2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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栗原康太氏(以下、栗原):それでは、メインのプログラムである「SaaS企業から学ぶ、BtoBマーケティングにおけるイベント活用」ということで、さっそくですが、45分ぐらいパネルディスカッションを進めさせていただきます。
最後に質問の時間をとろうと思うんですけど、いつも時間が押し気味になってしまうので、適宜、途中で気になることがあればご質問いただいたほうがいいかもしれません。ぜひよろしくお願いします。
(スライドを指して)一応、今日はこんなかたちで事前のディスカッションテーマがありますので、大枠はこの流れで進められればなと思います。ではみなさん、自己紹介を1〜2分ぐらいでお願いします。村尾さんから。
村尾慶尚氏(以下、村尾):私は株式会社シャノンでマーケティングをやっています、村尾と申します。
私たちシャノンは、MA(マーケティングオートメーション)ツールとイベントマーケティングのご支援をしています。ちょうど私たち自身もイベントマーケティングをやっていますし、お客さまのイベントマーケティングなどもご支援している立場です。
実は、イベントは私たちの会社の「祖業」でもあり、けっこう想いを込めてがんばってやっているので、今日は少しでもみなさんのお役に立てることがあればと思っています。ぜひよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
佐藤裕子氏(以下、佐藤):株式会社ヤプリの佐藤と申します。プログラミング不要でアプリが作れるサービスを提供している会社なんですが、私はそのサービスを広めるためにマーケティングを担当しております。
今までずっと、展示会やイベントの開催というオフラインを主軸にやってきたんですけれども、昨年ぐらいからデジタルマーケティングにも力を入れ始めています。
オフラインマーケティングに周りに関してはいろいろと知見もたまっていると思いますが、逆にみなさんに聞いてみたいこともありますので、今日はどうぞよろしくお願いいたします。
栗原:よろしくお願いします。
(会場拍手)
月岡克博氏(以下、月岡):Faber Companyの月岡と申します。僕は「MIERUCA」というSEOツールのマーケティングを担っています。デジタルもやりますし、オフラインのイベントもやったりします。あと、セミナーに登壇してしゃべるのも仕事になっているので、なんでもやる係になりつつありますが、人がいなくて大変困っております。一緒に仕事ができる人がいたら、ぜひあとでお声がけください。
(会場笑)
よろしくお願いします。
栗原:よろしくお願いします。
(会場拍手)
前提として、展示会やセミナー、自社の勉強会、もしくはカンファレンスをイベントマーケティングというくくりにしており、各社さんが、このあたりをイベントマーケティングというかたちでやっています。ちょっと説明が難しいかもしれないんですけれども、村尾さんから。
村尾:まず一番多いイベントマーケティングは、自社のセミナーです。だいたい5〜30名ぐらいの間で、自社のセミナーをやっています。あとは、他社さんと一緒に共催セミナーというものをやっています。それがだいたい月に1~2回ぐらい(の開催)になります。
ほかに思いつくイベントは、展示会なども地方と東京の両方で出ていたりしますし、プライベートカンファレンスや協賛というかたちで、1つの企業様がイベントを主催されているところに協賛企業として参加しています。それは(月に)3〜4回ぐらいやっていますね。
あとは自社でも、プライベートカンファレンスという、400〜500名の方に集まっていただくオープンイベントと、ユーザーさんだけに集まっていただく200~300名ぐらいのカンファレンスをやっています。そのあたりが、オフラインのイベントになっております。
栗原:じゃあ、もう年間でずっとイベントをやっているんですね。
村尾:そうですね。毎月何らかは動いているかたちになっています。
栗原:なるほど。かなり多いですね。じゃあ、みなさんの施策をうかがっていきます。
