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なぜ御社では働き方改革がうまくいかないのか?サイボウズの社内事例で考える、新しい働き方を生み出す制度・風土・ツール(全2記事)

2019.01.22

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サイボウズでは、100人100通りの働き方が可能 「多様過ぎるワークスタイル」が生まれた背景

提供:サイボウズ株式会社

2018年11月7〜8日、幕張メッセにて「Cybozu Days 2018 Tokyo」が開催されました。サイボウズ株式会社が毎年開催している本イベント。今年はテーマを「楽しいは正義」とし、全国4会場にて豪華ゲストによるトークイベントやセッション、展示などが行われました。本パートでは、サイボウズ株式会社のコーポレートブランディング部長/チームワークスタイルエバンジェリストの大槻氏が登壇。入社当時の2005年から今までのサイボウズの働き方の変化について語りました。

優れたグループウェアでチームワークあふれる社会を創る

大槻幸夫氏:みなさん、こんにちは。サイボウズの大槻と申します。今日は40分お時間をいただいて、「なぜ御社では働き方改革がうまくいかないのか? サイボウズの社内事例で考える、新しい働き方を生み出す制度・風土・ツール」というテーマで、お話をさせていただきます。

自己紹介です。私は大槻幸夫と申しまして、2005年にサイボウズに転職してきました。現在はコーポレートブランディング部の部長と、製品・チームワークという観点でお伝えする、チームワークスタイルエバンジェリストを務めております。

簡単にサイボウズのご紹介をさせていただきます。サイボウズの東京オフィスは、こんな感じのふざけたオフィスになっていますが、今年で創業21年目です。そして、社員800名ぐらいになりまして、世界に12拠点を構える会社になりました。最初は1997年に3人で(愛媛県)松山市で創業した会社が、今はこんな規模になりました。

サイボウズの企業理念です。適宜見直そうということで、2018年版となっておりますが、私たちはなんのためにサイボウズを運営しているのか。それは、チームワークあふれる「社会」を創りたい、そのために会社を展開しており、みんなが集まっているんです。それを実現するために何をするかというと、「優れたグループウェア」をつくって、提供していきましょうと考えています。

また、ツールだけでは会社や組織は変わらないので、サイボウズ社内にある、グループウェアを使っていくためのメソッドを提供していくことにチャレンジしています。

チームワークのいい会社になるための4つの価値観

さらに、その社会の一員である私たち自身も、「チームワークあふれる会社になろう」ということで、4つの価値観を大事にして日々活動しています。何度も出てきますので、ぜひ覚えていただければと思います。(その価値観とは)理想への共感、多様な個性を重視、公明正大、自立と議論です。

サイボウズには現在、4つの製品があり、国内外合わせて850万人のお客さまにご利用いただいております。この前リリースさせていただきましたが、とくにkintoneは(導入企業が)1万社を突破するまでに広がってきております。

さらにはグローバル展開ということで、USや中国、あるいは東南アジアの各国で、どんどんkintone、サイボウズ製品の輪が広がっております。

本題に入っていきますが、サイボウズはいろいろなメディアで「ホワイト企業です」「働き方改革も成功しました」というかたちで取り上げられているかと思います。

プロモーションを1つ取っても、働き方改革の本質を突くメッセージを出していこうということで、働くママのムービーをつくったり、アニメをつくったり、製品のプロモーションでも「働き方改革、楽しくないのはなぜだろう」というメッセージを伝えています。

すごくホワイト感があふれる会社になったわけですけれども、最初からそうだったわけではないんですね。私が13年前にサイボウズに入社した時は、全然違う会社でした。「前の日にどんなに飲んでも、朝9時には這ってでも来い」「来たら、帰ってもいい」と、よくわからないルールでした。

複業はもちろん駄目です、本業に専念しろということでした。また出張はできるだけ日帰りで、タクシーは使うな。経費削減のために、使わない文房具を集めよう。せこいですよね(笑)。また「明日までに検索キーワードを考えてこい」ということで徹夜したり、「昼休みにラジオ体操しよう」など、いろいろと古いカルチャーがありました。

