2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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小幡和輝氏(以下、小幡):小幡和輝と申します。僕は、地方創生会議というイベントを主催しています。サミットみたいな感じなんですけれども、和歌山県の高野山というところで47都道府県すべての地域の起業家や政治家や学生など、いろいろなかたちで地域で動いている人が集まる場所をやっています。こんな感じですね。(スライドを指して)これは昨年の6月です。
最初はクラウドファンディングでお金を集めて、企画を立ち上げました。
400万円くらいのお金をいただいたんですけれども、例えば、(スライドを指して)こういう方々が参加してくれてます。宮崎県日南市の﨑田(恭平)市長や、起業家さん、イケハヤさんのような個人の方など、いろいろな方に参加をいただいています。
ちょっと自分の話をすると、起業家として事業をしているんですが、例えば、いまはヘリコプターを事業化しようと準備をしています。高野山って、遠いんですよ。関西空港から高野山まで、2時間くらいかかるんです。それよりヘリで15分で行けるでしょという企画を作っていまして、お金をいただければヘリを指定できる状態まできました。今はヘリポートを作っていて、これからインフラとして、ヘリの観光インフラを作っていこうとしています。
あとは、僕だけじゃなくて起業家が増えたほうがいいなということで、ファンドを作りまして、いま、1億円を運用しています。この中で、地方創生で起業したいという方がいたら、もしよかったら連絡をくれれば投資するかもしれません。
小幡:また、内閣府から、地方創生の専門家として「地域活性化伝道師」という肩書きをもらっております。そういう感じでいろいろな活動をしていますが、今日は仮想通貨ということで、新しく話を持ってきました。
まだ公開していない情報を持ってきたんですけれども、実は僕、仮想通貨を作るところに関わっています。
JCTという新しい仮想通貨を作ろうというプロジェクトが立ち上がっていて、『Discover Japan』という雑誌とパートナーを組んで動いています。海外の人に日本のコンテンツを広めていけるようなシステムを作って、そのシステム上でも通貨を使える、というものをいま作ろうとしています。
実は、9月1日に海外の取引所で上場していて、もうイーサリアムと交換して買えたりします。まだ、プレスリリースできていなんですけれども、こういう企画が立ち上がっていて、もしよかったらJCTを覚えていてもらえると、「あの時しゃべったやつか」となるかなと思っています。
あまり関係ないんですけど、本が発売しております。もしよかったら買っていただけるとうれしいです。漫画になっております。そんな感じで今日はいきたいと思います。よろしくお願いします。
正田英樹氏(以下、正田):chaintopeの正田でございます。私は、「地方創生ICO」という新しい造語のようなものを作りまして、ICO(Initial Coin Offering:新規仮想通貨公開)が昨年頃にいろいろといい意味でも悪い意味でも問題になっているなかで、「なんかこれが地域創生で使えないかな」という思いで動き出しています。
すでにお聞きになっている方もいるかもしれませんが、西粟倉村という1,500人くらいの村がICOするということを発表しまして、たいへんな反響をいただいています。
あとでまた少し話せればと思いますが、これによってまったく新しい構造ができます。自治体がICOすると、今までの自治体の運営ではない、まったく新しい構造になります。ここに書いていますけど、企業はIPOできますが、自治体はIPOできません。自治体がIPOするようなものだと思っていただきたいです。
自治体は今まで分配予算で、最初に決められた予算で運営していたんだけど、その決まった予算じゃなくて、自分たちのがんばりによって自分たちの町の価値が上がる。企業でいえば、IPOすることによって株が上がる、企業の価値が上がるように、自治体の価値が上がるというモデルができるのは画期的だと思います。
それによって、3つポイントが挙げられます。自治体が日本全体、また世界に対して魅力をアピールできる。そしてそのコミュニティができる。それと、自治体がおもしろいということで、一所懸命UターンやIターンと言っていますけど、惹きつけて自治体に新しい地域の企業が生まれる。
それと、私もブロックチェーンや仮想通貨などをあつかう テクノロジー企業(の人間)なんですけど、この関係性資本というのは、あとで時間があればじっくりお話ししたいんですが、日本円では表現できない価値です。
日本円ではお金には色がないんですが、日本円に仮想通貨を使って色をつけて、人と人との関係性や、人本来の価値というものをお金で示せないかということにいま挑戦しています。日本円だけではできないことができるんだというのが、1つ理由だと思っています。(スライドの)次のページお願いします。
西粟倉もこれでやっているんですが、(スライドを指して)この構造です。自治体は自治体のお金を直接牛耳るんじゃなくて、運営する団体として、財団法人・社団法人を別に作って、そこがトークンを発行して世界からお金を集めます。トークンというか……まあ、トークンで整理します。
