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働く人 TOKYO volume 6 これからの社会を創る「女性のエンパワーメント」(全2記事)

「日本のジェンダーギャップ指数は先進国で最低レベル」 ミレニアル世代の女性経営者が語る、女性のエンパワーメント

2018年8月29日、The Millennials Shibuya(ザ・ミレニアルズ渋谷)にて「働く人 TOKYO volume 6 これからの社会を創る『女性のエンパワーメント』」が開催されました。BLAST Inc. CEOの石井リナ氏とSHE取締役の福田恵里氏という、平成生まれの経営者の2名がゲストとして登壇。ミレニアル世代のガールズトークをテーマに、これからの社会が必要とする“女性のエンパワーメント”について語り合いました。本記事では、その前半の模様をお送りします。

社会の固定観念から解放し、エンパワーメントする「BLAST」

廣田章剛氏(以下、廣田):みなさんはじめまして。本日モデレーターを務めさせていただきます廣田と申します。

はじまる前にお二人にはお話ししていたんですけれども、今日女性が多いので、私、自信ないと思っていたんです。でも、ご来場のみなさん、すごく温かくやさしい方でした。今日はよろしくお願いします。

福田恵里氏(以下、福田):よろしくお願いします。

石井リナ氏(以下、石井):よろしくお願いします。

廣田:では、早速なんですけれども、2人の自己紹介からはじめさせていただきたいと思います。まずは石井さんから自己紹介をお願いします。

石井:はい。石井リナと申します。よろしくお願いします。

もともとIT系の広告代理店に入社しまして、デジタルマーケティングだったり、SNSのマーケティングをしてきました。その後にベンチャー企業に入りまして、マーケター向けイベントや、マーケティングを行っている人たち向けにメディアを立ち上げて、運用をしてきております。

今年の1月に起業しまして、BLASTという動画メディアを運営しております。ちなみにBLASTをご存知の方っていらっしゃいますか? 

(会場挙手)

うれしい! ありがとうございます。うれしいです。BLASTの紹介をさせていただこうかなと思っているんですけれども「人々を社会の固定観念から解放し、エンパワーメントする」というところを目的にやっています。「エンパワーメントメディア」という呼び方をしています。

テキストメディアというものを一切持たずに、InstagramとYouTubeだけでメディア運営をしています。YouTubeをやめようかと思っていて、今後はInstagramだけでメディア展開をしていこうかなと思っています。

女性向けのメディアにはなるんですけれども、日本の女性を応援する、解放する(というように)いろんな生き方の選択肢を提示できるようなメディアにしていきたいなと思っています。そうした私たちが掲げる思想に共感してくださる方に見てもらいたいので、年齢層も区切っていません。

コンテンツも、社会問題なども取り上げるんですけれども、女性をエンパワーメントするというところ(を中心にしています)。真面目で固いコンテンツばかりやっていると、とっつきにくい印象になってしまう。それに、私も常にそういうことばかりを考えているわけではないので、ファッションだったり、テクノロジーだったり、エンタメという内容も混ぜながら情報発信をしています。

私の活動でいうと、広告代理店時代にInstagramのマーケティングの本を共同執筆している関係で、SNSのコンサルタントとしても呼ばれることが多いです。あとはいくつか連載を持たせてもらっていて、SNSを通してミレニアル世代の人たちを見ていることが多いので、SNSマーケティングやミレ二アルズについての執筆しています。『Forbes JAPAN』だったり、あとは宣伝会議さんが運営している『AdverTimes(アドタイ)』というデジタルメディア、あとは朝日新聞デジタルの『&M』というメディアと、あと雑誌の『ケトル』で連載をさせて頂いてます。よろしくお願いします。

21世紀を生きる女性のためのレッスンクラブ「SHE」

廣田:ありがとうございます。では続いて福田さんお願いします。

福田:はい、よろしくお願いします。私はSHE株式会社という会社を去年立ち上げまして、今共同創業者で取締役CCOをしています。

リナちゃんに続いて、SHEという会社を知っている方っていたりしますか? 

