2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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吉田大成氏(以下、吉田):もう1個大事なのが、広告の認知度もけっこう高くて。このタイアップ型で、ユーザーさんが見たくて広告主も伝えたいと思っていることをマッチできると、僕らでいうと、10人中9.1人が「この広告好きです」と言ってくれるんですよね。なので、僕らのタイアップ型の広告をやっていただくと、その翌日から商品がバーンって120パーセントぐらい売れたりする、というのがけっこうあって。
「ネットに来ているのに、なんでテレビの文脈をそのまま持ってきちゃうんだろう?」というところが、たぶん一番の課題だと思っているし。これはたぶん、1番目の(質問者の)方のお答えに近いところでいくと、ネットにはネットならではの見方であったりとか、ビジネスの仕方があるからこそ、広告を販売されている会社さんであったら、それに合わせるべきじゃないかなと思っているかたちですかね。
「プラットフォーマーか、自分でやったほうがいいのか?」というところでいくと、これはビジネスのやり方だと僕は思っています。
僕らも自社アプリを持っていますけれど、まだSNSに対して配信を行ってはいます。自社アプリだけでやれるのが、たぶん一番強いとは思っているし、Netflixも完全にクローズな世界を作っていますけれども、外の世界からどう取っていくかというのは1個のマーケティングの手法だと思っていて。
一昔前に流行った単語でいうと、フリーミアムじゃないですけれども、顧客を獲得するためのプラットフォームの使い方と、マネタイズ源としての自社アプリや自社サービス、自社コンテンツの使い方が重要だと思っています。
例えば、最近、洋服メーカーさんなどでは、例えばZOZOTOWNというのはプラットフォーマーで、そこが販売源だけれども、あそこをプロモーションの媒体として使っている洋服のブランドさんっていらっしゃいますよね。
ZOZOTOWNで買っていただいて、あとは自社に持ってこられるようなマーケティング活動をしよう、というかたちで使っているので、プラットフォーマーとの向き合い方を変えればいいんじゃないかなと思っています。
だから、搾取される側に回り続けるのはやめたほうがいいと思っていて、どう使うかだと思っています。
間下直晃氏(以下、間下):ありがとうございます。
間下:では芳賀さん、お願いします。
芳賀洋行氏(以下、芳賀):がんばります。最初の(質問にあった)動画のプラスアルファという話だと、VR動画は、統計だと再生される確率が54倍で、シェアされる確率が15倍で、アクションに結びつく確率が5倍というのが、ほぼ同じコンテンツを作った場合の数字として出ているので、1つのメディアとしてはおもしろいのかもしれないですね。目新しいというのもあって、今だけかもしれないんですけれど。
先ほどの広告を出すほうで、(ユーザーは)5秒で飽きちゃうじゃないですかというお話ですと、例えばVRで視界を全部覆った上で立体的な(映像を出す)。例えば、ハワイの観光局がハワイの広告とかやられているんですけど。
そうすると、いきなりCMでハワイに行くんですよね。ハワイの動画を見ているというのではなくて、ハワイに行ったという快感になるので、たぶん出す面も違いますし。そもそもプラットフォームがぜんぜん変わってくるので、おそらく広告の性質がすごく変わるんじゃないかなというのは思っています。
コンテンツとプラットフォームをどうするか? これは弊社はコンテンツを作っていないので、コメントしづらいです。
間下:はい。大丈夫です。
芳賀:AIをどう使っていくかに関して言うと、制作工程に関して、VRだともうかなりディープラーニングが普通に使われているので、ここは気づかずにみなさん使っていくのと。
現時点でもNetflixさんがやられているように、みなさんが見た視聴履歴をもとに、一番適したコンテンツが来るような感じで、VRに関しても、自分が好きなコンテンツに合わせたものがどんどん出てくる、というのはやっていくんだなと思っています。
間下:動画コンテンツは探すのが大変ですからね。そこはかなりメリットが大きいですよね。
芳賀:大変ですよね。タグ付けするのも大変で。弊社は、VR動画の自分の視界に入ったものをタグ付けしているんです。文字に抜き出して。そういうものをやるだけでも計算コストがむちゃくちゃかかるんですけど、やらないと「そもそもこのコンテンツって見る価値あるんだっけ?」というのがあるので。そういうのをプラットフォーム側が吸収するためのものがいるので……。
あっ、そうだ。さっきのコンテンツの話が1つだけあるとすると、コンテンツとプラフォームはセグメントを分けないと。Netflixさんを代表するように、コンテンツでキングがいっぱいいるので。みんなが世界で一番いいコンテンツを、一番いいプラットフォームで見たくなっちゃうので、セグメントを切っていく。
例えば弊社の場合は、いわゆる研修・社員教育という超狭いセグメントなんですよね。会社の中のしかも「〇〇研修」みたいな。そういうセグメントだったら、コンテンツとしてもプラフォームとしても、最強のものが作れるわけです。そういったかたちで、いろんな尖ったセグメントを切れば、まだまだ可能性はあるのかなと思っています。
間下:ありがとうございます。うまくまとめていただいて。はい、じゃあ上坂さん。
上坂優太氏(以下、上坂):コンテンツがどう変わるかというところですけど、これは本当にそのとおりでして。今、動画と呼ばれているものが、これまでの放送というところのコンテンツに対してどうかというと、その簡易版のような、かなり制作費が小さいなかでやる表現に留まっている、ということは一方であると思っています。
ただ、これはけっこう難しくて。さっきテクノロジーがどういうふうに変容をもたらすかというところで、ちょっと言い漏れてしまったんですけれど、まず個人へのエンパワーメントというのが1つあります。
