2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
『「SATORI」×運用型広告』による匿名ナーチャリングの最新事例(全1記事)
提供:SATORI株式会社
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宇賀田徹氏(以下、宇賀田):よろしくお願いします。改めまして、株式会社オーリーズの宇賀田と申します。今から、「『SATORI』×運用型広告による匿名ナーチャリングの最新事例」について、お話をさせていただければと思います。
先ほどのリンクの小川さんも言ってらっしゃったように、前のパートがあまりにも特徴的だったので、ドキドキしたんですけれども。後半のセッションは、抑揚がなくても大丈夫なパートをもらえたようなので、安心して粛々とお話をさせていただければな、と思っています。よろしくお願いします。
会社の紹介を簡単にさせていただきます。私たちは、運用型広告を強みとして、お客さまの課題解決をしている広告代理店です。私たちは、「あなたの最高のバディに」というものを掲げて、日々お客さまのご支援をさせていただくことを大事にしています。
今年の年初に、ちょうどSATORIさんよりご支援のご相談をいただく機会がありました。その中で、最高のバディになるためにはどんな支援をしたらいいかと思いを巡らせたところ、私たちの強みである運用型広告をうまく組み合わせたら、より「SATORI」のポテンシャルを活かすことができるんじゃないのかな。そんな仮説が出てきました。
実際にSATORIさんのマーケティング活動の中で実行してみて、成果があがるかどうかを、2月末ぐらいから8月末ぐらいの半年間でテスト的にやってみました。具体的なソリューションとして、みなさまに発表できるだけの定量的な成果も出たので、ここでみなさまに、新たな「SATORI」のソリューションとしてご紹介できればと、この場を設けさせていただきました。
どんなソリューションかですが、(「SATORI」の)強みとする領域で、匿名ナーチャリング(匿名顧客の育成)があるかと思います。この匿名ナーチャリングの機能を使うにあたって、運用型広告をうまく利用して掛け合わせることで、より「SATORI」のポテンシャルを引き出すことができるので、その手法をご紹介させていただきたいと思います。
匿名ナーチャリングですので、認知促進をより向上させながら、継続的にリード獲得ができるようになると思っております。
明日からできるような具体的なオペレーションまでお話してしまうと、たぶん1時間以上ないとお話しできない内容になってしまうので、今回は大枠だけお話しさせていただいて、具体的なオペレーションの部分については、個別でご相談・ご質問にお答えできればなと思っています。
本日のアジェンダは、大きく3つあります。今回のソリューションの概要と具体的なオペレーションも大まかにお話しします。ちょっとピンと来ない部分もあると思いますので、その点についてはまた懇親会などでお話を聞きに来ていただければなと思っています。その上で、どんな定量効果が出たかを最後にお話しして、締めさせていただければなと思います。
さっそく、手法の概要をお話していきます。こちらは、運用型広告のみで匿名ナーチャリングを行った時のお客さまの実名化までのパスですね。広告との接点を図示したものになっています。
例えば、「そのうち客」の状態であったお客さまに、まず最初にGoogleの広告でサービスを知ってもらい、Yahoo!の広告でもう少しナーチャリング(育成)して、最後にCriteoのリターゲティングで実名化に至ります、というパスがあったとします。広告運用をしていくので、Google・Yahoo!・Criteoというそれぞれの広告について、費用対効果はちゃんと合っているんですかという評価を、みなさまもすることになると思います。
そんな時に、Criteoにおいては購買パネルの下層部、要するにかなり顕在化した層の広告ですので、例えば10人をちゃんと誘導してあげれば、1人がコンバージョンしますと。つまり、100円でサイトへ誘導できれば、1,000円をかければコンバージョンまで至ってくれるのがCriteoですと(いうことです)。
一方、Googleに関しては、購買パネルの上層部の人たち(潜在層)に対する広告ですので、当然Criteoのように、10人誘導してあげれば1人コンバージョンするような簡単なものではないと思います。
例えば、Yahoo!・Criteoで、広告によってちゃんとナーチャリングしたとしても、100人に1人しかコンバージョンしないとします。そうなると、50円でサイト訪問へ誘導できたとしても、50×100で、5,000円ぐらいかけないと1人の実名化までは獲得できないというのが、購買パネルの上層部に対する広告になってきます。
