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仕事の心配なんてない!~最高に楽しいこれからの働き方を考えるおしゃべり会~(全6記事)

好きでやってることなら、報酬が「うちで採れたリンゴ」でもいい エゴを超越した“無私”状態の楽しさとは

2018年9月17日、日本能率協会マネジメントセンターにて「仕事の心配なんてない!~最高に楽しいこれからの働き方を考えるおしゃべり会~」が開催されました。ワークライフバランスという言葉が一般的に使われるようになり、国を挙げての働き方改革推進も盛んになるなかで、実際の働き方はどれだけ変わったのか。仕事量は変わらないのに、働く時間ばかりが減ってしまう。そんな状況で、どう働いていくべきか悩んでいるビジネスパーソンは数多くいます。このイベントには、最高に楽しい働き方を実現している3名のゲストが登壇し、どうすれば自分らしく自由に働くことができるのかについて語りました。ログミーでは、その模様を6回に分けて記事公開していきます。第2回となる本記事では、仲山進也氏が提唱する「自己中心的利他」という考え方や、伊藤羊一氏の人生を変えた「Station F」との出会いなどについて語ったパートをお送りします。

働き方は「ホップ・ステップ・ジャンプ」で進化させる

大嶋祥誉氏(以下、大嶋):私の本の結論はこれですね、一言で言うと。「ホップ・ステップ・ジャンプ」のように、3つのステップを経て働き方を進化させていんだということ。

堀江貴文さんみたいに大学在学中に創業してっていうスタートアップの人もいると思うんですけど、マジョリティはステップ1からスタートするんじゃないかなと思うんですよね。

20代、学校を卒業して。勤めて、そこで基礎も徹底的に叩き込まれながら、嫌な人とか、好きな人とかとも仕事をしながら、仕事のスキルや知見を、だんだん極めていく。極めていくと、「○○ならあいつ」っていう状態になると思うんですね。

そうすると、気づくと仕事の声がかかるとか、依頼がくるといった状態になる。そんなことが、羊一さんとや仲山さんにもあったんじゃないかと思うんですけど。

伊藤羊一氏(以下、伊藤):働き方1.0、「組織」「自立」「共存」という、こういうステップになってます。「戦略」「収入」「仕事の捉え方」「つながり」「キーワード」っていうのが出てきてますけど、「組織」に組織でがんばるっていうのはありますよね。それで、自立していく、「共存」していくと。

ちょっと大きく言うと、「共存」っていうのは……。組織にはいってから「自立」するっていうのはなんとなくわかるじゃないですか。組織にとらわれない。組織にいながら自由に働くのがこれですよね。

大嶋:そうです。

単なる自立ではなく、社会のつながりを意識した共存

伊藤:3の「共存」ってなんですか?

大嶋:「共存」は、お互いwin-winの関係で、お互いを生かしつつ、価値を生み出しているって状態のこと。

伊藤:なるほど。つまり自分だけじゃなくて、単に自立じゃなくて、その上に社会のつながりというのを意識して、「共存」すると?

大嶋:例えば、この対談もある種「共存」ですよね。お互いの立ち位置、自立している3人がこう楽しくワイワイやって、ひょっとしたらみなさんにきっかけを、価値を感じてもらえるかもしれないと。これ、まさに「共存」。

伊藤:この世界自体も「共存」という?

大嶋:そうですね。

伊藤:なるほど。つまり、「自分一人だけじゃないよね」とか、「社会とのつながりというのを意識しようね」っていう?

大嶋:あるいは、価値がけっこう立ってる人とか同士がコラボしてなにかをするとか、新しいものを作り出すとか。

伊藤:それで、この「戦略」「収入」「仕事の捉え方」「つながり」「キーワード」。「キーワード」はキーワードだな。「戦略」は、組織の中で自分を高めていく。その次に、自分の得意分野を見つけて、役立つかたちにする。得意分野を深掘り、拡大する。それをやってるうちに、だんだん強みになるわけですね?

