【全文1/3】日産社長が語った「ゴーン統治」の負の側面
取締役2名の逮捕に強い憤り

日産 、ゴーン会長逮捕 西川廣人社長が記者会見 #1/3

2018年11月19日、日産自動車の代表取締役会長のカルロス・ゴーン氏ら2人が金融商品取引法違反の疑いで逮捕されました。日産の西川廣人社長は19日夜に横浜市の本社で記者会見を開き、「まずは社内の動揺を安定させる」と語りました。記者会見の様子を全文でお送りします。

ゴーン氏逮捕を受けて日産社長が会見

司会者:大変長らくお待たせいたしました。それでは記者会見を始めさせていただきたいと思います。冒頭、社長の西川のほうから、コメントをさせていただきたいと思います。座ったままで失礼いたします。

西川廣人氏(以下、西川):(マイクを手にとり、運営側を向いて)どのマイク使えばいいの? みなさま、今日は大変非常識というか、遅い時間の会見で申し訳ありません。お集まりいただきありがとうございます。

私のほうからまず、少しお話をさせていただいて、ご質問があれば受けたいと思いますので、よろしくお願いします。

これ、聞こえてるかな? 大丈夫?

会場:大丈夫です!

西川:いいですか、はい。本日夕刻、プレスリリースでお伝えをしたとおり、当社の代表取締役会長のカルロス・ゴーンについて、社内調査の結果、本人の主導による重大な不正行為が大きく3点ですね。

開示される自らの報酬を少なくするため、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載したという不正行為。それから、目的を偽って、私的な目的で当社の投資資金を支出したという不正行為。それから、私的な目的で当社の経費を支出するという、直したという不正行為。大きく3つありますけども、こういう事実を確認いたしました。

内容について細かく触れることは今日はできませんが、もちろん会社として、断じて容認できる内容ではないことは確認しております。また専門家の先生からも、これで充分解任たるというか、重大な不正行為であるご判断もいただいております。ということで、解任を提案することを決断したということでございます。

正式には、これは(運営側に向かって)明後日……でいいのかな? 木曜日に代表権、そして会長職を解くことを提案して承認すべく、私が取締役会を招集する予定でございます。また同時に、その本事案の首謀とも判断されます代表取締役のグレッグ・ケリーの代表権も解く予定でございます。

逮捕は日産内部の通報に端を発す

西川:本件、すでに公表されていると思いますけれども、検察当局による捜査も進んでおりまして、当該の2人は今夜すでに逮捕されていると私は理解をしております。従いまして、事案の内容の詳細につきましては、捜査の関係で、私からお話しできることには限界があるということ、これはぜひご容赦いただければと思います。

その上で概略の経緯を申し上げますと、本件、内部の通報に端を発して、監査役からの問題提起を経て、社内調査を行ない、その結果、先ほど申し上げた点について、業務への主導による、複数の重大不正の事実確認に至った。そういうことでございます。

本件の内容からして、並行して事案の内容を、当社から検察へご報告をして、そして当社として検察当局に全面的にご協力させていただきながら、進めてまりました。また今後もそのように進めて参りたいと思っております。

私からは、捜査の進展そのものには触れられませんけれども、これらの事案の捜査の進展の結果として、今日の両名の逮捕に至ったと私は理解をしております。

これが事実でありますけれども、株主のみなさま、それから関係者のみなさまに多大な心配をおかけする事態になってしまったこと、これは会社を代表して、深くお詫びを申し上げたいと思っております。

会社としての立場で見れば、会社としてやるべきことは、発見された重大な不正の除去とその対応。それから、当局への全面協力と、確認されたガバナンスの問題点の認識と反省と。あるいはこれは、まだ尚早でございますけれども、反省というよりは猛省すべきであろうと、私は考えております。

まずは社内の動揺を安定させる

西川:抜本的かつ速やかな対応ということであるわけですが、ただ、それ以上に私としては、これまで長年、「カルロス・ゴーンの率いる日産」ということでサポートをいただいてきた、いろいろな関係者のみなさまがおられると思います。

そして、株主のみなさま、お取引先のみなさま、こういうみなさまの信頼を大きく裏切ることになってしまったと。これが私としても大変残念であり、申し訳ないという気持ちでいっぱいでございます。

それから、もちろん日本のみならず、世界各国の従業員。そして、当社の販売ネットワーク、販売会社のみなさんにも大きな動揺が広がっていると思います。不安を巻き起こしてしまったわけでございまして、誠に申し訳ないと思っております。

私自身、日産のリバイバル以降、全身全霊で日産のリカバリー、前進に力を注いできたつもりでございます。その時その時で、経営会議メンバーとしては、力を合わせて、全力でやってきたつもりでありますし、今でもおります。

そういうなかで、こういうことが確認されたと。結果的にこういう重大事案になったということを、なんと表現したらいいか、非常に難しいんですけれども。残念という言葉ではなくて、はるかに超えて、強い憤りということ。そして、やはり私としては、落胆ということを強く覚えております。

先ほど申し上げた通り、社内においても当社役員、従業員と共有できる情報には現在限度があります。みなさんにお伝えしていること以上には、当然伝えられないわけですけれども、従いまして、いま従業員の中では「いったい何が起きているんだろうか」という状態だろうと思っております。

