東京タワーよりもスクランブル交差点を日本の象徴に
小池百合子氏が語った、渋谷から始まるイノベーション

基調講演

2018年12月2日、渋谷ヒカリエにて「SHIBUYA QWS SYMPOSIUM(渋谷キューズ シンポジウム)~INNOVATION DISTRICT シブヤ~」が開催されました。本イベントは、2019年秋に開業を控えた渋谷スクランブルスクエア第Ⅰ期(東棟)の15Fで展開される、イノベーション創出拠点「SHIBUYA QWS」のコンセプト紹介を兼ねて行われたシンポジウム。SHIBUYA QWSでは、大切にしている価値である「問いの感性(Question with Sensibility)」を磨き、多様なバックグラウンドを持つ人たちが混じり合うことでイノベーションを起こす、クリエイティブ人材の育成を目指しています。「渋谷だから生まれるイノベーション」をテーマとしたトークセッションの内、本記事では東京都知事・小池百合子氏による基調講演の模様をお送りします。

世界中のどの都市よりもミシュランの星が多い東京

小池百合子氏(以下、小池):みなさま、こんにちは。ご紹介に賜りました東京都知事小池百合子でございます。本日はシンポジウムにお招きを賜りまして誠にありがとうございます。せっかくの機会でございますので、持続可能性のある東京、そして渋谷、そのテーマでお話をさせていただこうと思います。よろしくお願いをもうしあげます。

さて昨今、社会経済のグローバル化が進んでいることは、もうしあげるまでもございません。そして、ますます都市間での競争。これも大変な激しさを増しているところでございます。ちょっと良いニュースをお伝えしておきたいと思いますけども、こちらは、アメリカの『コンデナスト・トラベラー』という、旅行雑誌がございまして、これは富裕層を中心としたものでございます。

(スライドを指して)こちら右側に出ているものでありますけども、このコンデナスト・トラベラーという雑誌では読者が投票するんですね。その結果として1位に輝いております。お寿司も素晴らしく貢献してくれていると思いますし、どこの都市よりもミシュランの星の数が多いというのは、これは東京の実は秘めたる底力になっているのではないか。こちらにいたしますと、左側のほうは都市総合ランキング。こちらは3位という数字になっているところでございます。

総合的にこれからも1位を目指して行くというためには、街の魅力から、それからハードの面と、それから、おもてなし、ソフトの分野と両方が相まって初めて1位の座を、これからも固めていくことができるのではないかと、このように思っています。

東京を追う都市の足音は、もうそこまで聞こえている

日本の首都であります東京ですが、このように1位を目指す、もしくは1位をキープするということでございますけど、都市間競争は本当に激しゅうございます。

それぞれが魅力をどのようにして発揮していくかということを、しのぎを削りながら互いに競い合っているということでございます。先日、ロンドンに行ってまいりましたが、例のブレグジット(Brexit)の問題もございますけども、ヨーロッパにおける都市間競争、例えばブレグジットの後の、どうなるかわかりませんけど、ロンドンの地位を狙っている周りのヨーロッパの都市というのは山ほどあるわけでございまして、その辺りは本当に気を抜くことができないという状況でございます。

それでもロンドン、ニューヨークというのは、それぞれの地域、地区におきましては、かなり上のほうに行っている。因みに、東京で言いますと、いろんなランキングを先ほども2つご紹介いたしましたけども、3位という分野におきましては、後ろから、マラソン選手で言うならば、後ろの選手の足音が聞こえると。

シンガポールであるとか、ソウル、上海。こういったところが東京の後を着々と追い上げているという状況でございますので、決して油断ができるものではございません。

「Challenge4」で実現する具体的な指標

私が都知事に就任いたしまして、既に2年が経っておりますけども、実行プランの中に指し示しめさせていただいてまいりました。まずは「セーフシティ」言うまでもありません。安全・安心。それから「ダイバーシティ」英語にするとSとCがちょっと違うんですけども、そこは勘弁してください。みんなが輝く街であり続けるための「ダイバーシティ」。

そして3番目が「スマートシティ」。スマートはいろいろな意味がありますけども、とくに私は環境、そしてまた金融。金融も大変大きな産業でございますので、ここを伸ばしていくことを念頭において、この都政にあたっているところでございます。

それからこの実行プランの中の、今もうしあげた3つのシティをつくるために、何をすべきかということで、「Challenge4」。4つのチャレンジを示させていただいております。

(スライドを指して)すべて具体的に数字が入っておりますけども、都内GDP、現在だいたい95兆円ぐらい、それを120兆円まで、そしてまた訪都外国人2020年、もう間もなくでありますけども、オリンピック、パラリンピックの年までに2,500万人。現在約1,400万人。都民の生活満足度というのは、これはまだ若干低くて50パーセント台なんです。こんなに住みやすい都市なのに、なかなか日本人というのは満足をしてくれないということなのかもしれません。

また、水道の水がそのまま飲める国なんてそうそうありません。それから地下鉄にせよ新幹線にせよ、もう秒単位で動いているような、そんな国というのは、そうそうありません。ですから、それが当たり前になっているところから、満足度を上げるというのは、けっこう大変なのですけども、しっかりと対応していきたいと思います。世界の都市ランキング、先ほどからもうしあげているようなところでございます。

