イベントで獲得した見込み客をどう育成していくか

栗原康太氏(以下、栗原):このあとの質問も僕からしたいと思うんですが、みなさん、この段階でご質問がありましたらどうぞ。

質問者1:よろしくお願いします。展示会で取れるのは、温度感の低いお客さまということで、そのあとナーチャリングが前提になってくると思うんですけど、そこで何をするかを具体的に教えてもらえればなと思います。

栗原:ありがとうございます。

村尾慶尚氏(以下、村尾):私たちは、展示会に出たあとは、いきなりナーチャリングするよりも、まずホットはホットで、絶対にすぐインサイドセールスをかけるんですよ。

ホット・ウォーム・コールドとバーコードで分けると、ウォームから バーコード は、全部一度フォームに誘導するんですね。ブースの説明員たちの判断は別にして、絶対に一度、フォームに登録します。フォームに登録したらホットと同じ扱いで、電話の優先順位を上げてからセミナーに誘導するという、よくあるナーチャリング施策に持っていっています。

いきなりセミナーに誘導するのではなく、資料請求に誘導するのかホワイトペーパーに誘導するのかは、イベントや数といったインサイドの状況によって分けています。ただ、なにかしらフォームに一度誘導してから、架電の優先順位をつけて、終わったあとにセミナーへの誘導、ホワイトペーパーの誘導、シナリオメールをかけていく流れにしています。

栗原:ありがとうございます。ヤプリさんのナーチャリング施策は?

佐藤裕子氏(以下、佐藤):最近Marketoさんを導入したというような状況なので、ナーチャリングはまだまだこれからです。今は、獲得した有効リードに全部コールして、あとはお礼メールを送るという、本当に基本的なことだけやっています。年に2回、自社カンファレンスがあるので、そこに招待したりはしています。

栗原:あとは、けっこう自社カンファレンスやイベントをやられていて、コンテンツはかなりあるので、そこに集客するという(かたちでしょうか)。

佐藤:そうですね。基本はその次もまたイベントに来てもらうようなケースが多いですね。

栗原:そのあたりが、自然とマーケティングの施策としてあるイメージですか?

佐藤:そうですね。

栗原:なるほど。月岡さん(はどうでしょうか)。

イベントの費用対効果をどう測っているか?

月岡克博氏(以下、月岡):そうですね。インサイドのコールはコールで進めるんですけど、まずはメールなどで、自社セミナーではなく協賛系のセミナーに呼びます。

僕はそこでお客さまを呼んできて、けっこう対談形式のセミナーをやるんですけれども、その施策が自社で使えるのか使えないのかを事例から判断していただくようにしています。

さらに、協賛系のセミナーでも絶対にアンケートを取るようにしているので、それに応じて深掘りしたフォローをしていく。そして、まだ営業されたくないフェーズの人がいるので、そちらは自社セミナーに呼ぶという3段階ぐらいな感じです。

コミュニケーションはずっとメールで、ほぼ全部、僕の名前です。僕のアドレスで送るので、けっこう返信は来るんですね。

(一同笑)

ちょっと薄いバーコードリーダーで獲得したリードは別の名前で送るんですけど、僕のセミナーに来てくれた人には、全部僕の名前で送って、メールの文面も基本は全部考えています。

栗原:すごいですね。いろいろやってますね。

月岡:はい。だから……誰か助けてください(笑)。

(一同笑)

栗原:ありがとうございます。ほか、なにか質問は?

質問者2:おうかがいしたいのが、継続的にいろいろなイベントを実施して、それぞれのイベントのKPIや目標の設定はどういうふうにされているのかについてです。

栗原:それは、イベントの費用対効果ということですね。

月岡:そうですね。もちろん展示会やセミナーによって、リード数などそれぞれ目標はあります。セミナー系は「アンケートをどれぐらい回収できるか?」というKPIですけれど、さらに「具体的に相談したい」とか「デモを見たい」といった、温度感を測る質問がいくつかあり、「そういうものが何件?」というKPIを取ることもあります。

費用対効果でいくと、僕は大きなマーケのバジェットだけ持っていて、それをどのように割り振ろうが受注の件数を達成すればいいというかたちにしているので、僕の采配ですべて決められるところはありますね。

栗原:個別のセミナーごとに(効果を)見にいくより、最後におっしゃっていただいたような、年間のバジェットやリード数に対して(それを)見にいくというかたちですか?

月岡:そうですね。それぞれ過去の蓄積と実績があるので、「このイベントにこれぐらい行っていれば、これぐらい取れる」というのは全部想定がついています。それで、予実はほぼずれないかなと思います。

東京に比べると、地方ではオンラインもオフラインも効かない

栗原:佐藤さんはいかがですか?

