2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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間下直晃氏(以下、間下):(前回は)少しテクノロジーの話を聞いてみましたけれども、もう1つ大事なお金のことを聞いてみたいと思います。ぶっちゃけ言うと「金になんの?」「儲かるの?」ってところなんですけど、現状どんなモデルでお金を儲けていて、「これって儲かるんですか?」みたいなことを少し聞いてもいいでしょうか。
上坂優太氏(以下、上坂):弊社は、先ほど説明したように広告ということを第一義的にビジネスの柱にしてまして。だいたい今9割ぐらいが広告、いわゆお財布を取りにいっています。
間下さんがさっきおっしゃっていた、1,800億ぐらいが動画広告市場の今のスナップショットの数字なんですけれども。これが2020年を皮切りに、僕の見立てとしては、今テレビ広告市場が2兆円あるんですけれども、このへんの市場がかなり近くなってきているということで、どこかしらで1つの市場になってくるんじゃないかなと考えています。そこを狙っているというかたちです。
「動画って儲かるの?」みたいな話でいうと、正直、とくにスタートアップでじゃぶじゃぶ儲かっている会社ってたぶんほとんどいないと思います。
一方、今、動画ってユーザーさんのアテンションをすごく取れますし、膨大な時間をやっぱりそこに消費していただけるということで、そこの注目度・期待値はすごく高く、かなり企業価値含めて投資も集まるという状況になっています。これをいかにマネタイズしていけるかというところが、これから持続可能なビジネスになっていくかがすごく問われるのかなと思ってます。
そこで各社けっこうアプローチが違うなと。コマースにいくプレイヤーもいらっしゃいますし、あるいは課金ですとか、あるいは違うマネタイズをしていくところもあるということで。我々としてはまず1つ、広告でしっかり持続可能なモデルを作ることに今トライしているところです。
間下:ありがとうございます。では芳賀さん。
芳賀洋行氏(以下、芳賀):弊社は2つの収入源がありまして。1つはシステムを提供して、システムを通じて、コンテンツを提供したい側とコンテンツを受ける側の間に立っているプラットフォームとして、お金をいただくというモデルです。
ただ、これって、先ほどお話しさせていただいたように、マスに提供する時代が来ないと成立しないんですよね。ただ、今やらせていただいているのは、ストリーミングの配信料というところと、エンドユーザーの方からは、エンドユーザーがいわゆるアプリ内課金をした場合の手数料を引くというモデルで作っています。
もう1つのほうが、先ほどお話しした人材育成を中心とした企業内ユースというところで。経験者の方から見たところと、従業員との間のコミュニケーションをスムーズにするというかたちです。
こちらって、わかりやすい例でいうと、「離職率とかを何パーセント下げると採用のコストがこれだけ減るのね」というのが、すごくわかりやすいんですね。
さらに大きいところでいうと、そもそも人が採れていない、もしくは訓練ができないので店が開けられないんですという場合だったり。本来だったらもっと店舗を増やせるのにとか、もしくは従業員の訓練が低いために、満足度が下がっているのがわかりきっている会社さんになると、今度はトップラインが上がってくるので。
我々はそこを作るところのKPIの設計も今お手伝いしちゃっていたりしますね。そんなかたちで今はBtoBとBtoCを両方しているというところです。
間下:その研修はなんでVRなんですか?
芳賀:その研修は、本当ならリアルでやればいいんですけど、時間と空間の制約があって、リアルでやれない事情がある場合ですね。施設が世界に1個しかなくて、朝から晩まで開いてるとか。あとはその現象がたまにしか起こらない場合。例えば事件とか事故現場というものって、一瞬でしかなかったりとか。
あとは場所が遠いとかですかね。本当なら行けばいいんですけど、例えば農務省さんの件だと、アメリカの1ヶ所にアメリカ中から従業員を200人、300人連れていくんですよね。それだけでも移動代もかかります。
実際に行ってみると、各ラインには1人か2人しか立てないんですよね。本当だったら300人(が同時にラインに)立てたほうがいいと。そういうふうな1つの経験を、在庫を無限にできるというところでVRを活用していただいていますね。
上坂:VRのBtoBって、既存のどういう市場のお財布をリプレイスしていっている感じになるんですか?
芳賀:OJTですね。
上坂:OJT。
芳賀:OJTでギリギリやっていたのですが……。
間下:On-The-Job Trainingね。
芳賀:そうですね。On-The-Job Trainingでやっていたところで、先輩がいないとか。あとは時短勤務になったので、今まで10人で回していたところが、20人になっちゃったり、30人になっちゃったり。あとは、今まで日本人が入ってきてたけど、例えば調理場とかになると、そもそも言語で伝えられないという、そういったところが多いですね。
吉田大成氏(以下、吉田):めっちゃ儲かるじゃないですか(笑)。
上坂:儲かりそう。すごい儲かりそう!
