出雲のしじみ、熊本のトマト
地方のクリエイターたちが伝える、知られざる名物

特別審査員総評 #2/2

株式会社クリエイターズマッチが主催する「Rethink Project」では、昨年、Rethink Creative Contestを開催。テーマは「Rethink Creator賞」と「JT Rethink賞」の2つで、総計約400点の応募のなかから、西野氏、柳澤氏、鯨本氏、平田氏4名の特別審査員を含めた審査員一同の厳正なる審査のもと、11点の受賞作品、34点の入賞作品が決定しました。本セッションでは、株式会社クリエイターズマッチ代表取締役の呉京樹氏と特別審査員による総評の様子をお届けします。今回は、クリエイター自身が暮らす地域をRethinkして、その地域の魅力を今までにない切り口でアピールする「Rethink Creator 賞」についてコメントしました。

冬も雪もキライ

司会者:では続きまして、Rethink Creator賞、優秀賞作品についての総評を、柳澤審査員よりいただきます。よろしくお願いいたします。

柳澤大輔氏(以下、柳澤):この作品ですね。これは先ほど説明が……たぶん作品の解説なんですかね。本人の? 審査員のコメントですか? それにまさに出てましたけども。このイラストが、まずいいですよね。それは出てなかったかな。寒々しい感じが、きっちり伝わってきます(笑)。

非常に僻地にいるのがわかるなかで、右の上のコメントがある。最初はもっと、このコピーは大きいほうがいいかな、とも思ったんだけど。逆にあえてそのぐらいしかいいところがないという感じなのかな、というのも(笑)。哀愁を立たせるために、あえて小さくしたのかなという感じもあります。

読むとまあ、Rethinkしたなという感じはあると思いますね。「嫌いだけど好き」と、さっき出てましたけど、それが伝わってきました。そういう意味で、僕は個人的には「いいな」と思いました。

故郷を離れてわかる、地元の良さ

呉京樹氏(以下、呉):「キライ」と言い切るところが、コピーとしてすごいですよね。

柳澤:だからコピーは、右上を大きくして「HOKKAIDO」を小さくしたら、どうなったんだろうかと、両方見てみたい感じはありましたけどね。

:なるほどですね。まあバランスとしては、すごくいい作品ではありますね。

柳澤:イラストのタッチがいいと思います。

平田麻莉氏(以下、平田):ご自身で描かれたんですかね?

西野亮廣氏(以下、西野):どうなんでしょう。ご自身で描かれたんですか? へー。

平田:自画像ですか?

鯨本あつこ氏(以下、鯨本):すごく似てました(笑)。

柳澤:まあ、さすがにご自身で描いてますよね(笑)。

:いやでも、20年住まれた北海道から、今は東京にお住まいという。やっぱり離れてわかることってあるので。我々も、けっこう地方に行くことが多いんですけど、地方にいらっしゃる方って、自分たちの町の良さを意外に知らないんですよね。

西野:出てみないとね。

:出てみないとやっぱりわからないというのが、すごくメッセージとして(伝わる)。「キライ」と言ってるのが(いい)。

柳澤:それがいいですよね。やっぱり、寒いところに移住したくないから人気が低いじゃないですか。僕は今、移住のメディアをやってるけど、こう言われちゃうと「ちょっとアリかもな」という気がする。

やっぱり心が動くというのは、いいことですよね。その域に達してたかなという気がしました。

出雲の名物は、実はしじみ

司会者:はい、ありがとうございました。では続いて、Rethink Creator賞、審査員賞、西野亮廣賞作品についての総評を西野審査員ご本人より、いただきます。お願いいたします。

西野:これはもう、「おいしそうだ」というところなんですけど(笑)。

(会場笑)

もうシンプルに……。もちろん、「とうとう、口を割ったな!」っておもしろいですよ。取り調べみたいな雰囲気ですよね。あれもおもしろいんですけど、僕はこねくり回したのがちょっと苦手で。「しじみ、おいしそう」でどうだ、と出してるのがね。結局これが一番強いんじゃないかなと思っちゃって(笑)。