そうなった時に、これを見ても、「Google広告のほうが費用対効果としては低いね」と感覚的にはわかると思います。けれども、広告はよくCPA(Cost Per Acquisition/Cost Per Action)で評価すると思うので、CPA換算すると、1つの実名化に対してGoogle・Yahoo!・Criteoという3つの広告を当てています。
この1コンバージョンを等分して、均等配分で、Googleに3分の1コンバージョン、Yahoo!に3分の1コンバージョン、Criteoに3分の1コンバージョンというかたちで成果を配分してあげると、それぞれのCPAを出すことができます。
すると、Criteoは1,000÷3分の1コンバージョンでCPA3,000円、Yahoo!はCPA1万500円、GoogleはCPA1万5,000円というかたちで、費用対効果をCPA換算で出すことができると思うんですけれども、横並びで見るとわかるように、明確にGoogleの費用対効果が悪いという結果になってきてしまいます。これが、運用型広告でよく発生するジレンマですね。
つまり、獲得に近いCriteoじゃないと、もう広告を出しても意味がないですよ。あるいは、ぎりぎりYahoo!だったら許容できるけれども、もう潜在層向けの広告なんて出してしまっていたら採算が合わないので、認知促進は運用型広告ではできませんよ。ネット広告ではできませんよ。そういう判断が、よく運用型広告の業界で起こっていることです。もしかしたら経験した方もいるんじゃないかなと思います。
つまり、いつまで経っても獲得広告への依存から脱却できない。要するに、リターゲティングやブランドワード、あるいは一般ワードを買い付けていたとしても、一部のキーワードでしかCPAが合わないというようなことが起こってしまいます。
パネルの下層部の人たちばかりを獲得してしまって、そこがなくなってしまったら、もう広告配信ができませんよ。いつになってもリードが増えていきませんよ。そういう状況が発生しているのが、よく見られるケースかなと思っています。
これについては、SATORIさんの記事などでも、「そのうち客」に目を向けることによって、何倍、何千倍というお客さまに対してポテンシャルを持てるので、そこに目を向けていきましょう、という話がよくあがります。けれども、そのまま運用型広告をやろうとすると、1個前のスライドの例のように、CPAが合わないということになってしまいます。
「SATORI」を使うと何が起こるかというと、Yahoo!にあった広告がなくなって、GoogleとCriteoの2回だけ広告を当てれば、実はこの人(そのうち客)を実名化できるようになります。
そうなった時に、Criteo・Googleを評価すると、先ほど3分の1ずつのコンバージョンを割り当てられていた成果が、2つの広告しか接点がないので、2分の1ずつのコンバージョンの評価になります。
すると、CriteoのCPAは2,000円、GoogleのCPAは1万円という評価に変わってきます。すると、先ほどGoogleで1万5,000円だったCPAが、3分の2に大きく引き下げられています。これなら広告が出せますよね。
では、それを「SATORI」でどうやって実現するか。具体的には、Googleの1回目の接触の時に、プッシュ通知をオプトイン(許可)してもらうんですね。この時にプッシュ通知をしっかりとオプトインしてもらうと、次のお客さまの呼び込みは、Yahoo!の広告を使わなくてよくなる。
実際はどんな広告かわからないんですけど、今回の例ではYahoo!の広告を使わなくて済むようになるので、代わりに「SATORI」のプッシュ通知でお客さまを誘導してあげることによって、1回分の広告セッションがなくなります。今まで手を出せなかった「そのうち客」にも、広告によって手を出せるようになる。これが今回のソリューションの全体像であり、これを実現しましょうよという話です。
「SATORI」のプッシュ通知、ポップアップを活用することで、(お客さまの)「今すぐ化」までの広告接触回数が減ります。ニアリーイコールで広告費用をかけなくて済むようになるので、今まで手を出せなかった「そのうち客」層まで広告投資が可能になる。これによって、リード獲得数を底上げすることができるという全体像になってきます。
これが手法の概要になってきます。具体的なオペレーションをどうするんですかというお話はするんですけれども、もしかすると広告の運用をしたことがない方とか、ピンと来ない人もいらっしゃるかもしれませんので、そういった方は、懇親会の時にでもお話に来ていただければなと思います。なるべくゆっくり、1つずつ話すようにはします。
全体のフローとしては、大きく5つかなと思っています。ここに記載しているものをそのまま読んでもピンと来ないと思うので、1つずつお話ししていきます。あとで振り返る時にこのページ見ていただければと思います。
まず最初にやることはこれです。先ほどの小川さんの話でも出てきていましたけれども、見たページによって「今すぐ客」かどうかを定義するという話ですね。今回は、匿名客を「そのうち客」「もうすぐ客」「今すぐ客」の3つのセグメントに分けています。