間下:一番儲かりそうですね?
上坂:一番儲かりそうですね。
芳賀:がんばります。
吉田:(笑)。
間下:まぁでも、まじめな話が、東南アジアとかでもそこの分野って、日本とかに比べると従業員のリテンション(人材の維持・確保)が圧倒的に低いんですよね。だいたい2年とか3年とか、下手すると1年でころころ変わっていっちゃうから、研修なんて頻繁にまともにやってたら、やっていられないわけですよ。日本も今そうなりつつあるんですよね。そこのマーケットがかなりたぶん大きいと思うんですけどね。
芳賀:がんばります。
間下:ちょっと僕らも乗らせてもらおうかなと思って、話をしてたんです。
上坂:(笑)。
間下:はい、吉田さん。
吉田:僕らも最初は、やっぱり広告のビジネスが一番大事だなと思っていますので、広告のビジネスを(しています)。あとは、先ほどご紹介した、店舗で使ってもらえるようなサイネージへの展開みたいな動画の利用ですね。あとは課金とコマースみたいな、けっこう複数を組み合わせながらやりたいなとは思っています。
儲かるか儲からないかでいくと、今のところはやっぱりまだ儲からないなというのは、すごく課題には感じてはいるところですね。じゃあ、なぜ儲からないかというのもけっこう課題かなと思っていて。確かに僕らはテレビの広告市場を取りたいと思ってはいるので、先ほど話した2兆円あるなかで、テレビを観ない人がどんどん減っているはずなのに、まだ市場自体は踏ん張っているんですよね。
なにかが誰かが踏ん張ってる。実際、テレビは視聴時間自体も正直減っていて。インターネットデバイスの視聴時間は、2014年ぐらいからもう(テレビを)上回っていて、ずっと右肩上がりにもかかわらず、普通であれば視聴時間が長いところに対して広告費が落ちるはずなのに、落ちてないんですよね。
これって、たぶん広告主サイドのいろんなしがらみといいますか。まだやっぱり、テレビCMを変えられない、やめられない、説得できないというところが、どうしてもデジタルのほうに広告が振れないところの大きな課題として残っていて。だから市場が移ってこないというのがあるかなと思ってはいます。
一方で、広告主さんとうまくいっているパターンでいくと、代理店さんを飛ばして、直接やりとりするパターンのメーカーさんが、一番広告が高いというのが出ていて……。まぁ、ちょっとここからはやめておこうかなと思いますけども(笑)。
上坂:今日は議事録になりますので。
間下:ここに来ている人たちが、会社に帰って自分の会社を説得すれば、ガラッと変わるんじゃないですか?
吉田:そうなんですよ。本当は見ている時間帯はインターネットデバイスのほうが長いはずなのに、自社に帰ってみて、自社の広告予算がどこに振られているか見てみると、テレビが大半だったりすると。これは効果としては、絶対におかしいんですよね。本当は広告というのは、見てる時間帯に合わせて出さなきゃいけないはずなのに、そういうふうに出ていないところが課題。
もう1個、たぶんインターネットの広告の課題としてあるのであれば、その効果自体、テレビってなんとなく今まで作られてきた定石だったりとか、テレビCMやるから、僕らでいう小売さんがものを仕入れます、という文化がけっこうたくさんあったので。
そこからデジタルにしたときに、どれぐらい効果があるんですか? というところを示してあげられると、流れは一気に加速するだろうなと思っていて。
大きな変化としては、昨年頭ぐらいまでは、例えば小売さんが商品を仕入れるときは、メーカーさんに「この商品はテレビCMの出稿量をどれぐらい出しますか?」というのが仕入れの基準だったところが、ここ最近、とくに大手さんからは「インターネットの広告費をどれぐらい投下しますか?」というのもバイヤーさんに聞くようにしているんですね。
それによってだんだん変わってきていて。インターネットに対して広告を出していれば商品を仕入れる、というかたちで少しずつ変わってきてはいるので、もうあと1年2年、まさに2020年ぐらいが分岐点になるんだろうなというのは思ってはいて。そこに向けて、マス向けのビジネスをやれるかどうかが、すごく大事だなと思ってはいます。
間下:なるほど。ありがとうございます。みなさんも会社に帰っていただいたあとに、報告していただいたほうがいいかもしれませんね。ということで、お金に関しては今みたいなかたちですけれども。
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