大嶋:そうですね、強み、あるいは、得意なこととか好きなこと。

伊藤:その後、人に与えるとか、人とつながるということで、それが「人とつながれ」と、こういう流れになってくる。

大嶋:たぶんこのあたりから、社内外から「○○ならなんとかだよね」と言われ始め……。

伊藤:2と3の間ぐらいですか?

大嶋:ですね。

好きでやってるなら、報酬がリンゴでも「いいね!」になる

伊藤:収入は、これ「時間ベース」、働いてる時間で給料をもらう?

大嶋:だいたい、原則。

伊藤:成果によってあれが入ってくる。「進化・貢献ベース」っていうのはなんですか?

大嶋:もうここは、時間を超えてる。例えば、こうやってやっていて、「ものすごく良かったです」って言われるのが喜びとか。

伊藤:なるほどね。そうですよね、対談とか研修とかやってると、お金をいただく時もあるけど……。

大嶋:そうそう、ない時もあるんですよね。

伊藤:「うちで採れたリンゴです」と言って、謝礼がリンゴというのは普通にあります。

(会場笑)

大嶋:そうそう、同じ。

伊藤:ありますよね?

大嶋:あります。

伊藤:でも別に「えっ? リンゴかよ」じゃなくて、「リンゴいいね!」と。そんな感じになります。

大嶋:そうそう、そういうこと。やってることがうれしいっていう、喜び。フローの状態みたいな感じですよね。

伊藤:2と3がちょっとわかりづらいかなっていうところもあるので、2と3を深掘りしたいと思います。ここは仲山さんにもつながっていくと思うんですけど、1は自分を磨く手段ですね。仕事の捉え方。で、2が、自己実現、自己表現の手段。つまり、自分の強みはこうだから、自分の強みを深掘りしていって、承認欲求が満たされる。だからある意味、それが自己実現だ、みたいな。

大嶋:はい、ありますね。

伊藤:3は、好きの追求っていうことで。好きだからやってるんだと。(さっきの)「リンゴでもいいじゃん」って。

大嶋:そう、理由がないんですよ、そこに。「なんでやるの?」と問われて。好きだから、やりたいからっていうのが理由になってくる。

「◯◯さんのおかげで」と言われてもうれしくない理由

伊藤:仲山さんって、最初からこの「好きの追求」ですよね?

仲山進也氏(以下、仲山):いや、そんなことないですよ。

伊藤:そんなことないんだ?

大嶋:えーっ。

伊藤:ここ、ご自身はどうですか?

仲山:ちゃんと、1.0。

伊藤:1.0から、2.0を踏まえて?

仲山:1.0、2.0を踏まえて。

伊藤:そこは、あとで聞こう。つながり。組織内の人たち、得意分野の人たち、好きの世界の人。この得意分野の人たちと、好きな分野の人たち(の違い)って?

大嶋:厳密に言うと、たぶん「得意なこと=好き」ではなかったりするんですよね。本当に好きではないんだけど、言われているうちに得意になってしまったっていうところも若干あると思うんです。そこからだんだん、好きじゃないけど得意なこともできつつ、本当に好きを追求し始めるのが、この2.0から3.0になっているなっていう感じです。

伊藤:ということは、「キーワード」が諸々ありますよね。1は当然社会に帰属したりとかそういう話で、2は自分が実現する、自己実現とか承認欲求とか、個みたいな。3は共存・共栄というところで、そうかと。話としてはなんとなくわかったんですけど、2と3の、変わるポイントってどんなふうに思ってるんですか?

大嶋:意識がシフト・変化するかな。やっているうちにどんどん……。もちろん自分が承認・賞賛されればうれしいんだけど、それを超えてだんだんと「喜んでる人たちの顔を見ることがすごくうれしいなぁ」とか「本当に良かったです」って(言われることが)私もそうなんですけど、本当にうれしくなってくる。

かといって、「私のおかげで」って言われても、実はあんまりうれしくなくて。「(影響を)受けたことですごく変わりました」とか「それを活用して良くなりました」って言われること(の方)がすごくうれしくって。あまりそこって、自分がないんですよ。

