2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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廣瀬一海氏(以下、廣瀬):ここで話の方向性を変えてみます。今までどのような案件をやってきましたか? 2018年を振り返ってみて、どんなトレンドがあったかを含めてお聞きしたいです。
テクノロジー的な部分でのトレンドも触れていきたいと思っています。さきほどのように、プロダクションにいくことも1つのトレンドだと思いますし。そういう意味では、小宮山さんが感じているトレンドはブロックチェーン界隈にありますか?
小宮山峰史氏(以下、小宮山):同じことになるかもしれないですけど、プロダクションにする過程においてブロックチェーンだけでシステムは作れません。必ずその周辺にいわゆるSI的なものが付きます。そこの部分が当たり前ですけど大きいんですね。
典型的なのはブロックチェーン上でどうやって検索をするかは、いろいろなデザインパターンがあると思うんですけど、それが今試されているというか。
秘密鍵をどうやって保存するのか、どうやってブロックチェーン上に個人情報を載せるのかといった場合、秘匿化して完全に隠すデザインパターンなどは試されていて。それをずっと案件ごとにやっていると。トレンドというか、実用化に向いている感じがすごくします。
廣瀬:確かにそうですね。志茂さんはどうですか? お詳しいと思いますが、2018年はテクノロジー的にどういうブロックチェーンのテクノロジーのトレンドがあるのかをお聞きしたいです。
志茂博氏(以下、志茂):世間的にはスケーリングの話がけっこう盛り上がっています。ビジネスサイドの課題から言うと、実はスケーリングはあまり問題じゃなくて。
スケーリングが必要なビジネスモデルには必要だと思うんですけど、そうじゃないことをやればいいだけの話なので。スケーリングが必要ないところはあまり関係ないと思っていて。そういう意味で言うと、課題がいろいろあるのかなと思っています。その辺の解決ができていないところがあると個人的には思っていますけど。
廣瀬:中村さん的にはブロックチェーン界隈で注目しているテクノロジーはありますか?
中村誠吾氏(以下、中村):ブロックチェーン界隈で言うと、パブリッククラウドのブロックチェーンサービスですかね。マイクロソフトさんのAzureのブロックチェーンサービスもそうだと思うんですが、各パブリッククラウドがブロックチェーンのサービスを出してきている状況は、我々にとってはいいことだと思っています。
これまで私たちは自前でブロックチェーンの環境を作って、ブロックチェーン上でいくつかの案件を動かして、そこで実績を積み上げて品質を高めていく活動をしていたんですね。
もちろんブロックチェーンサービスがあると導入の期間も短縮できますが、いろいろな利用者がブロックチェーンのサービスを使うと、個社ごとに実績を積み上げるのではなくて、例えばAzureのブロックチェーンサービスを使っている実績がどれだけあるかを、個社ではなくいろいろな企業が実績を積み上げることができるじゃないですか。
それによって信頼性もどんどん上がってくるので、我々にとっては品質の高いブロックチェーンサービスを使える環境が整ってきた印象があります。
廣瀬:そうですね。さすがに3年経ったという事情もあって、メジャーなブロックチェーンテクノロジーは一通り揃ったと思っています。イーサリアムのPOA(注:「Proof-of-Authority」、権威による証明)も出てきています。
最近、私も注目しているんですけど、オンチェーンですね。Ontology(注:新しい高性能パブリックブロックチェーンプロジェクト)なども出てきています。GoChain(注:イーサリアムで作られた分散型アプリケーションのサポートをする仮想通貨プロジェクト)も入ってきました。このあたりは一通り、確かにサッと挙げられるようになったなと。
引き続き中村さん、2年前と比べて2018年は変わったところを教えてください。「自分の課ができた」とか、そんな感じで(笑)。
中村:テクノロジー面で言うと、さきほども申しましたブロックチェーンのサービスが1つあります。それと、やはりブロックチェーンだけじゃサービスできない。
これから引き続き整備されていくとは思うんですけれども、サービスとして組み立てるために必要なブロックチェーンの周辺を含めたアーキテクチャもだいたい固まってきた印象は持っていますね。
まだ標準化までいっていないと思うんですが、各社さんはテーマやアーキテクチャは保有している。知財として貯まってきている状況になってきている印象があります。
廣瀬:志茂さんとは、3年間一緒にいろいろな案件やってきてますけど、2017年と比べて「ここが変わってきたなぁ」と案件をやりながら思うところはありますか?