でも、当時の僕はそれほど違和感がなかったんです。なぜなら、今年43歳になりましたが、昭和生まれのおじさんなんですよ。おじさんの価値観はどんなものか……この中にもいらっしゃると思うのですが、みなさんもアニメを見れば(わかるとおり)、お父さんが稼いできて、お母さんは専業主婦で、校則は守るもの、皆勤賞は偉いよね、という価値観でした。

また、教師は当たり前のように体罰をします。僕はバスケ部だったんですけれども、当時は(部活動の最中は)水が飲めなかったんですよね。水を飲んだら怒られませんでしたか? 僕、熱中症で倒れちゃいました。画一的で理不尽、でもそれが当たり前だと思っていたんです。

13年前のサイボウズに関しても、成長ベンチャーに入ったという気持ちですから、社会人とはこういうものなんじゃないかと思っていたんですよね。

本当に追い詰められていたからこそ、サイボウズは変われた

ただ、それを許さなかったのが、サイボウズの経営状況なんですね。私が入ったのが2005年頃なんですけれども、そこから売上が40億円前後で横ばいになってしまいました。手元に現金はたくさんありました。黒字経営していましたので、M&Aにもチャレンジしたんですけれども、それもうまくいかない。

さらには離職率がどんどん高まって、私が入社してすぐの時には28パーセントでした。毎週誰かの送別会をやっていて、ベンチャーとはこういうものかなと思っていたんですけれども、いま考えると異常という感じですよね。

サイボウズはこういう困ったことが起きたため、働き方改革に取り組むことができたんです。でも、世の中の会社がなぜ変われないかというと、困っていないからだと思うんですよね。困っていないことは、変われない。なぜなら、変わるってすごく大変だから。現状維持が人間の本能ということです。

サイボウズは困りました。そこで、どう変えていったのか。まずチャレンジしたことは、育休6年という施策です。サイボウズはBtoB企業ですので、あまり知名度がありません。とくに学生さんにも知名度がないので、採用がすごく大変でした。だったらまず、出産を機に辞めていく女性社員に長く働いてもらおうということで、当時最長で、小学生になるまでというイメージの6年間の育休制度をつくりました。これがきっかけで、出産が理由で辞める社員がゼロになりました。

また先ほど言ったとおり、お題目でやってはいないということです。ダイバーシティ、多様性、女性活躍、残業をなんとかしよう……そういうことではなく、採用や人材獲得に困っていたため、そこから取り組んだんです。それであれば、現場も納得して受け入れてくれるんです。

働き方改革は、現場の人がなかなか納得してくれないという話はよくありますけれども、これはサイボウズ(の現場の人々)も困っていたんですよ。営業も開発もマーケも、みんな「そうだよね」と言って取り組むことができた。ラッキーだったのは、その反響やPRの効果もすごくあって、社内外で、この働き方改革はいいものなんだなと、社長が気づいたんですね。

ここから、徹底的に社員のためになることを進めていこうと、2007年にいよいよ人事制度に手をつけます。それまではブラックな感じで、「バリバリ働くぞ、土日来るぞ、残業するぞ」という一本線だけだったんですが、(働き方を)3パターン用意しました。バリバリ働く以外にも、時間管理をして多少の残業はやりますよというバランス型や、子育て中の方であれば時短で働くなど、この3パターンから選んでくださいね、というところにチャレンジしました。

ビジネス一辺倒から「イクメン社長」に生まれ変わった青野氏

そうこうしているなかで、社長にお子さんが生まれ、イクメン社長として世の中のメディアに登場するようになりました。これもすごく追い風になりました。

それまで社長の青野はビジネス一辺倒で、「仕事をしながら職場で死にたい」なんて言っている人だったんですが、お子さんを3人も育てて、「これは仕事にも勝る大事な営みなんだ。みんながこれを大事にしなければいけない」と気づいて、さらにサイボウズの働き方改革が加速しました。

先ほど見た3パターンの働き方が、今度は9分類まで増えました。縦軸が時間、横軸が働く場所で、会社でバリバリ働きますよという人から、在宅で短時間で働きますよという方まで、この枠の中で自分はどういう働き方をするのかを宣言して、みんなと共有して働いてくださいねというかたちです。