佐藤:ヤプリもほぼシャノンさんと同じになると思うんですけれども、広いユーザーさんを獲得していくために、展示会や各種メディアのイベントに協賛するかたちで参加しています。
よりコアな層の人たちに会いに行くというところでは、「ブランドサミット」や「マーケティングアジェンダ」などの各種カンファレンスやサミットにも出ています。
また、アプリの啓蒙活動やYappliのファン作りを目的とした大規模な自社イベントも開催してます。
栗原:ありがとうございます。月岡さん(お願いします)。
月岡:うちもほぼ同じです。大きく、セミナー系と展示会系に分かれるのですが、セミナーは、自社開催のものが10名ぐらいの小規模なもので、とくにツールに寄った話をさせてもらっています。これは週1ぐらいでやっています。あとは、月1回ぐらいの共催セミナーということで、2〜3社ぐらい集めてやるケースもあります。
さらに、クライアントさんに登壇していただくような自社開催のイベントが2〜3ヶ月に一度あるかないか、という感じです。ヤプリさんと同じく、Web担さんやMarkeZineさんがやっているようなイベントに協賛セミナーということで出させてもらったりもしています。
「ブランドサミット」や「マーケティングアジェンダ」などがあり、今月末は「ダイレクトアジェンダ」がありますが、そういったものにも参加しています。
そして、ユーザー会も開催していますが、これはどちらかというと僕の管掌範囲から外れていまして、カスタマーサクセスチーム主導でやってもらっています。
今は、展示会は大きいものだけに絞っています。リード( エグジビション ジャパン)さんの「Japan IT Week」や、この4月には「コンテンツEXPO」があります。あと、2月にUBMという会社による「マーケティング・テクノロジーフェア」がありますが、そちらにも出ています。なので、大きい展示会は年間で5〜6回ぐらいは出ています。
月岡:あと、僕は個人的にコミュニティの運営もしています。東京だと(ほかにもコミュニティが)いっぱいあるので、大阪でやっています。
栗原:それは、どんなコミュニティなんですか?
月岡:僕らのツールがどうこうという話ではなく、コンテンツマーケティングやオウンドメディアに取り組んでくれる人が関西方面で増えたらいいなと思って、関西方面で取り組んでいる人にしゃべってもらったり、僕が「こうやってコンテンツを作るんですよ」というワークショップをやったり。2〜3ヶ月に一度くらいで、もう8~9回ぐらいやりましたね。
栗原:それはFaber Companyさんとしてやっているんですか?
月岡:まぁ、一応。運営会社がよくわからないと信用してもらえないかなと思ったので(笑)、会社の名前は出させてもらっていますが、とくに僕はなにもセールスはしないようにしています。
栗原:ありがとうございます。ちょっとライトな質問をさせていただきたいんですけど、みなさんはずっと展示会をやられているので、運営コストがけっこう大変なんじゃないでしょうか。
会社のマーケチームの中でイベント関連の人たちが何人いるかとか、セールスも兼務してとか、そのあたりの社内体制を教えていただきたいなと思います。では村尾さん。
村尾:私たち、マーケティング部の体制でいくと、「インサイドセールス」と「マーケティングコミュニケーションチーム」の2つを見ています。インサイドセールスが4人、マーケティングコミュニケーションチームが3人と、私という体制でやっています。
ただ展示会は、大きく出るときはそれではぜんぜん(人手が)足りないので、営業からかき集めてきたり、コンパニオンさんをうまく使いながら回している状況です。
私たちが悩みながらやっているのは、オフラインとオンラインであえてマーケティングのコアを分けていない(という部分です)。それはメンバーと話して、やっぱり「どっちかだけは嫌だ」というところがあったり「分けてしまうとそれぞれ効率化するので、たぶん入れ替えをしなくなるだろうな」というところがあります。今は意図的にオンラインもオフラインも両方やる体制にしています。
栗原:なるほど。普通に素朴な質問なんですけれど、オンラインとオフラインを両方やってもらうと、展示会の会期中もしくは前後はすごく忙しいので、オンラインのほうが手薄になるんじゃないかなと思ったんですけど、どう対応されていますか?
