2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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司会者:みなさま、こんばんは! 本日はお忙しい中「ヤフー人事に学ぶ『1on1』〜対話とリフレクションで自律的な人を育てる〜」にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。来られたばかりの方にご案内なのですが、本日は講演がメインになりますが、一部ワークショップを行います。では始めていきたいと思います。
今日はヤフーの小金様にお越しいただき、ヤフーさんが1on1を導入してから今に至るまで(経験した)、いろいろな葛藤やポイントをたっぷりお話ししていただきたいと思います。後半は、21世紀学び研究所の代表から、どうやって1on1を効果的に実施していくのか、how toのお話もできればいいなと思います。
我々21世紀学び研究所がどういった組織かを簡単にご説明させていただきますと、日本の学ぶ力を変えていくというところで、企業の方々に研修のプログラムやコラボをさせていただいている団体です。
今回のイベントコンセプトである「VUCA時代のチェンジメーカーズ~チェンジのためのアイデアとツールを知る・使う・学びあう~」というところで、我々の活動をみなさまに知っていただき、コンセプトを広める一環のイベントシリーズとして、今回は第2回目の開催となります。
現代は、VUCA(注:「Volatility(変動性・不安定さ)」、「Uncertainty(不確実性・不確定さ)」、「Complexity(複雑性)」、「Ambiguity(曖昧性・不明確さ)」の頭文字をとったもの)と呼ばれる、先行き不透明で見えにくい時代です。
その中で、イノベーションや組織の変革、自己成長、大小関わらずいろいろなチェンジをみなさまと作っていきたいと思っています。そのためにいろいろなアイデアやツールを知っていただいて、使っていただきながら、学びあうことを創造する場にしていきたいと思います。
本日のイベントに際しまして、注意事項をお話しさせてください。今日の講演はワークショップも多く入っております。インプットしていただくのと同時に、アウトプットもぜひ積極的にしていただけるとありがたいなと思います。
前半はヤフーの小金様に6,000人の成長を支えるヤフーの1on1についてお話しいただいて、10分間質疑応答の時間を設けて、後半は21世紀学び研究所の熊平から1on1の効果を最大化するためのOSについてお話をさせていただきます。それでは、みなさまお待ちかねのヤフーの小金様にバトンタッチをしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
小金蔵人氏(以下、小金):ただいまご紹介にあずかりました、ヤフーの小金と申します。前半は「6,000人の成長を支えるヤフーの『1on1』」と題してやらせていただきます。今日はヤフーの1on1というテーマでお話しさせていただくのですが、一方でヤフーという1社が取り組んでいる1on1の事例のお話にはなるので、それ自体は可能な限りすべてお話しして帰りたいと思っています。
前半はヤフーの事例についてお話ししつつ、後半はどちらかというと、1on1の中にどんな目的やどんなテーマが込められているかをみなさまと対話しながら進めていこうと思います。よろしくお願いいたします。
対話が今日のテーマなので、さっそくアイスブレイク的なご質問なのですが、まずそもそも1on1がなんなのかを大体知っているという方はどのくらいいますか?
(会場挙手)
そうですよね、何も知らずに申し込むことはないですよね(笑)。では、状況的に1on1を今から導入しようとしている方はどれくらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
ありがとうございます。3分の1くらいですね。もう導入しているという方は?
(会場挙手)
半分はいかないですね。4割くらいの方ですね。では、その他の方はどんなものかを知りに来たという感じですかね。ありがとうございます。あと、どんな方がいらっしゃっているのかが知りたいのですが、事業会社で人事をやられている方?
(会場挙手)
ありがとうございます。2~3割くらいですね。人材開発とか組織開発のコンサルタントとかクライアント企業に提案するお仕事の方?
(会場挙手)
2割くらいですね。企業の経営者の方?
