日本の若者は中韓の同世代に英語力で負けている。なぜか? ひろゆき×通訳者・鳥飼玖美子

「英語公用語は必要か?」 ひろゆき×鳥飼玖美子 #2/5

日本人(特に若者)の英語力は、中韓の同世代と比べて劣っている--日本人の英語力向上を妨げる文化的要因や、TOEICとTOELEの違いについて、西村博之氏ことひろゆきと、通訳出身の立教大教授・鳥飼玖美子氏が語りました。

TOEIC満点者は見かけても、TOEFL満点者をなかなか見かけない理由

西村博之氏(以下、ひろゆき):ちなみに英検とか色々ありますけど、なんか実用英語検定みたいなやつだとか、TOEICとかTOEFLとか役に立つもの、お勧めだとどれになるんですか?

鳥飼玖美子氏(以下、鳥飼):役に立つっていうか、全部目的が違うんですよね。まあ英検っていうのはね、スコアが出ないじゃない。

ひろゆき:一級、二級みたいな。

鳥飼:一級っていうのはものすごく少ないんですよ。あんまり少ないから準一級ってのを作ったんですけど。準一級を作ったら、今度は限りなく一級に近い人と限りなく二級に近い人と出てきて、ちょっとその差が大きすぎるんじゃない? っという感じもあって。

そういう意味ではTOEICの方が730とか出るから、わかりやすいってのはあるので、非常にウケているってのはあるんです。TOEFLってのはまた別で……。

ひろゆき:実は受けました。知ってて聞いてるんです。

鳥飼:知ってて聞いてるよね、じゃないかと思いましたよ(笑)。

要するに北米の大学に留学する時に、英語出来ない人に来られても困りますよっていう意味で、英語の授業を聞いてわかる? っていう、リスニングの試験ね。レポート書けるの? ってライティングの試験。プレゼンできるの? ってスピーキングの試験。大体教科書何冊も読ませますよ、読めるの? ってリーティングの試験ということで、4技能きっちり見てるんですよ。だからTOEFLは難しいです。

しかも今インターネットベースになったから、非常に高度になってて、あれに太刀打ちできる日本人ってのは非常に少ないと思いますよね。

ひろゆき:インターネット受験になったから、替え玉もしやすくなったんじゃないですか? 

鳥飼:ううん、インターネットベースにしたっていうのは、技術的にインターネットベースにしただけじゃなくて、内容を変えてるんですよ。例えばライティングといっても、次の日本語を英語にしてみましょう、ってそんなレベルじゃなくて、ちゃんと最初からテーマを選んで、それについてパラグラフがちゃんと論理的に書けているかどうか、ってのを見るんです。

ひろゆき:文章をダーっと書くんですか? 

鳥飼:そうです。

ひろゆき:具体的にどんな質問が出てくる? 

鳥飼:色んなテーマがあるけど、例えば地球温暖化についてどう思うかってのを選んだら、それについてパラグラフを。

ひろゆき:地球温暖化について、いきなり英語で書かなきゃいけないんですか? 

鳥飼:それが嫌だったら、たくさんテーマがありますから、教育でもいいです。それについて一言じゃダメなんですよ、3つから4つのパラグラフで、それがちゃんと論理構成がきっちりしていて、英語的な論理構成で書かなければいけない。

ひろゆき:英語の論文を書かなきゃいけないんですね。

鳥飼:小さなちょっとした小論文みたいな。

ひろゆき:それハードル高いですねー。

鳥飼:ハードル高いです。

ひろゆき:TOEFLって大学に入るための試験じゃないですか? そうすると高校を卒業した時点で、その教育とか二酸化炭素とかについて、英語で論文書かなきゃいけないって事ですよね? 

鳥飼:その中身を聞いてるんじゃなくて、英語力をはかってるんですけどもね。それは優しいレベルでも良いんだけれども、自分の言っている主張はちゃんと伝わるように、論理的に説得的に書かなければいけない。

スピーキングも入ってますから、インターネットベースですから。スピーキングの場合もやはり、ただ「こんにちはー。元気ですかー」とかいうレベルではなくて、自分はこのテーマでこう思うって事をきちっと話さなくてはいけない。結構大変ですよ、難しい。

