2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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間下直晃氏(以下、間下):みなさん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました株式会社ブイキューブの間下でございます。
本当はテレビ会議で参加するという、うちの会社らしい、そしてこのセッションらしい参加を狙っていたのですが、電車が無事に来ちゃいましたので、ここでやらせていただきたいと思います。
(テーマが)動画ということで、動画って非常に定義が広くて、ここに4人並んでいますけど、業界はまったくバラバラです。本を見ていただくとOculusのことしか書いてませんので、あんまり動画と直接関係ないんですけど、「動画」というキーワードをもとに少しお話をしていきたいと思います。
みなさんに少しお話ししていただく前に、動画のマーケットは今どうなっているのか? Cisco等いろいろなところがリサーチなど出していますけれども、2021年にインターネットのトラフィックを占める動画の割合は何割になるでしょうか? 3割だと思う人?
(会場挙手)
5割だと思う人?
(会場挙手)
8割だと思う人?
(会場挙手)
はい。8割が正解ですね。実はもう現時点でも7割程度になってきていますので、かなりウェイトは大きくなってきています。いろいろなものが動画に変わってきているわけですね。
さらにこの動画が再生されているデバイス。もちろん今の時点ではまだパソコンのほうが多いんですけれども、トラフィックという面で見ると、これが2021年には逆転をして、スマホが大きくなってくる。
そして、スマホでもパソコンでもないデバイス、例えばさっきのOculusみたいなものとか、いろいろなデバイスのウェイトが増えてくるだろうと言われている分野になります。
ただ、当面はスマホのウェイトが非常に大きくて、動画広告のビジネスなどを見ていくと、やっぱり6割ぐらいがモバイルデバイスで消費されているということで。今年、1,845億円の動画広告マーケットがあるみたいですけれども、このうち1,574億円がスマホのマーケットになっています。
ちなみに、この動画広告のマーケット自体は、この2年間で約倍になっています。今急速に伸びてきているというところです。
この中でもオンデマンドとライブってわかります? 録画されているデータと生配信ですね。この生配信の今のパーセンテージは、約3パーセントしかトラフィックがありませんけれども、これが2021年には約5倍程度には伸びるだろうと言われていますので、録画されたものだけではなくて、ライブをどう使うか。
中には、最近のフェイクニュースの動画みたいに、写真だと加工できるじゃないですか。だけど、ライブは加工できないから、そういうものを使おうみたいな動きもだいぶ出てきてると。
こういう中で、さまざまなハードウェアがどんどん追いついて来たりとか、いろいろな動きが出てきている。こういったところを今日このお三方に聞いていきたいと思います。
まず、順番に手がけていらっしゃるビジネスの内容を、それぞれ違いますので、動画をどう活用しているかなどを含めて、簡単にご説明いただければと思います。じゃあ、上坂さんから。
上坂優太氏(以下、上坂):株式会社Viibarの代表をしています上坂です。よろしくお願いします。
弊社は、インターネットの動画を、我々はそれを「デジタル動画」と呼んでいますけれども、デジタル動画のマーケティング、それからデジタル動画のメディアという2つの事業を行っている動画のスタートアップ企業です。
動画マーケティングですと、みなさまのような企業が、ユーザーの方と主にマーケティング目的でコミュニケーションをしていく際に、デジタル動画活用の支援をさせていただいています。
昨今、若いユーザーの方々を中心にテレビ離れがあります。テレビを見ない人、あるいは持たない人が急速に増えていまして。今はだいたいテレビを見ない20代以下の人は、15パーセントぐらいいらっしゃいます。
ただ、デジタル動画はYouTubeを中心に毎日見ているということで、そういう方々にしっかり企業のメッセージを伝えていくというお仕事をさせていただいています。
もう1つですね。ユーザー、とくにスマートフォンを通じて動画を楽しみたいユーザーさん向けに、動画メディアを運営しています。テレビのようにチャンネルを変えるとなんでもあるというところではなくて、バーチカルで特定のジャンルごとにメディアを作っていまして。
