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株式会社ビームス(全1記事)

2019.01.31

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社員の個性は“企業の財産”になる 「らしさ」を活かす、ビームスのブランディングの秘訣

提供:カマルクジャパン株式会社

2018年10月24日、東五反田スクエアにて、「働きたい会社には理由がある!オフィスカルチャー・空間づくりの最旬企業ケーススタディ」が開催されました。従業員エンゲージメントが企業の持続可能性やブランドづくりに非常に重要な要素であるとの認識が高まる中で、オフィス空間とカルチャーをテーマにしたトークイベントが行われました。パネルディスカッションには、スノーピーク、丹青社、スマイルズ、ビームスの4社が登壇。本パートでは、ビームスの土井地氏が、スタッフ一人ひとりの色を出す社風とオフィス環境について語りました。

ビームスは「モノ、コト、ヒトを創る集団」 

小宮明子氏(以下、小宮):最後になりますが、ビームスの土井地さんからお願いします。

土井地博氏(以下、土井地):いまご紹介いただきました、ビームスの土井地と申します。簡単に申し上げますと、宣伝広報を統括しているディレクターと、社内・社外を繋ぐコミュニケーションのディレクターをやっています。

なんでも屋さんなので、枠に捉われずと言いますか、社風すべて(がそう)なんですけれども、楽しいことすべてを仕事に繋げる。やはりビジネスなので、マネタイズということも含めて進めています。

音楽や人とお話しすることが好きなので、いまは副業ではなくてわりと仕事になっていますが、ラジオ番組をやったり、いろいろなことをしております。よろしくお願いします。いくつか資料のページを作ってはいるんですけれども、限られた時間ということもありますので、ちょっと流しながらお話しさせていただきたいなと思います。

簡単に申し上げますと、ビームスは1976年にできまして、いま42年目になります。洋服屋さんのイメージが非常に強いと思うんですけれども、ちょうど10年くらい前から、いろいろなかたちで「モノ、コト、ヒト」をキーワードに集団化し、楽しい部分を日本に広げていこう、と。

まずは海外に伝えていこうとしています。事例としては、車を作ったりホテルを作ったり、マンションのプロデュースをしたり、セブンイレブンさんと文房具のラインを作ったり。事例はまったくもって、「これとこれとこれ」と言えないくらい、いろいろやっています。いまのところ、一括りで「モノ、コト、ヒトを創る集団」を作っていこうというのが社風でもありますし、1つの目標でもございます。

こういったところで毎回お話しするんですが、Q(クエスチョン)からA(アンサー)に対しても、いわゆる答えをどう導くかという部分で、会議やミーティングをしたり、外部の人から相談を受けたりすることがあります。

(そういう時に)まずは私が部下や各事業部の人間によく話すのが、こちら(のスライド)に出しておりますとおり、クエスチョンマークからびっくりマークにすることを1つテーマにしています。

やはり私たちは小売りというビジネスもありますので、店頭(販売)……いまはECというのももちろんございますが、お客様にお届けするのは商品だけではなくて、不安や疑問に対して、「あ、そうなんだ!」という喜びも含めたびっくりマークにしています。いかに驚きを提案できるかということを1つの目標にしております。

ビームスの創業者は世界を股にかけた船乗り

最初に申し上げますと、非常に変わった会社なので、マニュアルや方程式に沿ったものがなく、カメレオンのようにのらりくらりと進めている会社です。1つ社風として申し上げるのであれば、最初にちょっとまとめの(ような)答えになるかもしれませんけれども、このクエスチョンマークからびっくりマーク(をつくる)というような集団作りをする。そのためのオフィスを借りたり、人材を集めたりというかたちにしております。

(スライドを指して)ここに書いているのは、よくありがちなHPの抜粋になりますけれども、なかなかご存知ない部分もあると思います。ここには書いていないことを話します。ビームス(が創業した)42年前の1976年は、ちょうどオイルショックの時代でございます。