(会場挙手)
1割強ですね。それ以外の方はその他という感じですね(笑)。今日はいろいろなご興味や立場で1on1について聞きに来られていると思うのですが、なるべくみなさまにとってお持ち帰りが多い時間になればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
小金:改めまして、私はヤフーの小金と申します。ちょっと長いのですが、ピープル・デベロップメント統括本部という、要するに人事です。ヤフーの人事部門で全社向けの人材育成のチームマネージャーをさせていただいております。
前職は、食品メーカーで営業をしていました。西日本で営業マーケティングの仕事をしていまして、30歳の時に全然違うことをしたくなってインターネット企業に転職しました。
ヤフーに入ってからは、主に事業部門側でヤフーサービスのマネタイズや、サービスの企画ディレクションといったことをしていました。そのあと自ら希望して、人事に異動させてもらいました。そこからは人財開発・組織開発という領域で各部門の組織課題の解決や、全社管理職向けの研修などを担当して今に至ります。
これからお話しする1on1は、取り組み自体は全社各部門で行われているのですが、新任のマネージャーが増えるたびに、「1on1をどうやってやればいいのかわからない」という状態からスタートするので、研修プログラムを行ってサポートしています。今日は、ヤフーの中で1on1を伝播したり強化したりしている立場から、お話しできることをお伝えしていきたいと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、ヤフー株式会社は、インターネットの会社です。インターネットサービスの上に載っている広告を事業の柱にしていて、ヤフオク!やYahoo! ショッピングなどEコマース事業などをやっています。
社員数は6,600 人で、この規模で1on1をやっているということです。ヤフー○○というサービスは100以上あります。メジャーなものは乗換案内アプリとか。ぜひ興味がある方は探してみてください。
ヤフーという会社を語るうえで、前提となる情報も共有させていただきたいと思います。ミッション・ビジョン・バリューを決めています。ヤフーのミッションは課題解決エンジンで、課題先進国と言われる日本の課題を解決し続けようということです。
ビジョン、つまりミッションをやり続けた先にどんな夢を描いているかというと、日本をアップデートする「UPDATE JAPAN」を掲げています。
バリューは全社員が発揮すべき行動規範として定義していますが、「All Yahoo! JAPAN」はチームワークで仕事しようというもの、「個のチカラ」は個人の力を伸ばそうというもの、「発見・提案・改善」「圧倒的当事者意識」「やりぬく」は読んで字のごとしで、ヤフーという会社で働くうえでの軸になるものです。
小金:ここまでが導入の話でしたが、前半はヤフーの1on1についてお話します。基本編と導入編で分けていますが、何をしているのかが基本編の方です。導入編は、ヤフーがどういうふうに1on1を導入したのかをお話しできればと思います。ここはこれから導入を考えられているとか、導入した後になにか課題が出てきていらっしゃる方にヒントがあればいいなと思います。
ここではヤフーの1on1からお話ししますが、そこに込められている本質的なテーマをみなさまで対話したく、ヒントになるお話をしつつ対話をするのが全体の流れです。お付き合いいただければと思います。よろしくお願いいたします。
では、さっそくヤフーの「1on1」の基本編をお話しさせていただきます。行われている場面はこんな感じですね。2人で1対1で対話しています。
正式名称は「1on1ミーティング」と呼んでいます。シンプルに言えば、週1回程度、30分程度、上司と部下で対話する。やっていることはシンプルです。これをやり続けています。ここでのポイントは「程度」です。
週1回程度、30分程度などガイドラインは決めていますが、例えば部下が多い上長や、部下が兼務でその時期(1on1に)入っている場合には隔週で行う、毎週なんだけど15分程度で行う、ということもあります。ただ全社としては、週に1回程度30分やろうということになっています。
何のためにやっているのかをもう少し詳しく話しますと、「上司が部下のために定期的に時間を割き、部下の話に耳を傾けることを通して、目標達成と成長を支援する場」といっています。わざわざ定期的に時間を割いていることが1つポイントです。もう1つが耳を傾ける、傾聴するということ。目標達成は何となくわかりますよね? 進捗を確認します。
もう1つは成長を支援する場だというところです。成長を支援する場ということで、みなさまにこれまで自分が「あの瞬間すごく成長したなー」と思ったのはどのような時だったかを考えていただきたいです。普通の成長ではなく、劇的に成長したときがあると思います。少しお時間を差し上げますので考えていただければと思います。近場の方から聞いていってもいいですか?