今年さらにアップデートされ、この9分類も終わりました。どうなったかというと、自由記述です。「私はこういうふうに働きたい」と書いてもらったんです。ですので、1パターンから3パターンに増え、さらに9パターンに増え、最終的には100人100通りと、無限大です。あなたの働き方を実現してくださいというかたちになりました。

実際にどうなっているか(をお話しします)。kintoneのアプリに働き方宣言アプリがあり、これが私の実際のデータですけれども、上司の林田に対して、「私は月火水木金、10時から19時、会社で働きます」と(宣言しています)。昭和のおじさんなので、少し社畜精神も残っており、必要があれば何時間でも残業します、深夜も対応可能です、土日もいけます、出張もします。

1人だけ働き方が柔軟ではないんですけれども、このようなかたちで、いろいろな人がいろいろな働き方を思い思いに書きます。それが全社で公開されていますから、「ああ、あの人はこういう働き方をしてるんだ」と確認しながら、チームワークを高めて働くことができるわけです。これを見えない状態にしているから疑心暗鬼になったりして、なかなか進まないんですよね。全部オープンにしてしまえばいいんです。

100人100通りの多種多様な人事制度

さらに、この働き方を宣言した以外にも、突発的なことは起きますよね。台風が来て電車が止まるとか、いろいろな事情があって会社に行けないなどといったことです。そんな時には、「ウルトラワークをします」と宣言してくださいと(伝えています)。在宅でも駅の前のカフェでも(どこでも)仕事をしてもいいですよという制度です。台風が来ても、「明日気をつけてください」といった会社からのアナウンスはないんです。働く場所は自由なので自分で考えてくださいということです。

僕は昭和型なので、それでも会社に行ってしまうんですね。会社でないと、なかなか仕事ができないんです。みんなは来ていなくて、でもみんながサボっているわけではなく、家で仕事をしているんです。僕だけ、なんだか古いですよね。こんな状態で、どんどん新しい働き方が生まれています。

彼女はSEで働いていましたが、岡山のご実家でご両親の介護が必要になって、「サイボウズを辞めます」と社長の青野に相談しました。すると「じゃあ、岡山で在宅したら」ということで、現在も岡山でバリバリ働いており、岡山エリアのお客さまをバンバン開拓しています。そんなことが生まれていて、調子に乗った社長の青野は、基調講演でも「みんな故郷に帰って営業しろ」と、無茶なことを言っていました。

また、サイボウズは複業がOKです。さらに、サイボウズの仕事を複業にする複業サイボウズも展開しています。この男性は新潟で農業とNPOをされているんですが、週2日、リモートワークでサイボウズの仕事をしていただいています。

その他にも、16年間子育てをしてきて、(子どもが)ちょっと大きくなってきたので、また社会復帰して働きたいという方がいらっしゃったんです。でも、世の中の一般企業は、それだけブランクがあることや、「まだまだ時短なんですよね」ということが理由で、全然採用してもらえなかったそうです。しかし、サイボウズはウェルカムですということで、週4日が時短で、1日は在宅(で働いてもらっています)。

彼女はすごいんですよ。TOEICは満点なんです。SONYのヨーロッパ(の支社)で、バリバリ営業されていたそうですけれども、そんな方にサイボウズに来ていただけるなんて、かなりうれしいですよね。働き方が自由であれば、こんなことが生まれてくるんです。またサイボウズは育休制度の他に、「育自分休暇」もあります。35歳以下の若い人は、6年間サイボウズを辞めてどこかに行ってきて(戻ってきて)もいいですよという、出戻り制度です。

彼女は青年海外協力隊でボツワナに行って、現地の女性の自立支援に3年間取り組んで、また戻ってきてくれました。このように、多種多様です。100人いれば100通りの人事制度があり、あなたに合った人事制度を自分で考えてくださいねというかたちです。

多様性は生み出すものではなく、すでにあるものを認めること

男性・女性という目線で見てしまいがちな働き方改革ですけれども、サイボウズは違います。同じ男性でも、加藤さん、田中さん、鈴木さんと違うはずですよね。プライベートもあるし、働き方に対する考え方も違う。「我が社には多様性がない」と考える方も多いですけれども、違うんです。多様性はすでにあるんです。それは生み出すものではなく、見ていないだけ、受け入れていないだけです。一緒くたに塗りつぶしてしまっている。

