MAツールとイベントマーケティングを支援する「シャノン」

栗原康太氏(以下、栗原):それでは、メインのプログラムである「SaaS企業から学ぶ、BtoBマーケティングにおけるイベント活用」ということで、さっそくですが、45分ぐらいパネルディスカッションを進めさせていただきます。

最後に質問の時間をとろうと思うんですけど、いつも時間が押し気味になってしまうので、適宜、途中で気になることがあればご質問いただいたほうがいいかもしれません。ぜひよろしくお願いします。

(スライドを指して)一応、今日はこんなかたちで事前のディスカッションテーマがありますので、大枠はこの流れで進められればなと思います。ではみなさん、自己紹介を1〜2分ぐらいでお願いします。村尾さんから。

村尾慶尚氏(以下、村尾):私は株式会社シャノンでマーケティングをやっています、村尾と申します。

私たちシャノンは、MA(マーケティングオートメーション)ツールとイベントマーケティングのご支援をしています。ちょうど私たち自身もイベントマーケティングをやっていますし、お客さまのイベントマーケティングなどもご支援している立場です。

実は、イベントは私たちの会社の「祖業」でもあり、けっこう想いを込めてがんばってやっているので、今日は少しでもみなさんのお役に立てることがあればと思っています。ぜひよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

クラウドアプリ開発サービスの「ヤプリ」、SEOツールの「MIERUCA」

佐藤裕子氏(以下、佐藤):株式会社ヤプリの佐藤と申します。プログラミング不要でアプリが作れるサービスを提供している会社なんですが、私はそのサービスを広めるためにマーケティングを担当しております。

今までずっと、展示会やイベントの開催というオフラインを主軸にやってきたんですけれども、昨年ぐらいからデジタルマーケティングにも力を入れ始めています。

オフラインマーケティングに周りに関してはいろいろと知見もたまっていると思いますが、逆にみなさんに聞いてみたいこともありますので、今日はどうぞよろしくお願いいたします。

栗原:よろしくお願いします。

(会場拍手)

月岡克博氏(以下、月岡):Faber Companyの月岡と申します。僕は「MIERUCA」というSEOツールのマーケティングを担っています。デジタルもやりますし、オフラインのイベントもやったりします。あと、セミナーに登壇してしゃべるのも仕事になっているので、なんでもやる係になりつつありますが、人がいなくて大変困っております。一緒に仕事ができる人がいたら、ぜひあとでお声がけください。

(会場笑)

よろしくお願いします。

栗原:よろしくお願いします。

(会場拍手)

前提として、展示会やセミナー、自社の勉強会、もしくはカンファレンスをイベントマーケティングというくくりにしており、各社さんが、このあたりをイベントマーケティングというかたちでやっています。ちょっと説明が難しいかもしれないんですけれども、村尾さんから。

自社セミナーをはじめ、毎月さまざまなイベントマーケティングを開催

村尾:まず一番多いイベントマーケティングは、自社のセミナーです。だいたい5〜30名ぐらいの間で、自社のセミナーをやっています。あとは、他社さんと一緒に共催セミナーというものをやっています。それがだいたい月に1~2回ぐらい(の開催)になります。

ほかに思いつくイベントは、展示会なども地方と東京の両方で出ていたりしますし、プライベートカンファレンスや協賛というかたちで、1つの企業様がイベントを主催されているところに協賛企業として参加しています。それは(月に)3〜4回ぐらいやっていますね。

あとは自社でも、プライベートカンファレンスという、400〜500名の方に集まっていただくオープンイベントと、ユーザーさんだけに集まっていただく200~300名ぐらいのカンファレンスをやっています。そのあたりが、オフラインのイベントになっております。

栗原:じゃあ、もう年間でずっとイベントをやっているんですね。

村尾:そうですね。毎月何らかは動いているかたちになっています。

栗原:なるほど。かなり多いですね。じゃあ、みなさんの施策をうかがっていきます。

SaaS企業のイベントマーケティングの現状

佐藤:ヤプリもほぼシャノンさんと同じになると思うんですけれども、広いユーザーさんを獲得していくために、展示会や各種メディアのイベントに協賛するかたちで参加しています。

よりコアな層の人たちに会いに行くというところでは、「ブランドサミット」や「マーケティングアジェンダ」などの各種カンファレンスやサミットにも出ています。

また、アプリの啓蒙活動やYappliのファン作りを目的とした大規模な自社イベントも開催してます。

栗原:ありがとうございます。月岡さん(お願いします)。

月岡:うちもほぼ同じです。大きく、セミナー系と展示会系に分かれるのですが、セミナーは、自社開催のものが10名ぐらいの小規模なもので、とくにツールに寄った話をさせてもらっています。これは週1ぐらいでやっています。あとは、月1回ぐらいの共催セミナーということで、2〜3社ぐらい集めてやるケースもあります。