村尾:本当におっしゃるとおりで、そこですごく悩んでいます。やっぱり運用型は毎日見ていかないといけないところがあるので、すごく短期でいうと、展示会中はちょっとキャンペーンを止めている感じですね。
栗原:止める判断をしてもいいぐらい効果がある。
村尾:はい、そうですね。
栗原:なるほど。ありがとうございます。ヤプリさんはどんな体制ですか?
佐藤:弊社のマーケティングチームは、全部で5名で、うち3名がオフラインイベントの担当で、残りの2名がデジタルの担当に分かれています。
ただ、村尾さんがおっしゃるとおり、イベント当日になってくるとチームメンバー以上の人数が必要になります。そういうときは、マーケティングチーム全員と、4人のインサイドセールス、あと営業にも協力要請をして来てもらっていますね。
また、展示会などのイベントはお客さまと直接会える機会ではあるので、マーケティング・営業の垣根を超えて、新しく入った開発や制作部門の方々にも協力していただくケースもありました。
栗原:協力というのは、当日の呼び込みとか……あっ、呼び込みはしないか。説明などですか?
佐藤:そうですね。呼び込みまではしないですけれども、実際に来てちょっと手伝ってもらったりですね。
栗原:なるほど。EXPOみたいな展示会?
佐藤:そうですね。リードさんがやっているような、ビッグサイトや幕張メッセでやるような大型イベントなどですね。
栗原:ヤプリさんは、自社開催のカンファレンスが2つぐらいあるんでしたっけ?
佐藤:はい。いま、年間で2回やっています。
栗原:それぞれ何名ぐらい集客していますか?
佐藤:前回は約800名で、前々回は500名ぐらいなので、規模としてはけっこうな人数になると思います。その時は“全社ごと”として、プロジェクトのようなかたちでやっていますが、運営として動いているメンバーはほとんどマーケティングチームですね。
栗原:ありがとうございます。月岡さん、体制について教えてください。
月岡:お二人の体制が充実していて、すごく羨ましいなと思いました。うちもマーケティングとインサイドセールスとフィールドセールスは全部分かれていて。でも、僕らがちょっと違うのは、広報も僕のチームの中に入っているんですが、マーケティング担当は僕1人で広報も1人という、2人チームみたいな感じなんですね。
展示会を回すのも全部僕がやっているんですけど、それは準備の段階で、当日はほぼフィールドセールスにやってもらっています。呼び込みやリード獲得部隊、商談獲得部隊に分かれて対応していますね。
そのあとのフォローは僕が担当です。マーケティングオートメーションでフォローするのは僕で、個別のところはセールスに任せています。
栗原:なるほど。ちょっと細かい質問なんですけど、当日フィールド(セールス)の方やインサイド(セールス)の方が説明に来るときは、もう商談は止めてしまうというか、別の部隊で社内に残る方がいらっしゃるんですか?