(会場挙手)

お! ありがとうございます。けっこういてくれてうれしい。うれしいです。ありがとうございます。

SHEは、私らしい働き方をかなえる場所として、さまざまなレッスンを提供しているんですが、動画があるので、ぜひ、そちらを見ていただければと思います。(動画再生)ありがとうございます。去年、会社を創業したんですけれども、創業背景としては、学生時代に初心者のためのWebデザインスクールというものを立ち上げて。

こんな感じで、初めはすごくガーリーな感じだったんですけど、これを大学生くらいの時にはじめました。はじめた背景としては、その時、私は独学でWebデザインとかプログラミングを学んでいたんですけど、とにかくこの業界に女性が少ないということを感じていて。みんな、アイデア、何かサービスを作りたいとか、ホームページを作れるようになりたいという思いはあるんだけど。

実際、プログラミングとかって、暗号みたいなのを黒いコンソール画面に書いて、何やってるのか難しそうでよくわからない、そして全然かわいくないっていうところがあって。それを、「教え方の工夫次第で女性にもっと楽しんでいただけるような仕立てにできないかな」っていってはじめたのがこの講座だったんです。

その後にリクルートっていう会社に新卒で入ったんですけど、入社後も副業しながら、この活動をずっと続けていました。

そうしてるうちに、この講座を通してデザイナーになったとか、エンジニアになったっていう人がけっこう増えてきて、自分の生きている意義というか、人の人生を変えるお手伝いができることってこんなにもうれしいんだと実感しました。その経験から、リクルートをやめる決断を去年して、今はSHEという会社を経営しています。

自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きられる世の中をつくる

福田:さっき半分くらいSHEのことを知ってくださっていた方がいらっしゃったんですけど、知らない方のために簡単に紹介すると、2人で会社を立ち上げて、やっと1周年を迎えたまだ若い会社です。ビジョンをすごく大事にしていて、「ひとりひとりが自分にしかない価値を発揮して、熱狂して生きる世の中を作る」っていうビジョンを掲げています。

SHEの特徴として、「好き」を学んで、それを活かして働くというところをトータルサポートするような事業をやっています。今まででいうと、SNSのオーガニックだけで、1年間の累計受講者数は3,000人くらい。メディアでもけっこう取り上げていただいております。講師もミレニアル世代で活躍されている女性の方々の中で、とくに自分しかできない事を活かして夢をかなえていらっしゃる方々をお迎えしています。

あとは空間づくりみたいなところも、女性限定なのでこだわっていて、表参道の真っ白な一軒家で、土足禁止なのでお子様も連れて働いている方がたくさんいらっしゃいます。そんなこんなで1年間やってきたんですけど、ちょうど来月の10月からSHEが新しく生まれ変わることになっていて。

いろいろつまみ食いで通っていただけるスクールだったところから、もう少し好きを本気で仕事にするというところにフォーカスして、女性の感性を活かした仕事をできるようなコースを設計しております。Webマーケターのところにはリナちゃんも登壇していただける予定をしているので、もしご興味のある方がいらっしゃったら、ぜひお越しいただければと思います。

廣田:はい、ありがとうございます。ちなみに、今回の企画をするにあたって、なぜお二人にたどり着いたかというと、さきほどちらっと石井リナさんのほうからありましたが、以前、COMPASSの編集長をされていて、実はグローバルエージェンツのメイン事業であるソーシャルアパートメントをご取材いただいた経緯がありまして。記事を見ると、2017年の6月19日なので、もう1年以上前なんですけれども、個人として感銘を受けていて、めちゃくちゃ聞き上手で、お話上手なんですよ。

石井:ありがとうございます。

廣田:とんでもないです。今、目の前で初めて言いました(笑)。

それから本来であれば、お二人がやられていることって僕がメインターゲットではないんですよね。福田さんの方はもちろん女性限定って言いきっているので、当然、通常だと触れる機会はありませんし、石井さんのBLASTも僕はメインターゲットではないんですが、個人的な一ファンとして追っかけていて、ぜひお話しいただきたいなというところから、今日お呼びしたという背景になっています。ちなみにSHEは映像があったので、BLASTの紹介をすると……スマホ画面で見るとこんな感じです。

石井:はい。BLAST.jpでInstagramで検索していただくと、見れます。IGTVでいくつかコンテンツを作っていて、自分らしく働く人たちにフォーカスしたキャリアの番組だったり、あとは恋愛・結婚・家族とかも、今いろんなかたちがあっていいんじゃないかなと思っていて。そうした対人関係をカスタマイズしながら生きている人たちにフォーカスした番組も制作しています。

例えば、複数愛のポリアモリーや、精子バンクを利用して出産、妊娠された方へのインタビューなど。あとは性とセックスの番組も作ったりしています。

今までかつてない世代“ミレニアルズ”

廣田:ありがとうございます。ぜひみなさん、ご覧ください。少し横道にそれましたが、本題に戻っていきます。この後の進行なんですけれども、お二人に質問をぶつけさせていただきながら、聞きたいことをどんどん聞いていこうと思っています。