YouTubeを見ていただければわかるんですけど、基本的にYouTuberと言われている個人がどんどん発信できる時代になってきているじゃないですか。そうすると、ここにいる我々のような事業者として動画ビジネスをやっていく上でいうと、個人が作った動画、CGMとどう戦っていくかにさらされる時代なんですね。
そういうなかで、本当に放送でもCGMでもないところで、どういうことができるかが問われていると思っています。
海外で1つおもしろい事例があるんです。連ドラなんですけれども、毎週テレビだけで放送していくわけじゃなくて、ある1話はTwitterで放送される。動画じゃないんですよ。Twitterでポエムみたいなかたちで放送されると。ある1話は、例えばInstagramの写真などの連写で放送される。ある1話はテレビでの動画コンテンツになる。これが全部ストーリーになっているんですね。ラブストーリーなんですけど。
そういうかたちで、マルチメディアでどういうコンテンツを作っていくかということは、我々としても1つチャレンジしていきたいなと。そうすると、ユーザーさんとしては、今までになかった体験が得られます。そういうのは、1つアプローチとしてはあるかなと思っています。
上坂:もう1個は制作側。制作側がAIですとかテクノロジーでどう変わっていくか、というところは、めちゃめちゃ難しいです。とかくテクノロジーの話ばかりされるんですけれども、テクノロジーとアートの両方が成り立っているのが、やっぱりコンテンツだと思っていまして。AIが感動的な映画を全部作ってくれるかというと、これはなかなか難しいわけですよね。
ストーリー1つとっても、スターウォーズのストーリーはすごく普遍的なストーリーとして、ストーリーテリングがあって。あれに肉付けされているだけだよという話はあるんですけれども、そういう構成で作ってくださいとAIが言ったところで、それが本当に感動的なものになるかというのは、また少し別な話でして。
テクノロジーができる領域、それから人のアートができる領域というのを切り分けて進んでいくんだろうな、というふうに思っています。
一方、今はそれがすべて100パーセントほぼアートの世界になりがちなので、例えば50パーセントぐらいはこういうテクノロジーで解決できちゃうでしょと。
例えば企画にしても、ある程度のプロットまではAIで判断できるでしょと。Netflixでいうと、出演者ですとか、こういうテーマをやるとこれぐらいのパーセンテージの視聴が出るだろうというところから、出資を決めたりしているんですけれども。そういうところまではできるかもしれないというところで。
まぁ、全部を塊で捉えるのではなくて、細分化していって、テクノロジーで代替できるところはしていくというのが、制作側のイノベーションになっていくのかなと捉えています。
間下:はい。ありがとうございます。もう時間がないので、もしどうしても聞きたい質問があれば手を挙げてください。大丈夫ですか? はい、じゃあ3人に、最後に締めとして、今後の動画のマーケットについての意気込みを語っていただいて、締めたいと思います。じゃあ上坂さんからいきましょう。
上坂:そうですね、こうやってカンファレンスのテーマにも取り上げていただけるように、動画というのがテーマとして注目をいただいていることは、すごくすばらしいことだなと思っています。
一方、今日の話にもありましたけど、やっぱり持続可能なビジネスにしていかないと産業として成り立っていかなければと思っています。動画がバブルで終わるのではなくて、今2,000億ぐらいのマーケットになってきますけど、5年10年、もっと長いスパンで持続的なビジネスにしていけるように。
僕らとしては、1つしっかりとしたビジネスモデルを作り上げて、この業界を目指す若者ですとか、あるいはそういうステークホルダーがどんどん増えていくような、そういう産業づくりに貢献していきたいと考えていますので、がんばっていきたいと思っています。ありがとうございました。
間下:ありがとうございます。どうぞ。
芳賀:弊社InstaVRだと、時間と空間の制限をなくして、いつでも・どこでも・何度でも・誰でも・どんな経験でもできる世界をつくるということでやっているので。そういったもっと先の未来をどんどん作っていくというのを、ぜひやっていきたいなと思っていますので、一緒にがんばってくれる仲間を絶賛募集しております。
(会場笑)
間下:リクルーティングが入りました。
芳賀:はい。よろしくお願いします。
吉田:ええと……じゃあ僕らも募集中ですっていう(笑)。
そうですね。僕らは動画メディアをやっていくなかで、僕がこの会社を作った時に一番嫌だったというか、ネットに対する課題として(感じていたことが)、4マスメディアとインターネットって、いつまでインターネットは除け者なんだろうなと思っていて。それがすごく嫌だったんですね。
確かにインターネットで信頼できる情報はあんまりなかったり、一時期いろいろな問題があったなかで。今回、動画だからこそ、自前で自分たちでプロが作って、信頼に足るインターネットメディアというのをちゃんと作りたいなと思っています。そのためにはやっぱり大量に作らなきゃいけないし、ビジネスモデルも成功させなきゃいけないのもあるんですけれども、そういう未来を作りたいなと。
インターネットは信頼できるメディアだし、おじいちゃんやおばあちゃんが見ても「これは正しい情報だよね」と安心される世界を作りたいなと思っているからこそ、ビジネスを成立させたいなと思っています。なんとしてもこの動画メディアで、ちゃんと自分たちだけでビジネスが回る状態を作りたいなと思っております。
間下:ありがとうございます。たいへん短い時間の中で盛りだくさんなコンテンツになりました。みなさんがどこまでご理解いただけたか心配ではありますけれども。
最初に申し上げましたように、8割のトラフィックがもう動画になっていく時代ですから、動画なくしてもうインターネットの世界は語れなくなってきています。
みなさんのビジネスの中でもそれをどう活かしていくのか。みなさんがこの会社に入るという選択肢もあるかもしれませんけど。ぜひ、いろいろと考えていければと思います。本日はどうもありがとうございました。
(会場拍手)
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