「ねぇ、Alexa」が世の中をもっと便利にする
“ボイスファースト”を掲げるAmazonのポリシー

顧客志向から生まれるスマートホーム戦略 #1/4

LivingTech カンファレンス 2018
に開催

2018年11月21日、テクノロジーによる「暮らし」の変革を志す、第一線の経営者・クリエイターが集う「LivingTechカンファレンス2018」が開催されました。2020年から5年後の社会のあり方を考える「POST2020」をテーマに、10以上のセッションを実施。その中のセッション「顧客志向から生まれるスマートホーム戦略」では、アマゾンジャパンの前田宏氏と柳田晃嗣氏、リノベる山下智弘氏、米DUFL共同創業者・塚本信二氏が登壇し、スマートホーム戦略の在り方などについてディスカッションしました。

顧客視点から生まれるスマートホーム戦略

塚本信二氏(以下、塚本):みなさん、おはようございます。モデレーターを担当する塚本でございます。今日は「顧客視点から生まれるスマートホーム戦略」ということで、Amazonとリノベるから、それぞれ登壇をしていただきます。最近、スマートホームやテクノロジーベースのホームサービスが増えていっていますが、実際、われわれ消費者にとって、どういった恩恵と課題が将来期待されるのか。

そういったところをパネラーの方々から引き出しながら、紐解いていければと思います。最後に少しでもためになるものを持ち帰っていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。最初に簡単にですが、それぞれの方から自己紹介をしていただきたいと思います。山下さんからよろしくお願いいたします。

山下智弘氏(以下、山下):リノベるの山下と申します。よろしくお願いします。僕たちはリノベる株式会社という会社をやっています。古い中古住宅をリノベーションして、新しく再ユースするということをやっています。日本では、10人家を買う方がいると、7人、8人がまだ新築を買います。こんな世界ですよね。

あとから出てくるかもしれませんが、例えば欧米のように7割、8割中古が流通する。そんな時代がくれば、空き家の話や、いろんな問題がもっと変わってくると思っています。その時にリノベーションという手法を上手く使って、家をアップデートしていきたいと思っています。

これは悩みの1つなんですけど、古い家を自分に合わせてリノベーションしても、住んだ瞬間に自分自身の暮らしとリノベーションした家は離れていくんですよね。「もっとこうしたほうがよかった」「生活環境がもっともっと変わってきた」とか。

そんなことをアップデートするためにはどうしたらよいかということで、テクノロジーがけっこうヒントになるかなと思っていまして。今日はそんなお話もできたらなと思います。よろしくお願いします。

塚本:とくに山下さんから、歴史がけっこう長い住宅業界とテクノロジーベースのものが交差した時に何が起きるのかということをお聞きできればと思っていますので、よろしくお願いします。続いて、前田さん。一言よろしくお願いします。

前田宏氏(以下、前田):みなさん、おはようございます。アマゾンジャパンの前田でございます。Amazonをご利用いただいている方はどれぐらいいらっしゃいます?

(会場挙手)

Amazonで私が何をやっているかというと、消費材事業本部というところの責任者をしています。要は小売の中で、食品や飲料、お酒、日用品、ペット用品。そういった繰り返しお客さまが購入されるような、いわゆる消費材を集めるグループを見ております。

住宅業界やリノベーション業界とAmazonは、なかなか接点がなさそうに思えるんですが、われわれAmazonもお客さまとの接点が非常に限られたなかでやっております。

どうやってお客さまのニーズや、お客さまが困っている点を早めに吸い上げて、それを改善するためのソリューションや仕組みを提供するという「顧客視点」という点においては、非常に共通するところがあると思います。

そういう視点から、今日は何かしらお話できればと思っております。よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

塚本:ありがとうございます。前田さんは、ご自身がお話しされたとおり、たぶんここにいるみなさんが日々使われているシャンプーや石鹸や飲料といった、実際に本日の消費者に寄り添うもののほとんどを提供しているところを担当されています。

Alexaの事業を手がけるAmazon柳田氏

塚本:次にお話する柳田さんが、まさにいま、未来に向けてAmazonが取り組んでいるAIスピーカーの周りをご担当されています。一言よろしくお願いします。

柳田晃嗣氏(以下、柳田):ありがとうございます。柳田でございます。現在「Alexa」という、音声のテクノロジーを使って……Alexaについてはあとでまたお話させていただきますが、お客さまがAmazonを利用するだけではなく、さまざまな生活をされている日本の方々に「便利」をいかにご提供できるか。