我々でご用意している質問もあれば、みなさまから事前に頂いた質問も10個弱くらいあるので、盛り込んでいきながら進行していきたいと思います。聞きながら、今この瞬間に聞きたいことができちゃったという人はぜひ挙手をしてください。

では、早速なんですけれども、みなさん気づきました? さっきのスライドで、石井リナさんプロフィールのところに「ミレニアルズ」「ミレニアル」「ミレニアル世代」って、いっぱい出てきたと思うんですけれども、たぶんお名前で検索すると、1ページ目でめちゃくちゃそのキーワードが並んでいて。

運営されているメディアがミレニアル世代をターゲットとしているというのがもちろんあると思うんですけれども、ご自身がミレニアル世代を代表している価値観とか、生き方とか、働き方をされていて、多数の取材とか記載寄稿とかもされている背景があると思います。そこで、石井さんにおうかがいしたいんですが、昨今、騒がれているミレニアル世代って、2000年以降に成人になっている世代という定義が、一般的にはあるんですけれど、本来ミレニアル世代っていうのは価値観として定義づけされていくべきかなと思っています。

そこで、石井リナさんの考える価値観とか、考え方ってどういうものなのか、ぜひ聞かせてください。

石井:そうですね。ご存知の方も多いかと思うんですけれども、1980年から2000年までに成人した人のことを「ミレニアルズ」っていって、本来でいうと、かなり幅広いんですけれども、BLASTのインスパイアされているメディアに「Refinery29」っていう海外のメディアがあって。月間5億人かな、それくらいの女性たちが見ていて、「ミレニアルズの女の子たちが一番支持しているメディア」というふうに言われているんですけれども。

そことかが、ミレニアルズを定義するには、「ひとくくりにはくくれない、今までかつてない複雑すぎる世代である」という言い方などをしていて、キーワードは、すごいたくさんあるんです。

合理主義だったり、刹那的だったり、多様性に柔軟にありたいみたいなところだったり。ここもたぶん、ザ・ミレニアルズなので、詳しいんじゃないですか? って思うんですけれども。そういうセクシャルマイノリティみたいなところも寛容でいたいという彼らの意思におけるデータも出ていたりします。キーワードをあげると本当にキリがないですが、今までのルールに縛られないというところで、働き方も多様化している世代だと思います。どう?

社会的に貢献したいミレニアルのマインドセット

福田:めっちゃふられた(笑)。そうですね。あとはすごく感性的なところで言うと、クリエイティブがいけてるっていうことが、「ものを買う」「体験する」とかの判断軸になっているというのが、今までとぜんぜん違うなって思っていて。

今までは、もう少し上の世代だと、ちゃんと内容に実がともなっていれば、別に見た目はそんなに関係ないっていう人も多かったと思うんですけど。ミレニアル世代だと、例えば、薬のパッケージひとつをとってみても、成分よりもカラフルなパッケージに惹かれて薬を買うとか。「ジャケ買い」するみたいな感じで、よりクリエイティブの価値が高まっているところが新しいのかなと思っています。

石井:そうですね。あとは、なおかつそれでいて、ソーシャルグッド(social good)なことに、良さを感じているというようなデータも出ていて、おしゃれで、かつソーシャルグッドであるというところに重きを置いている人たちも多い。なので、同じ水を買うのであっても、この水の方が社会的にいい(社会貢献的)から、これを買うっていうような消費行動がある。

どなたかもツイートしていたんですけど、自己顕示欲求って、もうそろそろ萎んでいくかなと思っていて。でも社会的に貢献したいっていうのはミレニアルのマインドセットにも含まれているものであって、これからたぶん数年は続く欲求なのかなっていうふうに思っています。

福田:あと「ストーリーを大事」にするみたいなところも顕著かなと思っていて。例えばアメリカのD2Cの一番代表的なブランドのEverlane(エバーレーン)でも、Transparency(透明性)にすごく重きを置いていて。あれは原材料とか、人件費とか、その服1つに、どれぐらいのシェアでコストがかかっているかをぜんぶ開示しているんです。

だからこそ、ミレニアル世代から信頼をされるとか、その透明性にかけるエナジーを評価して、物を買うというのがあるので、物それ自体の価値というよりも、それに付加したストーリーの価値にフォーカスがされているなという印象ですね。