さらに、クライアントさんに登壇していただくような自社開催のイベントが2〜3ヶ月に一度あるかないか、という感じです。ヤプリさんと同じく、Web担さんやMarkeZineさんがやっているようなイベントに協賛セミナーということで出させてもらったりもしています。

「ブランドサミット」や「マーケティングアジェンダ」などがあり、今月末は「ダイレクトアジェンダ」がありますが、そういったものにも参加しています。

そして、ユーザー会も開催していますが、これはどちらかというと僕の管掌範囲から外れていまして、カスタマーサクセスチーム主導でやってもらっています。

今は、展示会は大きいものだけに絞っています。リード( エグジビション ジャパン)さんの「Japan IT Week」や、この4月には「コンテンツEXPO」があります。あと、2月にUBMという会社による「マーケティング・テクノロジーフェア」がありますが、そちらにも出ています。なので、大きい展示会は年間で5〜6回ぐらいは出ています。

東京ではなくあえて大阪で個人のコミュニティを運営

月岡:あと、僕は個人的にコミュニティの運営もしています。東京だと(ほかにもコミュニティが)いっぱいあるので、大阪でやっています。

栗原:それは、どんなコミュニティなんですか?

月岡:僕らのツールがどうこうという話ではなく、コンテンツマーケティングやオウンドメディアに取り組んでくれる人が関西方面で増えたらいいなと思って、関西方面で取り組んでいる人にしゃべってもらったり、僕が「こうやってコンテンツを作るんですよ」というワークショップをやったり。2〜3ヶ月に一度くらいで、もう8~9回ぐらいやりましたね。

栗原:それはFaber Companyさんとしてやっているんですか?

月岡:まぁ、一応。運営会社がよくわからないと信用してもらえないかなと思ったので(笑)、会社の名前は出させてもらっていますが、とくに僕はなにもセールスはしないようにしています。

栗原:ありがとうございます。ちょっとライトな質問をさせていただきたいんですけど、みなさんはずっと展示会をやられているので、運営コストがけっこう大変なんじゃないでしょうか。

会社のマーケチームの中でイベント関連の人たちが何人いるかとか、セールスも兼務してとか、そのあたりの社内体制を教えていただきたいなと思います。では村尾さん。

展示会やイベント運営の社内体制に関する悩み

村尾:私たち、マーケティング部の体制でいくと、「インサイドセールス」と「マーケティングコミュニケーションチーム」の2つを見ています。インサイドセールスが4人、マーケティングコミュニケーションチームが3人と、私という体制でやっています。

ただ展示会は、大きく出るときはそれではぜんぜん(人手が)足りないので、営業からかき集めてきたり、コンパニオンさんをうまく使いながら回している状況です。

私たちが悩みながらやっているのは、オフラインとオンラインであえてマーケティングのコアを分けていない(という部分です)。それはメンバーと話して、やっぱり「どっちかだけは嫌だ」というところがあったり「分けてしまうとそれぞれ効率化するので、たぶん入れ替えをしなくなるだろうな」というところがあります。今は意図的にオンラインもオフラインも両方やる体制にしています。

栗原:なるほど。普通に素朴な質問なんですけれど、オンラインとオフラインを両方やってもらうと、展示会の会期中もしくは前後はすごく忙しいので、オンラインのほうが手薄になるんじゃないかなと思ったんですけど、どう対応されていますか?

村尾:本当におっしゃるとおりで、そこですごく悩んでいます。やっぱり運用型は毎日見ていかないといけないところがあるので、すごく短期でいうと、展示会中はちょっとキャンペーンを止めている感じですね。

栗原:止める判断をしてもいいぐらい効果がある。

村尾:はい、そうですね。

500~800名の来場者は会社一丸で対応

栗原:なるほど。ありがとうございます。ヤプリさんはどんな体制ですか?

佐藤:弊社のマーケティングチームは、全部で5名で、うち3名がオフラインイベントの担当で、残りの2名がデジタルの担当に分かれています。

ただ、村尾さんがおっしゃるとおり、イベント当日になってくるとチームメンバー以上の人数が必要になります。そういうときは、マーケティングチーム全員と、4人のインサイドセールス、あと営業にも協力要請をして来てもらっていますね。

また、展示会などのイベントはお客さまと直接会える機会ではあるので、マーケティング・営業の垣根を超えて、新しく入った開発や制作部門の方々にも協力していただくケースもありました。

栗原:協力というのは、当日の呼び込みとか……あっ、呼び込みはしないか。説明などですか?

佐藤:そうですね。呼び込みまではしないですけれども、実際に来てちょっと手伝ってもらったりですね。

栗原:なるほど。EXPOみたいな展示会?