今回のSATORIさんの事例ではどういうふうに分けたかというと、MAコンテンツ(を例にご説明します)。SATORIさんが、ブログでMAに関するいろいろなコンテンツを発信してるかと思います。このMAコンテンツを見たことがないが、興味はある人を「そのうち客」と定義します。
次の「もうすぐ客」は、このMAコンテンツを閲覧したことがある人。具体的な記事としては、MAとはなんぞや。あるいはCRMとMAの違いってなんですか。というような、割と基本的な記事を読んだことがある人です。
最後に、「今すぐ客」は、キラーコンテンツとして、具体的にMAを検討している段階の方が読むような記事(を見た人)。例えば、マーケティングオートメーション主要7社の機能や価格を比較します、という記事を読んだ人。これらを「今すぐ客」と定義します。これがまずファーストステップですね。なので、みなさまがこの取り組みをされる際は、「そのうち客」「もうすぐ客」「今すぐ客」を、この例に従って、まず定義していただきます。
その上で次のセカンドステップとしては、今定義した「そのうち客」「もうすぐ客」「今すぐ客」にどんなコンテンツを当てるかを決めていただきます。具体的には、今回のケースでは、「そのうち客」についてはマーケティングオートメーションの記事をまだ読んだことがない方なので、「マーケティングオートメーションとはなんぞや」「CRMとマーケティングオートメーションって何が違うんですか」というような記事を提供してあげます。
これを読んでいただいたら、マーケティングオートメーションの基本的なことはわかってらっしゃると思うので、「もうすぐ客」になった人たちに対しては、MAをより深く知るコンテンツ、例えばMAの活用事例やMAの比較記事といったものを読んでいただくことによって、この人たちがいずれ「今すぐ客」に変わってきます。要するに、キラーコンテンツを読んでくれます。
それで「今すぐ客」になった人たちに対しては、資料紹介やセミナー紹介、実名化用のページに誘導してあげて、最終的に実名化まで持っていきます。こういった流れでセカンドステップ。「そのうち客」「もうすぐ客」「今すぐ客」に対して、どんなコンテンツを当てるかを決めていただきます。
これがセカンドステップで、次がサードステップですね。これができたら、次にやらなければならないことが、「有効PVで媒体CVタグ発火」というような、わかりづらいことを書いているのですが、そもそも有効PVという言葉は一般的な言葉ではなくて、私がつくった造語なので、わからなくても安心してください。
有効PVというのは、例えば30秒以上滞在し、半分以上スクロールしたPVといったように、PVに質の観点を入れたものです。これがなぜ必要かというと、単なるPVは、1秒だけ訪問してすぐ直帰した人たちもカウントされてしまうんですね。つまり、このPVで普通に評価してしまうと、安くて質の悪いPVを評価しかねないんです。
10円で入ってくるような人は、スマホサイトの小さいリンクを誤タップした人たちなので、(サイトに)入ってもすぐに直帰してしまいます。そういった人を評価しないように、しっかりと質の観点を入れたものを有効PVと言っています。
これをどう活用するかですが、具体的には、MAコンテンツを有効PVさせる単価や、広告で誘導してキラーコンテンツを有効PVさせた単価を、KPIとして運用します。
あるいは媒体。GoogleもYahoo!もFacebookもTwitterも、今の運用型広告の媒体はすべてAIが搭載されていますので、どこに対して最適化させるかを選ぶことができます。この最適化の対象を有効PVとすることで、ただ訪問するだけではなくて、コンテンツを30秒以上、半分以上スクロールしてくれる人に対してしっかり広告を当てるようにしてくれます。なので、その最適化対象を指示する内容として有効PVを使ったりします。これが有効PVの活用方法です。
それをどう設定するかについては、Googleタグマネージャーなどを使ってJavaScriptを書くんですけれども、このJavaScriptは、私がぱっと書いたものがあるので、そのままコピペしてもらえれば普通に動くようになります。とくに難しいことではないので、安心してもらえればなと思います。
これによって、有効PVでGoogleやYahoo!やFacebookのコンバージョンを発火させてあげることで、媒体に対して有効PVしてくれる人たちにちゃんと広告を出せるようになり、有効PVさせるためにいくらお金を使いましたかというKPIを、設定できるようになります。まずこれを下準備をしてやらなければなりません。
次にやらなければいけないこと。こちらもタグ発火ですね。同じタグ発火なんですけれども、何のタグ発火かというと、プッシュ通知オプトインで媒体のコンバージョンタグ発火をさせるということです。
これをすると何が起きるかというと、媒体のAIが、プッシュ通知オプトインしやすい人、あるいはしやすいタイミング、あるいはしやすいクリエイティブをお客さまに出すように最適化してくれるので、広告流入したお客さまのプッシュ通知のオプトイン率が上がります。