エゴを超越した、「私」がない状態

仲山:ちなみに、この年代別で書いてあるところがあるじゃないですか。20代が「意図を持って働く」「シンプルな仕事をバカにしない」「ルーティン作業で脳を鍛える」「基礎力を身につける」「論理的思考力を身につける」「まずやってみる」「量稽古の時代」。

30代が「自分の範囲を広げる」「ブルーオーシャンを1つ見つける」「バリューを意識した仕事をする」「既存のアイデアを組み合わせて新しいことをする」「複数のスキルを掛け合わせる」「自分から動きを作る」。

40代、「人脈を広げる」「チーム編成力」「コラボ力を身につける」「余計なこだわりを捨てる」「大きな仕事に関わる」「自分のブランドを確立する」。書いてあるのと、これはどんなリンクですか?

大嶋:例外の方もいるんですけど、だいたい1.0が20代。幅はあるんですけど、30代ぐらいが2.0。3.0にシフトしてくるのが40代~50代くらいからです。

伊藤:ざっくり言うとね。みなさん、2.0と3.0ってイメージわきます? 1と2っていうのはだいたい世の中で言われてる感じだと思うんですけど、2から3の、自立からの共存みたいなところ。

正直、僕は明らかに3はわかります。経験してるからわかるみたいなところはあって。「あっ、確かにね」「明らかにこれは違うわ」っていうのはあるんですけど。

大嶋:例えば、私から見るとこのお二人って、1つのロールモデルなんですね。もう3.0にいってるなっていう感じです。こうなってる方、というか。じゃあ2.0が誰なんだって言っちゃうと、ちょっと物議を醸し出すから(笑)、言いたくても言えないけど。

より「無私」なんですね。ムシって、ignore(無視)ではなくて、私がない状態(無私)。でも別に、我慢したり(自己)犠牲をしてるわけじゃないんですよ。たぶんめちゃくちゃハッピーで楽しい。でも、そこにはある種のエゴから超越しているというか、(私)がない状態なんですよ。楽しく自然にやりたいことが、どんどん流れてくるような状態です。

厳しい親に育てられたことの影響

伊藤:どんどんやりたことが引き寄せらて、どんどん展開していくような状態とも言えるんですが、お二人にこんな状態なんじゃないかなと思っていますけど、どうですか?

伊藤:仲山さん、どうですか? ご自身の(経験上)。

仲山:この後に僕のステージの話をつなげて話すと、違いがどこで、どこが同じなのかとかを話すといいかなって今思ってたところなんですけど、そのとおりですっていう感じです。

伊藤:なるほどね。

大嶋:羊一さん、どうですか?

伊藤:僕は、2があんまりなかった気がしますね。1をやっている中で、がんばっているうちに、いつの間にか3になってる感じがしますけどね。なぜなら、自分がなんとなく自己実現みたいなことを1の延長線上で自然にやっていたんでしょうね。だから、ここにあんまり違いっていうのはないんですよね。あと個人的な話をすると、僕はものすごく厳しい親に育てられたんです。

大嶋:そうなんですね。

伊藤:なので、「人のために貢献しなさい」「ギブしなさい」みたいなのをすごく言われていたので、だから自分の実現よりも、「やらなきゃいけないからやる」みたいな。人に何かを施すみたいな思いっていうのが非常に強くて、それがなんかここにつながっていたような気がします。

「好きを追求する」っていうのは、実はここ半年ぐらいですね。後ほどまた少しお話しできればと思うんですが、半年前ぐらい前に、自分の人生を揺るがすような、ある出会いがあって。それで「好きを追求していいんだな」っていうのに初めて気づいたんです。

だから、仲山さんと去年対談した時には、好きを追求してない状態で対談したので、先日話してて「えー!」っという感じになったんだけど。好きというよりも、マストで仕事をやってた感じですね。

それは何かというと、これは1の延長線上で、なにか「やらなきゃいけない」というか、「人々を喜ばせなきゃいけない」とか「自分の立場ではこうしなきゃいけないんだ」というようなことを考えてやっていて、それで、いきなり「好きを追求すればいいんだ」っていうのを初めて気がついたというようなところはありますね。

2つ目のステージで「自己中心的利他」状態を作る

大嶋:仲山さんは、「最初から好き」と先ほどチラッとおっしゃってましたけど、もしこれに当てはめるとしたら、どんな感じですか?