自分にしかない価値を追い求める。21世紀を生きる女性像とは

廣田:ありがとうございます。この延長線上というわけではないんですけど、ミレニアル世代って、確かに私もこういう施設をやっているので、考え方や価値観を持っている一方、1つの疑問がありまして、SHEのサイトのトップに出てくるこの文字なんですけれども。

「21世紀を生きる女性像」というのがページにドカンと出てくるんですよね。これって、僕が男性というのもありますし、今までそう考える機会に当たったことがないので、これってなんなんだろうって、今回純粋に聞きたくて、ぜひ福田さんにおうかがいできればと思います。

福田:はい、ありがとうございます。たぶんリナちゃんも出演していたかなと思うんですけど、この間、「NewsPicks(ニューズピックス)」さんの記事で、クリエイティブウーマンみたいな記事があって、それが顕著かな、というふうに思っているんですけど。これからの女性って、社会的に働き方改革があったりして、女性管理職の増加や、リモートワーク推進だったり、いろんな働き方が増えていきますよね。

そういった社会の動きに呼応して今は「ロールモデル不在の時代」といわれていると思うんですね。クリエイティブウーマンの代表例として、例えば有名な人でいうと、FacebookのCOOのシェリル・サンドバーグさんとか、エマ・ワトソンさんとか。芸人でいうと、女性の渡辺直美さんも取り上げられていて、ぜんぜん違う毛色の方々が同じくイノベイティブな女性として評価されている。

今までだと、安室ちゃんみたいな全女性のカリスマ的存在がいてみんなその人を真似すれば良かったところから、一人ひとりが能動的に自分らしさを求めて、働き方だったりとか、自分の目指したい女性像を描くことが必要になってくるというふうに変わってきました。

あとは、求められる資質も違いますよね。今までだと、それこそ、いい大学へ行って、いい会社に入って、安泰な生活を送ることが重要だと言われていたところから、これからの社会を生きる女性には、アイデアだったりクリエイティビティ、発信力が求められています。

そういう能力って、会社の中で通用するスキルだけを追い求めていてもダメでやっぱり自分にしかない価値を育てることが、これから21世紀を生きる女性には必要になってくる資質かなと思います。

活躍している人には自然と目が向く

石井:恵里ちゃんのロールモデルはいるんですか?

福田:私、ロールモデルをよく聞かれるんですけど、いなくて。いる?

石井:エマ・ワトソンとか、若いですけどミリー・ボビー・ブラウンっていうNetflixのストレンジャーシングスの主役の女の子。あれ、みなさん知らないかな?

福田:リナちゃんNetflix、めっちゃ好きなんですよ。Netflixフリークで(笑)。例え話、ぜんぶNetflixが出てくるんですよ。

石井:第2のエマ・ワトソンって言われている、今のティーンにすごくいい影響を与えているティーンのインフルエンサー、ミリー・ボビー・ブラウンちゃんがいて。あとは同世代の若い子たちに、私は影響を受けています。それこそ恵里ちゃんもそうだし、草野絵美ちゃんとか、ホテル経営の龍崎翔子ちゃんとか、ハヤカワ五味ちゃんとか、あの辺が今、すごく元気で柔軟なので。

福田:めっちゃわかります。

石井:同世代でユニークな子たちに刺激を受けてます。

福田:そうですね。確かに上の世代も、もちろんそうなんですけど、新しい価値観とか働き方が、今生まれているこの世代からこそ、そういった分野で活躍している人って自然と目がいくし、お互い学び合ってると思います。「あ、あの人こんなことしてる。じゃあいいところを取り入れて、私は私なりにミックスしてまた新しい価値観を発信できればいいな」というような。そういうね(笑)。

石井:そういう感じですね。

廣田:いいですね。すごく距離感の近い軽快なトークです。じつは僕さっき聞いたんですけど、お二人はいつ出会ったんですか?

福田:実は、私たちめっちゃ仲いい感じなんですけど、初めて会ったのは2ヶ月前とかで。Twitterで有名な、塩谷舞さんっていう、ご自身でメディアもやってらっしゃる編集長の方がいて。その方が、南三陸で地域復興も兼ねた大人の修学旅行の企画をされていて、そこに呼ばれて会ったんですけど。

私は、もうリナちゃんのことを、BLASTだったり、いろんなSNSのコンサルタントをやってらっしゃるところを見て知っていたので、初めて会って、「同い年で、女性のエンパワーメント事業をしてる」という共通点から意気投合して、今こんな感じの距離感ですね。

