くしゃみを抑える顔の神経繊維

ハンク・グリーン氏:本当のところ、くしゃみはなかなかやっかいなものです。

たしかに、くしゃみは埃や刺激物を鼻の外へと出してくれます。だからといって、静まり返った講堂で、映画館で、結婚式の真っ最中に、また、あなたの両手がふさがっている時……。防ぎようもなく飛んで来る鼻汁なんてまっぴらごめんです。くしゃみは困りものです。

しかし、解決策として口を閉じて鼻をつまんでみるのは、あなたの頭の中に圧力をかけ、組織損傷を引き起こしてしまいかねません。

くしゃみを止めたかったら、鼻を指で塞げばいいのだ、と言われています。たしかに、そうすれば大抵くしゃみを引っ込めることはできるのです。それは、あなたの顔の特定の神経繊維のおかげです。

三叉神経と上顎神経が反応し、くしゃみの対処法を脳に伝達する

鼻や喉の細胞膜が刺激されると、くしゃみをしたいという衝動にかられます。

この刺激は、前額部から鼻の辺り、顎に至るまで、あなたの顔の隅から隅までに存在している主な神経系のひとつ、三叉神経を刺激します。三叉神経の働きは部分によって異なり、細かく分類されています。

鼻に存在する三叉神経は上顎神経と言われていて、この神経が反応すると、くしゃみにおいての対処法を脳に伝達するのです。

だからと言って、くしゃみがまさに出るその時に指を鼻の下につけるだけでは意味がありません。上唇に指をしっかりとつけたまま、鼻の下に指をつけないといけないのです。見た目にそう違いはないと思われるかもしれませんが、脳に伝達される情報が違ってくるのです。

上顎神経は上唇にも通っています。ミシガン大学のメリッサ・ピノネン医学博士の話によれば、上顎神経を刺激すればくしゃみをするという反応を妨げることができるのだとか。要するに、脳の注意をそらさせているのですね。

口腔内上部に舌を押し当てる方法もある

ピノメン医学博士が言うには、それは丁度膝をコーヒーテーブルにぶつけた時にそこをさすって痛みを和らげようとするようなものなのだとか。

膝をさする、という行為によって、あなたは知らず知らずのうちに膝の神経の注意をそらせているのです。なので、上唇をおさえるという行為がすべてのくしゃみを止めるのに有効なわけでありませんが、それが上手くいく時もあるのです。

鼻のしたに指をやらずに、こっそりとくしゃみをこらえたいなら、口腔内の上部に舌を押し付けてみるのも良いでしょう。上顎神経はそこにも通っていますので、助けにはなるでしょう。

なんらかの化学実験がなされたわけではありませんが、あなたの顔の組織というものを考えれば、覚えておいて損はありません。それに、外でやってみたところで、そんなにばかみたいには見られませんから。

鋭い洞察力とお時間をいただいたメリッサ・ピノメン医学博士に感謝します。もっと知りたいことがあるなら、眩しい光はなぜくしゃみを引き起こすのか、という私の他のエピソードもみてくださいね。