佐藤:うちも基本的にはマーケティング部の目標が、リード数や有効リード、あと商談率になってきます。そこを月で達成するのがマストになってくるので、そこに基づいて各イベントや展示会の数字をKPIとして決めています。

展示会は先ほどお伝えした内容になるんですけど、セミナーはタイトルでぜんぜん集客力が変わったりします。なので、集客やもらえるリード数がちゃんと達成できているかと、実際にセミナー登壇したあとの満足度、どれだけアプリに興味を持ってもらえたかというところで、「ヤプリの詳細説明を希望する」が何件あったかという点をアンケートをもとに見ています。

栗原:ありがとうございます。村尾さんはいかがですか。

村尾:うちも基本的に一緒です。マーケは予算を全部持っていて、内訳は私が全部決めています。商談数と獲得したMRRで見ているので、その中でどう割り振るかは自由にやっています。

イベントはファーストタッチですが、1つあるとすれば、例えば関西の展示会は、ほかに獲得する手段がないので、(数字が)悪くても出ないといけないんです。そういうときは、悪かったとしても(展示会に)出て、どうよくするかに考えを変えているのが正直なところですね。

東京はオンラインに割り振れるんですけれど、関西はあまりオンラインが効かなかったりするので、そこはオフラインのほうでもやるしかないと考えています。

栗原:それは、エリアマーケティング的にセグメントを切っても、クリックしてくれないんですか?

村尾:うちはダメなんですよ。ぜんぜん(効果なしということ)ではないですけど、東京に比べて本当にもうレベルがぜんぜん(違います)。

栗原:オフラインしかないと。

村尾:(オフラインしか)ないわけではないんですが、やっぱり数が少ないんですね。ビジネスの目的を達成しているような数は、オンラインだけでは絶対に出ない感じですね。

栗原:みなさんに「やってよかったこと」はけっこうお話しいただいたので、「これは微妙だった」「こういうのはわりと失敗しやすい」というものがあれば(お願いします)。まずは村尾さんから。

イベントマーケティングでの失敗談、つらかったこと

村尾:展示会はリード( エグジビション ジャパン)さん主催なのでそんなにズレないんですけど、ほかの会社さんのプライベートショーに協賛したり。あとは、Web担さんも歴史があるイベントはいいんですけど、新しいイベントに出たりすると、(協賛などで)お金を出していても集客の質がぜんぜんダメだったら、こちらはあとはなにもしようがないので、けっこうつらいです。

もう1つ、マーケの責任者として感じているのは、本当はオフラインの顧客体験や非認知・認知をどうにかして取りたいんですけど、いまだにぜんぜん数値として取れていません。そこは、ずっと悩み続けているところではあります。

栗原:非認知・認知というのはどういう……?

村尾:いわゆる「認知が広がった」「認知のためにやっている」といっても、「それをどうやって計測するんだよ?」ということで、正直をいって、やっぱりいまだに計測できていないところがあります。

栗原:例えば、自社カンファレンスをやると受注率が上がったり、もしくはリードタイムが短くなるというのがあるあるな話かなと。そういうのはあまりないですか?

村尾:どちらかというと、そのあたりと、うちや営業の改善も同時に全部走っているので、単純にそれだけで見えないところがあります。全体予算を持っているので、もう「えい!」と決めてやるしかなく、きれいに見えていないことはあります。

栗原:ありがとうございます。佐藤さん、「これは微妙だった」は?

佐藤:展示会でいうと、場所によって失敗したことはけっこうありますね。「すごく立地がいいな」と(出展場所を)買ってみたものの、実際に出してみたらぜんぜん人通りがないようなケースは何度かありました。そうなると、本当にどんなに呼び込みをしても、そもそも人通りが少ないので、その3日間はだいぶきつい思いをすることになります。

いまは、(出展する)1年前の展示会を実際に回ってみて、どこに人が集まっているか(を見ています)。各展示会にはだいたい、ブースに関係なく人がたくさん集まるポイントがあるかなと思っているので、そこにちゃんと出す。1年前に押さえるということを習慣化するようになってからは、わりと外れなくなったんですけど、最初はそこが外れるケースがけっこうありましたね。

出展するイベントやブース選びで失敗しないためのポイント

栗原:来年の(ブースを)押さえておくのは、展示会周りの施策に対する自信度および、マーケ予算ががっつり年間で用意されているという、SaaS特有のところでしょうか。

佐藤:そうですね。1日目と2日目の初速を見て、そこでリードの質をみたときに良さそうだったら出ると判断しています。

栗原:あとは、素朴な疑問として、みなさんが来年の分をその場で押さえ、かつ、人通りの大きいところを狙い始めたら、競争が激しくなるんじゃないかなと思うんですけど、このことに気づいている企業やマーケターはあまりいないんですかね?