石井:同じ中学校だったっけ? っていうくらいバイブスが合う。すぐに仲良くなりました。

日本のジェンダーギャップ指数は、先進国で最低レベル

廣田:あるんですね。大人になっても、そういう瞬間的なね。

そこで次のテーマがこちらなんですけども、女性のエンパワーメントについて。これ、まさに今日のイベントのタイトルにもなっていて、おそらくこのタイトルに惹かれて、ご参加いただいている方も多いと思います。

本来であれば、最後に大トリに持っていきたい議題でもあるんですけれども、我慢ができないので、早速、聞いていきたいと思います。けっこう幅広く、定義づけも難しいと思うんですけど、もう単刀直入にお二人の考え、どうお考えになっているかをおうかがいできればと思います。

石井:BLASTを立ち上げるきっかけにもなったんですけど、以前のベンチャー企業で「COMPASS」っていうマーケター向けのメディアを運営していて。SNSのコンサルタントをしていたこともあって、海外のメディアだったり、トップインフルエンサー、企業を500くらいInstagramでフォローしているアカウントを持っていて、それを週に1回くらいパトロールするっていうことを定期的にやっていたんです。

SNSのマーケティングだと海外の方が早いので、ほとんど海外のアカウントなんですけど、例えばスターバックスが社会的なイベントをやっていて、それをInstagram Storiesで発信するということだったりとか、様々な企業やインフルエンサーがレインボープライドとか、ウィメンズマーチとかに行進するのが当たり前で、その情報発信も熱心にされていたりとか。そういう世界観をSNSを通してここ2、3年くらい見ていて。

2017年のキーワードが「フェミニズム」だったっていうこともあるんですけど、あまりにも日本と海外の差を感じる期間で。去年、発表された「ジェンダーギャップ指数」っていう男性と女性、どれくらい社会的に男女間でギャップがあるのかってグローバルで発表されている指数があるんですけど。日本は、144ヶ国中114位で、先進国で最低レベルなんですね。

でもこれって、日本の女性たちはあまり知らないんじゃないかなと思ったんですよね。私も、世界的に日本が男女不平等な国だって感じてこなかったから。でも、それをどうにかしないといけないなっていうふうに思ったんですよね。

それで、先ほどお話しした「Refinery29」っていうメディアがあるんですけど、そのメディアが好きでずっと見てたんですよね。それもすごく思想があるメディアで。トランプ政権の話もすれば、生理の話もすれば、ボディポジティブの話もすれば、アートの話もするっていうメディアで、こういうメディアが日本にあってもいいんじゃないかなって思って、インスパイアされて、BLASTを立ち上げたっていう流れがあります。

なので、男女間のギャップや、制約されていることに気付いていない現状を変えたい、そして自分たちで自由に生き方を選択できるようにしたいという思いがあります。

先入観により、可能性を狭めてしまっている日本の女性たち

廣田:ありがとうございます。福田さんいかがでしょうか。

福田:私は、まず、SHEを立ち上げた背景として、先ほど申し上げた、私自身の原体験で、IT人材の女性不足だったりとか、先入観によって女性が自分の可能性を狭めてしまっているっていうところに危機感を感じて始めたというところはあるんです。それと同時にアメリカのニューヨークで、一昨年くらいに、「THE WING」という女性限定のコワーキングスペース&コミュニティーみたいなものが立ち上がっていて。

今、恐らく時価総額40億円くらいでウェイティングリストも8,000人以上という、驚くような急成長を遂げている企業です。ニューヨーク以外にも、ハリウッドやイギリスだったり、いろんなところに拠点も拡大しています。

そこでは、入居者はすべて女性で、普通の会社員の方から、弁護士、インフルエンサーなど、いろんな個性を持った人が集まって働いたり、これからの社会や働き方についてディスカッションをしながら、お互いを高めあっているというところに、けっこう衝撃を受けて。

日本で、女性の働き方というか、自分の夢に対して話し合う場ってあまりないなって思っていて。「女子会」ってよくあると思うんですけど、基本、女子会に行くと、だいたい彼氏の愚痴か、上司の愚痴か、みたいなかんじで、生産的な話をする場っていうのがあんまりなくって……ごめんなさい、ちょっとこれ、語弊がありますかね(笑)。

私、心の中では夢があったりとか、こういうことをしたいっていう熱い思いはあるけど、そんなことを飲み会の場で話すのも恥ずかしいから、なかなか言えないところがあって、それをちゃんと素直に言えて、「その夢めっちゃいいじゃん! やろうよ!」みたいなふうに背中を押しあえる空間みたいなものが作りたくて、SHEをはじめたというところがあります。