実行プラン「FIRST戦略」

さあ、これらの数字をどうやって実行していくのかということが、次の5つの「FIRST戦略」でございます。FINANCE(ファイナンス)、 INNOVATION(イノベーション)、RAISE(ライズ)、SUCCESS(サクセス)、TECHNOLOGY(テクノロジー)と。これらの全部頭文字を合わせますと「FIRST」となるわけでございますけども、先ほどから申し上げているような縦線と横線を一緒にすると、これらのストラテジーが出てくる。

今日はシンポジウムのテーマである「INNOVATION DISTRICT シブヤ」となっておりますので、その点についても、この2番目にあるINNOVATIONというのは重要な柱かと存じます。そして東京の経済、持続的な成長を遂げるためには、新たなニーズを呼び起こす波及力などを持ち、それから市場を拡大する。そして産業の発展に繋げて、新しいビジネスを創出する。今時当たり前のことのようではありますけども、しかし、渋谷にはその可能性、ポテンシャルは極めて多く集まっている。

他に類を見ないような多様な産業や優れた技術、それから人材。これらが集積をする東京。ましてやこの渋谷においては、それを活かす場所、そしてまた活かす機会をつくっていくという、オープンイノベーションの促進が非常に重要かと存じます。

そして、東京版エコシステムを形成していくことを考えねばなりません。オープンイノベーションを促進していくためには、先進的な技術を持つ、大学そしてベンチャー企業、外国企業、大手企業、投資家などなど、企業を繋ぐ、あと金融機関。

まさしく血液でございますので、これらが相まってエコシステムを作り上げていくということが必要。東京都におきましては、産・学・官・金、金というのは金融ですけども、この関係者が連携いたしまして、イノベーションの創出を図っていく、このような取り組みを進めているところでございます。

次のユニコーンを生む「TOKYO STARTUP GATEWAY」

昨日も実は私ある会議に出ておりまして「TOKYO STARTUP GATEWAY」というのをつくっております。

1,300人近い、若手の起業を目指す方々がエントリーしていまして、今年で5回目ですかね。例の「ミドリムシ」の研究をしている出雲さんが、最初にここで優勝したこと。それがきっかけになって、どんどん今大きな発展を遂げておられます。できれば、その中からユニコーンが出てくれば良いなと思うのですが、昨日もその素晴らしい優勝した獣医学部で学ぶ学生さんのアプリが優勝したわけでございます。女性もベンチャーにうってつけな人材がたくさんいます。

これをまとめてAPT Women(アプト ウィメン)という制度をつくっておりまして、女性起業家にどんどん新しいニーズをベースにした、新しいベンチャーを作ってもらおうと。中には、ぜひグローバルに活躍して欲しいということから、海外研修なども、勝ち残った方々には、そのチャンスを提供しているということでございます。このように場所があって、そして人がいて、情報があって、知恵があるというのが上手くまとまっていくこと、これが渋谷にあるべき、または東京にあるべきエコシステムだとこのように思います。

さて、先ほどからもうしあげておりますように都市間競争に打ち勝つというためには、ただ目の前のことだけで考えていてはだめで、中長期にも考えなければなりません。東京の街づくりは多様な拠点の形成をしているということでございますけども、とくに区部中心部では、世界、日本をリードする国際金融などの高度なビジネス機能も集積ということで、大手町などは、その中心として考えているところでございます。

時代に合わせて変わりゆく東京の都市

そして、その中でも次にご覧いただいているのが、今の大手町、それから兜町地区でございますけども、先ほどから申し上げているように、国際金融都市ということでの街づくり。こちらは高度な金融人材を集めるということでございます。

次に虎ノ門地区をご覧いただこうかと思います。虎ノ門地区におきましては、外資系の企業が集中しているところでございまして、快適なビジネスと生活環境の整備。これが急務になっておりまして「職住近接の空間」づくりということを進めております。

日比谷線新駅の整備や、BRTのバスターミナルを整備するなどなど、進めているところでございます。また外国人が多く集積をするということから、インターナショナルスクールを作ったり、多言語、ワンストップで医療の治療が受けられるなどなど、医療機能の整備などを行っている。こちらが虎ノ門地区の特徴でございます。次に品川駅ですけども、羽田空港に近接し、リニアの中央新幹線の始発駅となると。

先だって見てまいりましたけども、かなり広大な地域で17ヘクタールということでございましたけども、こちらが「グローバルゲートウェイ品川」として、JR山手線の新駅設置、そして一体的な市街地域の再開発などなどを進めておられるところでございます。世界中から先進的な企業、そして人材が集う国際ビジネスの交流点ということでございます。

東京タワーよりも有名なスクランブル交差点

さて今日は、とはいえシンポジウムの場は渋谷でございます。次(のスライド)をご覧いただければと思うのですが、これは私が発出いたします海外の方々への手紙などのところには、最後にこの落款を「ポチッ」と押すようにいたしております。