志茂:一番初めはみんなエンタープライズといったらプライベートブロックチェーンが当たり前という時代があったと思っています。最近、パブリックブロックチェーンを使う案件ができるのが実証されてきたのかなと思っています。そういった系統の実装が進んでいると思っています。
パブリックブロックチェーンでできないことはたくさんあります。それもプライベートブロックチェーンとくっつけることや、普通のAWSにくっつけるのかということですが、そのあたりでなにをトレードオフにして、どこになにを実装するのかの知見が貯まってきています。実際にサービスを動かせる状況になってきたのが、一番の違いだと思います。
廣瀬:マイクロソフトの中でも、私もパブリックブロックチェーンを使うケースが増えたと正直思っています。実際にパブリックブロックチェーンに対して、Eメールの添付ファイルのハッシュ値を自動記録しておいて、届いた人がパブリックチェーンからハッシュ値を参照できる。
そうすることで「このファイルは改ざんされていない」と検証できるユースケース感も出始めています。これはパブリックだからこそできる使い方だと思っていたりします。小宮山さんはどうですか?
小宮山:そうですね。PoCじゃなくなっていて、かといって単独のアプリケーションでこれをやりたいというわけでもないです。もっと大きなことを考えているのはすごく感じています。
さきほどのキーノートでもあったと思うんですけど、今ブロックチェーン革命が起きているんだと明確には言わないかもしれないですが、「ここに乗り遅れちゃいけない」という感じをみなさん持っていて。それをやるには「なにをすればいいんだ」みたいなかたちで始まる案件がけっこう多くて。
具体的なアプリケーションを探しているというか、ブロックチェーン革命の自分がメインプレーヤーになる、Amazonになる意志を持ったお客さんが、強い意志を持っている。そういうフワッととしたものは感じていて。けっこうミーティングが浮ついた感じになるんですね。
廣瀬:あー、なんとなくわかります(笑)。
小宮山:ふわふわした未来のことを言うと盛り上がるってことは、2017年にはなかったと思います。「そもそも使えるのか?」みたいな話だったと思うんですけど。
廣瀬:プラットフォーム化するときのテクノロジーとして、コンソーシアムを主催する立場としての話が増えましたよね。
小宮山:そうですね。中間というか、つないだりしました。我々のビットフライヤーとしての目的も、個別のアプリケーションよりは、ブロックチェーンが基盤になってほしいと思っているので。そういう発言はしているので、コンソーシアムを主催することは成長しているのかなと思います。
廣瀬:生々しいですけど、もともとそういうプラットフォームを持っている大きな企業さんがあるじゃないですか。そういったところも取り組んでいることは、やはりあったりします?
小宮山:そうですね。そういうお客さんに対して、基盤となる技術としてブロックチェーンを使ったらというような相談が向こうから来たり、こっちから提案したりします。そこからふわふわ始まって盛り上がることはすごく増えているなと思います。
廣瀬:マイクロソフトの中で、実はこれもプラットフォームの一種だと思います。NASDAQと各証券取引所を接続するための「NAテック」というSDKの開発キットだと思ってください。接続するための部分をAzureのブロックチェーンを使うことが発表されていて。
穿った見方をすると、ツールを別にこんなことしなくたっていいじゃないかと思いますが(笑)。こういうプラットフォームをすでに持っているところも、ブロックチェーンに対して活用方法を模索していると感じる1年でした。とくにそういったことを具体的に推し進めるのが2017年のころと違うなと。
各社みんな、PoCは当然ながら経験してきていると思うんですけど、小宮山さんはとくにプロダクションしているものをいくつかお持ちなので、生々しく聞いてみたいんですけど。失敗を恐れずに、PoCを超えるためってどうしたらいいでしょう?