ひろゆき:TOEFLの方が割と難易度高いんですね。

鳥飼:高いですよ。読むのも結構読ませますからね、長文読解。

気楽にめげずに取り組めばスコアが伸びるTOEIC

鳥飼:TOEICはビジネス英語ですから、ビジネスに使う英語の実力を見るということなので、TOEFLよりは比較的取っ組みやすいっていうかね。

ひろゆき:TOEICで990点とった人って、ニコニコ動画のユーザーの中でもいましたけど、TOEFLで満点とるってあんまり聞かないんですよね。

鳥飼:TOEFLは本当大変ですよ。

ひろゆき:TOEICはちょこちょこいますよね、990点とってる人とかって。

鳥飼:TOEICは逆に慣れてないとスコア低いんですけど、何回か受けてるうちに慣れてくるじゃないですか。受けたことあればおわかりですけど、だいたいフォーマット決まってるし、最初は「えー、この写真見てどうするの?」って思っても、次から慣れてくるから結構スコア上がりますよね。TOEIC受けるんだったら、あんまり心配しないで一回でめげずに何度でも受けたら。

ひろゆき:何度でも受けれるってのは、日本の大学受験と違って楽でいいですよね。体調悪かったから次頑張ろう、って出来るじゃないですか。

鳥飼:そうそう、受験料は払わなきゃいけないけどね。

ひろゆき:日本の場合って、受験に失敗すると一年棒に振るじゃないですか。それに比べると……。

鳥飼:そう、何度でも受けられるからね。受けてるうちに730点ぐらいね、クリアできますよね。

日本人が英会話を苦手とするのは、文化に原因がある?

ひろゆき:ちなみに日本人の英語力ってのは実際どれくらいなんですか? 世界的に見て。

鳥飼:何を見るかですよね。TOEFLは低いですけども、ちょっとなかなか難しいですよね。日本の場合には留学を考えなくても一応腕試しで受けちゃおうって人もいるから。平均点だけ比べてもわからないんですよね。ただ日本人は、性格的にワーっと自ら喋ろうとしない人が多いですよね。

ひろゆき:日本語で議論出来ない人が多いですからね。

鳥飼:そう。理詰めでうわーって行く人は理屈っぽい、っていってあまり好まれなかったり。

ひろゆき:そんな経験お持ちなんですか? 

鳥飼:うーん、あとお喋り。お喋りってのはあまり良くない、と日本ではされるんですよ。私の通信簿なんかいつも「口数が多すぎる」でしたからね。

ひろゆき:一般論じゃなく鳥飼先生の話。

鳥飼:そうそう。そのように口数が多くてお喋りっていうのは、日本の価値観の中ではあまり良い事ではないんですよ。日本語ではあまり喋らないようにしときなさいね、でも英語はガンガン喋りなさいって言われても、そんな切り替えられないでしょ。だから本当に英語でもどんどん話せるようにしたいんだったら、日本語でも議論できるようにしないとダメなんじゃない。

ひろゆき:日本語でもお喋りな人じゃないと、英語喋れるようにはならないってのはあるんですか? 

鳥飼:ところがそうでもなくて、同時通訳者で無口な人もいるんですよ。喋るのがゆっくりで無口で人見知りが強くて、終わるともう帰っちゃう。

ひろゆき:その人なんで通訳やってるんですか(笑)。

鳥飼:だから言葉っていうのは、お喋りだから外国語が出来るって思いがちだけども、そうとも限らないんですよね。面白いですよね。

ひろゆき:社交的な方が、話す機会が増えるんじゃないですか? 

鳥飼:どっちかっていうとね。どっちかって言えばそうですけど、でもあんまり社交的でないけど書かせたらすごい人いますよね。学生でもいますよ、やっぱり。プレゼンなんかは恥ずかしそうにしてるんだけど、書かせるとビックリするようなしっかりしたものを書く人もいますからね。

日本の若者が中韓の同世代に英語力が負けている理由

ひろゆき:他の国だと例えばシンガポールとか香港とか、英語が公用語というかみんな英語喋ってるじゃないですか? 

鳥飼:だってそれは昔植民地だったから、それは比べても無理ですよね。イギリスの植民地だった所は英語を話さなきゃ生きていかれなかった。インドもそうですよね。インドなんかは多言語国家で国の中にたくさん言語がある。で、どの言語を公用語にするかってモメるわけですよ。だったらイギリス人がここで少し英語を喋っていたから、英語にしとけばいいねって、英語が公用語になるんですけど。

ひろゆき:日本の場合もアメリカに占領されてたじゃないですか。

鳥飼:あれは厳密に言うと、アメリカじゃなくて連合国側に占領されてたんです。連合国はアメリカだけじゃなくてイギリス、オーストラリアもありましたからね。

ひろゆき:連合国軍の占領府自体は英語でやってたんですよね?

鳥飼:そうそう。でももちろん通訳者もいましたよ。

ひろゆき:その時日本人も英語にしてしまえ、ってならなかったんですか?

