日本人は世界一好奇心が低い民族

ピョートル・フェリクス・グジバチ氏(以下、ピョートル):みなさん、こんにちは。今日は簡単にOKRについて話しますけれども、なぜOKRを導入するべきかを、まずみなさんに少しマクロレベルでお話ししたいと思います。

今日は2つのお願いがあります。まず、好奇心を持っていただきたいんです。とある研究のデータによると、日本人はなんと世界で一番好奇心が低い民族だそうです。例えば、20歳の日本人はスウェーデン人の65歳と同じ好奇心レベルを持っていらっしゃるんですね。今日はぜひそれを破っていただきたいと思います。

あと、集中していただきたいんです。(来場されているのは)人事の方が多いと思うんですけれども、日本人は逆に集中しすぎている傾向があります。いろいろな大手企業のオフィスに入ると、もう便秘状態の顔をしているサラリーマンがパソコンに向かって座っています。今日はとりあえず好奇心を持って、集中して、少しリラックスしながらお聞きになっていただきたいんですね。

ご存じとは思うんですけれども、僕が日本に来たのは18年前です。その間で一番長く働いていた2社はMorgan StanleyとGoogleです。両社は違う業界の会社なんですけれども、共通点がいくつかあります。

まず、「グローバル化」ということです。どのオフィスにいっても、同じデスク、同じパソコン、同じ言語です。(言語は)英語ですね。もう1つは「スピード」。スピード重視・アウトプット重視という社風です。最後は「働きがい」。両社とも日本の働きがいのある会社のトップ1に何回も選ばれていたんですね。

それをぜひ考えていただきたいんです。個人を育む環境であることは、両社の職場づくりの土台です。GoogleはOKR(Objective and Key Result:目標と主な成果)を導入しているんですが、Morgan Stanleyがしていないのは大きな違いですね。

“クビ”になる準備はできたのか?

僕は、Googleで人材育成と組織開発のアジアパシフィックとグローバルなラーニング・ストラテジーを統括してから、2015年に独立しました。まず作ったのはプロノイア・グループという未来創造事業です。経営・組織のコンサルティングをしながら、パートナー企業と一緒に未来に向けて新しいビジネスモデルの仕組みや土台となる組織作りをしております。

その次に、そこにいるドリーと一緒に、モティファイというワークフォーステクノロジーの会社を作ったんですけれども、のちほど少しお話ししてもらいます。あと、最近は女子大生が社長の「TimeLeap」という教育事業にも力を入れてるんです。弊社のチームは本当に多様なんです!

3社をかけ合わせて、みなさんに新しい価値をできるだけ提供したいんですけれども、それだけじゃなくて、新しい知恵や新しい方向のみなさんの気づきになるようなメディアや本を出しています。まだ読まれてない方は、ぜひ僕の講演を無視していただいて、Amazon.co.jpで「ピョートル」で検索していただければ幸いですね。

今日は少し挑発的な講演にしたいんですね。(「ARE YOU READY TO GET FIRED?(クビになる準備ができたのか?)」と書いてあるスライドを指して)この質問の意味、ご存じですか? ご存じの方、手を挙げていただいていいですか? 「知ってます」って。

(会場挙手)

少ないですね。So, I’ll switch to English now.(じゃあ、英語に切り替えます)。冗談ですけれども(笑)、ぜひ今日お帰りになったあとで、中学校の英語の教科書を探しておいてください。それで勉強し始めようということですね。あ! 最近リラックスイングリッシュ(KADOKAWA)という英語本も出版したので、ぜひご拝読ください!

リラックスイングリッシュ

あと、もう1つ、この事例を通じてぜひみなさんに考えていただきたいのは、これからのビジネスの領域やみなさんの業界、みなさんの会社は、どういうふうに変わっていくか、どんな人たちが競合になるかを考えていただきたいんですね。

世界の260社のユニコーン企業のうち日本は1社だけ

例えば、ハイアット。ご存じだと思うんですけれども、数年前まで一番大きいホテル会社だったんですね。ハイアット(の従業員数)はなんと10万人に近いんですけれども、彼らが気づかなかった事実があります。

2008年にAirbnbという会社が創立されて、今は3,000人に近い(従業員がいる)会社なんですけれども、なんとAirbnbはハイアットを3年前に時価総額で上回ったんですね。いま現在は3倍です。

ハイアットというどでかいホテル業界の会社を、Airbnbという、1台もベッドを持っていない小さなスタートアップが上回ったんですね。「なぜそれができるか?」をぜひ考えていただきたいんです。

まず、これから伸びていく会社は、ものづくりやサービスの提供ではなくて、テクノロジーに力を入れるんですね。グローバルですぐ提供できる、テクノロジーを使えば、まずそれができるんですけれども。

もう1つの理由は、社風ですね。個人個人が、自発的に会社のミッションに向かって動ける社風づくりは、2つ目のヒントですね。今日はそのヒントについて、OKRを通じても少し掘り下げて話をしたいと思います。

ここで、ぜひもう1つの視点からAirbnbを解釈したいのですが、Airbnbはユニコーンと言われる会社ですね。ご存じと思うんですけれども、すでに10億ドルの時価総額を上回っている未上場のスタートアップですね。ユニコーンはなんと世界中に260社あるのですが、日本に何社あると思います?