今回の取り組みは、間に「SATORI」のプッシュ通知をどう挟むかが要になってくるので、広告流入した人に対して、プッシュ通知をどうオプトインさせるかも重要になってきます。この部分をコンバージョンポイントとして、AIにしっかりと指示してあげることによって、まず広告流入したユーザーのプッシュ通知のオプトイン率を上げて、2回目以降は可能な限りプッシュ通知により代替します。
広告ではなくプッシュ通知で代替する。そうやって広告費が削減され、浮いたお金でより積極的に広告投資ができるようになる。そんな好循環のサイクルを回すことが、プッシュ通知オプトインによるコンバージョン発火(注:発火はマーケティング用語で「動作する」という意味)の価値です。
具体的な設定は、先ほどの有効PVとほぼ一緒なんですけれども、これに関しては現在Google広告のみ対応のJavaScriptがあるので、まだYahoo!・Facebookは、たぶんうまく発火させられてはいません。これはまたおいおい、Yahoo!・Facebookも対応できればなと思っています。
そこまでできたら、あとは下準備したものをすべて広告アカウントへ落とし込みます。この「そのうち客」「もうすぐ客」「今すぐ客」の3つが、それぞれ広告キャンペーンになります。例えば「そのうち客」は、具体的なターゲティング手法で言うと、コンバージョン類似であったり、Googleで言うとカスタムインテントという配信方法があります。
カスタムインテントは、具体的なマーケティングオートメーションについて、積極的に探しているお客さまに出す広告です。なので、先ほどのSATORIさんのマーケティングオートメーションのコンテンツを見たことがないけれども、マーケティングオートメーションに興味がある人には、このカスタムインテントを使って配信します。
「もうすぐ客」は、それによって一度訪れた人たちにリターゲティングをして、キラーコンテンツを出します。そして、キラーコンテンツを踏んで読んでくれた「今すぐ客」の人たちに対しては、最後にリターゲティング広告を出します。こちらもリターゲティング広告ですが、対象はキラーコンテンツを読んでくれた人のみです。
この人たちに対して、資料ダウンロードやセミナー参加の記事を出してあげます。それによって、実名化までナーチャリングしてあげる。これが、広告アカウントへの落とし込みの大まかな話ですね。その時にコンバージョンポイントとして、実名化、要するに資料ダウンロードやセミナー登録、あるいはプッシュ通知オプトイン、有効PVをコンバージョンポイントと置いて運用します。
AIへの指示は、「そのうち客」向けには、有効PVとプッシュ通知オプトインの2つに対して最適化をかけてください。「もうすぐ客」も同様です。「今すぐ客」は、有効PVやプッシュ通知オプトインではなくて、実名化に最適化してください。そうやって指示の出し方を変えます。これが、広告運用への落とし込みになってきます。
こうすることによって、自社サイトにまずお客さまを呼び込みます。呼び込んだお客さまに対して、プッシュ通知オプトインをさせる。それによって再訪を促す。そして、キラーコンテンツを踏んでくれたら、最後の獲得広告を打ち出してあげる。そういうことができるようになるのが、大きな流れになってきます。
「SATORI」がないとどうなるかというと、広告で誘導しても、PVしたあとにすぐに帰ってしまいます。広告で呼んで、また帰ってしまって、というのを繰り返すんです。
では、「SATORI」があるとどうなるかというと、一発目の広告でPVしたら、そのままプッシュ通知オプトインしてくれれば、あとでプッシュ通知で呼び直せばいいんです。あるいは、1回目のPVでいつも帰ってしまっていた人に、ポップアップを出して1セッションで2PVさせてあげれば、わざわざもう1回呼び直す必要性すらなくなるので、ポップアップとプッシュ通知によって、広告回数を減らすことができます。
これらを勘案して、定量評価してあげると、実際に「SATORI」によって広告回数を減らすことができます。どれだけ費用を削減できたかというと、たぶん20日間から25日間ぐらいの間で広告費を40万円強削減できました。これは運用型広告予算のだいたい16パーセントくらいの削減ということで、定量的な結果を出すことができました。
運用型広告の16パーセントなので、広告費が大きければ大きいほど、より大きな(削減)効果も出てきます。費用が大きければ大きいほど、絶対数の効果としては大きくなるかなとは思っています。これが今回半年の取り組みで出てきたソリューションと、その定量的な成果になります。
ざっとお話しさせていただいたんですけれども、大まかなお話しかできておりませんので、深いお話を知りたい場合はお声がけいただければと思います。ありがとうございました。
司会者:宇賀田さん、どうもありがとうございました。
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