実はこの落款、いうまでもございません、渋谷のスクランブル交差点をこのようにデザインしたものでございます。東京のアイコンは一体どこであろうかということを考えてみますと、日本人は浅草とか東京タワーとか、いやいや今はスカイツリーじゃないかとかとおっしゃるんですけども、外国人に聞いてみると圧倒的に渋谷のスクランブル交差点だというので、それでこれを1つの東京のアイコンに、他の地域からすれば、何で渋谷なんだよって叱られながら、これを1つのアイコンに仕立てたということでございます。

私はニューヨークに行きますとタイムズスクエアなどにまいります。意外と何もないのですけども、でもやっぱり1度は行ってみようよと。1度は行ってみた渋谷は、やはりハチ公がいて、そしてまた行き交う人々が、あれだけの人がいるのに、肩がドンと当たったりもしなくて、まるで日体大の競技のように得も言われぬ間合い、それがやはりある種日本のアイコンの象徴になっているかと思います。

だから単に交差点というのではなくて、それを東京のアイコンにしているというのは、そこに行き交う人が成し遂げる技なのではないかなと。私たちがぜんぜん、そういう意図を持ってやっているわけではないけれど、まさにそういうことが文化とか文明であったりするのかなと思います。

流行の発信源・渋谷駅周辺の再開発

渋谷駅の周辺地区の特徴でございますけども、いうまでもございませんが、原宿、青山、代官山と、さまざまな流行の発信源になっているわけでございます。

それから文化情報の広域発信拠点ということで、ファッション産業、デザイン事務所と言ったような、クリエイティブなコンテンツ産業が集積していることで知られるわけでございまして、またそれが地域特性となっている。渋谷駅周辺でコンテンツ産業の集積を促進して、先進的な生活文化などの情報発信の拠点としていく取り組みを進めているところでございます。

渋谷駅を中心として再開発が、本当に毎週のように新しい流れが出てくるかのようでございまして、街は生きているんだなということを改めて感じさせてくれるわけでございます。そして、その渋谷でございますけども、インフラ整備として、複数の開発プロジェクトが連団をしまして、駅前広場の拡幅、そして街の回遊性を高めるための、デッキの整備などが行われております。

それから渋谷川に沿いましては、水に親しむ親水空間ができ、遊歩道が整備され、魅力ある水辺の空間が創出されたところでございます。私も先日上からずっと覗かせていただいたのですけども「あっ、ここに渋谷川があったんだ!」ということを改めて感じるとともに、それを上手く活かした街づくりに成功されていると思います。それから都市型の観光の促進のために、空港リムジンバスの発着、観光情報の発信施設などの整備を行ってまいります。

渋谷スクランブルスクエアは、イノベーションを生む産業交流施設

さらにクリエイティブコンテンツ産業のさらなる集積を進めていくということで、産業に進出する支援のための施設、それから企業・人材の交流を促進する産業交流施設、そして国際交流施設、これらの整備をするところでございます。企業・人材の交流を促していくことが、それがまた新たな多様なイノベーションに繋がっていくということかと思います。

さて、来年度開業予定の渋谷スクランブルスクエアでございますけども、こちらでは、まさしく交流促進の核となる産業交流施設が整備をされます。

施設におきましては、さまざまな関係者と連携をすることによって、またそこから新たなものが生まれてくる。独自の企画を実施することなので、渋谷周辺の企業、クリエイター、学術機関などの交流を促していくと、この件は、うかがっているところでございます。先日、渋谷スクランブルスクエア株式会社と鉄道沿線に立地する5つの大学とで、連携事業を開始すると発表されておられます。

産業交流施設が産学連携の場所として、大いに活用されることを期待いたしているところでございます。このように人と人、それから大学、企業それらが触れ合うことによって、新しいフュージョン=融合ができてくる。そして新しいイノベーション=革新が生まれてくるということかと思います。

東京オリンピックとともに東京が終わってしまわないように

今日ご紹介いたしました取り組みですが、これらはまずは2020年のオリンピックそしてパラリンピック大会、あとちょうど600日となりました。

これを1つのタイムラインとしての目標にするわけでございますけども、東京の未来像の基盤になるものでございます。そしてまた2020年から次の2025年に向けて、これはご存知のように、いわゆるベビーブーマーのみなさんが、後期高齢者に突入するということでございますけど、いつまでも東京が活気ある街であり続けることが、日本の経済の牽引役でもあり続ける。

またオリンピック、パラリンピックが終わって、東京が終わったということではいけませんので、2025年、さらにはより向こうの2030年、2040年といった、長期の見通しも見ながら、いつまでも街が活気づくと「また新しい挑戦が始まったね」と、世界に感じていただけるような、そんな街づくりをみなさま方と共に進めていきたいと考えております。

東京のさらなる輝かしい未来に向けまして、みなさま方とともに進んで歩いていけることを、大変楽しみといたしております。15分間ということで、あっという間でございましたが、これからも未来に向かって渋谷が発展いたしますことを、心から祈念もうしあげまして、私からのプレゼンテーションとさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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