半分はアメリカですね。その次に、中国、インドがあるんですけれども、日本には1社しかないんですよね。

ちなみに、一時的に今年2社あったんですけれども、1つ目のユニコーンがなんと上場しました。メルカリさんですね。もう1つの会社は、Preferred NetworksというAIのスタートアップなんですけれども、おそらくご存じではない方もいらっしゃるんですよね。あんまりメディアに出ない会社ですけれども、事実として、10億ドルの時価総額になりました。

ユニコーン企業の5つの共通点

彼ら(ユニコーン企業)は、5つの共通点を持っています。まず1つは、一見愚かなアイデアをビジネスにすること。例えばAirbnbは、ベッドも持っていないのに、ホテル業界に入れる。要はCtoC、Customer to Customerのプラットフォームを作れば、(ユーザーの)みなさんがそのプラットフォームを作ってくれるんですね。

2つ目はとても大事です。彼らはまずマネタイズをしません。マネタイズをしないで、膨大なユーザーのコミュニティを作るんですね。なぜそのコミュニティを作るかというと、(これが3つ目で)彼らは新しい行動パターンをビジネスにするんです。

Airbnbはまさに……よく考えれば、他人の部屋でホテルのように1泊2泊で泊まるというのは愚かなアイデアだったんですけれども、今はサービスの導入がどんどん増えています。

Facebookもそうだったんです。みなさんがおそらくいま見ていらっしゃるかもしれないんですけれども、Facebookも結局、自分たちの写真や個人情報をシェアしていくというアイデアでビジネスを立ち上げたときに、それは愚かだと僕も思ったんです。今、Facebookと戦う気がないんですね。

ちなみに(4つ目は競争が激しい飽和市場に参入していることですが)、ぜひ次の共通点を通じて、Facebookは「どこの領域の会社なんだろう?」「どの業界の会社なんだろう?」と考えていただきたいんです。

SNSではないんです。そもそもSNSのプラットフォームを作って、いろいろな人たちのコミュニティを作ったんですけれども、結局入った領域はメディアですね。(Facebookは)世界中で一番大きいメディアカンパニーですね。例えば、テレビ局やラジオ局、新聞社と競合しているんですけれども、時にはピョートルとも競合しています。

いまFacebookを見ていらっしゃる方、いらっしゃいませんか? ぜひ見ておいてください。あと、今日の写真も、今日のスライドもパシャっと撮っていただいて、FacebookやTwitterにアップしても構わないので、下のピョートルのFacebookとTwitterのアカウントもぜひフォローしてください。

最後(の5つ目)は、経験がない創業者ばかりということですよね。(彼らが)他業界から新しい領域に入っていることは事実です。ここで、ぜひみなさんにマクロレベルのビジネス領域がどういうふうに変わっていくかを少し考えていただきたいんです。

これから伸びていく会社と終わりゆく会社の比較

新しい学習をする、新しい知識を身につけていくことはとても大事なんですけど、これから生き残るため、成功するためには「学びほぐす(時代遅れのやり方を忘れる)」ことのほうが大事です。従来のビジネスと今のビジネスの成功者を少し比較したいと思います。

従来のビジネスは、モノづくりやサービスでしたが、これはもう終わりですね。今がんばっている会社は、ほとんどが仕組みづくりに力を入れています。それは、IoT化かネットか、コミュニティづくりかパートナーシップか、いろいろなかたちがあるんですけれども、ビジネスモデルとして、サービスやモノだけじゃなくて、コトをつなげていくということですね。

あと、強欲も終わりです。お金儲けだけを考えるんじゃなくて、社会の問題や人のためになるものをいかにサービスや商品にしていくか。例えば「SDGs」という言葉が最近流行っているんですけれども、世界で一番大きい問題をビジネスを通じてどういうふうに解決していくかということは、いま実際に成長している会社もみんな一緒ですね。

あとは、クローズド型の自前主義の会社も終わりです。よく見れば、イケてる会社(が持っているの)は枠ではなく、軸ですよね。非常に強いミッションに、よいプロダクト、強い文化を持っているんです。

そのプロダクト、ミッションや文化に近づきたい人たちは、コミュニティのメンバーになるか、例えばユーザーになるか、副業で入るか、社員になるかはあまり違わないんです。その会社のファンであることが重要です。

あと、今日のテーマに非常に関係があるのは、トップダウンのゴール設定ではなく、ボトムアップの目標設定をしていること。これはすべての成功している企業に共通する鍵です。

あと、ぜひ社畜(長時間労働)優遇は終わりだということをわかっていただきたいんですね。みなさんがもしピラミッド構造の会社の中で働くとしたら、ピラミッドはお墓だということを、自分の肌で気づいていると思います。(スライドの図の)下には現場で死んでいる骨状態の遺体ばかりですね。現場が動けないのは事実です。

現場の組織は、エンプロイー・エクスペリエンス(従業員の経験価値)を通じて動くんですよね。organic、要は木々のような組織で働いているんですね。それで、ぜひ今日のOKRのテーマで、自分らしく働いていくことがとても大事だと気づいていただきたいんです。