月岡:会期はだいたい3日なんですけれども、フィールドセールスもずっと出ずっぱりにはしないようにしています。全員いても狭くなってしまうので、3日中2日をローテーションにして、回せるだけの人数を当日配置するかたちです。営業は営業で、(イベントが)あることは事前に通知しておいて、商談スケジュールを組む感じにします。
栗原:なるほど。ちょっと大きめな質問なんですけれど、僕は前職でも今でも、けっこうWebのコンテンツマーケをメインにリード獲得をしています。才流もやっていますし、お客さまもそういうかたちでやることが多いです。
イベントやオフライン系は、けっこう工数がかかるところがありますよね。並行してオンラインもオフラインもやると思うんですけど、とくにヤプリさんはイベントマーケ主体で立ち上げられている印象があります。
各社さんにお聞きしたいのですが、なぜイベントやセミナー、展示会、カンファレンスをマーケティング施策としてチョイスされたのかを、差し支えない範囲で教えていただきたいなと。
佐藤:当初はまだあんまり「アプリをビジネスに使う」イメージがつかないといいますか、アプリの啓蒙活動というところでイベントを(して)、直接会って各社さんの事例を伝えるということからはじめました。
ヤプリのデモンストレーションをするのではなく、「どういう企業が、どういう背景でアプリを活用していますよ」と、アプリの価値を伝えるところに力を入れました。啓蒙活動という意味では、「オンラインよりもオフラインの施策のほうが、よりお客さまに(リアルに)感じてもらえるのかな?」というところで、先にイベントマーケティングに注力することを選んでいます。
栗原:最初は体制が整っていないなかで、オフラインを(やられたと)。
佐藤:そうですね。最初の頃は本当に1人だったので、その時は開発メンバーも一緒に展示会に出ていました。1回出ると、お客さまが弊社のサービスにすごく興味を持ってくれているというのは(伝わってきます)。
とくにスタートアップだと、自分たちのプロダクトが世の中に出て、それをどういうふうにお客さまが感じてくれているか、感動しているかを直接体感する機会はなかなかないですよね。
そういう意味では、実際にメンバーに来てもらってお客さまと会話してもらうと、心が動くといいますか、「イベントっていいね」といってもらうことも多かったです。1回出て、会社としても「やっていこう」という判断になりましたね。
栗原:なるほど。わりと初回にすごく反応がよかったという。
佐藤:そうですね。最初はUBMさんの「マーケティング・テクノロジーフェア」に出たんですけれども、その時もヤプリを使ってみて「すごい!」といってもらえることが多かったので、手応えはありました。
栗原:ありがとうございます。Faberさんは、とくにコンテンツマーケティングの会社さんなので……。
月岡:デジタルはデジタルで、自社のサイトにコンテンツを上げていますし、外部メディアでもやっているので、そっちはそっちで(顧客を)取れるんですけど。「いますぐ客」はWebから来るのですが、僕もやっぱり啓蒙活動が必要な領域だと思っています。
マーケティングの中でも、さらにWebだけ、Webの中でもさらにSEOやコンテンツマーケティングだけとなると、それ(啓蒙活動の必要性)を気にしている人はかなり少ないんですね。だから、「そもそも、どういう課題を持っていますか?」というところから、ふらっと来た人と話をするのは大事かなと思っています。
「Japan IT Week」のような大きいイベントはかなりさまざまな方々がいらっしゃるんですけど、「マーケティング・テクノロジーフェア」のようなものになると、「マーケティング」とついているので、(ターゲットに)近しい人たちが来るケースがあるかなと思っています。
Web担やMarkeZineのイベントだと、まさしくそれに携わっている方が多いですし、やっぱりセミナーでお話しすると響きますね。
栗原:村尾さんはいかがですか。
村尾:実は私は、3年ぐらい前に展示会を全部やめたことがあるんです。オフラインを全部やめて、予算を全部オンラインに組み直したことがあって。結論をいうと、これは本当に大失敗だったんですけれども(笑)。
お二人と同じで、オンラインにすると効率は非常に上がりました。でも、競合の会社がすごく強くて。オンラインは比較検討フェーズのお客さまがすごく来てくださるのですが、比較検討から商談が始まって(受注する)というのは、すごく大変だったんです。
ちゃんとデータで見ると、やっぱり時間がかかっても、いわゆる非認知のところからやらないと受注ができない。マーケットフェーズだったことにあらためて気づいて、オフラインをもう一度やり直している感じですね。
「なるべく前のフェーズをきちんと獲得しないと勝ちにくいマーケット状況だからやっている」というのが正直なところですね。
栗原:なるほど。ちなみに、そもそも3年前にオフラインを全部やめた理由はなんだったんですか?