仲山:これに当てはめると僕は……。

大嶋:4つに分けたほうが?

仲山:4つに分けて、2番目のステージで「自己中心的利他」っていう状態をつくることが大事だと思っていて。

大嶋:おぉ〜!

仲山:「自分の好きなことをやっていると、勝手に周りの人が喜んでくれる状態」みたいな話をしているので、もうちょっと早い段階から、大嶋さんの図でいうと「自立」のところから、好きを追求していいんじゃないかなっていうのは思ってるんですけど。

大嶋:そういうのもありだと思います。ここは完全に好きに移行しちゃってるっていう話ですかね。あえて言うと、2.0のところでは混在している。たぶん私もやっていたと思いますけどね、気づかないところで。

伊藤:そこで疑問なのは、僕がなんで半年前に明確に(変革が)あったか(に気付いた)かというと、その前後で、起きる時間が変わっちゃったんですよ。5時ごろ、しかも自律的に目が覚める。(前は)起きるのが嫌だったんで、犬猫動画とかを見て無理やり起きてたり……。

仲山:エナジードリンクを飲んだりとかしてましたよね(笑)。

伊藤:エナジードリンクを飲んで。あと、犬猫動画の猫パンチとかを見ながら癒されて、その後『ウイニングイレブン』を毎日やってたんですよ。で『ウイニングイレブン』の設定を変えて、めちゃくちゃコンピューターを弱くして、15-0とかで勝つようにして、「よっしゃー!」って言って起きてたんですよね。

(会場笑)

大嶋:そんなに嫌だったの? 起きるのが。

伊藤:嫌だったんです。ところが、そのあるきっかけで、犬猫動画をそれから1回も見てないんですよ。

大嶋:私、それ知りたい。どんなきっかけだったのか。

伊藤:そうですよね。じゃあそれをちょっとだけお話しします。みなさんも何があったんだって……。

大嶋:そうですよ、知りたいです。

フランスのインキュベーション施設「Station F」との出会い

伊藤:ちょっとだけお話しすると、僕は今、仕事で人になんかいろいろ、やる気や熱を与えたり、提供したり、あとはプレゼンテーションの稽古をつけたり、リーダーシップの開発ということを仕事にしてるんですね。

それで、専門が3つあって、まずリーダーシップ開発。リーダーシップ開発って人を導くリーダーシップというより、その前提となる、まず自分がやる気になるっていうことが大事ということで。「リード・ザ・セルフ」、自分自身をリードする、ということをやっています。

それからインキュベーションということで、新規サービスの開発を前職でやってたことがあって、事業を作るお手伝いをやっている。それからもう1つはプレゼンテーションということで、本になってるっていう。これも、いろんな人のプレゼンテーションの稽古をつけることで、その人のプレゼン力を上げる。

その3つをやっていて。それはそれでご評価頂いてきたんですけど、(今までは)つながってる感がなかったんですよ。

なぜならば、まさに祥誉さんの本に書いてあるように、いろんなことをやっている間にこうなっていた感じなのです。自分にとって「これ必然性ないよな。でもなんかなすがままに3つやってるんだけど、この3つ関係ないよな」ってことを思ってたんです。その時の自分は犬猫動画見てたんですよ、やっぱり。

(会場笑)

この3つは「結果的に、自分がやりたくてこれをやってるんだかわかんないや」っていう状態だったんです。それで、半年前にある決定的な出会いがあったっていうのは、『ELLE JAPON』っていう雑誌に、「Station F」っていう、フランスのインキュベーション施設(の記事)がありました。

それは駅を改造した、国策でやっているような、ものすごく大きいインキュベーション施設で、その記事が出ていて、「羊一さんのやりたいのってこれじゃないの?」って人に言われて。それで、電流が走ったようなショックがあって、しばらくその記事から目が離せなくなったんですよね。で、「ああ、そうか」と。