鳥飼:そういう事にはならなかったですね。それはやっぱりね、それをやったら大変だったでしょう。あの時の終戦の混乱の上でそんな事やったら、ガタガタになったでしょうね。

ひろゆき:確かに日本人は人数多いですからね、1億人くらいいましたからね。

鳥飼:でもやっぱり日本人が日本語を奪われないで済んだっていうのは、これはやっぱり大変幸せな事だったと思いますよ。

ひろゆき:アジアの植民地って大体ほかの言語押し付けられてますからね。フィリピンも英語喋ってますし。

鳥飼:日本人もよその国に行って、日本語を押し付けたりしたわけですから。だからやっぱりよその国の言語も大事にするし、自分の国の言語も大事にするっていう風にしないとね。

ひろゆき:そうするとじゃあ、植民地になってない国の中では割とレベル高かったりするんですか? だって韓国とかも。

鳥飼:あのね、韓国と中国は特に若い世代がものすごく受験、すごいでしょ。すごいんですよ。勉強時間が長くて、ハッキリ言って日本は読み書きで負けてます、日本の若い世代はね。リスニングはTOEFL見てもそんなに違わないんですよ。だけど読解力で負けちゃうのね。この辺はちょっと読むっていう事を、この頃やらないから。本読みます? 

ひろゆき:ちょこちょこは。鳥飼先生の本など。

鳥飼:ありがとうございます。

IT系の人々が横文字を多用するのは仕方ない

ひろゆき:韓国に行った時に、IT系の職業の人で英語喋れない人に僕、1人も会ってないんですよ。

サムソンの子会社だったせいかもしれないんですけど、基本的にIT系って優秀な人が入るんですけど、別に英語の仕事じゃないんですよね。エンジニアですとか、デザイナーです、企画ですとかって言って、日常的には韓国語なんですけど、英語で話すとみんな英語で返してくるんですよ。あーやっぱ韓国って優秀だなーって。

鳥飼:それがこれからの世界なんですよね、英語を国際共通語として使う。だから本当言うと、向こうも日本語出来たらいいし、こちらも韓国語出来たらいいんだけど、そうそう言ってられないじゃないですか。じゃあお互い知ってるのは何かって言うと、英語が出来ますか? 出来ますよ。じゃあ英語で話しましょうって言うのが、まあ最近ですよね。

英語の勉強の仕方もね、そうやって割り切って、今おっしゃったように韓国のITの人のようにね、自分はITが専門であると、で韓国語出来る、でも英語も出来る。だから日本の人と話す時に英語で仕事の話が出来る。日本人も出来るといいですよね。

ひろゆき:でもエンジニアリングって、ITの専門書読もうと思うと、全部英語になっちゃうんですよね、ネット上の。ITの勉強をするイコール、英語の勉強になるんですけど、日本の場合って日本語でかなり勉強できちゃうんですよね。

鳥飼:でもITは私、国語審議会で外来語委員会って所に入って外来語の委員会をやった事あるんですけど。要するに日本語はカタカナが多すぎるから、もう少しわかりやすい日本語に変えましょうってのをやった事があるんですけど、ITはダメでしたよもう。

ひろゆき:ITはそのままでいいと思います。

鳥飼:もうカタカナばっかりで、変えてたらどうしようもない。「インターネットでアクセスして」って日本語でなんて言うか? 「インターネットでアクセスする」ってしか言いようがないでしょって。ダウンロードするは日本語でなんて言うんですか? ダウンロードはダウンロードでしょ。英語だらけでしょ。

だからITの人は英語出来てしょうがないってか当たり前かもしれない。仕事の話だったらみんな結構できるんですけど、仕事を離れるとちょっと困ったりするんですけど、自分の仕事に関してはみんな結構できます、日本人も。

日本の専門商社がアフリカで見せた底力

ひろゆき:そうすると専門に関しては割とそれなりに出来てるって事ですか? 

鳥飼:出来てます。やっぱり専門用語って外部の人にとっては難しいんだけど、その仕事をしてる人にとっては難しくもなんともなくて、常識だし。だから結構メーカーなんかでもアフリカ行ったり南米に行ったりして、そしてそこでスペイン語は出来ないから英語で、ってなんとかやるは人結構いますよ。

日本のメーカーだから商社でも何でもないから、英語が必要だと思わなかったんだけども、ポーンと行かされるわけですよ。

ひろゆき:英語だけなら、その他の国の他の商社がいますけど、日本の商社ってマニアックな所まで行きますからね。

鳥飼:(笑)。マニアックって言うのかな? 