村尾:3年前の私たちは、たぶん月岡さんと同じように、マーケが2人くらいでした。やっぱりオフラインは運用コストがすごく大変なんですよね。
オンラインは、ちゃんと知識があってうまくハマれば、けっこう少人数でもガリガリ回せるし、ちゃんとCPAを落としながらコンバージョンを上げていけます。それでぐんぐん資料請求が伸びていたので、ちょっと調子に乗ってオフラインを全部切ったというところですね。
栗原:それに気づいたのは1年後ぐらい?
村尾:ちょうど1年後あたりですね。
栗原:でも、その青色の……。あと、ほかの競合さんもけっこうカンファレンスをやっていると思うんですけれど、競合性が高いんじゃないですか?
村尾:そうなんですよ。しかも、向こうはすごく大きく(カンファレンスを)やられるので、うちも徐々に近づけていかないとと思って。そこから心を入れ替えて、自社カンファレンスもやるようになり、オフラインもけっこう実施して、人も採用するように変えました。
栗原:なるほど。それは効果がよかったと。
村尾:それで受注率がちょっと戻ってきた感じですね。
栗原:検討プロセスの最初のほうからコミュニケーションをとり始めると、受注率が上がると。さっき、某BtoB SaaSのマーケターの方とNo.2のCOOの方と話してたんですけど、その会社もFacebook広告などをやっていて、Facebook広告にクリエイティブを出すと、そのツールに興味のある人しかコンバージョンしない、クリックしない、見ないと。
この会社がやっている領域の……例えば「リードナーチャリングのノウハウ」というかたちで、ホワイトペーパー、ツール色をいっさい出さないと、リードナーチャリングに興味がある人のコンバージョンを獲得できて、コミュニケーションがとれるようになる。
これって、「いますぐ客」的な資料請求をしてくる人たちで、一定(数は)取れているけれども、そうじゃない層ともコミュニケーションがとれるようにして、ダイレクトの受注率や、そもそものリードの数が上がったという話をされていました。カンファレンスにもけっこう近いところがあるのかなと思いました。
栗原:各社さんがどういうKPIを置かれているか、実際に感じていらっしゃる効果などを、カンファレンスとセミナーでそれぞれ2〜3個ずつぐらいでもいいんですけど(教えてもらえますか)。月岡さんはどんなKPIでやっていますか?
月岡:そんなに複雑にしても仕方ないかなと思っているので、普通にリード獲得数が僕らの追っている数字です。もちろん、現場に出ているフィールドセールスには、その数字は必達であると伝えてやらせるんですけれども。
フィールドセールスの中でも、リード獲得部隊と商談獲得部隊に分けているという話をしました。商談獲得部隊は、ちゃんと自分の商談を獲得するようにということで、アポ数を追うようにしています。フィールドセールスが自分でアポをとった商談の受注率は圧倒的にいいので、その受注だけで普通にコストはペイするという感じですね。
栗原:なるほど。わりと毎回の展示会で確実にペイしている感じですか?
月岡:そうですね。どれぐらいの期間でペイするかという話があるとは思いますけれども、1年ぐらいで見たら普通にペイする件数は取れるかなと。
栗原:なるほど。これはちょっとオフレコかもしれないんですけど、もし可能であれば、展示会のサイズ感にもよると思いますけど、毎回だいたいどれぐらいのリードが取れていて、どれぐらい商談につながっているか。もしくはそもそもコールをどれくらいしているでしょうか。
月岡:具体的な数字は切っていただきたいんですけれども、規模にもよりますが、「Japan IT Week」などでは4~5ケタはいきます。そのあとどうフォローするかが一番大事だと思っているので、僕はKPIを獲得数に振っています。まず、うちはインサイドセールスが全部(に電話を)かけきります。
栗原:全部ですか?
月岡:はい。かけます。
栗原:おお。
月岡:かけるというか、かけさせます。もちろん部署としてまったく意味がなさそうなところは除外します。例えば、ちゃんと部署名に開発部などと書いてあればやらなくてもいいので、そこはかけないのですが。
かけきるだけのリソースがあるので、僕も安心して(リードを)取れる。ちゃんとかけきるだけのKPIを持って動いている人たちがいるということは大きいかなと思います。
商談数は、だいたい3日間の展示会で、フィールドセールスが10名出ていたら、100アポぐらいは取ります。1人10件ぐらいですね。
栗原:フィールドセールスがその場で取る商談が100ある?