YouTubeもそうですし、Instagram、Facebook、Twitterですとか、ユーザーさんが好みのプラットフォームで楽しんで視聴いただけるメディアを作っています。
その2つの事業のシナジーを合わせて、動画自体を産業として発展させていこうというかたちで、やらせていただいている企業です。
間下:ありがとうございます。そしたら芳賀さん。
芳賀洋行氏(以下、芳賀):InstaVRの芳賀です。よろしくお願いいたします。
InstaVRでは、VRの製作、そして配信のプラットフォームを提供していまして、誰でも簡単にVRのアプリを作って配れるというソリューションを提供しています。
現状3万社にご利用いただいていまして、海外売上比率が9割と大きいのが特徴です。例えば、ケースに出てくるWalmartとか、先ほどの話にあったCiscoさんも実はうちのお客さんだったりするというかたちで、いろいろやらせていただいています。
なんで動画なんだというところですと、弊社をお使いいただいているお客様の9割が社内で使う、いわゆるマーケットに出ない動画・VR動画を使って、とくに人材育成に活用されているという結果があります。
その中で、とくにアメリカ農務省さんですと、VRを研修に使うことでコストが5分の1(になった)。2億5,000万かかっていたコストが5,000万で済んでいますという話と、あと離職率が10パーセント下がったりですね。さらに採用、訓練するときの時間が3分の1になったり。
そういったことがありまして、今は人材育成というところでの動画活用、とくにVR動画活用というのをやらせていただいているというところです。よろしくお願いします。
間下:ありがとうございます。じゃあ、吉田さん。
吉田大成氏(以下、吉田):株式会社エブリーの吉田と申します。僕らは動画のメディアをやっておりまして、基本的には自社ですべて企画から撮影、編集、配信を行っております。
今4つのメディアを運営しておりまして、一番ユーザー数が多いのが「デリッシュキッチン(DELISH KITCHEN)」と呼ばれる料理動画メディアになっています。
それ以外にも、女性向けメディアの「カロス(KALOS)」、ママ向けメディアの「ママデイズ(MAMADAYS)」、あとニュース「タイムライン(TIMELINE)」という4つのメディアを運営しているんですけれども。
4つのメディアのユニークの視聴者数を合算すると、月間で4,500万を超えていて、動画を見て新しい情報だったり、ライフスタイルをつかんでいるというのが、今の世の中の動きなのかなと思っております。
僕らはメディアをやっていますので、ビジネスとしては広告のビジネスをまずやっておりまして。テレビCMに代えて、デジタルで動画広告でブランディングしよう、ということに今取り組んでおります。
たぶん、みなさんが今在籍されている企業の中でも、テレビCMをやられている会社さんが多いと思うんですけれども、今テレビCMを打っても20代・30代の方って、あんまり反応率上がらないという課題を、多くのメーカーさんが抱えていらっしゃって。そこで、僕らのところのメディアを使っていただいて、商品自体の認知度を上げていくだったり、商品の購買までつなげるということをサポートしているのが、僕らが今やっているビジネスになっております。
直近では、もう1つ新しい取り組みをしています。「デリッシュキッチン」に関していうと、小売さん向けに今サイネージの提供をしておりまして。
スーパーさんでサイネージを置いていただいて、そこで僕らが持っている累計1万5,000本ぐらいのレシピ動画をそのままご利用いただき、店舗での購入単価の底上げにご活用いただいたりということもしていまして。動画の活用がオンライン・オフライン問わず、今行われているところですね。
直近3月にKDDIさんと資本業務提携しまして、女性向けメディアに関しては新しくライブコマースと呼ばれるテレビショッピングのネット版を、今年の7月…… 今月ですが、まぁ絶賛開発中なんですけれども(笑)。大炎上しているわけじゃないですけれども、準備しておりまして(笑)。
そういったものもネットの世界で行われるように目指しているというところで、今準備しているかたちになっております。よろしくお願いします。
間下:ありがとうございます。こういう三者三様なお三方なんですけれども、今回テーマが「テクノベートが変える動画ビジネス」ということで、この3人はテクノベートであるという定義から選ばれているんだと思いますけれども。このテクノベートから見た動画に起きているイノベーションって、今なんなんですかと。なんで最近動画って、こんなに注目をあびているんですか?