:(笑)。

西野:単純に目がいきましたね。コピーもおもしろかったし、アイデアもおもしろかったので、選ばせていただきました。もしかすると、あれかもしれないですね。背景は取り調べ室で撮ってたほうが、よかったかもしれないですね。こういうスタンドのライトがあって……みたいな。「あ、そういうことなんだな」というのが、一発でいった(分かった)かもしれないですね。でも僕は大好きですね。

:なるほど。

司会者:みなさま、いかがですか?

:インパクト勝負だなという。やっぱり印象には残る作品ではありますよね。

平田:そうですね。出雲は、本当に神社とか、そういうイメージがステレオタイプにきてしまうなかで「あ、しじみが有名なんだ」みたいなのは、このおかげでたぶん一生忘れないと思います。

:この写真は自分で撮られたんですか? ……これは素材なんですね。めちゃめちゃ、いい写真ですよね(笑)。

西野:いい写真ですもんね。

柳澤:仲間が口を割ると観念する……。

平田:言葉がすごく気になりますね。

柳澤:これはどういう意味なんですかね? 「仲間が口を割ると観念する」。これちょっと解説を聞いた方がいいかもしれない(笑)。

秦亜紀子氏:このポスターは、自分がしじみの味噌汁を作ってるときに思い付いたアイデアといいますか。妄想に近いんですけども。

しじみは最初は口が堅いんですけど、煮ていくうちに、1つ口を開くとほかのしじみも、パカパカと開いていくんです。その様子を見て、刑事さんにしじみが取り調べを受けていて、最初は口を割らないんですけども、仲間のしじみが口を割ったという情報を聞かされて、もう自分も観念して白状するというシーンに見立てました。

柳澤:なるほど、おもしろい。

司会者:ありがとうございます。いかがでしたでしょうか?

西野:いや、おもしろいと思いますよ、ちゃんとストーリーがあって(笑)。でもこれを思いついたのがおもしろいですね。料理をされてるときに、ハッてなったということですよね。すてきですね。

:クリエイティブですね。

西野:はいはい。なんか、おもしろいですね(笑)。途端に人に見えてきて、いいですね。

司会者:はい、ありがとうございました。では続いて、Rethink Creator賞、グランプリ作品についての総評を、呉審査員よりいただきます。よろしくお願いいたします。

美味しすぎるけん、くまもと県

:はい。さっき、簡単にコメントさせていただいたんですけど、後でしゃべるかなと思って、あえて控えていました。これは本当に、まずさっきもお話ししたとおり、クリエイティブのインパクトがやっぱり、すごく強い。お子さんのこの写真が、すごくいいなと思いながら見ててました。

何気に、熊本県ってトマトがそんなに有名なんだ、というのを意外に知らなかったので。僕はトマトが大好きなんで、1回ちゃんと見にいって食べてみたいな、と。

あとやっぱり、このコピーの語呂もすごくよいです。「美味しすぎるけん/くまもと県」というところも。そういう意味では、作品としてはすごくきれいにまとまっていて、テクニックもすばらしいなと思います。

あえて裸足にした女の子の写真が、見るともうどんどん来るんですよね。この作品を見ながらニヤニヤしてしまう自分がいるというのがあって、非常にいい作品だなと思っています。

鯨本:これ、トマトのなかでどんな顔してるのか、想像しますよね。

:お子さんが言ったみたいに、ストーリーに書いていらっしゃいましたけど、実際そうなんですか? 家庭内での話はどんな感じだったんですか?

