世界中のどの都市よりもミシュランの星が多い東京

小池百合子氏(以下、小池):みなさま、こんにちは。ご紹介に賜りました東京都知事小池百合子でございます。本日はシンポジウムにお招きを賜りまして誠にありがとうございます。せっかくの機会でございますので、持続可能性のある東京、そして渋谷、そのテーマでお話をさせていただこうと思います。よろしくお願いをもうしあげます。

さて昨今、社会経済のグローバル化が進んでいることは、もうしあげるまでもございません。そして、ますます都市間での競争。これも大変な激しさを増しているところでございます。ちょっと良いニュースをお伝えしておきたいと思いますけども、こちらは、アメリカの『コンデナスト・トラベラー』という、旅行雑誌がございまして、これは富裕層を中心としたものでございます。

(スライドを指して)こちら右側に出ているものでありますけども、このコンデナスト・トラベラーという雑誌では読者が投票するんですね。その結果として1位に輝いております。お寿司も素晴らしく貢献してくれていると思いますし、どこの都市よりもミシュランの星の数が多いというのは、これは東京の実は秘めたる底力になっているのではないか。こちらにいたしますと、左側のほうは都市総合ランキング。こちらは3位という数字になっているところでございます。

総合的にこれからも1位を目指して行くというためには、街の魅力から、それからハードの面と、それから、おもてなし、ソフトの分野と両方が相まって初めて1位の座を、これからも固めていくことができるのではないかと、このように思っています。

東京を追う都市の足音は、もうそこまで聞こえている

日本の首都であります東京ですが、このように1位を目指す、もしくは1位をキープするということでございますけど、都市間競争は本当に激しゅうございます。

それぞれが魅力をどのようにして発揮していくかということを、しのぎを削りながら互いに競い合っているということでございます。先日、ロンドンに行ってまいりましたが、例のブレグジット(Brexit)の問題もございますけども、ヨーロッパにおける都市間競争、例えばブレグジットの後の、どうなるかわかりませんけど、ロンドンの地位を狙っている周りのヨーロッパの都市というのは山ほどあるわけでございまして、その辺りは本当に気を抜くことができないという状況でございます。

それでもロンドン、ニューヨークというのは、それぞれの地域、地区におきましては、かなり上のほうに行っている。因みに、東京で言いますと、いろんなランキングを先ほども2つご紹介いたしましたけども、3位という分野におきましては、後ろから、マラソン選手で言うならば、後ろの選手の足音が聞こえると。

シンガポールであるとか、ソウル、上海。こういったところが東京の後を着々と追い上げているという状況でございますので、決して油断ができるものではございません。

「Challenge4」で実現する具体的な指標

私が都知事に就任いたしまして、既に2年が経っておりますけども、実行プランの中に指し示しめさせていただいてまいりました。まずは「セーフシティ」言うまでもありません。安全・安心。それから「ダイバーシティ」英語にするとSとCがちょっと違うんですけども、そこは勘弁してください。みんなが輝く街であり続けるための「ダイバーシティ」。

そして3番目が「スマートシティ」。スマートはいろいろな意味がありますけども、とくに私は環境、そしてまた金融。金融も大変大きな産業でございますので、ここを伸ばしていくことを念頭において、この都政にあたっているところでございます。

それからこの実行プランの中の、今もうしあげた3つのシティをつくるために、何をすべきかということで、「Challenge4」。4つのチャレンジを示させていただいております。

(スライドを指して)すべて具体的に数字が入っておりますけども、都内GDP、現在だいたい95兆円ぐらい、それを120兆円まで、そしてまた訪都外国人2020年、もう間もなくでありますけども、オリンピック、パラリンピックの年までに2,500万人。現在約1,400万人。都民の生活満足度というのは、これはまだ若干低くて50パーセント台なんです。こんなに住みやすい都市なのに、なかなか日本人というのは満足をしてくれないということなのかもしれません。

また、水道の水がそのまま飲める国なんてそうそうありません。それから地下鉄にせよ新幹線にせよ、もう秒単位で動いているような、そんな国というのは、そうそうありません。ですから、それが当たり前になっているところから、満足度を上げるというのは、けっこう大変なのですけども、しっかりと対応していきたいと思います。世界の都市ランキング、先ほどからもうしあげているようなところでございます。

実行プラン「FIRST戦略」

さあ、これらの数字をどうやって実行していくのかということが、次の5つの「FIRST戦略」でございます。FINANCE(ファイナンス)、 INNOVATION(イノベーション)、RAISE(ライズ)、SUCCESS(サクセス)、TECHNOLOGY(テクノロジー)と。これらの全部頭文字を合わせますと「FIRST」となるわけでございますけども、先ほどから申し上げているような縦線と横線を一緒にすると、これらのストラテジーが出てくる。

今日はシンポジウムのテーマである「INNOVATION DISTRICT シブヤ」となっておりますので、その点についても、この2番目にあるINNOVATIONというのは重要な柱かと存じます。そして東京の経済、持続的な成長を遂げるためには、新たなニーズを呼び起こす波及力などを持ち、それから市場を拡大する。そして産業の発展に繋げて、新しいビジネスを創出する。今時当たり前のことのようではありますけども、しかし、渋谷にはその可能性、ポテンシャルは極めて多く集まっている。

他に類を見ないような多様な産業や優れた技術、それから人材。これらが集積をする東京。ましてやこの渋谷においては、それを活かす場所、そしてまた活かす機会をつくっていくという、オープンイノベーションの促進が非常に重要かと存じます。

そして、東京版エコシステムを形成していくことを考えねばなりません。オープンイノベーションを促進していくためには、先進的な技術を持つ、大学そしてベンチャー企業、外国企業、大手企業、投資家などなど、企業を繋ぐ、あと金融機関。

まさしく血液でございますので、これらが相まってエコシステムを作り上げていくということが必要。東京都におきましては、産・学・官・金、金というのは金融ですけども、この関係者が連携いたしまして、イノベーションの創出を図っていく、このような取り組みを進めているところでございます。

次のユニコーンを生む「TOKYO STARTUP GATEWAY」

昨日も実は私ある会議に出ておりまして「TOKYO STARTUP GATEWAY」というのをつくっております。

1,300人近い、若手の起業を目指す方々がエントリーしていまして、今年で5回目ですかね。例の「ミドリムシ」の研究をしている出雲さんが、最初にここで優勝したこと。それがきっかけになって、どんどん今大きな発展を遂げておられます。できれば、その中からユニコーンが出てくれば良いなと思うのですが、昨日もその素晴らしい優勝した獣医学部で学ぶ学生さんのアプリが優勝したわけでございます。女性もベンチャーにうってつけな人材がたくさんいます。

これをまとめてAPT Women(アプト ウィメン)という制度をつくっておりまして、女性起業家にどんどん新しいニーズをベースにした、新しいベンチャーを作ってもらおうと。中には、ぜひグローバルに活躍して欲しいということから、海外研修なども、勝ち残った方々には、そのチャンスを提供しているということでございます。このように場所があって、そして人がいて、情報があって、知恵があるというのが上手くまとまっていくこと、これが渋谷にあるべき、または東京にあるべきエコシステムだとこのように思います。

さて、先ほどからもうしあげておりますように都市間競争に打ち勝つというためには、ただ目の前のことだけで考えていてはだめで、中長期にも考えなければなりません。東京の街づくりは多様な拠点の形成をしているということでございますけども、とくに区部中心部では、世界、日本をリードする国際金融などの高度なビジネス機能も集積ということで、大手町などは、その中心として考えているところでございます。