佐藤:どうなんですかね。

栗原:これは秘伝のタレなんですか?

(会場笑)

村尾:もうけっこう埋まっていますよね。

栗原:埋まっているんですね。

佐藤:いいところは、けっこう埋まっていると思いますね。

栗原:なるほど。じゃあ、わかっているというか、この事実を過去のデータで持っている会社さんは、みなさんそこを埋めにいって(いるんですかね)。

佐藤:逆に、1年前で押さえてます?

月岡:はい、ほぼ押さえます。

佐藤:そうですよね。企業によっては、会期が始まる1年とちょっと前ぐらいのタイミングで電話がかかってきて、「いま、これだけ埋まっています」ということで焦るんですけど(笑)。けっこう決まってますね。

栗原:僕は前職で(展示会に)出ていた時は、そんなことはまったく知らなかったので、わりと適当な小間で出ていました。それでもぜんぜんペイしていたのでよかったですけど、知りたかったなと思いました。

月岡さん、展示会以外でもセミナーやユーザー会でも、「これは微妙」というのは?

「ちょっとズレるけどいけるかな」はたいていうまくいかない

月岡:展示会は、実際にいま言ったもの以外にもけっこう出たんですけど、おそろしく外したことがありました。「ちょっとズレるけど、いけるかな」と思ったテーマの展示会に行ってみたら「やばい、開発者しかいない……」ということもありましたし。

あと、うちは月額10万円くらいから始められる、そんなに高くないサービスなので、現場で部長ぐらいで決裁できるんですけれど、ちょっとレイヤーが上の人たちしか来ないようなイベントだと、理解していただけないことがけっこうありました。

また、すごくたくさんのリードが来たけれど、ぜんぜん関係ない人たちだったというものもありました。以前「コンテンツEXPO」の隣で「人工知能EXPO」をやっていまして、とにかく人工知能(のイベント)に人が来ていて、そちらから全部流れてくるんですね。

よくよく名刺を見たら全員「開発者です」とか、「おたくのAIは何のAIでしょうか?」というAIのみに興味がある人だらけみたいな(笑)。ですので、ターゲットがちゃんといるイベントを選ぶべきかなと。

栗原:「自社で、これぞ」というイベントに出たいと。

月岡:そうですね。集客の終盤になってセミナーの参画を決めたりすると、うちの話を聞きたいという人が集まらずに…... ということはあるかなと思います。

栗原:ありがとうございます。最後の質問なんですけれども、「今後、どうマーケティング活動を活かすか?」と書いていますが、みなさんはおそらく、引き続きイベント系の施策を打ってくるとは思います。

そこで、「(これまで以上に)こういうところをやっていきたい」とか、次のイベントマーケティングのテーマや、「こういうものを比較したいと思っている」ということを、ちょっと教えてもらえますか。

あちこちの企業が共催を集めて自社カンファレンスを開催する理由

村尾:正直をいって、イベントをやらないという選択肢はないので、いままでどおりやっていくんですけど、1つあるとしたら、3月12日に自社カンファレンスをやるので、覚えておいていただきたいです。

その自社カンファレンスを少し大きくしていきたい。どこまで大きくするか、数を増やすのかというところに、オフラインを活かしていくのがチャレンジなのかなと考えています。

栗原:なるほど。ちょっと思いついてしまったので村尾さんに質問します。最近、どこかの会社がいろいろと共催(企業)を集めて開催するカンファレンスが増えている印象があるのですが、これはなぜだと思いますか?

村尾:(自社カンファレンスを)やればわかるところもあるんですけど、うちは協賛金をマーケ予算からマイナスする計上なので、その分(予算が)使えるんですよ。やっぱりマーケティングに夢があるとか、大きなことができるようになってきたり(ということだと思います)。

あとは、さっきと同じなんですけど、会場を大きくすれば大きな会社が出展してくれたり、来場してくれるので、協賛金を集めながらやるというスキームが、だいぶ確立されています。みなさんも、けっこうチャンレジされているやり方なのかなと思います。

栗原:ありがとうございます。佐藤さんはどうですか?