そして、それを支援する団体があって、自治体は(スライドの構造の)下にあるようなさまざまな地域で挑戦する企業とか、そういうものを認定する。そこに集まったトークンを換金して実際にお金を配る。できあがったサービスを、世界中の人がトークンで受けることができるというものを作っています。
1つの自治体だけじゃなくて、さまざまな自治体がそのトークンを発行することで、よりシームレスに交換できて、各地でその地域に合ったサービス、その地域にいま受けてもらいたいというサービスをトークンで支払えるという仕組みを作る。我々は一生懸命、テクノロジーを開発しているという状況です。
時間があれば話したいんですけど、(ICOには)ステップがあって、いまこの瞬間、日本はICOできなくなっているんですけど、金融庁と提携してるのか、明確ではありませんけど、もう間もなく決まってくる。そうすると、年末なのか年始なのかそのくらいになったらいよいよICOができる。
その前段階で資金調達をして、まず基本的なコミュニティを作って、地域通貨を発行して、そして動き出す。そのあと、実際にホワイトペーパーを公開して、ICOして、世界からお金を集めるというモデルになるかなと思っています。時間ですのでいったん以上で終わります。
小幡:ありがとうございます。じゃあ、川田さんお願いします。
川田修平氏(以下、川田):はい、こんにちは。フィノバレーの川田と申します。いまは、みなさん、アイリッジという会社のほうがご存じかもしれないんですが、(フィノバレーは)アイリッジという会社の中でフィンテック関係の事業を子会社にして、この(昨年)8月にできた会社です。できたてホヤホヤの会社になっています。
何をやっているかというと、電子地域通貨というのをやっていて、有名なところでいくと「さるぼぼコイン」という、飛騨高山でやっている地域通貨なんですが、そういったところをやっています。
我々は残念ながらブロックチェーンをやっている会社でもなく、仮想通貨をやっている会社でもなくて、もともと地域の課題というところに対して、フィンテックをどう使えるかというのを中心にやってきました。
そのなかで、地域の課題でいくと、やはり人口の問題がかなり大きくて、三大都市圏、特に、東京圏に(人口が)集中している。人口が減って少子高齢化が進み、そうなってくると、統計的に調べていただけるとわかるのですが、地域の生産人口と言われている15歳から65歳の人口が、東京が減るよりもどんどん地域の方が減っていて。
地域の経済というのは、生産人口と比例しやすいところなので、地域の経済が伸び悩んでいるというなかで、地域の中で生まれたお金をどうやってまわしていくかということを、地域通貨を使ってなにか解決できないかなという活動を我々はやっています。
もう一つが、最近、中国の方も含めてインバウンドの観光客が地域にいらっしゃるケースが増えているので、そういったところで地域としては外貨を稼いでいきたい。ですが、そこでボトルネックとなっているのが、クレジットカードを扱えるお店の割合がなかなか低いということで、さるぼぼコインを開始する前の飛騨高山でも2割弱で、限られたところでしかクレジットカードが使えない。
なぜかというと、クレジットカードを使うための決済端末や、決済手数料がどうしても高止まりしちゃうので、なかなか取り扱いができないんです。そういったところを新しい取り組みで、もう少し安く手軽にできないかなという発想でやっています。
我々はいろいろな地域で活用できるようにというかたちで、プラットホーム型、SaaSとまでいかないんですが、そういったかたちでMONEY EASYというパッケージでいろいろなところでやっています。
コインに日本円からチャージができて、QRコードを使って支払いをするところが目立つんですが、地域通貨で一番大事なところは、加盟店間での送金機能です。BtoBの取引、言い換えると、お店が受け取ったコインを日本円に戻さず、コインのまま仕入れの支払いに使って、地域の中でお金が本当にぐるぐる回っていくところを体現していく。それが非常に大事なところです。そのような状態には、すぐには到達はできてないんですが、そこに向けて一歩一歩進んでいるという状況です。
飛騨高山って、東京から片道だいたい4時間半くらいかかる遠いところなんですが、もう少し身近なところ、東京のそばだと、10月1日から、千葉県木更津市で、「アクアコイン」という取り組みを、地元の金融機関さんと木更津市(自治体)に完全にバックアップいただいてやっています。そういったところが新しい取り組みになっております。僕はこれで以上です。
深山:僕はスマートバリューの深山と申します。新規事業の開拓をやっているチームのリーダーなんですが、僕がやっているのは、オープンガバメントと呼ばれる住民と行政をもっと近づけて、住民が行政に参加をしていくというモデルがあるんですけど、それを推し進めることです。
シビックエコノミーと呼ばれる、日本語で言ったら「市民経済」なんですけれども、市民活動がまるで経済圏かのようにまわっていくような仕組み、もうちょっとわかりやすくいく(ような)享受の仕組みを作るところや、ソサエティ5.0に関連したこととか、コミュニティなどをやっています。僕は栄養士でもあるんですね。いまはそっちの仕事はしていないんですけど、もともとポリフェノールの研究もずっとやっていました。そういう属性です。
ちょっと次(のスライドに)いってもらって、会社の紹介であんまりおもしろくないので次(のスライド)にいってもらって。僕がやっているオープンガバメントというのは、最初ベタベタでやっていたのはWebの事業なんですね。自治体さんの公式サイトなどをやって、いま、自治体さんとの契約が400自治体くらいです。