事業という行動をおこし、自分自身も変わっていく

廣田:ありがとうございます。お二人ともあれなんですね。原体験があって、事業というかたちで行動を起こしていると思うんですけど、社会変化が伴ってくるので、けっこう大きなテーマじゃないですか。事業をはじめて、走り出すことによって、変化の実感値とか、体感とかってあるものですか? 身近なところで。

福田:すごくあります。1年やってるだけでも、けっこう女性の方の思想が変わってきているなって感じていて、1つは、働き方として、フリーランサーとか、パラレルワーカーで仕事したいという人がめちゃくちゃ増えているなというのは感じています。また、今までは「いつかやりたい」とぼんやり頭の中で考えていた人たちが、実際アクションに踏み出してきているという感覚もありますね。どうですか。

石井:そうですね、私がやっているのはメディアなんで、ちょっと距離が遠いかもしれない。そのエンドユーザーというか、読者の方と。でも、かなり反響は感じていて、今までこういう価値観がなかったからやってくれてうれしいとか、それをちょっとおしゃれな雰囲気でやってくれるのは見やすくていいとか言ってくれる方はすごく多くて、うれしいですね。

あと、自分自身も変わっているなっていう認識があって、こんな話いろいろしていいのかわからないけど(笑)。「ポリアモリー」って複数恋愛をする方に取材させていただいた時に、ポリアモリーは浮気とも不倫とも違って、同時に複数の方とパートナーシップを結ぶという恋愛の仕方なんです。

「私はポリアモリストです」っていうのを、パートナーの方に言ってから、了承を得ないとその関係は成り立たないので、浮気とも不倫とも違うんですけど。その方に、「私は惚れっぽいので、こういう恋愛の仕方なんです」っていう話をされて。私は反対に、なかなか恋愛をしないんです。

恋愛の機会が少なくて、「彼女がマイノリティになるんだったら、私もマイノリティだな」と、ふと腹に落ちた瞬間があって。そこからすごくいろいろ調べるようになりましたね。恋愛的指向(ロマンティックオリエンテーション)と性的指向(セクシュアルオリエンテーション)って分けて考えることができるんですよね。

恋愛的指向のなかでも「デミロマンティック」という言葉があって、特定の強いきずなとか、信頼関係を結んだ人にのみ、恋愛感情を抱くという人たちのことを「デミロマンティック」って言ったりします。また、恋愛の機会が少ない人を「グレーロマンティック」という表現をしたりするんですよね。そうした言葉に出会って、私もマイノリティなんだなって。私もBLASTを始めてから、いろんなことを知って、アメーバのように変わっていってる気がして、けっこう楽しいですね。

廣田:そういう言葉って、もともと海外では存在しているんですか?

石井:そうですね。ただ、そういうのを見たり調べたりしていると、向こうと日本では、浸透するのにも20年くらいギャップがある気がします。

廣田:そうですよね。たぶん日本には、概念自体がぜんぜん存在していないしっていうことですよね。

石井:そうですね。まったく恋愛感情を抱かない、まったく性的欲求を抱かないっていう人たちを「アロマンティック」とか、「アセクシャル」といういい方をするんですけど、そこについての研究はアメリカで10年くらいしかないらしいので、日本だとみんなが知る状態になるのはもっと後なのかなと思います。

古い体質のブライダル業界に一石投じたい

廣田:やっぱり、この議題だけで軽く1時間くらいいけそうな感じですよね、今の感じだとね。なんですが、このあともいろいろと控えていて。ただ、次にもつながると思うんですよ。多様なテーマがある中で、どれをどのタイミングでどういうかたちで着手していくのかってあると思うんですけど、お二人それぞれにおうかがいしたいのが、いま一番興味のある、もしくは伝えていきたいテーマがあれば教えてください。

福田:ちょっとリナちゃんのがおもしろいので期待しておいてもらって。私は、そうですね……いろいろあるんですけど、すごく私的な内容になっちゃうんですけど、最近、結婚をしまして。

廣田:おめでとうございます。知らなかったです。

福田:ありがとうございます。4月くらいに結婚をしまして、その準備過程で結婚業界を色々見たりしている中で、自分の結婚式を、既存の結婚式の形に囚われないオリジナル感満載のものにしたい!というこだわりが出て来まして(笑)。フェスみたいな感じで、ご祝儀3万円を嫌々払うんじゃなくて、「3万円払ってでも価値のあるイベントにしたい」という思いがありました