佐藤:本当におっしゃるとおり、BtoBの会社がやるセミナーがいま、めちゃくちゃ増えています。媒体社がやるセミナーも、テーマがそんなに決まっていないのに、すぐに売れるケースもけっこうあります。カンファレンスやセミナーがすごく流行っているので、うちはもっとヤプリの色を出していきたいですね。

ヤプリは、「アプリ業界をもっともっと盛り上げていきたい」「モバイルマーケティングを盛り上げていきたい」という思いがあります。ヤプリをハブとしていろいろな企業さんがつながって、もっともっと業界全体を盛り上げるようなコミュニティやカンファレンスをやっていきたいですね。

あまり規模を大きくすればいいわけではなく、ちょっと小さなコミュニティ作りもすごく重要だなと思っているので、そういったところもやっていきたいですね。

1つのイベントにいろいろな目的を詰め込むのは失敗のもと

栗原:ありがとうございます。ちょっと突っ込んだ質問なんですけど、今日はKPIやリード数のお話があったと思います。いま佐藤さんがおっしゃった、「ヤプリとして、こういうふうに打ち出していきたい」とか、各セミナーやカンファレンス、展示会のテーマ企画は「今回はこういうテーマ」というように、定性的なところは意識されているんですか? 

佐藤:そうですね。イベントごとに毎回テーマは決めています。いま、うちには2つイベントがありますけれど、1つはアプリの啓蒙を目的とした「MMU(MOBILE MARKETING UPDATE)」というイベントです。もう1つは「Yappli Summit」といって、製品や新機能の発表会という位置づけのものです。2種類あるので、それぞれ「今年はどういうテーマでいくのか?」を決めてやっています。

栗原:MicrosoftやAppleならわかるんですけれど、新商品の発表会を大々的にやるスタートアップはけっこう珍しいなと。どういうきっかけでやられたのか、また、どんな効果があるのか(教えてください)。

佐藤:もともとは、Yappliのクライアントさん向けから始まっています。ヤプリ の満足度、継続率の向上が目的というところで、クライアントさんたちとのつながりをもっともっと濃くしていきたいというところから始まっていますね。

栗原:広く、ユーザーコミュニティ的なかたちで始まったんですね。

佐藤:そうですね。去年はそこにリード目標があったので欲が出てしまって、そこのすみわけが、ちょっとうまくいかなかったなと。「ユーザー向けなのであれば、ユーザー向けだけに振り切ってやるべき」というところが、去年の反省ではありますね。

栗原:1個のイベントに、あまりいろいろな目的を詰めこまないほうがいいと。

佐藤:そうですね。シンプルに、ユーザー向けか新規リード向けかが大きなテーマで、そこから細分化したテーマは毎回持っています。

栗原:ありがとうございます。最後に月岡さん、締めのコメントを。

自社カンファレンスや若手マーケターを発掘するイベントを開催したい

月岡:今後やっていきたいなと思うことは、大きく2つあります。1つは、シャノンさんもヤプリさんも自社のカンファレンスをやっていて、僕もそれをやりたいなと思っていたものの、去年は予算だけ計上して動けませんでした。なので、自社カンファレンスはぜひやりたい。

うまくいった施策をしゃべってくれるクライアントさんもすごく増えてきました。また、Webマーケ、とくにオウンドメディアやコンテンツマーケティングをやっている人たちは社内に1~2人なので、相談ができないという悩みがありまして。イベントを通してそういう人をつなげていきたいなと思っています。

もう1つもそれに近いんですけれども、いま、有名なイベントでしゃべっている人はだいたい同じ(人ばかり)で、僕も新しい若手のマーケターを発掘したいなと思っています。

そういう方を……引き上げるというと変ですけど、(発掘する)ようなイベントとか、コミュニティに近いものはやっていきたいなと思っています。SEOやコンテンツマーケティングについて、正しく理解したり、正しく広めてもらえたらいいんじゃないかなと。

栗原:ちょっと話がずれちゃうんですけど、MIERUCAさんは、コミュニティ型のイベントや勉強会をすごくやっているじゃないですか。「ミエルカ大学」でしたっけ?

月岡:ミエルカ大学はユーザーさん向けなので、コンテンツの作り方を教えていくものです。「コンテンツカフェ」というものをやっていた時期もあって、ただ単純にうちに集まって、お茶菓子を食べながら黙々とコンテンツを作るだけなんですけど。

栗原:黙々会。

月岡:はい、黙々会です。「ちょっと相談したいんですけど」というのを、うちのディレクターが受けたりして、いきなりライブでコンテンツ改善をやりだすというのは、けっこう好評でしたね。

栗原:コミュニティへの投資というか、まじめにやっていますよね。

月岡:まだまだこれからです。散発的になってしまっているので、「それをどう継続的にやっていくか?」は、1つのテーマかなと思っています。

栗原:ありがとうございます。会場からのご質問を受けたいと思います。もしなにか「これは質問しておきたい」という方がいらっしゃれば、ぜひどうぞ。

イベントコンテンツづくりの秘訣とは?