私もそうなんですが、大量のPoCを相手しているんですよね。そういった中で3つプロダクションしているというシステムをもってらっしゃるので。これはすばらしいことでして。なにか違いはありますか? 「お客さんが違う」でもいいですよ(笑)。
小宮山:結局さきほどと同じことなんですけど、単独の企業が使うアプリケーションではなかなかブロックチェーンの強みを生かしきれないと思います。たまたま当たる分野はあるのかもしれないですけど。
とはいえ、うまくいきそうなものとしてはやはり大きくしていく。普通は意識しない基盤をブロックチェーンであると意識してもらう。そうすると大きな目標やいろいろなアイデアが出てきて。「順次やってみたい」となると思われますよ。
もしくは完全に割り切る。データベースを使う際にOracleを使われているのかSQL Serverを使われているのかは多くのユーザーは意識しないじゃないですか。
そういった意味合いで結果としてブロックチェーンを使ったことでうまくいく事例もある。。そういう両方の例を我々は持っていて。アリだなという(笑)。
廣瀬:若干話が脱線しちゃうんですが、ブロックチェーンに適したユースケースやビジネスモデルとよく言うじゃないですか。このあたりは既存の企業における業務とやはり合わないと思いますか?
小宮山:規模だとは思うんですね。例えばエンドユーザーがたくさんいる場合には無条件に合うと思いますね。100万人、1,000万人いれば使い道があると思いますし。
そうじゃなくても、一企業で終わらずに業界でやるシステムであれば、そもそもブロックチェーンじゃないとやはりうまくいかないと思うので。だからコンソーシアムという意味になるんだと思いますし。社会基盤としては、すごく強いユースケースであるんじゃないかなと思います。
廣瀬:志茂さん、そういった話の中で今ユースケースの話がありましたが、どうでしょう? PoCをやりながらユースケースが間違っているお客さんはいたりするものですか?
志茂:正直かなりあるかなと思いまして(笑)。ニュースメディアで「ブロックチェーンとは何か?」みたいなものを見て、例えば「データベースです」というニュースだった。「じゃあ、データベースだから複雑な検索ができるんだよね?」みたいな話など。
廣瀬:ありますね。
志茂:そういう、ちょっとした知識から「こうなんだろう」という無意識の前提がたくさんあるんですね。ですが、ブロックチェーンは落とし穴がたくさんあると思っています。設計が非常に難しいんですよね。要求仕様を作るというか。何を作るべきかが非常に難しくて。
個人的には、この点はプロに任せたほうがいいんじゃないかなと思います。任せたした場合、「それはブロックチェーンでは実現が難しいんじゃない?」みたいに言われることが、多くなると思うんですけど。なので、どのようなことでブロックチェーンを使うのかが非常に難しいと思っていて。そこは、ちゃんと誰かに相談するか、ちゃんと揉むか。
すごくちゃんとやる企業さんだと、やはり何ヶ月もかけてどんなユースケースがあるのかを全部調べて、これはブロックチェーンを使う意味あるのかないのか、もっとも効果的なのはこれなのかなどが、ちゃんと調べて決めている。
ちゃんと調査、検討してから「じゃあ、これをやりましょう!」みたいな感じでやると、ものすごくいいものができあがってくる。ですけど「ブロックチェーンってこんなもんだから、こんな感じでいいじゃないか?」みたいな感じだとかなり修正が必要になる可能性が高いです。
廣瀬:私も実際ご相談にのっていても多くて、一番わかりやすいのはデータベースと誤解したうえで聞いてくるという。それだったら「普通にデータベース使ったほうがいいです」と(笑)。
よく僕がお話ししているのは、諸手を挙げて信頼関係を結ぶわけにはいかない企業間同士で、お互いがちゃんと信頼したという記録を残せる共有場所をブロックチェーンで作ろうという話をしているんですね。
それが実際に広がると、6社でコンソーシアムを作るのもいいと思います。例えば、トレーサビリティみたいに、製造した次の行程に輸送した事業者がいて。その輸送した業者を信頼できる記録のためには(ブロックチェーンが有効に)使えます。こういったことをよくお話させてもらっていますね。
今言ったデータベースの誤解など、お客さん関連で中村さんは何かあります?