ひろゆき:アフリカの小国だったり。

鳥飼:大事なんですよ。アフリカは将来、日本にとって非常に大事な地域なんですよね。

ひろゆき:南アフリカに行った時に、昔ここに日本の商社でミカド商会ってのがあってみたいな話を聞いてね。そのミカド商会が結構仲良かったので、その歴史が残ってて。ミカド商会がたまたま営業に行ったから、アジア人唯一の名誉白人になったので、ミカド商会がなかったら日本人なんか誰も知らなかったっていうぐらい、結構日本のマニアックな商社は優秀。

鳥飼:そういう話があるわけね。うーん、何か面白いこと知ってますね。

ひろゆき:去年たまたま南アフリカに行ったんで。

鳥飼:私も2年前行きましたよ。

ひろゆき:あ、そうなんですか。なんでまたあんな辺鄙(へんぴ)な所に? 

鳥飼:通訳翻訳に関する国際会議で行ったんですけど、行ってみると違いますよね。

ひろゆき:アフリカ人みんな背高いし、顔は小っちゃいし。

鳥飼:それにね、南アフリカだからみんな英語で話すのかと思ったら全然違って、部族語がたくさんあって、大学の授業に同時通訳が入ってるんですよ。

ひろゆき:へぇー。

鳥飼:なぜかと言うと、生徒が先生の言ってるその言語がわかる人とは限らないので。だから同時通訳が入ってて、びっくりしました。

日本人が英語を出来るのはスゴいこと

ひろゆき:授業に同時通訳ってかっこいいですね。それってEUとかもそんな感じになってる?

鳥飼:EUもそれぞれの言語を大事にしてますよね。だから通訳翻訳に莫大な予算をかけて。だって公用語が23個ですかね? 加盟国の公用語は全部公用語にしてるんですよ。そこが国連と違うんです。

ひろゆき:それじゃめっちゃコストかかるじゃないですか。

鳥飼:めっちゃコストかかるんですけど、それは必要経費。母国語で話すというのは人間の権利でもあるから。

ひろゆき:世界中、英語で喋れた方が言葉通じて楽じゃんみたいな。

鳥飼:全然面白くないじゃん、そんな世界は。それぞれの人たちがそれぞれの言語を持って話すから面白いんで、どこ行っても英語ばかりだったら面白くないんじゃないですか? 

ひろゆき:沖縄のおばあちゃんとか、何言ってるか全然わからないですよ。

鳥飼:でもそれがいいじゃないですか。しばらく一日付き合ってけば、段々わかってきますよ。

ひろゆき:沖縄のおばあちゃんが喋ってるテレビとか、下に字幕出ますからね、日本人なのに。

鳥飼:でもEUが言ってるのは、そういう自分の国のマイナー言語を大事にしようと、これは人類の宝だから。それは守って大事にしなければいけないから、みんな学びましょうって言ってるんですよね。沖縄の人が話してる、そういう字幕出さなきゃわからない言語ってなくしちゃいけないんですよ。それは大事にしてあげてください。

ひろゆき:あ、そういうもんなんですね。でも国連は公用語って英語ですか? 

鳥飼:国連は常任理事国の5か国とアラビア語ですよね。日本は日本語を公用語にしたいから、常任理事国になりたいってずいぶん頑張ったんですけど、まだならないですね。

ひろゆき:まあ無理でしょ。日本語難しすぎますからね。

鳥飼:そうですか? 日本語が特に難しいってわけじゃないんですよね。でも日本語が難しいって事は、日本人にとっては英語が難しくなりますよね。

ひろゆき:遠い言葉と言う事で。

鳥飼:ものすごい全然違うんだから。だから私たちが英語をやるってことはすごい事で、ちょっとでも出来たら素晴らしいことなんですよ。私たち日本人は頑張ってるんですよ。

ひろゆき:ヨーロッパのフランス語の人が英語喋れるようになるの早いんですよね、スペイン語とか。

鳥飼:だってそれは関東人が大阪弁を学ぶようなもの、ちょっと違うだけですよ。

ひろゆき:単語一緒じゃん! っての結構あるらしいんですよね。

鳥飼:単語一緒で発音違ってるだけじゃんみたいなのが多い。みんなラテン語が親だから、英語・フランス語・スペイン語、みんな似てますよね。勿論違うんだけれど共通の部分も多いので、日本人がやるのとは大変さが違います。

ひろゆき:日本人は英語覚える労力を使うんだったら、他の事に使った方がいいって事ですか? 

鳥飼:いや、英語ができるって事は良いと思いますよ。ただ英語だけ出来れば人生それでハッピーエンドかって、そんな事ではないから。私は外国語やった方がいいと思いますよ、世界が広がるから。

ひろゆき:別に英語に限らず外国ならどこでもいい? 

鳥飼:今は国際共通語が一応英語だから、英語をやっておくと便利は便利ですよね。だからやることに反対じゃないですよ。

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