佐藤:そうですね。リードさんがやっているような、ビッグサイトや幕張メッセでやるような大型イベントなどですね。

栗原:ヤプリさんは、自社開催のカンファレンスが2つぐらいあるんでしたっけ?

佐藤:はい。いま、年間で2回やっています。

栗原:それぞれ何名ぐらい集客していますか?

佐藤:前回は約800名で、前々回は500名ぐらいなので、規模としてはけっこうな人数になると思います。その時は“全社ごと”として、プロジェクトのようなかたちでやっていますが、運営として動いているメンバーはほとんどマーケティングチームですね。

栗原:ありがとうございます。月岡さん、体制について教えてください。

限られた人数でイベント運営をするときの役割分担

月岡:お二人の体制が充実していて、すごく羨ましいなと思いました。うちもマーケティングとインサイドセールスとフィールドセールスは全部分かれていて。でも、僕らがちょっと違うのは、広報も僕のチームの中に入っているんですが、マーケティング担当は僕1人で広報も1人という、2人チームみたいな感じなんですね。

展示会を回すのも全部僕がやっているんですけど、それは準備の段階で、当日はほぼフィールドセールスにやってもらっています。呼び込みやリード獲得部隊、商談獲得部隊に分かれて対応していますね。

そのあとのフォローは僕が担当です。マーケティングオートメーションでフォローするのは僕で、個別のところはセールスに任せています。

栗原:なるほど。ちょっと細かい質問なんですけど、当日フィールド(セールス)の方やインサイド(セールス)の方が説明に来るときは、もう商談は止めてしまうというか、別の部隊で社内に残る方がいらっしゃるんですか?

月岡:会期はだいたい3日なんですけれども、フィールドセールスもずっと出ずっぱりにはしないようにしています。全員いても狭くなってしまうので、3日中2日をローテーションにして、回せるだけの人数を当日配置するかたちです。営業は営業で、(イベントが)あることは事前に通知しておいて、商談スケジュールを組む感じにします。

栗原:なるほど。ちょっと大きめな質問なんですけれど、僕は前職でも今でも、けっこうWebのコンテンツマーケをメインにリード獲得をしています。才流もやっていますし、お客さまもそういうかたちでやることが多いです。

イベントやオフライン系は、けっこう工数がかかるところがありますよね。並行してオンラインもオフラインもやると思うんですけど、とくにヤプリさんはイベントマーケ主体で立ち上げられている印象があります。

各社さんにお聞きしたいのですが、なぜイベントやセミナー、展示会、カンファレンスをマーケティング施策としてチョイスされたのかを、差し支えない範囲で教えていただきたいなと。

お客さまの声や感動が伝わるイベントが社員の心を動かす

佐藤:当初はまだあんまり「アプリをビジネスに使う」イメージがつかないといいますか、アプリの啓蒙活動というところでイベントを(して)、直接会って各社さんの事例を伝えるということからはじめました。

ヤプリのデモンストレーションをするのではなく、「どういう企業が、どういう背景でアプリを活用していますよ」と、アプリの価値を伝えるところに力を入れました。啓蒙活動という意味では、「オンラインよりもオフラインの施策のほうが、よりお客さまに(リアルに)感じてもらえるのかな?」というところで、先にイベントマーケティングに注力することを選んでいます。

栗原:最初は体制が整っていないなかで、オフラインを(やられたと)。

佐藤:そうですね。最初の頃は本当に1人だったので、その時は開発メンバーも一緒に展示会に出ていました。1回出ると、お客さまが弊社のサービスにすごく興味を持ってくれているというのは(伝わってきます)。

とくにスタートアップだと、自分たちのプロダクトが世の中に出て、それをどういうふうにお客さまが感じてくれているか、感動しているかを直接体感する機会はなかなかないですよね。

そういう意味では、実際にメンバーに来てもらってお客さまと会話してもらうと、心が動くといいますか、「イベントっていいね」といってもらうことも多かったです。1回出て、会社としても「やっていこう」という判断になりましたね。

栗原:なるほど。わりと初回にすごく反応がよかったという。

佐藤:そうですね。最初はUBMさんの「マーケティング・テクノロジーフェア」に出たんですけれども、その時もヤプリを使ってみて「すごい!」といってもらえることが多かったので、手応えはありました。

イベントで顧客に啓蒙活動をすることの重要性

栗原:ありがとうございます。Faberさんは、とくにコンテンツマーケティングの会社さんなので……。

月岡:デジタルはデジタルで、自社のサイトにコンテンツを上げていますし、外部メディアでもやっているので、そっちはそっちで(顧客を)取れるんですけど。「いますぐ客」はWebから来るのですが、僕もやっぱり啓蒙活動が必要な領域だと思っています。

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