参加者1:頼りにしていた上司が異動して、自分がやらないといけない状態になった時です。
小金:なるほど、ありがとうございます! もう1人よろしいでしょうか?
参加者2:ちょうど10年前の話になりますが、自分の力が及ばず、リーマンショックで事業をつぶした時です。
小金:有名なエピソードですね。それはどういう立場で関わられたのですか?
参加者2:当時は事業部長です。
小金:そうなんですね。ありがとうございます! 確かにその場面は成長しそうだなというお話が伺えたのでよかったです。ここでお話ししたかったのは、大人が成長する場面には、実は法則があるということです。
ご存知の方も多いと思いますが、大人の学び「7対2対1の法則」というのがあります。大人が学ぶ瞬間は、直接的な経験が7割、他者からの観察やアドバイス、尊敬する人からの薫陶が2割。今日のセミナーももしかしたらそうかもしれませんが、読書や研修など独学に近い学びが1割です。
これを見ると、僕も本業で研修などをやっているので、「研修は10パーセントしかないんだ」と思うんですが、当たり前なんです。人生のほとんどは直接的な経験なので、当然なのですが、ここ(直接的な経験)がやっぱり比率が高いです。大人の学びは、すなわち経験なのであるということです。
いま共有いただいたお話も、その場面に居合わせてやらないといけなくなったという経験が学びや成長だと思います。なぜこんなお話をしているのかというと、1on1の中に体系としてあるのは、経験からの学びであるということです。
小金:具体的には、裏側ではこんなモデル(経験学習サイクル)を1on1に組み込んでいます。経験学習サイクルという考え方があります。お聞きになったことがある方は、どのくらいいますか?
(会場挙手)
ありがとうございます。3割4割くらいですね。デービット・コルブという学者さんが提案された学習のサイクルのモデルです。かっこよく書いてあるのですが、書いてあることはわりと普通のことです。具体的な何かを経験をしたら段階的な観察をします。
振り返りや内省、リフレクションですね。振り返りをするとそこから抽象的概念化という教訓、気づきが引き出され、次に活かされて、またよりよい経験ができるということです。
経験、内省、概念化、実験をグルグル繰り返すことで学びを深めるということです。言われてみれば当たり前ですよね。今日の帰り道に石に躓いてころんじゃったら「そこに石が落ちているから次から気を付けよう」というのもある意味では経験学習です。
ここでお話ししておきたいのが、職場の仕事経験をどう活かすかというときに、もうちょっとちゃんと取り組む必要があるということです。意思をもって、解像度高く取り組む必要があります。
このモデルの中で大事なのは、いわゆる振り返りと言われている「内省」と、教訓を引き出す「概念化」をちゃんとやっていることと、それをどれくらい速く回せているかになってきます。
1on1がやろうとしていることは、この右下の2つ(内省と概念化)を徹底して促進していくことです。部下の成長支援のためにやっていて、経験からも成長になっていて、経験学習を回すなかで、振り返りと概念化をサポートするためにやっています。
小金:ここからは、実際に1on1をどんなものとして毎週行っているのかということです。まず1on1をお話するうえで前提となるルールがあります。すごくシンプルなんですけど、「部下のための時間」ということです。
(1on1)は上司と部下の対話の時間ですが、上司のための時間ではなく、部下のための時間です。部下の振り返りを促す時間であることと、部下を観察するための時間です。元気かなとか、仕事を前向きにできているかな、とその時の様子をきちんと見ます。
また、1on1は部下をサポートするための時間です。その時間があることで、部下が仕事を前に進められるようにする。つまり、1on1のルールは、部下にとって「この30分はいい時間だったな」と思ってもらうことが重要です。講師とクライアントの関係ですね。部下はクライアントだと思うんです。
次に1on1で取り扱うテーマ、お題です。毎回話した方がいいと言われている代表的なものがこの内容です。これは1週間に一度やるので、「前回の1on1から今回の1on1までの1週間どうだったか」、「その中でよかったことはあるか」(を聞くこと)が基本です。
さっきのサポートにつながるのですが、その中でとくに悩んでいること、困っていることがないかというのが次の議題です。