中村:そうですね。データベースという誤解よりは、みなさん話されたので、もうあまり話すことがないんですけども(笑)。コンソーシアムは、やはり1つのキーワードになってきているのかなと思っています。
さきほど、「実証実験をまずは自社でやってみましょう」という話をしましたが、描かないといけないのは自社でやるとしても、最終的なゴールとして、いかにコンソーシアムを組むか、どれだけのステークホルダーがいるのかをしっかり描くべきなんですね。実証実験は(規模が)小さいところはあるんですけれども。
ブロックチェーンのメリット自体は、ビジネスプロセスを分散させことだったり、モデル自体を分散させることです。そこがやはり一番難しいところかなと思います。実証実験自体は小さく始めないといけない。でも描くものは大きく描かないといけないジレンマはあるという印象を持っています。
なので、よく言われるような、「これブロックチェーンでやる意味あるんだっけ?」「これコスト下がるの?」といったところの答えを常に大きな絵を描きながら探すことが必要なのかなと。かつ「これによるユーザーメリットは何なの?」みたいなところは当然描いていくかたちになるかなと思います。
廣瀬:ちなみに、これもコンソーシアム的なユースケースで。僕が勘違いしてたらあれですけど。(中村氏に向かって)電子バウチャーを喜多方でやってらっしゃるんですよね? これはどのようなプロダクトですか?
中村:現段階では、規模を大きくしすぎずに実証実験をまずは自社でやってみるところに近いかたちですね。この「キマ☆チケ」というサービスは喜多方地方を対象にしてラーメンのチケットを発行するものです。ラーメン店自体はすごく小さいものなので、そんなに販売チャネルを持っているわけでもないですし、自分たちでマーケティングしていくにも限界があります。
今後のコンソーシアムの広がりで狙っているのは、チケットである「バウチャー」を自分たちが発行します。それを販売する大手の会社や別の地域などが手を上げてくださいとお願いします。
地域間を連結した、またはラーメンを提供する側と販売していく、もしくはプロモートしていくところをうまくコンソーシアムとしてつなげていく。自分たちだけでは消費者に届けられなかった人たちに対しても、うまく喜多方のいいもの、名産を届けるためのものを描いています。
廣瀬:ラーメンコンソーシアムということですね。各店舗それぞれは個人事業の方もいらっしゃいますから、みんなでコンソーシアムを作って始めることですよね。
中村:ラーメンでまず始めたんですけれども、ラーメンに限らずいろいろなところで使ってもらえる印象も持っています。
廣瀬:すみません、喜多方というと頭の中が醤油ラーメンでいっぱいでして(笑)。これもう1ページありまして、せっかくですので出しますね。
事業者と……?
中村:「ロ麺チスト」ですね。
廣瀬:ロ麺チストと言うんですか(笑)。
中村:喜多方の名産品とかを外部に対して発信する広告媒体というか、マーケティングをしていく人たちですね。みなさんが自分たちの店舗を持っている若手の社長さんです。こういった人たちが集まって「喜多方を外に発信していこう」という取り組みをされています。
廣瀬:実は、このバウチャーは台帳の上で譲ることができると聞いたんですけど。
中村:ブロックチェーンならではのところだと思います。本来であれば、買った人が使います。これをギフトとして他人にあげることができる。子どもに対して「これで食べてきなさい」というかたちであげることができる権利移転も簡単にできるのは、ブロックチェーンの1つのいいところかなと思っています。
廣瀬:喜多方へ今度行くと聞いたら、「じゃあこれ使って」と渡せるということですもんね。
中村:そうですね。
廣瀬:便利ですね。
廣瀬:そういう意味では逆に最初にトークンエコシステムという話題もありましたけれども。コンセンサス・ベイスさんもまたおもしろいことをしていまして。
これはゲームですね?