やらなければいけなくて、やることが常識になっているんだけども、実際はこれがなかったらこんなに楽だ、というものが実はいろいろと生活の中に存在するわけですよね。古い例を挙げると、Amazonの「1-click」が1つだと思います。

インターネットでショッピングしようと思ったら、クレジットカードの登録や、住所をすべて入力したあとに、ようやくショッピングできるというのが普通だったと思うんですね。

それが、1-clickで便利になることが、今から10数年前にできるようになりました。そういったものと同じように、生活の中でスマホはすごく便利に使えると思います。

実はスマホでパスワードを入力して、アプリを立ち上げて、というよりも、もっと簡単に何かができるんじゃないかというものです。声をかけることによって、自分がやりたいサービスがパッとそばに来てくれる仕組みで、「ボイスファースト」と呼んでいます。

そこから何か次のアクションをしていくことによって、もっと便利になる。日常の当たり前だと思っていることのフリクションというか……。やらなければいけないタスクを避けることができれば、時間を他の有意義なことにもっと使えるんじゃないかなということで、Alexaをみなさんがお使いいただけるような環境にするために一生懸命がんばっているところです。

私がAmazonに入った時、モバイルショッピングというチームが立ち上がりました。日本は、携帯電話で購買行動をする、ゲームをするということが一番早くから立ち上がったんですよね。スマートフォンにシフトしていくなか、Amazonでもスマートフォンを中心に、とくに日本のお客さまを中心に考えて、日本からイノベーションを持ってこなければいけないということで、チームを作ってきました。

その延長線上として、Alexaという声のサービスをみなさんに、多くの方に使っていただければなと思っています。またあとでいろいろお話させていただきます。

(会場拍手)

塚本:ありがとうございます。ちなみに、Echo、Alexaに限らず、いま、ご自宅でAIスピーカーを実際に使っていらっしゃる方は、どれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

柳田さん、これってどうなんですか? けっこう多いですか?

柳田:実は、みなさまがAlexaを買いたい時に自由に買えるようになったのが、今年の3月ですので、それを考えるとものすごく高い比率だと思います。

塚本:バスに乗ったり、タクシーに乗ったりしている時に、「AIスピーカーを持っていますか」と言って、手を挙げてもらうゲームをよくやるんですが、いまの段階では、いないケースもけっこう多いです。そういう意味では、これは非常に高い比率かなと思います。まだ出たばかりなので、これからどんどん浸透していくでしょう。

「顧客志向×テクノロジー」で読み解く

塚本:最後に私です。やっていることは米国をイメージしていただくとわかりやすいんですけど、手ぶら出張を可能にしているドキュメントのクラウドサービスの、洋服版だと思ってください。

これは後ほど軽く触れますが、アプリを使って、預けている服を行く先々に送り届けてもらうことで、出張先にはパソコン1つで行けるというサービスをしています。DUFLと言います。日本ではゴルフだけを展開しています。

ご縁がありまして、いまはリノベるの社外取締役をしている関係で、今日はモデレーターを務めさせていただいております。よろしくお願いします。

(会場拍手)

今日のキーワードは「顧客志向×テクノロジー」です。アマゾンジャパンは創業時からずっとカスタマーセントリックという言葉を軸に、さまざまなサービスを提供し続けています。また、リノベるも顧客に寄り添うということで、各お客さまが本当に必要なものを、彼らの希望に基づいて作っています。

そういった考え方自体が非常に似ているということもあって、2社が今後、テクノロジーを通して、どういったものを消費者に提供していくのかを聞いていければと思っております。さっそく始めたいと思います。

最初にいま、「Amazonを使っている方」と聞いたところ、手を挙げた方がほとんどでしたが、実際にどういった会社なのかということをいざ考えてみると、なかなか深いところまではわからないという方が多いと思います。最初に、Amazonの歴史と実際に何をやっているのかということを、前田さんに簡単に触れていただきたいと思っております。

Amazonのこれまでを振り返る

前田:多くの方にご利用いただいて、本当にありがとうございます。外から見るAmazonと、内から見るAmazonはもちろん違いますが、Amazonはどういうことをやっているのか、やってきたのかということを、本当に簡単にですが、まずご紹介したいと思います。