ですので、サイボウズではすでにある多様性を受け入れており、社員のリクエストを受け入れるインクルージョンが大事ですよ、と言っています。制度は変えるのではなく増やす。働き方改革というと、今までやってきたことを変えなければいけないのかなという不安を持つ方も多いと思うんですが、先ほどサイボウズの人事制度を見ていただいたとおり、1パターンから3パターン、9パターンと増やしていくのです。

いままでの働き方も1つの個性ですから、多様な個性というのであれば尊重しなければいけない。バリバリ働きたい人……若い人であれば、家族もいないし、別にいいですよね。ただ、いまはそれでは働けない人が多いんですよね。共働きで子育てをしていたり、いろいろな事情がある。それを認めていくことが一番大事です。

つまり、働き方(改革)ではなく、「働き方開拓」なのではないかと思っています。いまの働き方以外の働き方を、どんどん広げていくことが本質ではないのかなと思っています。働き方改革の本質は、画一的に会社が1つに決めて、「これをこうしろ」ということではなく、いろいろあっていいよねと多様性を認めること。これが、働き方改革で一番取り組まなくてはいけないことで、(言い換えれば)会社のDNAを入れ替えることなんです。

すでに100人100通りの働き方があります。絶対にあるはずで、聞いたら出てくるはずです。聞いていないし、そんなこと言っていいのかなと思って(社員が)言っていない。ですので、自分以外の働き方に文句を言わないことが大事なんですよね。

サイボウズでも最初に(いろいろと)ありました。働くママに対する制度がどんどん拡充していくと、営業の男性から、「なんでそんなにママだけをサポートするんですか」と、青野にクレームが入ったそうです。その時、青野がなんて言ったでしょうか。「じゃあ、お前はどうしてほしいのか言え」と言いました。男性が「ちょっと言えないです」と答えると、「じゃあ黙ってろ」と、青野が言ったらしいですね。

サイボウズが目指すのは、公平ではなく個性

彼女はそうしないと働けないからそうしているだけであって、自分で働き方をリクエストしてくれれば会社は実現するから、ほかの人に対して文句を言うなということです。ブラックからホワイトへというのは、実は画一性の上塗りなんですよね。そうではなくて、カラフル……一人ひとりが違うのですから、一人ひとりの色を浮き上がらせることが大事なんです。「サイボウズでは公平性を捨てました」と青野も言っています。

公平から個性へ……求めるものは一人ひとりで違います。今までの会社の人事制度は、みんなに同じものを用意するということで、平等がすごく大事でした。働き方改革でも「平等じゃない」と文句を言われることが多いと思うんですけれども、違うんです。

そうではなく、「結果がイコールですか」ということなんですよね。「フェアですか」ということで、イコールからフェアへ(という考えです)。結果として、みなさんが幸せに働ける状態を生み出ことが大事ではないですかということです。

そういうこともあって、サイボウズは離職率が約4パーセント台まで落ちてきました。ここまで来るのに10年以上かかっていますが、サイボウズが最近パッと変わったわけではないんです。

2005年に青野が社長に就任して、そこから時間をかけてマネージャーたちと研修をしながら地道にやってきた。その成果が、いま、ここに結実しているというだけなんですよね。

10年をかけてこうした変化をしてきましたが、中にいるおじさんとしては、すごく変化に戸惑うんです。朝9時に会社に来ても、人が全然いないんですよ。そして、20時にはほぼ誰もいなくなっちゃう。みんな本当に18時ぐらいに帰ってしまうんですよね。ある日のコーポレートブランディング部の様子を持ってきました。

在宅で朝7時から(働き)、午前中は在宅で午後から出社します(という人)。午後からは新潟で在宅ワークをしますという人。パリに語学留学(に行っている)という社員もいて、パリから在宅しますとか。子どもを病院に連れて行くため、午前中はお休みしますという人とか。一番すごいのは、午前中は在宅で、午後から出社して、途中で複業のため抜けますとか。おじさんとしては、もうなんだかよくわからない。好きにしてくださいという感じです。