別にWebサイトをやりたかったわけではなくて、地域に眠っている情報がめちゃくちゃありすぎて、情報の非対称性がめちゃくちゃ起きている、と。それを解消したかった。
ただ、これをいまやっていて、400自治体というのは(数としては)けっこうきたんですけど、次(の段階)があって。オープンガバメントでは透明性がある状態、情報の非対称性がなくなった状態がでてきたあとには、今度は「参加」というところに移っていく。「参加」というと、モチベーションが必要だったり、インセンティブが必要だったりするんですよ。
ここで僕たちは、ブロックチェーン、ビットコインのような自立的に回っているコミュニティの行動、マイニングという行動が自発的に起きているというところに注目しています。そういった自発的な活動が起こる状態を作るシステム形成や、ブロックチェーンが使えないかということで、ブロックチェーンに注目しながらやっています。
そのために加賀市というところを、実証フィールドにしようと思っていて、ブロックチェーン都市宣言というのをやらせていただきました。
それ以外に、モビリティーIoTの取り組みもしている会社です。今回は、地域通貨や仮想通貨という切り口なので、僕からお伝えするところとしては、今後、地域通貨がどのようなところに使えるのに着目しているのかをスタンスとしてしゃべっていきます。
地域に参加していく。そういうのをコミュニティにおける「ナッジ」と言うんですけど......肘でコツンとつくと人って動くじゃないですか(それを英語でnudgeと言います)。
そういうナッジを効かせる行動で少し変容させて、その変容を増やしていくことで、地域をよいコミュニティに変えていくというところにいっぱい使っていけないかなと注目しています。少なくともそんな感じというところで、今回は時間がないので、僕のプロフィールはおしまいにしたいと思います。以上です。
小幡:ありがとうございます。じゃあ、これを使っていきましょう。随時、「いいね」という感じで押してもらえたらなと思います。次にいきたいと思いますが、仮想通貨、地域通貨っていろいろなメリットがある。手数料が安いなど。
ただ、僕がすごく感じるのは、「よく自治体が動いたな」ということです。僕は和歌山県にいて、仮想通貨は関心があって、いろいろやりましょうよと提案したんですけど、和歌山に関してはなにも動かなかったんですね。
苦労話とかいろいろあったなと思うんですけど、その辺は、みなさんからいただけたらなと思うんですが。我こそは(という方いらっしゃいますか)(笑)。
正田:いま、地方創生ICOというものをやっていて、確かにどこから話しにいくか悩んだんですけど、要素が揃っていないといけません。まず1つ目に重要なのが、地域に張り付いてすごく頑張っているNPOや地域活性をやっている団体や、民間のキーパーソンが必ずいるんですよ。そういう人がまずいるかどうか。それと、組長さん。地域の組長さんがやっぱり前向きじゃなかったり、ミドルクラスの方がデーンといたとすると、これは難しいですね。
それと、外から応援できる仲間たちがいるかという、3つがないとまず動かないですね。だから我々も最初は全然空ぶっていますね。 私は福岡県の飯塚市に住んでるんですけど、なかなかかみあわないんですよ。
やはり、西粟倉村にA0(エーゼロ株式会社)の牧(大介)さんというすごく尖った人がいて、彼は村長さんと一緒になって町作りをしていました。そういう人がいないと、まず難しいと思います。
小幡:それはすごく感じる。川田さんのところは、ほぼ民間ベースでやってこられた?
川田:そうですね。アプローチが飛騨高山と木更津では違うんですが、基本的に、間に金融機関さんが入っている形です。正田さんがおっしゃったことにすごく同意で、成功させるために重要なのが、やはり地元の有力な信頼置かれている人が、力強く推進することです。地域通貨って2000年前後にすごく流行って、1,000くらいの事例があるんですが、見てみるとうまくいかなかったのが大半。
なぜかというと、大半が言葉が悪いんですけど、NPO団体だと組織が脆弱であったり、自治体がやっても年度の予算などの制約があるために、長い取り組みはしにくかったりする。そのあたりをどうしたらいいのかという発想でいくと、地元の金融機関といった企業が、ビジネスとして地域通貨をまわしていくのであれば、成り立つのではないかなと我々は思っています。
もう1つは、こういうのは金融のインフラなので、スタートして数ヶ月ですごく浸透し、ブレイクイーブンまで持っていけるかと言うとそうではない。やはり数年かけて浸透していくようなことなので、短期的ではなく、長期的な取り組みをしっかり計画できないとなかなか難しい。最初の数ヶ月で息切れするケースが大半かな、というのがあって、そういったところに非常に苦労したというか……。
小幡:いま、使われているのはどれくらいですか?
川田:あまりオープンにできないんですが、数字を丸めさせていただくと、800くらいの店舗に協力いただいていて、地元のお金が払える拠点が推計で4,000くらい。去年の12月にスタートしたんですが、だいたい2割くらいのお店にはご協力いただいているような感じです。
小幡:なるほど。わかりました。
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