いずれしても、詳細がいずれ明らかになるにつれて、いま私が感じているようなものが、従業員の中にも広がっていくのではないかと思っております。いろいろな言葉もありますけれども、個人的な受け止めは今日はここまでにさせていただきたいと思っております。

まず、社内の動揺をできる限り安定させて、日常業務の面で、お取引先との業務面に極力に支障を出さないように集中してまいりたいと思っております。それから、本事案は、やはり昨年来コンプライアンスの社内の徹底、内部通報を含む問題提起の促進を進めていく最中で出てきた重大事という面もございます。

もちろん、とんでもなく大きい問題で、重大な事案ですけれども、私の基本姿勢は変わっておりません。私の在任期間中は将来に向けて、徹底的に問題点の洗い出しをしていくと。そして、対策を進めてまいりたいと思っております。

ルノーへの影響は大きい

西川:今後の進め方について少しお話しできるところを申し上げますと、今年度から、ルノーに任命された取締役に加えて、純粋な独立取締役の方2名に、当社の社外取締役をお願いしております。

今度開きます緊急の取締役会において、以降ご相談をしてまいりたいと思いますけれども、第一歩として、取締役会として、この独立取締役の方を中心に第三者の専門家も入れた委員会を早急に立ち上げて、今回の事案の背景・要因などを掘り下げていただいて、ガバナンスの問題提起・根本的な見直しにつなげていきたいという、まずそういうアクションをとりたいと思っております。

当社に限って見れば、業務運営面・執行体制面の面では大きな影響はないと思っておりまして、いま現在、執行体制の部分でご案内する変更はございませんけれども、今後さまざまな観点からの変更が必要と思われた場合には、速やかに断行・実行をしてまいる所存であります。

また、ルノー、そして三菱のアライアンスパートナーのみなさんとの仕事の仕方につきましては、変更なり調整が必要な場合は、その都度3社で相談の上、迅速に実行してまいりたいと思っております。

今回の事案は、ルノーの会長兼CEOでもある、また三菱自動車の会長でもある、カルロス・ゴーンの逮捕・収監ということになりました。とくにルノーへの影響は大きいと思いますが、あくまでこれは重大な不正の除去ということが本質でありまして、ルノー、日産、あるいは三菱とのパートナーシップになんら影響を与える性格の事案ではないと思っております。

そして、むしろ緊密に連携をして、そして混乱を収拾して、各社の事業運営またアライアンスの活動に影響が出ないように努力をすると、この姿勢が大事だと思っております。

そして、まだ少し早いですけれども、将来に向けては、極端に特定の個人に依存したかたちから抜け出して、よりサステイナブルというか、維持可能なかたちを目指すという意味では、パートナーのみなさんと相談をしていかなければいけませんけれども、よい見直しの機会になるのではないかという認識を持っておりまして、その方向でルノーの取締役会のみなさん、あるいは三菱自動車の益子(修)CEOとのコミュニケーションもすでに始めております。

ガバナンスという観点においては、やはり課題が多いと思っております。とくに大きな構造として、43パーセントの株を持っているルノーのトップが日産のトップの兼任ということは、やはりあまりにもガバナンス上1人に権限が集中しすぎることは問題だと。これだけが原因ではなくて、これはやっぱり1つの誘因だと思いますので、先ほどの委員会でも、そこも掘り下げていただければと考えております。

長年にわたるゴーン統治の負の側面

西川:最後に1点だけ、こういう場でみなさんに私が申し上げるべきことかどうか、私もよくわかりませんが、本事案で判明したゴーン主導の不正は、やはり長年にわたるゴーン統治の負の側面と言わざるをえません。これはやはり事実として認めなければいけないことだと思っております。

一方で、この19年間で日産で積み上げてきたこと、この中には将来へ向けたすばらしい財産がたくさんあると。もちろんCEOとしての個人の貢献はありましたが、これは個人に帰するものというよりも、その期間に多くの従業員が努力をして積み上げてきたことであること。あるいは、その前の経営危機に至るまでの90年代の苦労の時代、これは従業員のみなさん、そしてご家族、お取引先を含めたみなさん大変苦労しました。

その苦労と努力のその貢献の結果、2000年を超えたあとのリカバリーがあったと思っておりますので、その努力の結果、あるいはその結晶を今事案で無にはしたくない。できない。守るべきものは守って育てていきたいと思っております。ここはぜひみなさんにもご理解をいただきたいなという気持ちでございます。

その上で、今日は事業運営について詳細を申し上げる場ではないと思っておりますけれども、将来に向けて、受け継いで、さらに育てていくべき点・財産と、そしてゴーン統治の負の資産として清算あるいは修正すべき点は、1人の個人に権限・力が集中しすぎた点・歪み等々。

これはいわゆる企業統治、ガバナンス、取締役会で議論していただくことにとどまらず、やはり事業運営についても、そういう部分についてより明らかにして、必要な部分に関しては、時間を置かずに明確な手を打っていきたいと、このように考えております。

私のほうからはここまでとしたいと思います。なかなか事案について詳細をお伝えできずに大変申し訳なく思っておりますけれども、ここは捜査との関係で私自身が申し上げられることに限度があるということで、ご勘弁いただければと思います。私のほうからは以上です。

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