質問者3:いま、セミナーと展示会などの大きめのイベントについてお話しいただいたと思うんですけど、小さめのイベントについてちょっと気になる部分があります。自社イベント・共催イベントを開催するとき、「どういうふうに考えてイベントコンテンツを作っていくんだろうな?」というところが気になったので、おうかがいしたいです。

月岡:「イベントコンテンツをどうするか?」というご質問だと思うんですけど、セミナーの内容とかでしょうか?

質問者3:そうですね。

月岡:それでいうと、「ツールを解説します」といっているものが、毎週やっている自社単独のセミナーなんですね。協賛系はどちらかというと「コンテンツマーケティングは、こうやるべきだ」「SEOはこうだ」という概念的な話に振って、製品の話はほぼしないかたちです。

共催セミナーであれば、どのようなテーマにするかは、共催企業がどういう会社さんなのかによります。例えばシャノンさんのようなMAの会社なら、「僕らは集客の部分で、シャノンさんのMAがフォローして、育成して、商談するところまでです」という流れにしたり。BtoBのほうが強ければ、うちの内容もBtoBに寄せるケースが多いですかね。答えになっているかわからないですけれども。

佐藤:私たちは、コンテンツ周りでは、自社での小さなイベントや製品説明会は現状ではあまりやっていません。共催や他社さんがやっているところにお金を出す協賛型が多いんですけど、基本的には会全体のテーマや周りの企業さんのタイトルに合わせにいくケースが多いです。そこに興味を持ってくる方が多いかなというところがあるので。

コンテンツづくりに関しては、うちのカスタマーサクセスの部署のメンバーにもいろいろヒアリングしたり。いろいろな事例もとっているので、そうした事例を中心にコンテンツを作るケースが多いですね。

栗原:そういうとき、どなたが登壇されるんですか?

佐藤:登壇は、うちに金子というエバンジェリストがいますので、金子か私か、もう1名、広報の原田という担当がやっています。

栗原:たまに聞くのが「登壇できる人がいない問題」。

佐藤:そうですね。それはもう、本当にそのとおりですね。

栗原:ヤプリさんは、3名いらっしゃいますよね。

佐藤:そうですね。ずっとやっていたかというとそうではなく、うちの会社で初めてやるというケースがけっこう多いんですけど。

栗原:なるほど。やって慣れるしかないという?

佐藤:そうですね。場数というか、慣れるしかないですね。

イベントのテーマがネタ切れしないように、ユーザーへのヒアリングを重視

村尾:うちも基本的に一緒で、製品説明は定例でずっとやって、共催は本当に「共催相手の方とどう合わせるのか?」というところでやっていますね。

新ネタを考えるとき、私はすごく恵まれていて……。お客さまもマーケなので、けっこう気軽に会いに行けます。お客さまに会いに行って、「いま、どうですか?」ということを聞いて、それを新ネタにすることが多いですかね。

栗原:シャノンさんの領域は、MAやリードナーチャリングじゃないですか。ある意味、ツールの機能領域から出られないところもあるかなと思っています。僕も前職で、シャノンさんと何回か共催セミナーをやらせていただきました。当時からナーチャリングとか、ネタは尽きないものですかね?

村尾:いや、尽きますよ(笑)。基本的に尽きかけているんですけれども……。新しいお客さまも増えているので、けっこうお客さまに聞いています。キーワードは「リードナーチャリング」などで一緒なんですけど、中身はお客さまに合わせたり、聞いている内容でちょっとずつリバイズしている感じですね。

栗原:うちの会社も、セミナーをやろうかなと思ったりするんですけど、コンテンツを作るコストと、「どれぐらい使い回していいんだろうか?」が迷うところですね。

村尾:そこはまだ悩み続けている感じですね。

栗原:その都度、リバイズされているんですか?

村尾:事後アンケートを見てリバイズしている感じです。(アンケートを)度外視するときもあるんですけど、そのあたりを見て「あっ、まずいな」と思ったら、ちょっとリバイズしていく感じです。

栗原:ありがとうございます。以上で、SaaS企業のイベントマーケティングのパネルディスカッションを終わりたいと思います。非常に具体的なところまで教えていただきまして、本当にありがとうございます。みなさん、拍手をお願いします。

(会場拍手)