スライドのナプキンに描かれている絵は、実はもともと手書きで描かれたものです。僕らの創業者のジェフ・ベゾスが1995年アメリカ・ワシントン州で創業して......小さなガレージを借りて、そこに本を仕入れて、インターネットを使って売り始めたのがもともとの創業時です。

その当時にジェフが仲間とレストランに入って、自分が描いているAmazonのビジネスモデルを、仲間と一緒に話して、説明した時に描いたのがスライドの絵です。絵の中に「Selection」(品揃え、セレクション)とありますけれども、全米のお客さまにインターネットを通じて本を売るということで、検索をしたときに、どんな本でも見つかるようにするための品揃えに、まずは徹底的に力を入れようと考えていました。

品揃えが豊かになると、今度は顧客満足度というカスタマー・エクスペリエンスが、非常に良くなる。当然、全米は広いですから、本屋さんに行って、自分が欲しかった本がなかったら、それはすごくがっかりするわけで、それがAmazonで検索をして見つかると、それをお客さまが非常に喜ぶ。それで自宅まで届けてもらえる。

まず、顧客満足度が品揃えから生まれてきて、顧客満足度が生まれれば、お客さまが口コミで「最近、僕はAmazonを使って本を買っているんだよ」というような口コミが広がって、お客さまが増える。

いわゆるトラフィックという来客数が増えてくる。来客数が増えてくると、当然、そこには売り手、商品を提供する方が、どんどん集まってきていただける。それで、さらに品揃えが豊富になっていく。

これを成長のドライバーとして、まず掲げておりました。成長していくと、オペレーションや企業の運営にかかるコストがどんどん下がっていく。Amazonのような、店舗を持たない企業の場合はコストが下がっていく。

下がったコストを、例えば広告や株主への還元に回すのではなくて、お客さまに提供する商品の価格を1セントでも10セントでも安くするということに、ジェフは最初投資をしました。その結果、品揃えとともに、価格が安いということで、お客さま満足度が高くなっていく。これを社内では「フライングホイール」と言っています。

いろいろなビジネスを新しく作る時でも、全世界のAmazonの社員は常にこの考え方を理解して事業を行っていく。そういう会社ですね。

「オンライン書店」から大きく飛躍

前田:日本におけるAmazonの歴史を簡単に紹介します。日本でamazon.co.jpというサイトがオープンしたのが2000年になります。ですので、ちょうど18年、日本でAmazonのビジネスをやっているということになります。最初はアメリカと同様に書籍をインターネットで売り始めるというところからスタートしております。

僕がAmazonに入社したのが2005年です。その頃、新聞にAmazonの記事が出る時には、「オンライン書店大手」という見出しが必ず付いたんですね。そのぐらい、当時から2010年ぐらいまでは「オンライン書店」というイメージが強かったと思っています。

日本ではいろいろな事業をやっています。amazon.co.jpという、いわゆる基幹のネット通販サイトで、プライム会費という年間3,980円の会費をいただくメンバーシッププログラムがあります。最近はそのプライム会員をさらに増やすために、プライム・ビデオやプライム・ミュージックという、会員の方が無料で映画やドラマや音楽を楽しめるプログラムもやっています。

あと「Amazon Web Services」という、いわゆるAmazonのクラウドコンピューティング。そういった新しいWebサービスのビジネスも非常に大きくなってきております。

ぺインポイントとわれわれは呼んでいる、さまざまなお客さまが困っていること、不便に感じていること......お客さまというのは一般消費者に限らず、企業さんであったりデベロッパーさんであったり、コンテンツのクリエイターさんであったり、そういったお客さまに対してどうすれば、より便利な仕事や生活ができるかを考えて、インターネットを使ってソリューションを提供する。いま日本ではそういったことを主に進めております。

塚本:ありがとうございます。これで全部というわけはないでしょう? フレッシュ(AmazonFresh)とかがここには入っていないので、たぶん一部ということですね。

前田:そうですね。

塚本:わかりました。いずれにしても、すごい道のりですね。外資系ということもあって、最近(進出してきた)かなと思うかもしれないですけど、ちょうど18年日本にいらっしゃるということで、気がつけば18年間ずっと日本の消費者に寄り添っている。日本独自の展開もされていることもあって、非常に興味深いなと思います。