この部屋ちゃんと埋まりましたよね。埋まらなかったらどうしようかなと思ったんですけれども、ちゃんと注目されている。
上坂:そうですね。満席ですね。
間下:その点を少しコメントいただければと思います。
上坂:すいません。私、新幹線に乗りながら検索して「テクノベート」をちょっと勉強してきたんですけど。テクノベートって知らなくて。堀(義人)さんの造語なんですってね。
動画は、ひと言に動画といったときに、いくつかのレイヤーでいわゆるテクノロジーの変化が起きてまして。
1つは5G。これが2020年に(実用化される予定)。5Gという言葉を聞いたことあると思うんですけれども、通信環境、通信のレイヤーで、帯域がすごく太くなってきているところがあります。スマートフォンでも待たずにさくさくと大容量の動画が見れる、というところの通信レイヤーが変わってきていると。
それからもう1つがプラットフォームというところで。5年前ぐらいですと、YouTubeぐらいしか動画をしっかり見れるプラットフォームはなかったんですけれども、今はもうどんなプラットフォームでも動画をサクサク見れると。
今でいうとInstagramもそうですし、Tiktokみたいなものも出てくるというかたちで、プラットフォームのレイヤーも動画に合わせてきています。
もう1つはやっぱりデバイスですよね。デバイスとして、スマートフォンをみなさん1台持っているという時代になっているので、これでNetflixを観る人もいますし、もうテレビがなくても、若い人なんかはスマートフォンで事足りちゃうというのがあるので。
レイヤーでそれぞれ時間差で起きてきたイノベーションが、ガチッとはまってきて、動画が来る来る詐欺って言われてた時代から、ようやく本当に来たという状況です。
間下:意外と長かったですよね。
上坂:意外と長かったですね。2回ぐらい(動画時代の波が)来たみたいですね。そういうふうに捉えています。
間下:ありがとうございます。
間下:芳賀さん、なにかコメントありますか?
芳賀:VRに関しては、まず昔デバイスが高かったんですよね。僕がVRをやり始めたのが1990年代だったので、その時ってデバイスを1個買うのに100万とか200万してた時代で。ちょっと前に1台5万ぐらいになって、今だとすべて一体型で2万円台のものが出てきているので、まずデバイスの進化というのが1つあります。
もう1つあるとすると、撮影する機材のほうの変化もあります。昔ってもともとGoProさんぐらいしかVRのコンテンツを撮影する機材というか、テクノロジーを持っていなかったんですけど。深圳を中心にして、カメラベンダーがしのぎを削ったことによって、結果的に昔500万ぐらいしてたカメラが、今は5万円台のカメラでも同品質のものが撮れる時代になってきたので。
この2つがまずVRの動画のところを、なんていうんですかね、現実的にしてきたというところです。
ただ、今ちょっと問題になっているのは先ほど出た5Gでして。VR動画って通常の動画と比べると、容量を4倍から、場合によっては8倍とか16倍ぐらい食うので。VRが、BtoCなどで一般的にものすごく流行るのは、おそらく5Gを待たないといけないのかなと考えていますね。
間下:ああ、なるほどね。ちなみにOculusみたいな、ああいうVRのデバイスを持っている人って(どれくらいいますか)?
(会場挙手)
芳賀:おお……。
間下:感度低いですね。
上坂:すごいですね。2人だけですよ。
間下:2人しかいない?