自分がやりたかったことのすべてが「Station F」にはあった

伊藤:よくよく考えてみると、そのStation Fが何をやっているかって、実はいまだに僕そんなに知らなくて。詳しくないんですけど、なんとなくそこに出てる記事を読んで、「あっ、(自分は)こういうことがやりたいのかもしれないな」って。

Station Fがやってることそのものというよりも、よくよく考えてみると、僕は、人々が、やる気はあるけどどうしたらいいかわかんない人が、まず「自分の人生を生きるんだ」って「リード・ザ・セルフ」されて……。

やる気はあるけど悶々としている人に、「自分の人生を生きればいいんだよ」ってリード・ザ・セルフをして、その次に、事業を創る、形にしてみて、形にしたらそれを実行していくっていうプレゼンテーション、それが一連の流れでつながってんだなって気づきまして。Station Fの写真を見てたら、涙が止まらなかったんですよね。

大嶋:へぇ〜。

伊藤:別にStation F自体がやってるのがそうなのかどうなのかっていうのは……。

仲山:わかんない、知らないけど?(笑)。

(会場笑)

伊藤:よくわかってないんだけど、これを見て勝手に僕の想像がワーッて広がって、つながっていったっていう。それが、孫正義さんが「今はなきアルテアっていうメーカーのコンピューターを見て涙が止まらなかった。『俺の天命はこれだ』みたいなことに気づいた」っていうのと同じで、「そんなことがあればいいな」って思ってたんですけど、僕は図らずも、これを見てもう涙がずーっと止まらなくて。

その時は「そうか」って言って終わったんですけど、その翌日、『ELLE JAPON』をコンビニで探しまくって、10件ぐらい回ってようやく見つけて、「うわー!」って思って今も大切に取ってあります。

貴重な「コネクティング・ザ・ドッツ」という体験

伊藤:なにかそこから、「自分がやるべきことってこうなんだな」っていうことに目覚めた感じです。気づきっていうのはそれまでも何回もあったんですが、なにせ今回は、起きる時間が明確に変わったわけです。

というか、目覚ましがなくては起きられなかったし、動画がなければ起きられなかった僕が、動画を一切見ずに、5時台に目が覚めちゃうんで、これは変わったなぁっていうのを気づかざるを得ない。

だからたぶん、祥誉さんがいうところの2から3に移ったのは、自己承認欲求っていうよりも、「やらなきゃいけない」(という)マストから、「自分がやりたいことはこうである」っていうウィルが、僕今51(歳)なんですけど、ようやく半年前に見つかったんです。

大嶋:いやいや、これからですよ。

伊藤:それも、お花畑みたいな憧れの未来をなんとなく描いて「こんなのあったらいいな」って探してたわけじゃなくて、自分がその時々でやっていたことどんどん大きくなってくる中で、僕は自分自身が「これとこれとこれって、どういうつながりあるんだ?」って分裂気味になりながら、ワーッて箱の中に詰まっていったものが、バッてつながっていったから、すごい降りてきたものがあるっていう、こんな経験をしたんです。

大嶋:これは極めて大事で、自然ってそうなんですよね。まさに、点と点がつながるような体験。スティーブ・ジョブズもスタンフォード大学の卒業式のスピーチで「コネクティング・ザ・ドッツ」と、表現しています。

彼は若い頃、大学でカリグラフィーを学んだ。ぜんぜん関係がないと思ったその体験が、(Macの)いろいろな種類のフォント作成に思いがけず役立ったという話。その話のように一見関係なさそうに点在している体験や情報なんかが、ある瞬間ぱっと繋がって、アイデアや知見が降りてくる。

だからみなさん、今やっていることを、信頼してほしいんですね。今自分がやっていることが、将来に、ぜんぜんつながらないように感じても、それがある瞬間に、別のこととつながって、「あっ」と見える瞬間がくる。そういう瞬間ってて必ず突然やってくるんですよ。私、今の羊一さんの話を聞いててすごく思ったんですね。なんかつながったのかなって。

「目に星が入ってる」人は実在した!