面談というと優先順位が高いと思われがちですが、実はそんなに高くないものが「目標の再確認」と「進捗確認」です。毎週やられるとけっこう嫌ですよね。毎回と書いてあり、頻度は高いのですが、優先順位は低いです。
(逆に)優先順位が高いのは、直近どうだったか。これは、進捗確認とは違うんです。直近どんな仕事をして、自分の中ではどんな経験が1番印象的だったかを聞くことで、経験学習の話をしているんです。専門用語では、内省支援、精神支援、業務支援という言い方をします。
もう1つ、適時と書いてあります。その時期だけ特別にやるようなことはこれです。これはどちらかというと、世の中でいう面談と近いものになっていますが、当然、期の初めには目標設定をして期末になったら評価をします。そのフィードバックや目標のすり合わせを1on1で行いますし、期中だったら、いいタイミングで中長期のキャリアの話もします。
小金:ここまでコーチング的な話が多かったのですが、戦略や方針をちゃんと伝播するには、例えば部長だったら部会とか、リーダーだったらチーム会みたいなものがあって、組織に対しても発表しますが、浸透させるために個別にも話します。
ここはけっこう真面目なことばかり書いてありますが、世間話のようなことも当然します。世間話しかしていない1on1はあまりよくなくて、こういったものを効果的に混ぜていくのが1on1で求められている姿かなと思います。
じゃあ1on1はどうやっているのかというところですが、これも実はお話しできるものがあります。スポーツや芸術などと同様にと書いてありますが、1on1にも最初に身につけたい型があります。
この資料は新人の管理職にそのまま話しているものなのですが、「30分間を5個のステップでやってください」と話しています。①はテーマ・ゴールを決めます。堅く書いてあるんですけど、要するに、「今日はなんの話しようか」と聞くことです。
②部下の話を聞く(観察、傾聴)と書いてありますが、コーチング的な時間です。1on1の30分の中でほとんどの時間がこの2番です。部下が話したいことを全部聞き切るということです。
「1on1はコーチングですよね」と言われちゃうんですけど、時間的に言うとこの(部下の話を聞く)分量が多いので、コーチングとイコールだと思われやすいです。それは、時間の問題なんです。切り込んだ質問にはフィードバックの効果があったり、知らないことがあったら教えるティーチングも一部入るので、必ずしもコーチングのみではないのですが、この時間は長いです。
そして、③は行動を促す。今聞いた話の中でどんな気付きがあったのかや、次仕事をするときにどんなことをすればいいかなど、次のアクションを聞きます。その行動に対してできることがあるかどうか、支援の交渉をして、最後に感謝とねぎらいを示します。「今日も30分間話してくれてありがとう、引き続きよろしくね」と伝えます。
新人のマネージャーは、この30分の中で「忙しい」とか「感謝やねぎらいが煩わしい」といったことを言いますが、まずは、これを愚直にやり続けましょうと徹底して伝えます。そしてできるところからやってもらっています。やっぱり型がないと、グズグズになってしまうので。
小金:ちょっと先走って話してしまいましたが、「1on1を質のいいものにするために、3つのスキルを使いましょう」と話しています。みなさまもご存知のとおり、コーチングとティーチングとフィードバックです。
コーチングは質問や傾聴を通して、相手から気づきや行動を引き出す行為。ティーチングは相手が知らないことを、知っている自分が教えてあげる行為。フィードバックは、自分からどう見えているかどうかを率直に伝達したり、伝えてあげる行為です。
今日は、コーチングだけにしようということではなく、対話の中に織り交ぜていくような感じで、3つを繰り返し続けることが良い1on1の進行の仕方かなと思います。それぞれスキルは違うのですが、共通することは観察です。きちんと相手のコンディションを見ながら、スキルを出しわけることが非常に重要です。
例えば、「今、この耳が痛いフィードバックをしたいな」と思っても、「今言ったらコンディション的にもまずかろう」と思ったらやめる。そういったことを判断しながらやっています。ここまでがヤフー1on1の基本編です。いったい何をやっているのかを説明するとしたら、こんな内容になります。
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