやり取りをしたりしています。結局、店長の悩みって(他の)店長と話すのが1番良かったりするので、店長は店長同士、社員は社員同士、パートナーはパートナー同士などで、いろいろ話したりするような場を意図的に作ったりもしているんですね。

パートナーさんも、店舗毎ではない集合研修とかもいろいろとやっています。初回の「表現力研修」という、いわゆる接客の基本みたいなものをやる集合研修とかは、店舗毎ではなくみんなここに集まってやるので、そういうところで「実は、お店のこういうところがあって大変で……」とかっていうのも研修の中でぽろぽろでたりするんです。

そうすると一応、講師のメンバーがその時は「うんうん」って聞いて、フィードバックのメールを店舗に流す時に、「ちょっとこういうところを不満に感じていたみたいなので、フォローをお願いします」としっかり共有するというのをよくしていますね。

不満を言いやすい雰囲気を作り出す施策

江澤:あとは「Smash」の中にSNS機能を付けたというのもあったんですけれども、その下に相談窓口っていうのを作っています。それはなぜかって言うと、過去にパートナーさんが働いていてお店に対してちょっと不満だったり、いろんなことを思っていたりした時に、「直接会社に言う手段」がなかったんですね。なので、お客様が使ういわゆる「インフォメーションのメールで」会社にそういうのが来る、みたいなことがたまにあったんです。

なんか、それは違うなと思っていました。なので、あえて「Smash」の中に相談窓口っていうのを付けて、「なにかあれば、なんでも言ってください」「聞きますよ。ここでなら、言っていいですよ」っていう窓口を作りました。それを見るのは人材開発部だけです。じゃあ「人材開発部への不満はどうするんだ」って話もあるんですけれども(笑)。 

それはちょっと、一旦置いておいて。お店の中で起きている不満、素朴な疑問や提案など、「ああ思っています」「こう思っています」というのはけっこうその窓口を通して言ってくれますね。

そういう「言いやすい雰囲気」は意図的に作っています。あとは社員もパートナーも年に1回アンケートを取っているので、そこでかなり日頃思っているけどなんとなく言えていないことは吐き出してもらうってこともしている感じですかね。

上村:兄弟姉妹制度は?

江澤:そうですね。新しく入社した社員、新卒の社員はやっぱり、会社に入社はしたけど、店舗に配属になると店の仕事ばっかりになっちゃって、視野がどんどん近視眼的になってしまいます。なので、最初の1年はこの本社のメンバーからあえて「お姉さん」を任命し、「兄弟姉妹」にします。お兄ちゃん、お姉ちゃんと一緒に2ヶ月に1回くらいご飯に行ったりすることで、会社をいろんな角度から見てもらうことを意図的に繋げるということをしています。

質問者2:ありがとうございます。

中神:新たなSoup Stock Tokyoらしさになりそうな、ヒトづくりのお話しはいかがでしたでしょうか?かなり密談らしい裏話がきけましたね。今日はありがとうございました。それではこの後はスープストックトーキョー、スマイルズのクリエイティブメンバーも交えての懇親会に入ります。

(会場拍手)

Occurred on , Published at

株式会社スマイルズ

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1 現場の“体温”を上げるために人材開発部ができること Soup Stock Tokyo 全店舗で行った「68のご挨拶」プロジェクト
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