「将来を考えないとちゃんとした人生を歩めない」は本当か?

小野裕之氏(以下、小野):さぁ。次、どうぞ。

小倉ヒラク氏(以下、小倉):ここからはもうケチャドバだよ。

青木耕平氏(以下、青木):早い者勝ちなんですよ、もう本当に早い者勝ちですよ。

質問者3:初めまして。去年「プロデュースおじさんの会」がありまして……。

小野:ありました、ありました。

質問者3:その時、来られなくて残念だな……。という気持ちだけがありまして。なんで残念だったのかはまったく覚えていなかったんですけど。

小倉:いいね、その感じ。

質問者3:あ! やってる、と思って来たんですけど。

青木:いや、それやばいね。大丈夫ですか?

質問者3:最初、こちらにも出るつもりはなかったんですけど、お酒が入っちゃったので、良いかなと思いまして(笑)。

青木:やってみようって? 何気に素晴らしいですね。何気にもう2本目じゃない?

質問者3:先ほどのカタカナ語で思い出したんですけど、うちの会社はWebの会社なんですけど、つい1ヶ月前の10月に期が替わるということで、みんなが目標とするべき役職を20個設定しました! と急に言い始めて……。

青木:どういうこと?

質問者3:僕もよくわからないんです。「あなた方が目指すべき役職はこれです!」と20個並べられて、UXプランナー、戦略プランナー、グロースなんとか、ディレクティブなんとかみたいな、もう「なにこれ⁉」というのがでてきて、「いや、お前らここを目指していけ! という話をしたことなかったじゃない」という現状になっているんですけど……。

もともと、僕も将来のこととか考えるのが嫌で、上司から「それを考えられないやつが仕事をするべきじゃない」と言われながら、「知らないよ」とか思っていたタイプなんですけど、みんな「将来2、3年先を考えないとちゃんとした仕事とか人生歩めないよ」と言うし……。

青木:言うよね~。

質問者3:それで、面談でぐちゃぐちゃに詰められて「そうですよね! 僕が甘かったです。転職とか考えていた僕が悪かったです」と言って(笑)。

(会場笑)

そんな上司が1ヶ月後に辞めるとか多いんですけど。「なにこれ⁉」みたいな。

(会場笑)

青木:世の常。

小野:世の常ですね。

(会場笑)

新卒入社5年目でふと感じた、30代への焦り

質問者3:その2年、3年先の将来の話をみんな決めなきゃ、決めなきゃ! と言うんですけど、決めなければいけないことなのかな? とぜんぜんわからなくて……。

小倉:なるほど。ちょっとプロデュースおじさんっぽい雰囲気になってきましたね。

青木:良い。すごく良い投げ込みだと思う。どうなんだろうね? ちなみに今おいくつですか?

質問者3:来月で28になります。

青木:さすがにぼちぼち2~3年後がなにか気になるかもしれないし、気にしたくない自分もいるみたいな。

質問者3:そうですね。

青木:そういう頃合いですよね。

質問者3:今、この会社新卒で入って、5年目になっていて、まったくなにも考えずにやってきて、でも、いろいろなことをさせてもらったので、「いいのかな?」とも思ったんですけど。3年後と言ったら30なので、30といったらやばいかもな、と思って……。

青木:やっぱり、グロースなんとか目指さないと……。

質問者3:グロースなんとかも後半の方まったく出てこないんですけど(笑)。そんなのにならないといけないのかな? とか。

青木:先のこと考えているのかな? どうなのかな?

小野:考えてますよ。でも、計画というよりは、2~3年かけないとできないことはあるなと。時間をかけて達成したい、やりたいことがあるなというだけで、自分はその時どうなんでしょう。

僕はそんなに自分に興味があるわけではないので、こんなところでこうやってこういう人と暮らしたいな、というのはほとんどないんですけど、方向性はありますよ。大きくずれたら困るので(笑)。でも、20代後半とか30代前半とかで、むしろ将来のことを考えるのが楽しくなった瞬間として、だいたい、5~6年社会人やっていると、2~3年のルーチン感ってわかってくるじゃないですか?

意外とできることもあるけど、本当にできないときってなにも進まないんだな、ってわかる時に、初めて2~3年のボリューム感がわかってきて、「準備しなきゃ!」みたいなのはすごく思い始めるようになった感じです。

小倉:むしろ社長さん? が、なんでそういうことを言い出したのかが気になる。

質問者3:役職につく言葉をつくったりとか?