コンセプトメイキングからがっつりやったり、紙の招待状を廃止してWebサイトを作ったり、お祝儀もpaymoで電子決済にしたり。私たちは比較的自由にやりきれたんですけど、結婚式業界ってすごく古い業界なので、式場のしがらみだったりとか、理想はこうなのにできないっていうジレンマが多くて。結婚式にも自分らしさを追求していくような流れは、今後さらにスタンダードになっていくのでそこの課題解決には非常に興味があります。

廣田:すごい! もうSHEを飛び出した感じですね。

福田:それもそうですし、SHEの……やっぱり自分の今やっている事業の中にも、そういうプライベートの生活から感じるインプットを還元したいなと思っていて、それこそSHEの中で「最強のプロ花嫁コース」みたいなものを作って、自分だけのオリジナル結婚式を自分でプロデュースするコースを作ろうとしています。

廣田:ちなみにご自身でやられたときはどういう情報ソースで集めていたんですか?

福田:情報ソースは、もう完全にインスタですよね。ブライダルってけっこう宣材写真とか作りこまれた情報が多いので、なるべくリアルな一次情報を、自分で取りにいってっていう感じでしたね。

廣田:ご興味ある人、今めちゃくちゃ多いでしょうね。ウエディング業界も変革期ですしね。

福田:そうですね。自分も今28で、ちょうど周りの同世代の女の子も結婚を考える時期だと思っているので、そこに一石投じられればみたいな(笑)。

男女不平等であることに気づいていない日本

廣田:意欲がすごいですね。ありがとうございます。では続いて、前ふりのあった石井さんに。

石井:そうですね。今、一番興味のあることとしては「性教育」なんですけど、この話をちょっとさっきしていて。BLASTで、IGTVでコンテンツも作っているんですけど、性とセックスの番組をやりたいなと思っていて、最初に出したコンテンツで、「セルフプレジャー」女性のマスターベーショングッズを、普通の女の子が紹介するっていう番組を、今やっていて。

それはすごく好評で、今までの視聴回数の2倍くらいあって、男性からもすごく反響がありました。性教育に限らず、BLASTをやっていると、教育から入っていかないと、もう変えられないなというのがすごく多くて。

「STEM」ってSience(サイエンス)、Technology(テクノロジー)、Engineering(エンジニアリング)、Mathematics(マスマティクス)のSTEM教育ってあると思うんですけど。それって、男女不平等であればあるほど、女性がその研究職に就くっていうデータが出ているんです。

でもそれでいうと、日本は男女不平等な国なので、そこに就く女性が多くないといけないはずなんですが、日本でいうと少ないんですね。それってなんでなんですかねっていうところを大学の先生に聞きに行ったところ、たぶん、日本は男女不平等であることに気づいていない。

キャリアを選ぶとき、キャリアを選んで会社に入社した時に初めて、ようやく管理職に女性が少ないなとか、そういうことに気づいていく。女性がなかなか昇進していかないなってことに気づいていくっていう話があって、ますます、これはまずいなと思って。やっぱり若い時に、そういうキャリアを選ぶ機会を知ったり、教育っていうところがないと、どうしても女性の活躍だったり、っていうところが進んでいかないなと思ってます。なので、教育はすごく興味がありますね。

あと、どうして性のコンテンツを作ったかというと、日本では、まだまだ女性が性やセックスについて堂々と話す姿は少ないと思うんですよね。「女性のマスターベーションなんて存在しないもの」ってなってる気がしますし、そういうことを語るのはAV女優の方だけだったりというのがすごく不思議で。もっとヘルシーに当たり前のこととしてやりたいなと思って、制作していますね。

クリーン&ヘルシー、そしてクールなNYのセックス・ミュージアム

廣田:ありがとうございます。僕も直前ではあるんですけど、お話を聞いていて、「クリーン」「ヘルシー」というキーワードが出てきたんですけど、それに関してもちょっとした原体験があったっておうかがいしたんですけど。

石井:そうですね。行ったことのある方もいらっしゃると思うんですけど、ニューヨークにある「Museum of Sex」っていうセックスに関するミュージアムがあって、そこの1階はトイグッズなんですよね。すごく広いんですけど、そのトイグッズのコーナーに入っていかないと、その中に入っていけなくて。

そこが、本当に「アートギャラリーなのかな」って思うくらい、かなりかっこ良くて、洗練された空間で。「これはもう置物なのかな」っていう感じで、セルフプレジャーのグッズが置いてあるんです。それにすごく衝撃を受けて、日本の性とかアダルトなのって、ドン・キホーテの18禁のピンクのギラギラした感じで、こっそり入っていく感じだと思うんですけど、ぜんぜんそんなことないんです。