創業者はいまの代表の父親で、戦後間もないころから船乗りでした。世界中のいろいろな港に立ち寄って、仕事と称しながらいろいろ見てきた人物でもありました。その後、いまの新宿(区の)、大久保にある青果市場(東京都中央卸売市場淀橋市場)の段ボールを製造する、小さな会社を作りました。

オイルショックの時に紙(の価格)が高騰して、このままだと段ボール事業だけでは生活ができないということになりました。たまたまかもしれませんが、船乗り時代に世界中のカルチャーを見てきたなかで、日本にその時に思い出せるものがあったと。各種ありますけれども、横須賀の米軍基地のフェンス向こうの芝に平屋があって、デニムにスニーカーを履いていた白人が非常に格好良く見えまして。

これを日本にぜひ入れたいということで、「リーバイス」「ナイキ」を始め、いまいろいろな会社やブランドがありますけれども、(そういったものを)仕入れてきたのが小売りとしての始まりでございます。42年前、原宿に6.5坪(の洋品店が)できたのがスタートでございます。その段ボールは、もちろんいまも事業としてありますけれども、おおもとの部分ではあまり知られていないので、お話しさせていただきました。いま、160店舗で約30レーベルございます。

(創業)42年ということで、やはり三世代とは言わず、マタニティから新生児、あとはシニア向けカルチャーなど、いろいろなことを含めてさまざまななレーベルを作っています。これは事業的という話ではなく、わりとスタッフの「これをやりたい」「あれをやりたい」というものからできたレーベルです。

いま約2,000人くらい(の社員が)グループにいますけれども、プロ(中)のプロは少ないにしても、アマプロが非常に多い会社でございます。マーケットに非常に近いというか、消費者目線で楽しいことを伝えたいアマプロが多い中で、いろいろなレーベルを作ってきた流れがあります。

第一想起で十指に入るためのアプローチ

ちょっと唐突かもしれないですけれども、僕は戦略広報なので、少しそのあたりの話をさせていただきたいなと思います。あまり難しいことは言いたくないですが、いま、戦略広報と販売促進の両輪で動かしている会社です。もちろん在庫ビジネスもあるので、プロパーでセールの前に商品を売ることもありますし、雑誌の出稿ですとか、カタログとかいろいろな部分を作るという、いままでの販促があります。

宣伝広報には非常に力を入れています。通常は限られた予算の中でいろいろなプロモーションをやって、ものが売れたり、伝えたり(している)ということがあるんですが、やっぱりいま「会社としておもしろい」「こんなことをやっている」と(いうことを知ってもらいたい)。

「ビームスを知っている」「(ビームスへ)行ったことがある」「(ビームスへ)最近行かなくなったけれども聞いたことがある」という人が、仮に世の中の人の2割くらいいるとするならば、残りの8割を網羅するために、いろいろな施策やイベントの協賛をしたり、本を出したり、ラジオをやったりしています。

いままではわりと2割くらいはスタッフの雇用や働き方、商品作りに注力していて、よく言われる顧客満足度を高めるというものを中心にやってきてはいたんですが、世の中における情報が非常に増えたということもありますので、いまは残りの7割、8割をいかにチームで集まって、働く時間にアイデアを出すかということを徹底して(やってい)るような気もします。

このあたりは、あくまでもイメージなので、洋服から雑貨、別注品などいろいろなこともやっていて、先ほど申し上げた2割、3割というのは、こういった情報や商品を店頭に置いたり、メディアに出したりということをベースにやっています。

今日はその7割、8割くらいのおもしろいことをいかにやっているかをお伝えしたいなと思っております。(スライドを指して)このあたりは、いま申し上げた通常やっている販促活動という部分になります。

店頭以外でも、いろいろな企業さんと手を繋いで、コラボレーションをしています。ビームスはもともと洋服という部分は非常に強いんですけれども、ワンブランド・ワンデザイナーの1つのショップが横展開している話でもないので、いろいろな人が「ビームスっぽいね」「あ、なんかそれちょっと楽しそうだね、ビームス」という(ものを意識しています)。

