WiLの松本真尚氏が登壇
松本真尚氏:よろしくお願いします、松本です。
(会場拍手)
全部で6人登壇という話なんですが、3人目の僕までは真面目な話をします。この後の3人が、日本三大ベンチャーお笑い芸人として笑いを取ってくれるので、みなさま、ちょっと真面目な話として聞いていただければ幸いです。
今、小野(裕史)さんからもお話がありましたけど、基本的にはさっきの國光(宏尚)さんのようなめんどくさい人じゃなくて、若手のベンチャーに「君(松本)が何者かを説明してくれ」というのが最初のお話だったのですが、國光さんとかが茶々を入れる時点で、ちょっとあてが外れました。
もしかしたらテーマが違うかもしれませんが、僕が経験した今までの成長因子といいますか、「ベンチャー企業はどういうかたちで成長していくのだろう」、「ビジネスというのは(どういうかたちで)伸びていくんだろう」ということをお話しさせていただければなと思っております。
まずは、最初に簡単に自己紹介をさせていただければと思います。1999年あたりのすごく古い話ですが、みなさまにお話をさせていただければと思っています。もともと僕は、PIMというベンチャーを1999年に設立しました。根性がなかったので、1年でヤフーに合併というか、M&Aされてしまいました。ただ、このM&Aは非常にいい経験だったと思っています。
今回のIVSのテーマにM&Aとあったんですけれども、我々自身も、実はヤフージャパンの最初のM&A案件でした。そこから実は籍が変わっているわけではありません。
ヤフーとソフトバンクグループに12年間いたのですが、2000年から2006年くらいまではメインがヤフー、2006年からはソフトバンクとヤフーがハイブリッドという……。今日ソフトバンクが上場していますが、そちらの事業(ソフトバンクモバイル)に、人質としてソフトバンクに連れ去られて、そこからまた6年間くらいモバイル事業として、iPhoneの日本導入などをやらせていただきました。
企業の成長因子とはなにか
2012年に退職し、2013年にWiLという会社を設立させていただいております。この経験を前提条件に、成長因子について、僕が経験したことを4つほどまとめてお話ししようと思います。
1つ目は、まさにベンチャーによるベンチャーのためのジョイントベンチャーだった。2つ目、次はヤフーの話ですが、これは僕らがM&Aされたというのもそうですし、その後、僕はヤフーで新規事業、これはM&A(の業務)も含んで担当していました。M&AとPMI、人の問題という部分で非常に勉強になったので、それをお話しできればなと思います。3つ目は、人質といっていますが、大企業と大企業のジョイントをすることの難しさとおもしろさを説明させていただければと思っています。
この3つの経験を前提条件にして、今まさに、オープンイノベーション……これはベンチャー同士かもしれませんし、大企業同士かもしれませんけれども、イノベーションというものを日本で進めていきたいと思っております。イノベーションの進め方をどういうふうに考え、どういうふうに進めていくべきかという点について、お話をさせていただきます。
社長が5人いるジョイントベンチャーの意思決定は「総選挙」
まず、ベンチャーによるベンチャーのためのジョイントベンチャーとは何か。(当時の関係者が)会場に来ているかもしれませんけれども、当初、4社でジョイントベンチャーを作りました。1社が250万円ずつで(資金を出して)、1,000万円で会社を作って、その各ベンチャーから人を2人ずつ出そうと。これでいきなり8人だという発想で、ベンチャーを作りました。
ご理解いただけると思うんですけれども、ベンチャーが4社あるため、社長も4人いるんですよ。そして、新しい会社が1社できるので、社長が5人いる(この5人目の社長が私)という状況のジョイントベンチャーでした。
その時に僕が学んで、かつ、これはなかなかいい方法だなと思ったのが、総選挙です。この総選挙というのは、4社の社員全員でCEOは誰がいいか、COOは誰がいいか、CTOは誰がいいかについて、全員で投票するんです。
何がよかったかというと、基本的に先ほどお話ししたPIMという会社は、今では普通なんですけれども、モバイルインターネットを推進するための会社だったんです。非常に大きなミッションとビジョンを持っていました。
日本からインターネットがモバイルによって変わるだろうと我々は思っていました。なので、もともとミッションとビジョンが明確な会社でした。ポジションは戦略に基づく、組織は戦略に基づくといわれますが、そういう意味では、ミッションが明確であれば、組織というのは、極論、選挙でもなんとかなりました(笑)。
全員がベンチャーで、それが集まったってなんとかなるんだよねという意味で、すごくいい経験でした。そうして集まったベンチャーを1年でヤフーに売却しました。たぶん、M&Aの日本の大型一号案件だと思います。
その後、ヤフーに入ってからは、苦労や悩みがたくさん出てきますが、そこについてお話しします。2000年の7月にヤフーに売却する以前は、こういうかたちでいま発表させていただいたとおりです。