誰もが自分の好きなものだけに囲まれ生きている--ティム・バーナーズ・リーが説くソーシャルウェブの危険性

ウェブのための大憲章 #1/2

情報の相互利用を促す方法としてワールド・ワイド・ウェブ、いわゆるWebを発明したTim Berners Lee(ティム・バーナーズ・リー)氏。彼はWebの誕生から25年たった今、政府による監視や不当な規制など開発当初には予想し得なかった様々な問題が生じているといいます。理想のネット社会をつくるために1人1人に行動を呼びかけます。(TED2014)

Web の発明した男が語る未来とは

ティム・バーナーズ・リー氏:TEDは30歳になりました。「ワールド・ワイド・ウェブ(以下、Web)」は今月で25歳の記念日を迎えます。そこで、皆さんに質問があります。Webのこれからの冒険について、主にWebの未来について話し合ってみたいのです。

Webは未来、どんな状況にあるか話し合ってみましょう。私たちはどんなWebが欲しいのかについて話し合ってみましょう。

25年前、私はCERN(欧州原子核研究機構)で働いていました。勤めて約1年後、サイドプロジェクトとしてWebの開発を始める許可が出ました。

最初のWebのプログラミングコードを書きました。私がWebの1番始めのユーザーにもなりました。

当時はたくさんの心配事がありました。Webがあまりに複雑すぎるが故に誰も使わないのではないか、と。しかし、説得を続け、たくさんの人々との素晴らしいコラボレーションによって、少しずつ前に進んできました。

とてもクールな結果として、Webが世に出ることができたのです。

その数年後の西暦2000年、全世界人口の5%の人がWebを使うようになりました。

2007年には17%にまで増加し、2008年には「World Wide Web Foundation(Web財団)」が設立され、その時のパーティで数字をみて心配になったものです。

そして、今日の2014年。世界人口の40%もの人々がWebを使っています。そのユーザー数は、明らかに増え続けています。

私は数字の裏表の両面を考えて欲しいのです。まず、明らかに今日このTEDに来て下さった皆さんが初めに疑問に思うのは、「どうやったら残りの60%の人々をWebにできるだけ早く巻き込めるか」ということでしょう。

大切な要素がたくさんあります。モバイルが重要な役割を果たすと思います。しかし、同時に既にWebを使っている40%の人々についても考えてみてほしいのです。

なぜなら、Webを使って日々を送っている皆さんは、もうきっと何かを覚えようとすることは少ないだろうし、シンプルにWebで調べて、Webそのものの成功を楽しむことができるでしょうから。

実際に、たくさんの実例と共にWebは成功しています。カーンアカデミー(Khan Academy)やWikipediaの例もあります。オンラインで読むことができる無料のe-bookもたくさんあります。教育に役立つ素晴らしいものや、他のたくさんの分野で役に立つものがあります。

Web の質については常に問い続けるべき

オンラインでの商取引は、様々な場面で、それまでの商取引の方法をがらりと変えてしまい、今までには実現不可能だったことを現実に可能としてしまっているのです。商取引の世界は、ほぼ全面的に影響を受けました。

政府に関しても、全面的とは言えないまでも、強い影響を受けています。たくさんのオープンデータや電子政府……、目に見えるたくさんのことがWebで起こっているのです。

と同時に、目に見えにくいこともたくさん起こっています。例えば医療です。夜遅く、大切な人がどんなガンに侵されているか不安になっても、インターネットを通して、他国にいるその大切な人と話しをすればいいのです。こういうことはWebがない世界ではありません。

そしてそこにはある程度のプライバシーもあるのです。Webを使うとき、Webに透明性があり中立であるという前提を想定することはできません。

今起きていることを気にせずに議論することもできるでしょう。Webが監視されるだけでなく、データを悪用しかねない人々によって監視されることを無視して議論することもできます。

今起きていることを心配せずに皆さんに話すことができます。Webが監視されているだけでなく、その監視がデータを悪用しかねない人たちによる監視かもしれないということを心配せずに話ができます。

しかしながら、私たちは気付いています。Webを単に利用するだけでなく根底にあるインフラに気を配る必要があるはずです。「Webが必要な質を備えているか」を問わなければなりません。

私たちは素晴らしい言論の自由を享受しています。私たちはツイートができますし、たくさんの人たちが私たちのツイートを見ることができます。ただ例外はあって、ツイッターがブロックされている国々や、私たちが自分を表現する方法や、住んでいる国の現状に関する情報を利用できなくなる状況を除いて……。

だからこそ、私たちは検閲をなくし、また検閲がある所では検閲そのものがなくなるように主張して、実現しなければならないのです。

ソーシャル時代におけるWebがもつ危険性

私たちはWebが開かれたものであることを愛しています。誰もが誰とでも話すことができます。私たちが「誰」であるかは関係ありません。そして、私たちは大きなソーシャルネットワーク組織に参加しています。

その会社は格納庫の様に効率的になっていて、他のサービスの参加者よりも同じサービスの参加者と話す方がはるかに簡単なのです。つまりは、実際には私たちは時に私たち自身を制限しているのです。

「フィルターバブル」について本を読んだ人はいますか? フィルターバブル現象と呼ばれる、私たちは、私たちの好きなものを見つける手伝いをしてくれるコンピューターが好きになるという現象があります。クリックしたい好きなものの中に飛び込むことができればとても幸せです。

だから、プログラムは自動的に私たちが気に入るものだけを与えるようになり、フィルターバブルと呼ばれるバラ色の世界に囲まれる様になるのです。これらが私たちの抱えるソーシャルWebの危険性です。

皆さんはどんなWebを手にしたいですか? いくつかの国は、最近の情報監視の現状に対抗するために「Webの細分化」を提言していますが、私は、たくさんの部分に細分化されていないWebが欲しいです。

例えば、民主化の基礎になるようなWebです。例えば、プライバシーに守られた医療を利用でき、たくさんの医療データが存在し、そして臨床のデータが科学者の研究に利用可能な状態であるWebです。例えばWebを使っていない60%の人たちができるだけ早く参加できるようなWebです。

そして、例えば革新への強力な基礎となり、なにか厄介な出来事、例えば震災が起きたときに迅速に対応できるだけのシステムを構築できるようなWebです。

Web上での権利を守る「webat25.org」の取り組み

これは私が望むWebの一例です。大きく、長いリストからの一例です。皆さんには、皆さんの望むリストがあるでしょう。このWebの25周年を、私たちの望むWebがどんなものかを考える機会として使って欲しいのです。

「webat25.org」にアクセスするとリンクがあります。「webat25.org」に掲載してあるサイト上で、人々がWeb上の権利を宣言する「憲章」を形成し始めています。やってみましょうよ。私たちが決めるのです。基本的な権利、コミュニケーションを取りたい人とコミュニケーションが取れる権利を。

皆さんのリストは「憲章」への項目はありますか? Webのための「憲章」をクラウドソーシングしましょう。今年、始めましょう。この25周年のエネルギーを使ってWebへの「憲章」を、ぜひ作りましょう。

(会場拍手)

ありがとう。最後にお願いしてもいいですか? 私の為に力を貸してください。ありがとう。

<続きは近日公開>

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