志茂:そうですね。2017年の年末頃に、ブロックチェーンゲームが流行り始めまして。「CryptoKitties」といって、猫を1匹数千万円で売買するみたいな。
廣瀬:猫を数千万でですか(笑)。
志茂:デジタルグッズが数千万です。そういう世界観は今までなかったかなと思って。インターネット上でそのくらいの金額のものをやりとりするんですよね。それが流行ってきはじめてから、ブロックチェーンゲームが国内でいくつか出ている。
「My Crypto Heroes」が世界一のDAUのゲームなんですが、ブロックチェーン上でそういうものが今流行っているんですね。
そのためのゲームアセットを手軽に発行できる。カードを発行できるプラットフォームを今作っていまして。
廣瀬:ブロックチェーンゲームのCryptoKittiesは、実はマイクロソフトでもお手伝いしました。ゲームそのものはトークンを使ってキャラクターを鍛え上げたりする感じなんですか?
志茂:そうですね。猫と猫を配合して新しい猫を作るみたいな。
廣瀬:猫と猫を配合?
志茂:遺伝子と遺伝子を合わせると、新しい遺伝子の猫ができるんですけども。ゲームのようなものですね。
廣瀬:希少種が出てくると高値になる感じですか?
志茂:そういうことですね。普通にキャラクターを育てていくことで、高く売れるものです。ゲームでがんばったものが資産になるかたちで、今ゲームができてきています。
廣瀬:日本国内でもありましたよね? ブロックチェーンゲームで。
志茂:豚を育てる「くりぷ豚(トン)」など、そういうキャラクターをヒーローに育てたり、アイドルを育てるゲームがたくさん出てきていますね。
廣瀬:なるほど。お布施をゲームキャラクターにあげる感じですかね(笑)。
志茂:そうですね。
廣瀬:そういった系統のゲームを開発しやすくするためにお作りになられたという感じですか?
志茂:そうですね。
廣瀬:これはゲーム内通貨の発行なんですかね。ここで言うとアセットの販売?
志茂:そうですね。基本的にはアセットを売るという形です。
廣瀬:RPGで言ったら鋼の剣が売れるというものですか?
志茂:そんなイメージですね。
廣瀬:なるほど。「オリハルコンの剣が出てきたので、高値で出そうかな」みたいな。なるほど、レベル1からお金さえ持ってれば、オリハルコンを買うこともできなくはない(笑)。
志茂:剣自体を育てて高値で売るみたいな。今はそういう世界観になっています。
廣瀬:おもしろいですね。装備品が売れるというのは、僕もちょっと薬草販売にチャレンジしてみようかと思います(笑)。
廣瀬:こういう感じでお話しを聞いてきたんですけど、残り6分くらいになりました。最後に、2019年はどういったテクノロジーに取り組んでいきたいか、意気込みがあると思うんですよね。各社一通り聞かせていただければと思います。小宮山さんお願いします。
小宮山:自分たちの技術を使ってますので、そういう意味で言うと1、2年先を見なきゃいけないかなと思っています。続けて、こういうことをやっていくのは当然なんですけど、2年先に何が必要かなと思うと、やはり最終的にはスケーラビリティの問題にはなると思います。
つながっていくと、今、miyabiは最大4,000tpsが出せるんですけれども、結局限界が来てしまうので。4,000ではなくて無限にいけるようなテクノロジーが必要になると思います。
もう1個はやはりDAppsというのは、どこまでメジャーになっているのかと思うと、今はまだだと思うんですけど。2年後を考えると、メジャーになってくると思うので。スマートコントラクトをさらに超えてアプリケーションになるような主旨のテクノロジーを作っていこうかなと思います。
廣瀬:志茂さん、どうでしょう?