リノベるが心がけてきたこと

塚本:では、リノベるは創業して何年ですか。

山下:(創業が)2010年ですので、もう9年です。

塚本:9年ですよね。さまざまな事業に取組んでいらっしゃるということで、こちらも山下社長に簡単にご説明いただければと思います。

山下:僕たちはこのようなミッションを元に走っています。「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。」しようと決めて、やっている会社です。これには2つのポイントがあります。1つが、日本の「住まい」ではなくて「暮らし」だというところ。もう1つが、相反することだと思っている「かしこく」「素敵」という、2つをやろうとしているところです。

「暮らし」のほうは、住まいはただの道具で、暮らしを彩るための道具だと思っていますので、暮らしをどうすればかしこく素敵にできるかということにコミットしようと常に考えています。

もう1つが、「かしこく素敵」のところなのですが、僕たちの住宅業界では、例えば、お客さまに「オリジナルを作ります」と言うのはわりと簡単です。

ですが、その方にとってはすごく素敵でも、もしその方のライフスタイルが変わって、家を売却しなくてはいけないとか、家を貸さなくちゃいけないという時に、その方にあまりにも寄り過ぎていると、もしかしたら高く売れない、高く貸せないというようなことがあるかもしれません。そういうもののバランスをどうとっていくかという、「かしこく」「素敵」という2つをどうしていくかということです。

これからは少し細かい情報になります。そういったお客さまに対して、「大きく2つの事業がある」とお話しています。1つは、お客さん向けのO to O(Online to Offline)のプラットフォームです。リノベーションされたい方向けの事業で、設計士、不動産会社さん、工務店さん、金融機関などを、オンラインとオフラインでマッチングして、お客さまに提供しています。

この片方で、スライドに「Saas」と書いていますが、そこにいるいろんなサプライヤーの方々、工務店さんも含めた方々に向けたサービスをいま開発しております。例えば、もっと工事がしやすいものや、もっと不動産の仲介をしやすいようなものには、どんなことがあるかを、中古の中で考えようというふうにアプリケーションを作っています。

「かしこく、素敵に」に込めた思い

塚本:これは、いま前田さんがおっしゃった、いわゆる消費をするCだけではなくて、施工業者さんや、一緒にやっていらっしゃるパートナーの方に対しても、よりよい環境を作っていくことでいうと、同じような考え方かなという感じはしますね。

山下:to Cとto Bの両方ですね。

塚本:to Cとto Bの両方ですよね。

山下:そうです。先ほど冒頭にお話した部分なのですが「かしこく素敵に」ということを少し言い換えて、社内ではこういったかたちで説明をしています。「かしこく、素敵に」の、「素敵」の部分は主観的価値なので、自分がいいと思えばいいんですよね。

例えば、壁が真っ赤で、それを人がどう思おうが、自分が「いいよね」「これが素敵だよね」と思えばいいので、これは主観的価値として成立します。

一方、例えば、中古住宅で築30年のものがあって、それが外の方からどう評価されるか。これは客観的価値です。では、その2つの価値をどんなふうに上げていくかということ、自分らしい暮らしをしながら、みんなが欲しいと思えるものをどうして作っていくかを、常に考えています。

スライドは先ほどお話したO to Oのプラットフォームと、Saasのモデルを、概略図にして書いているものです。私たちがやりたいミッションである「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。」が一番中心にあります。その周りは、僕たちのバリューチェーンというか流れです。お客さまの集客から始まって、カウンセリング、申込み、物件探し。その外側にそれを支えるSaasのモデルがあります。

施工管理や、スマートホームもその一部なのですが、物件のマッチングのシステムやショールームの仕組みとか。周りに「業界特化型Saas」と書いてますが、このバーティカルなものを、自分たちだけではなく、この業界にどんどん出していこうということをいま考えてやっております。すみません、以上です。

塚本:要は、人の温かみが残ってなくてはいけないファンクション。どんな事業でもそうだと思うんですけども、そこに関してはたぶん今後も変わらないと思うんですね。

いま、リノベるで取組んでいらっしゃることもそうなんですが、例えば技術で短縮できたり、ファンクションをオートメーションできたりするものに関して、どんどんそこに技術を投じていく。そこでできた時間を、例えば、人のトレーニングや、機械ではできないところに有効活用していくところが、両社同じような考え方だなと感じます。

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