鏡張りで、普通に女の子たちがみんな触って見ていて。私が行った時も、おじさんが店員のお姉さんに、「これどうやって使うのー?」って大きい声で聞いたりしているんですけど、みんなそれを変な顔とかしないんですよ。店員のお姉さんも、「これは、こうでこうでこうでね、めっちゃいいよ」みたいなことを言ってきて。こっちがちょっと恥ずかしいと思うのが、恥ずかしいみたいな経験をしたんです。

福田:本当に私が行った時も、女性の方3人とかでみんなで開けて、震度をたしかめるみたいなのをやっていて、「すごい空間だな」って私も衝撃を受けました。

石井:あれは、かなりいい意味でカルチャーショックでしたね。

廣田:ありがとうございます。これ、めちゃくちゃおもしろいですよね。価値観でいうと、価値観の変化的には一番わかりやすいコンテンツでもあって、変えるのはかなり難しいことではあるんですけど、さっき、直前に聞いて、すごく安易なコメントをしていて、ananのあのテーマも売れますもんねって言っちゃったんですけど、石井さん的には、あれはまた全然違うとのことで…。

石井:あれもあれですごく良いと思います。でも、少し秘めたる感じがあると思うんですけど、もっとヘルシーにやりたいんですよね。

廣田:インスタのハイライトであがってますもんね。

石井:はい。IGTVから見れると思います。

SHEはフルリモートOKな会社

廣田:ぜひ、一度見てみてください。そして、次の質問へ行かせていただきますが、少しカジュアルダウンした質問になります。実際、日常的にどういう働き方、業務内容をされているのかということも、こういった機会におうかがいしたいと思います。けっこう本当に毎日、いろんな働き方があると思うんですけど。

「え? メディアを作る? どういうこと?」「実際に教える講師業もやってるんですか?」って質問があったんですけど、日常的なお仕事とか、「ちょっと変わってるかもなー」っていうご自身の働き方もあれば教えていただきたいです。

福田:弊社はフルリモートOKなので、オフィスにぜんぜん人がいなかったりするんですよ。今だと、北海道在住の方が、リモートで週5で働いてくれてたりして。Slackとテレカン(電話会議)だけで働いてくれてます。あとはアメリカのオースティンにエンジニアがいたり。もう新しい働き方をどんどん挑戦していこうというかたちでやっています。パラレルワーカーの子もほとんどです。

私自身の仕事内容でいうと、今、一応CCO、チーフクリエイティブオフィサーという肩書きなんですけど、クリエイティブのディレクションを中心としつつ、プロダクト全般の責任者としてコンテンツの企画・開発・運営まで行っています。

あとは、やっぱり現場に立たないと、会員の方のインサイトだったり、女性の方々が日々悩んでいることだったりとかが温度感としてわからなくなったりするので、講師として現場に立つことも多いですし、コミュニティマネージャー的なところも兼ねてやってます。

廣田:ちなみに、遠隔で働かれてる方ってどういった経緯でジョインされるんですか?

福田:そうですね。リファラル採用が一番多くて、あとはエージェントとかも使ってますね。

人が集まらなければならない仕事の多い映像業界

廣田:ありがとうございます。続いて石井さんはいかがでしょうか。

石井:そうですね。私もそういう働き方したいんですけど(笑)。私、新卒からずっとIT系の広告代理店で、その後もベンチャー企業で、テキストメディアの編集長だったんで、PC1台あればどこでも仕事できるー! 私はずっとこんなふうに働いていくんだなー! と思ってて、それがIT業界のいいところだと思ってたんですよね。映像の会社をやるとは、まったく思ってなかったので。映像って、結局集まらないと効率的じゃないってことも多いんですよね。

福田:テキストでディレクションできないから、見ながらとか。

石井:集まった方が早いっていうことが多くて。映像をクラウドにあげるのも時間が相当かかったり、ハードディスクを送らないといけないとなると集まっちゃった方が早いね、みたいなこともありますね。モーショングラフィックなど動きの共有などもそうですね。だからけっこうリモートワークができにくい状況がありますね。

廣田:ちなみに、場所的にはどこらへんで撮影されることが多いんですか?

石井:場所は、今いる場所にスタジオがあったりするので、そこで撮影しているものだったり、あとは出向いて撮影するものもあるんですけど。

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