志茂:ビジネスに応用するための技術がいろいろ必要かなとは思っていまして。ビジネスになると秘匿が重要で、この会社さんがいくら動かしているとか、この人がいくら動かしているのがオープンになってしまうのは問題です。秘匿系の技術などが必要だなと思います。
あとは、手数料をお客さんに持たせないようにどうするか、細かいUXに関わってくる技術も出てくることが必要かなと思ったりしています。金融で言うと、規制などもそうですけど、STO(注:セキュリティ・トークン・オファリング、規制に則った投資用のトークンを発行すること)やICOなどの標準化。あとはAML(注:アンチ・マネーロンダリング、反社会的勢力のマネーロンダリングや詐欺を防ぐための一連の対策のこと)、KYC、プロトコルだとか。そのへんが技術的にはもっと来年くらいには出てくるイメージです。
廣瀬:個人的にものすごくトラストアンカーは着目してて。今までのブロックチェーンのアドレスって匿名のものだったんですが、それにパスポート情報が紐付いたものが出だしてきているんですよね。こういったものは今後進む感じですかね?
志茂:たぶんみなさんそういう方向でいくのかな。たぶん各取引所もそうですけど、どこの取引所でもも本人確認しなきゃいけないのはすごく面倒くさいと思います。ICOとSTOで統一化して、1個認証したら全部OKみたいな世界観にするための方向では動いていると思います。
廣瀬:ありがとうございます。
廣瀬:じゃあ中村さん、2019年。課長としていかがですか?(笑)。
中村:そうですね。課長としては技術者を育成したい気持ちがあります。(スライドを指して)こちらですね。
12
日本ユニシスは、ブロックチェーンに限らず、ビジネスエコシステムの構築を目指しているところです。業種や業界の垣根を超えてビジネスエコシステムを構築して、お客さまの課題解決や、その背景にある社会課題の解決をしたいと考えています。
ビジネスエコシステムを支える技術はなにかと考えると、ブロックチェーンだと思うんです。私たちはビジネスエコシステムを支えるのはブロックチェーンだという認識のもとに活動をしています。
2019年はさらに、こういったブロックチェーンを使ったエコシステム、コンソーシアムといったかたちでビジネスを展開していけるようにがんばろうかなと考えているところです。
廣瀬:けっこう若手の方がスマートコントラクトの書き方をガンガン勉強されていますもんね。
中村:そうですね。
廣瀬:ここで来年に向けての中で出てきたんですけども、技術者の育成は慢性的に課題があると思います。ブロックチェーンのテクノロジーを扱えるエンジニアというだけでも数千万軽く出してくれるような世界になってきています。
マイクロソフトはどちらかと言うと、当然ブロックチェーンを使ってもらう立ち位置なので、開発するキットも含めてさまざまなものを提供していかなきゃいけないなと思いますし。技術者育成は僕自身もがんばっているところです。
最後に僕自身の話ですけど、2019年どうなるだろうというのは、実はマイクロソフトも日本だけで閉ざしてブロックチェーンの話がだんだんとなくなりつつあるんですね。国をまたぎ出しているものが多く出てきています。例えば中国、シンガポールですね。東南アジア圏と一緒に連携して日本でも進めたい話もあったりします。
この前、中国のOntologyという企業さんもブロックチェーンのテクノロジーホルダーです。この企業さんと一緒に、日本でハッカソンをやりました。そういう意味ではより一層盛り上げていきたいです。
もう1つはエコシステムですよね。マイクロソフトもそうなんですが、エコシステムはすごく大事にしていまして。今ブロックチェーンのベンチャーと、経験則なんですけど、お客様とSIさん、スタートアップの3つが一緒に膝付き合わせたプロジェクトは、おもしろいくらいに上手くいくんですよ。
そういう意味ではそれぞれのパートナーさんたちを一つひとつ丁寧に発掘しながら2019年、ブロックチェーンを進めていければなと思います。この3社もそうですけど、来年もよろしくお願いいたします(笑)。
このセッションはこれで以上とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
(会場拍手)
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