新人社員と先輩社員とのカルチャーギャップ

複業は当たり前ですし、若手がどんどん複業に取り組んでいますね。パートナー企業さんで営業をしたり、ライターにチャレンジしたり、高円寺でカレー屋さんをしていたり、テニスのインターハイでけっこう活躍したため、テニスのYouTuberをやっていたり。

中には、入社したばかりの社員が複業しているんです。自分(の考え)からするとありえないですよね。「お前、3年ぐらいサイボウズの仕事がんばれよ」と思いますけれども、(複業を)しているんですよね。これがまたいい効果を生んでいたりしているので、おもしろいなと思います。

そんなサイボウズですので、ある時、こんな事件が起きます。社内では通称「イヤフォン事件」と呼ばれていますが、新人研修中に、新人がイヤフォンをつけながら仕事をしていたんですね。みなさんは、どう思われますか? 違和感ありますか? サイボウズの中にもおじさんはたくさんいますので、彼の先輩社員が(kintoneに)書いたんですね。

「イヤフォンをして仕事をすることが悪いことだと思わない。けれども、私の気持ちとして言うと、今(すること)じゃないんじゃないですか」と書いたんです。

何が起きたかというと、新入社員たちからの反論の嵐です。「私は仕事の成果が上がると思ってやっているのに、どういうことですか」「私の気持ちを害すると言われても、議論になりません」と(いう意見でした)。

最近の新卒は、サイボウズの(紹介をする)いろいろなメディアに触れて、私たちのような古い人間よりも、サイボウズの価値観を習熟して入社してきますから、サイボウズの価値観と言われてしまうんです。確かにそうだよなと思います。一方で、君らは入社して3ヶ月目なのに、サイボウズはどれだけ自由なんだろうとも思うわけです。

サイボウズの働き方改革を成功させた「3つの要素」

サイボウズが変わっているのかなと思って、世の中を見渡してみると、こんなことがあるそうです。男性向けの育休制度を構築して、導入して1年経って、若手が(育休を)申請したら却下されたそうです。却下の理由は、「前例がない」。そりゃそうですよね、新しい制度ですから。なのに、前例がない(から認めない)というのはどういうことでしょう。

「どこそこの(部門の)マネージャーも制度を使わなかったのに、なぜ君が」と言われながらも結局取得したものの、激しく嫌味を言われて、(育休から)戻って来たあとも変人呼ばわりされることになったそうです。世の中にはまだまだ、こういう価値観の会社が多いということですが、この違いはなぜ起きるのかなと(思います)。

どうしてサイボウズは働き方改革に成功したのかですが、働き方改革に必要な要素は3つあると話をしています。それは「制度・ツール・文化」です。人事制度もそうですし、ITも大事ですが、それを活かす文化がないと(いけません)。お子さんの迎えで早退するママ社員に対して舌打ちしているような文化では、成り立たないわけです。働き方改革をしている時に、「本当にみんなやってるの?」という疑心暗鬼が、改革を阻害しているのではないかなと(思います)。

文化(をつくるには)、どうしたらいいのでしょうか。文化は風土から生まれると思っています。文化は、意識的にメンバー間で獲得された価値観です。サイボウズで言えば、理想への共感、多様な個性の尊重、自立と議論です。もともと、その下にあるのは風土なんですね。無意識にメンバー間で共有される価値観が文化です。毎日の会話の中でふと現れる仕草や言葉遣いに根付くものです。サイボウズも、最初からこうした文化があったわけではないんです。

ただし、風土はありました。サイボウズに風土が生まれた理由は、グループウェアでなんでもシェアするという、無意識の価値観が備わっていたからです。社長の青野の予定も丸見えですし、営業部のみなさんも日報をつけていますから、昨日何をしたのかも確認できますし、通知は来ないですけれども、見ようと思ったらほかの部署のプロジェクトも全部見える。

ほかの部署が何をしているか見えるから、安心して働き方改革に取り組めるわけです。

私だけではない、みんなががんばっている。日頃使っているツールが、実は安心の風土をつくっていたという話です。

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