伊藤:だから、お二人と初めてお会いした時はそれがつながってなくて。プレゼンテーションで言えば、「もうすさまじい数のプレゼンテーションの稽古をしてます」「リード・ザ・セルフでみんなに喜んでいただいてます」みたいな話はやっていても、「それが一体なんなの?」みたいなものが悶々としていたから、ある意味「やんなきゃいけないからやってる」っていうのは正直、ありました。

大嶋:確かに。久々に会ったんですけど、もともとキラキラだったんですけど、今日はもうオーラとか、目のクリアさがぜんぜん違うんですよ。

伊藤:マジですか?

(会場笑)

大嶋:マジ。目力すごすぎ。思わず吸い込まれちゃうぐらいに、キラキラ。私、楽しそうにやってる人を「目に星が入ってる」ってよく言うんですけど、仲山さんも今日初めて会って、星が入ってるんだけど。星が目に入ってる。

仲山:マジですか。

大嶋:「なんかいいことあった?」みたいな。瞑想の話しちゃっていいんだっけ?

伊藤:はい。

大嶋:私、瞑想も実は好きでやっていて、今インストラクターをやっているので羊一さんにも教えたんですけど、「ちゃんと瞑想をやってるのかしら?」と思ったぐらい(笑)。

伊藤:やれてないですよ。

(会場笑)

大嶋:あー、もう! キラキラしてる、マジで。

なぜ自分が量子コンピューターについて講演することになったのか

伊藤:ちょっと話がこんがらがるようで大変恐縮なのですが、ここから回り道して別の話をしますけど。

(とはいえ)今はつらくて。好きなことやってるはずなのに、もういろんなことが頭回らなくなって、「これ完全にうつ状態にまた入りつつあるわ」みたいなのが今で。

なんでかっていうと、いろんなことが重なりすぎてて、発狂しそうになってるうえに、今度の10月に「量子コンピューターが経営やビジネスに与える影響」っていうのを、基調講演してくれって日経(ビジネス)さんに言われて……。

(会場笑)

「間違いじゃないですか?」って言ったら、「いやいや、伊藤さんに依頼なんです」って言うから、「マジですか?」って。「いいんですか?」って言ったら、「伊藤さんが量子コンピューターの世界をどう解釈するか、話してくれ」って言われて。

(会場笑)

「それならいいですよ」っていうふうに言ってたのはいいんだけど、「量子コンピューターって、いったいこれ、なんだ?」っていうところから勉強してるわけですよ。で、こういうことがあると、もう本当につらい。

もうそのセミナー、たぶん僕、SNSでシェアすることもしないで、こそっとやって終わらせようと思ってるんですけど。万が一、日経かなんかのセミナー案内で「量子コンピューター」「伊藤」っていうのが出てきたら、僕が何を言うかっていうのをいらっしゃって笑っていただければ。

つらいはつらいですよ。だから、3.0になったら、毎日楽しいだけかっていうと、そうでもなくて。

大嶋:それはおっしゃるとおり。

伊藤:もうなんか今本当に、つらいつらい言ってますよ。

(会場笑)

「転職35歳限界説」はナンセンス

伊藤:というのはあるんだけど、でもまぁ、楽しいは楽しいねっていうことで。2.0から3.0になったのかはわからないですけど。2.0ダッシュから3.0になったのか。いずれにせよそういうことがありました。

まとめますと、僕はやらなきゃいけないからやってるうちにだんだん得意が増えていって、それがつながって「ああ、楽しい」っていうのが、半年前にありました。

半年前っていうことは、僕は今51(歳)なんで、50(歳)過ぎてそういうことがあるんだということがまず1つあります。これはたぶんきっかけにしかすぎなくて、日々こうやって積み上げてきたっていうのはありますね。まぁそんなところかなぁ。

大嶋:だから、年齢って関係ないですから。「35歳説」とかね。(転職)市場、ヘッドハンター等々(で言われてますけれど)、あれナンセンスですから。そういう人もいれば、40(歳)、50(歳)、下手したら60(歳)で花開くっていう可能性もあるので、無意味に焦ることはやめたほうがいいと思います。

伊藤:そうですね。

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  • リッツ・カールトンで学んだ一流の経営者の視点 成績最下位からトップ営業になった『記憶に残る人になる』著者の人生遍歴

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