小倉:うん。なんでそういうことになったの? なんか嫁と揉めたとか?

青木:そんなわけない(笑)。

会社が急成長し、突然できた20個の“謎の役職”

質問者3:たぶん、僕が入った時は200人とかの会社だったんですけど、5年ぐらいで800人とかの会社になっているんですよ。200人の時は、今まで先輩が隣で教えていたり、鍛えていた感じだったのが、なにかしらシステマチックにしないといけない! と考え出したみたいで、「じゃあどうしよう?」と言って。

監督・監督候補に「考えろ!」と言ってやらせた結果、はっきりしているようではっきりしていない“謎の役職”が20個できて、「これ目指せよ!」と言って……。「誰がこの目標になるんですか?」と聞いたら、先輩は、「それはいないから今から作る!」というような状態になっています。

小倉:たぶん、キャリアパスをちゃんと設定しないと、会社の秩序をおさめられないかも、と思ったんだと思う。良い経営者じゃないですか。

青木:良い経営者だよね。聞いていて両面あるかな? と思っていて。もちろん先のことを考えすぎる弊害もあるし、あとは「人の言ったことにとりあえず乗ってしまうことで導かれるなにか」もあるんですよ。だから、その謎の役職を名乗っちゃうかな。

「俺、グロースなんちゃら目指します! よくわからないけれど……。」みたいな感じで言ったら、気がついたら本当にグロースになるのかはわからないけれど、どこかには行くんですよ。たぶんここじゃないどこかに運ばれていくこと自体は、僕はとても良いことだなと思う。

それで給料が増えるのか減るのか、みんながほめるのかほめないのかはわからないけれど、今28で、今いるところに20年後もいるみたいな。それが会社がということではなくて、自分の精神的なステージが20年後もそこにあるということだけは……。

例えば3歳の子どもがいて、「今がかわいいから、20年後もお前はそのままでいてくれ」と親が言っても、20年後もそのままだったらぜんぜんかわいくないのと一緒で、ここじゃないどこかにいかないと健全じゃないですよね?

質問者3:はい。

何をやるにしても、やらされ感ではなく「機嫌よくやれるかどうか」

青木:そのための方法ってたくさんあって。1つは、ご質問者さんがおっしゃっているように、とくに先のことを考えないで、今目の前にあるやるべきことをどんどんやっていたら、気がついたら、ずいぶん遠くまできたな、という方法もあります。例えば、いろいろな人に影響されまくって……僕が起業すると決めたきっかけが、『金持ち父さん、貧乏父さん』という本、わかります? あれ、日本中の人が読んでいますよね?

金持ち父さん貧乏父さん

小倉:上半身裸の!

青木:いや、それなにか間違ってない?(笑)。

(会場笑)

絶対違う本だよね?

小倉:上半身裸でジーンズでたばこ吸っている人じゃなくて?

青木:それ知らない。

小倉:ハワイのなんかじゃなくて?

青木:ハワイのロバート・キヨサキさんという人が書いた本。日本中が読んでいますよ。あの本に「起業したほうが良い」的なことが書いてあって、「あぁ、じゃあ起業しよう!」と思ったり。僕は最初インターネットの分野とぜんぜん違うところで起業していたんですけど、2005年に梅田望夫さんという人が書いた日本中の人が読んでいる『ウェブ進化論』という本があって、「これからWebじゃん」と思って、自分が経営していた会社を退任して、今の会社を作ってインターネットで商売する、となってしまったんです。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

だから、ぜんぜん自分で考えていないんです。みんな世の中で読んでるベターな本を読んで、まんま影響を受けてやっているだけなので、そういう意味で、そういうふうな人でも、なにかすることによってインプットが入ってきて、インプットが入ってくれば、それをもとにそこから考え始めるじゃないですか?

だから結論、なんでも良いと思うんですよ。ただ、重要なのは、「機嫌よくやる」ということかな。「俺、もう絶対グロースとかやりたくないんだけれど、やらされている」と思っていたらやめた方がいいと思う。グロースなんとかって、なんか肩書きがかっこよくない?

(会場笑)

ちょっと名刺に書きたいかも、と思ってやれるなら、けっこう良いところにたどりつくと思う。僕だったらそういう感じかな。

「不確実性に賭けることは確実である」

小倉:僕は、29~30歳になるときに人生の転機が訪れまして。経営に失敗したという話もいろいろありつつ、10年間デザイン会社をやっていたんだけれど、本当は微生物が好きになりすぎて、デザインの仕事が手につかなくなって……。

(会場笑)

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