上坂:うん。
芳賀:おお……。
間下:おお……まだですね。
芳賀:まだですね(笑)。
吉田:(笑)。
間下:もうちょっと時間かかりそうですね(笑)。
芳賀:今はまだBtoBで使っているのが、たぶんメインになるかなと思います。
間下:BtoCで儲けているビジネスというのはまだ(あまりない)……いいところアダルトぐらいですか?
芳賀:あっ、DMMさんですか?
間下:あれどうなんですか?
芳賀:DMMさんは右肩上がりですね。すごい上がっていますね。あそこはすごく売れているというふうにうかがっています。
間下:ああ……モニタリングもされて?
芳賀:モニタリング……。
間下:冗談です(笑)。
(会場笑)
上坂:モニタリング(笑)。
間下:冗談です。すみません。
間下:はい、では吉田さん。
吉田:ちょっとお2人とは違うところでいうと、動画の編集みたいなところに、テクノロジーが入ってきているかなと思っていまして。「動画を作る=お金がかかる」みたいなイメージがあったところが、テクノロジーでかなり解決されているというところ。
例えば、僕らがやっている動画でいきますと、例えば料理をしている時間ってずっと撮りっぱなしなんですけれども、「じゃあどこのシーンをカットしますか?」とか「どこを見せれば一番ユーザーさんが反応しますか?」みたいなところは、テクノロジーを多少使っているんですよね。そもそもじゃあ何の料理にしますかみたいなこともテクノロジーを使っていると。
要は動画を作る上で、今まで職人気質な方々が一生懸命がんばって「この企画はいいんだ」とか、夜な夜なやっていたところが、「そもそもこのシーンが一番見られるから、このシーンでいいんじゃん?」みたいなところが、まずわかるようになってきているのが、1個大きなところかなと思ってはいます。
間下:それは具体的には、どんな技術をどういうふうに使っているんですか?
吉田:過去の視聴傾向が一応全部取れてはいるので。例えば、どのシーンに対してユーザーさんが一番反応が高かったりとか、どのシーンで一番ユーザーさんが観るのをやめちゃったか、というデータが蓄積されてくるんですね。
ですので、例えば料理でいくと、テレビでもよくありますけど、箸上げシズルカットみたいなところは、やっぱり受けがいいんですけれども、調理工程に入るとやっぱり引きが悪くなるなかで、「じゃあ、どうそれを変えればいいのか?」とか「どのシーンだったならば長く見てもらえるのか?」みたいなものに対して、データを使いながらシーンを選んでいくところに、テクノロジーが入りつつあるのは大きい。
ですので人の感性による、夜な夜な編集ルームにこもって「そこカットして」みたいな世界ではもうなくなってきているのが、一番大きいかなと思っていますね。
間下:要は大量に消費され見られた動画の統計データを使って、全部分析して決めていく。
吉田:視聴傾向ですね。「どのシーンがいいのか?」「どのシーンのつなぎであればシーンのまたぎを見てくれるのか?」みたいなところが、そのデータを使うことで少しずつ変わっているかなと思いました。
上坂:けっこう、そこで離脱しちゃうデータとかのほうがむしろ有益だったりしますよね?
吉田:そうですね。本当にそうですね。
上坂:良いやつよりは、悪いやつをデータで収集してというのはけっこう効きますね。
吉田:そうですね。動画をやっていくと、どちらかというと物量作戦なんじゃないかと思われそうなところも、けっこうコンテンツの裏側の視聴データのほうが資産になっていってる。なんか表面に見えているところと、裏側で僕らが大事にしてるものが、けっこう違ったりするかなと思ったりしています。
芳賀:そういう意味だと、うちも視聴データは黎明期からずっと取っているので、やっぱりデータってすごく重要かなと思っていますね。今22万コンテンツぐらいが、うちのプラットフォームを使って配信されているんですけど、まったく見られないものと、見てもらえるものってやっぱりぜんぜん違うので、視聴データって一番重要かなと思っています。
間下:なるほど。ありがとうございます。
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