中村仁氏:娘がトマトが大好きで、すぐに食べてしまうので、かぶって食べられるようなもっと大きなトマトがあったらいいなと。

西野:へー、かわいい。

トマトの色やおいしさを引き出すためのグレー

:ちなみにこれ、娘さんは見たときなんて(言ってたんですか)。

中村:すごく大爆笑していました。

西野:(笑)。かわいい。

:いやこれは本当、僕はただただ好きな作品です。

柳澤:見た目のインパクトが一番ありましたよね。「かぶって、食べちゃいたい」と、意味がわからないとご自身で説明にも書いてたけど。でも今の(中村さんの話)を聞くと「ああ、それだけ愛している人が言った言葉なんだな」というのが、深い感じがしますよね。

:あとこれ、けっこう社内でうちのクリエイターとも話をしたんですけど、背景にグレーを敷いたのって、かなり勇気がいるなと思っています。グレーってやっぱり、どうしてもネガティブな色なので、トマトの赤の後ろにグレーをひくことは、なかなかできないと思うんですけど。

中村:トマトの赤み、美味しさを引き出そうと思って、しずくが垂れているところや背景をグレーにすることで表現をしようとしました。

:なるほど。やっぱりいろいろと試してみた、というかたちなんですね。それは本当にクリエイティブとして素晴らしいなと。ほかになにかありますか?

鯨本:はい、すごいいい作品です。

:いや、本当に素晴らしい作品です。

司会者:はい、ありがとうございました。では最後に呉審査員、来年に向けてのコメントをお願いいたします。

クリエイターを幸せにするためのプロジェクト

:はい。この度は本当に時間のないなか、審査員のみなさまにご協力をいただきました。応募作品も非常に多くて、見るのも大変だったと思うのですが、短期間でこういうかたちにまとめていただいて、本当に感謝しています。

Rethink Creator AWARDは、JTさんに協賛いただいて、今年の8月からスタートしました。我々自身も、今年第5回目になりますが、2部でクリエイターズマッチアワードというのを開催しているなか、JTさんからこういった取り組みに対してご共感いただいて、ご一緒したいというお声をいただいて、スタートしたプロジェクトです。

今年、JTさんと取り組むなかで、Rethinkというのが今回のテーマですけど、いろいろ考えさせられることが多かったです。

地方に行って、我々もずっと地方教育をやってたんですけど、全国7拠点でセミナーを開催させていただいて、本当にどのセミナーも満席でした。今回を振り返って、みなさんに大いにエントリーしていただいたのだと思いました。

やっぱり素晴らしい作品が出てきて、正直に言えば、これを続けていきたいな、と私自身は思っています。今回JTさんからもご協力いただいて、来年も引き続き続けていくというところで、今日はお話しできればというところです。

やっぱり1年目をやってみるといろんな課題が見つかって、よりよくする方法だったり、コンテストの開催方法だったり、いろいろと見える部分が見えてきました。

来年は運営の方も、我々自身でよりしっかりしながら、全国のクリエイターさんたちに1人でも多くこのプロジェクトを知っていただいて、参加していただいて、クリエイターとして活躍する場を我々として提供していきたいな、と思っています。

今年は初年度というところで、まだまだ我々自身も発信力が足りなかった部分があるんですが、来年はより時間をかけて発信していきながら、より多くの方々とコミュニケーションを取っていきながら(進めていきたいと思います)。

我々のビジョンが「クリエイターを幸せにする」なので、日本中のクリエイターを幸せにできるプロジェクトの1つにしていきたいなと思っています。

我々みたいな会社にご支援いただいたJTさん、今回はありがとうございます。我々が日々出会っているクリエイターさんたちと、またぜんぜん違う方々とお会いできたというのが、私自身、この1年を振り返ってよかったなと思っています。

来年はさらにパワーアップして、1年後またここで、みなさんとお会いできればなと思っています。ぜひ、ご期待いただければと思います。私からは以上になります。

司会者:ありがとうございました。以上で、総評を終了とさせていただきます。

Occurred on , Published at

Rethink Creator PROJECT

学びからはじまる、クリエイター育成プロジェクト

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