忙しくて子どもと過ごす時間がない

福武英明氏(以下、福武):質疑応答ということで、できるだけ多くの方の質問を受けたいと思います。質問したい方はどれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

多いですね。では、簡潔に質問を言っていただいて、あとは誰に聞いてみたいかも言っていただければと思います。

司会者:では、マイクを順番に回しますので、みなさまお願いします。

福武:みなさん答えたい質問に答えていただくか、指名されたらぜひ答えていただければと思います。

質問者1:ありがとうございます。本日は貴重なお話、ありがとうございました。

私たちはGLOBISで週末などの空いた時間を使って学びをしています。子どもにいろんな経験をさせることが重要だとわかっているのですが、やっぱり自分が忙しくて子どもと過ごす時間が取れない悩みがあります。大人が時間が取れないことに対してどのようにしていけばいいか、アドバイスがあればお願いします。

福武:ありがとうございます。では、次の方。

質問者2:ありがとうございます。では、手短かに質問させていただきます。昨今、ダイバーシティ・インクルージョンということがあります。一方で、子どもの教育を考えたときに、結局、親よりも外部環境や学校の環境の影響を受ける部分が多いと思うんです。ですが、学校の先生がそういう環境の変化についてこれていないと感じているんです。

それに対して、ここに集まっている志の高いGLOBISの人たちが取れる行動とは何かを考えたのですが、みなさんはどう考えていらっしゃいますでしょうか?

福武:ありがとうございます。この人に聞いてみたいというのがあれば、言っていただければと思います。ありますか?

質問者2:あえて山口さんに。

福武:はい。ありがとうございます。

質問者3:どうもお話ありがとうございます。山口さんか高濱さんにお答えいただきたいのですが、先ほど山口さんのお話の中で「幼年期のうちにwillを育てることが大事だ」ということがありました。それに対して親や周りができることを、もう少し詳しくお聞かせいただきたいなと思いました。よろしくお願いします。

福武:ありがとうございます。

お金に関する教育がタブーとされる現状について

質問者4:私も山口さんに質問です。2011年、2012年、「スタディサプリ」を出されて、すぐに100万人会員になったと思います。当時、高校講座といえば進研ゼミがシェアNo.1でしたが、逆に進研ゼミの会員数が半分に減ってしまった。明らかにデジタルディスラプションを起こされたと思うんです。

ただ、進研ゼミはデジタル化できなかったわけではなくて、デジタル改革しようと思っても、顧客がiPadを使わせたくないとか、そういったかたちでデジタル改革できない状況だったと思います。そこにうまくリクルートさんが入り込まれたと思うのですが、逆に山口さんがベネッセさんの立場だったら、どんな戦略をとられたかをぜひ聞かせていただければと思います。

福武:はい。ありがとうございます。対ベネッセ戦略ということでよろしくお願いします。

(会場笑)

質問者5:高濱さんにお聞きしたいのですが、公立の小中の役割についてです。多様性という意味では、やっぱり公立が一番いいのかなと僕は思っているのですが、一方で先生のなり手がいないなかで、やっぱり先生の質が低いという問題もあります。多様性以外になにを公立に対して求めればいいのか、ぜひお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

福武:ありがとうございます。

質問者6:山口さんにご質問したいと思います。「何をやりたいか」を問われ続けると、なかなかそれがうまく表現できないときにwill(やりたいこと)じゃなくて、ついついmust(やるべきこと)を書きがちになるかと思うんですね。それに対してどのように働きかけるといいのかを教えていただければなと思います。

福武:じゃあ次の方で最後です。

質問者7:お話ありがとうございました。聞きたいテーマがあるので、お得意な方に答えていたければと思います。私、公認会計士をしているのですが、今はお金に関する教育がすごくタブー視されていますよね。拝金主義がダメだとか、稼ぐことがいけないことみたいなことに対して、もっと教育を変えていきたいなと思っているんです。

人生100年時代の中で、私たちが子どもの頃にそういうことを習わなかった中で、どうやってそこを上書き保存していけるような教育ができるでしょうか。そういったアイデアがある方がいらっしゃったら教えてください。お願いします。

福武:ありがとうございます。

現代において「良妻賢母」は幻想だった

福武:じゃあ最初に高濱先生のほうから。

高濱正伸氏(以下、高濱):言えるだけ言いますね。まず、(自分のメモを見て)自分の字が汚くて読めないという壁に……。

(会場笑)

(質問の中で)働くお母さん論的なやつがありましたよね。忙しくて時間がない。確かにGLOBISへ来るお母さんは典型的にそうだと思うのですが、実は働くお母さんだからできることについて、もう1冊書き上げているんです。4〜5年研究したんですよ。

やっぱり我々もまったく良妻賢母幻想、「お母さんは家に待ってて『ただいま。おかえり』って言うべきだ」みたいもので育った人間です。ところが、現実にはまったくそうじゃないということが見えてきたんです。

なにが必要な要件かと調べたのですが、やっぱり時間がない、忙しい、それがどっちも中途半端になっている自分的なところで悩んでいたりするんですね。子どもの言い分を集めると、実はこのことだけに答えると、一生懸命なお母さんであるだけで必ずいいことが起こっています。

「時間がない」というのは、例えば、誰でもいい、ピクスタの古俣(大介)君という社長がいますけれども、彼のお母さんは働くお母さんだったと言っていました。お父さんが1回仕事を失敗したんですね。これは書いてあることなので、言っても大丈夫なことです。

そうすると、お母様が仕事を1つ起こして、毎日夜20時に走って帰ってくるんですね。弟と2人でずっと待ってるんだけれども、帰ってくるお母さんの足音を弟とどっちが最初に聞くか、足音が聞こえたら「お母さんだ!」と言う。その走ってくる足音を聞くたびに「ああ、俺たちのために走って帰ってきてるわ。お母さん」と思う、それがすごい自信になりました、と言うんです。

これは1つどうでしょうか。子どもはそこを見てますよ、ということです。(子どもと接する)時間の総量ではないんですね。

もう1つ言うと、1日5分でいいので、19時50分になったら「お兄ちゃんおいで」と、55分には真ん中の子、20時には下の子みたいにして、スキンシップの時間を、心がけじゃなくて予定にしてくっつく時間をつくってあげる。現場感として、これはけっこう効きます。これは(会場のみなさんへの)おみやげです。

放置された時間で、人間は一番育つ

高濱:それから、幼少期のwillは僕のほうでは答えは出ています。もうまさに「無限キャンバス論」ですけれど、異学年で異性込みで、できれば自由な外遊びですね。自由に外へ出て、ずっと放っておけば、必ず子どもたちは遊びを開発するんですよ。

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