月岡:はい。
栗原:インサイドからまたさらに獲得もしますよね?
月岡:はい。デジタルマーケティングみたいな部署に絞った話にしますけれども、アポは結構は取れますね。
もちろん一発では取れません。また、僕の(実施している)メールのコミュニケーションやそこから自社セミナー、共催セミナーへの誘致。参加してもらってからアポを取るものもあり、それも全部含めるとアポはかなり取れます。
栗原:当月は少ないけれども、3〜6ヶ月スパンで見ると、トータルでかなりのアポイントが取れると。
月岡:そうです。インサイドセールスのタイムマネジメントやスケジュール管理をきちんとしているので、「3ヶ月後に電話します」といっていたら、ちゃんと3ヶ月後に電話するようにしているものも含んでいます。
栗原:今日はマーケターの方々が集まっていて、世の中のマーケティングの教科書的には、セグメンテーションをして、ターゲティングをして、スコアリングをして……という。そういう世界観があるんですけど、全件電話という気合の入ったコンセプトの理由はどういうところなんですか?
月岡:マーケティングオートメーションを運用しているので、もちろんメールクリックしていただいたり、サイトに来ていただいたらスコアが上がっていくんですけれども、正直言って、「あれはどうでもいい」と思っていまして。クリックしたらある程度認識している確率は高くなるので優先的に電話する、というぐらいです。電話するプライオリティづけにしか使っていないですね。
結局「メール見てません」という人もけっこういるので、電話をしてメールに気づかせることも含めて、全部電話したほうがいいですし、結局「実はめっちゃ悩んでいます」という人もいたりするので、話を聞かないとわからないと思っています。
栗原:確かに。
栗原:ヤプリさんは、どんなKPIを立てていて、その効果が出ていますか。
佐藤:うちの場合はリード数を置いてはいるんですけれども、リードはあくまでコンパニオンさんに伝えるときのKPIで、社内のKPIとしては有効リードというものを置いています。
名刺を獲得したら、名刺の裏にいつもシールを貼ってるんですけど、それで「アポ希望なのか」「アポをトライするべき会社なのか」「それ以外なのか」を振り分けています。有効リードは「アポ希望」と「アポトライ」に該当する会社にしています。
「この会社、うちのターゲットとしてマッチしないな」というところに関しては、そこにあまり時間を取らないというルールを決めています。
「この企業は、ターゲットとしてうちにマッチする」というときには、いろいろ話して、「アポをトライ」にして、かごに入れていくという運用をしています。そこの有効リードと「そこからどれだけ商談につながったか?」という商談率を見ていますね。
リードとしては、だいたい大きな展示会で3,000件くらいですね。だいたいそこから3〜4件の受注が生まれています。
栗原:(会場の)みなさんはちょっと知らないか。「じゃがりこ」を配っていますよね?
佐藤:そうですね。一時期は「じゃがりこ」を配っていました。(イベントの)前日にドン・キホーテで買い占めて、(じゃがりこが)なくなるようなこともあったんですけど、最近はあんまりやっていないですね。
その当時は有効リードという概念よりも、リードを目標としていた時期だったので、リードを取るためにちょっと大きめなおやつというところで、「じゃがりこ」に目をつけて配っていました。いまは、質をみているので、そのあたりはあまりやっていないです。
栗原:ちょっと突っ込んだ質問をいくつかさせていただきます。リードの数と、CPL(Cost Per Lead)も見られているんですか?
佐藤:そうですね。そこは1リードの単価は見ていますね。
栗原:なるほど。あと、ヤプリさんのサービスは月額……みなさんご存じないかもしれないですが、だいたいどのぐらいの金額感ですか?
佐藤:月額でだいたい30万円ぐらいからというところで、都度見積りになります。初期が300万以上という金額にはなるので、1回の展示会で1〜2件取れればペイできますね。
栗原:なるほど。いまの質問の背景としては、月額30万円、プラス都度見積りのサイズ感の商材を導入できる会社は、けっこう絞られるんじゃないかなと思って。
仮に僕がそのお題を外部から与えられたら、イベントで広くというより、もうちょっと絞ったマーケティングをしたいなという感覚を持ったんですけど、わりと広めにリードを取って、そこから見つけていくイメージになるんですか?
佐藤:そうですね。有効リードというところで、「従業員数何名以上」といった数値を設けていますが、展示会もわりと大きな会社がたくさん来ています。
栗原:なるほど。逆に大きい会社だけ取るマーケ施策はあるんですか?
佐藤:大きい会社だけ狙ったマーケティング施策はすごく難しいんですけど、一定の予算のある決裁者さんが集まるカンファレンスに出るとかですかね。そういった会は、業界のエキスパートの方々が集まるので、そこでKPIや名刺の数を目標にしてしまうとすぐにバレてしまいます。あまりガツガツせずに、あくまで関係値の構築というところに置いています。
そこから、自社のプライベートなコミュニティイベントなどにも招待し、関係性を強化していくというのが、弊社が大手の会社さんと接触する機会(の作り方)でしょうか。
栗原:ありがとうございました。大手の会社さん向け、もしくは何万社もターゲットがあるというか、数百社導入すれば事業的にはOKというケースですよね。先ほどの月岡さんの考えともやや近いなと思うんですけれども、例えば市場として3,000社ある中で、500社受注したい(とします)。
この3,000社を取ろうとすると、マーケティング施策が限られてくるので、もう10万社取れそうな展示会などからだんだん減らしていくことは、現実解としてあるんでしょうか?
佐藤:そうですね。
月岡:デジタルだと絶対接触できない層もいますし。
佐藤:いや、かなりいますね。
栗原:なるほど。オフラインじゃないと接触できない層ですね。
佐藤:リードさんは、大きな会社にもけっこうな数の招待状を送っていますし、そこから上司に「行ってきて」といわれて、現場のマネージャーさんが来ているケースも多かったりはするので、そんなに小さな会社ばかりではない印象です。
村尾:「ブースを大きくすると、大きな会社さんが来る」というのはありますよね(笑)。
栗原:そうなんですか。
佐藤:うんうん。
栗原:それは安心感があって来る(ということ)?
村尾:そうなのかなと思います。昔に比べて、ブースを大きくすると、(見に来る)会社さんも大きくなっていくというところは、けっこう出てきますよね。
栗原:なるほど。大手の会社に会いたかったら、けっこう大きめで出展しろと。ありがとうございます。シャノンさんのKPIと効果は?
村尾:お金をかけているものと、かけていない自社セミナーで分けています。お金をかけていないイベントは、ラストタッチでどれだけ商談を生んだのか。お金をかけている展示会やMarkeZine(といったイベント)は、ファーストタッチの評価です。1年間でどれだけアポイントを生んだのか、受注を生んだのか、アポ単位で見ています。
栗原:なるほど。
村尾:結局、お金をかけたイベントは、(KPIを)ラストタッチにすると、ぜんぜんペイしなくなってしまうので、1年間でファーストタッチで見ると決めています。
栗原:けっこう計算が大変そうですね。
村尾:Tableauなどで組んでいるので、そこはあまり(大変ではありません)。
栗原:ああ、なるほど。すごく突っ込んだ質問なのですが、展示会に出てだいたい何件ぐらい受注するんですか?
村尾:私たちが提供するサービスも月額15万~20万円いただくので、たぶん数件(の受注)でペイできます。大きめの展示会に出ても、使った金額をペイできるぐらいは(利益が)出ていますね。
栗原:ありがとうございます。
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