なんとなく漠然としているかもしれないですが、みなさんが行きたいところや行ってみたいところ、最近行けていないけれど今日行こう、というようなもののいわゆる10本の指の中に入る。駅に降り立ったり、頭の中で考えてもらう時に、1番目じゃなくても十指の中にビームスが入るために、いかに横にアプローチしていくかという取り組みをしています。

2,000人のキャラクターの色を出せる会社

改めて今日お伝えしたいと思うのは……「働き方」「働く場所」というのは、いまいろいろと非常に注目されていますし、各企業さんの事例はあるんですが……すごく極論で言うと、僕らはいわゆる小売りなので、お店の店頭のスタッフや内勤が650名くらいおりますけれども、そのキャラクターがすべてビームスかなと。

もちろん代表がメディアに出て、会社のことを伝えることはもちろんありますから、2,000人のスタッフすべてが経営者とは言いません。でも、まだ規模が小さい時は、よく「動物園」と言っていましたように、違うキャラクターでいろいろなビームスの色を出せる。

いまはもういろいろなキャラクターがいる中で、よくマーケティング的な話で、「ブランディングはどうされてますか」というようなことを言われます。非常に広い言い方かもしれないですけれども、「らしさ」がすべてをビームスにさせるというような。

スタートとゴール設定だけは、それぞれ上司の方が行って。「何時何分にこの場所に来なさいね」ということと、スタート方法ですね。競技種目やルールを最低限教えて、(その)後の練習の仕方ややり方は非常に自由にしています。

すごく短いので見ていただきたいと思います。(スライドを指して)会社概要で使っているムービーです。

(映像開始)

通常、代表などが話をして「うちの会社はこうこうで」というものですが……(映像に出てくる社員を指して)例えば、絵を本職にしている女の子。

鎌倉の若宮大路にレンバイ(鎌倉市農協連即売所)というすごく有名な鎌倉野菜を売っているところがあります。彼は、そういったところで朝波乗りをして、野菜を洗って売って、スケボーを担いで原宿まで来たり。

自転車が好きすぎて、逗子から自転車で東陽町まで来るスタッフとか。彼(がやっているの)は、マクラメと言われているいわゆる織りですね。彼女は、インフルエンサーとしてすごく有名な子で……みかんばっかり食べていてすごく有名になってしまった子が働いていたり。この夫婦は二人ともうちのスタッフではあるんですけれども、非常に家のセンスが良くて、よくCMで使われたりしています。

これは関西の子で、非常にモッズが好きで、面接の時に「モッズが好き」としか言わなかったんですが、その好き具合に人事が揺れたような、非常に芯が強い子。いま波乗り(している映像が)ありますが、けっこうプロ級で大会に出て優勝している子などもいます。

(映像終了)

スタッフ130~140人の暮らしをまとめた500ページの本を販売

なにを伝えたいかと言うと、これは会社帰り(のプライベートな暮らし)を謳ってはいるんですけれども、やっぱりふだんの自分をいかに仕事に繋げたり、商品企画に繋げたり、プロモーション企画に繋げたり。僕ら本部の人間は、そういう「らしさ」を財産として、そういった人たちをお店やオフィスに配置するための空間作りをしています。

よくオフィスをかためて、「こういうスペースだから、こういう仕事しようね」と言うことがあります。よく話すのが、例えばアルファベットでAtoZがあって、みんなそれぞれAからZまで何かを持っているとするじゃないですか。

その時に何かが集まれば単語になるし、さらにまたいろいろ集まったら文章になって。ひとかたまりになれば、何かストーリーになると。「Aをやりなさい」「Bになりなさい」ということは1つもなくて。マネージメントをする人間や、私もちょっと面接をしたりしますけれども、AからZまでをいかにフォーメーションを組んで、キャリアスタッフが文章や物語にして、それを外に伝えるかというようなかたちにしています。

いま見ていただいているのが、そういったスタッフの暮らしをまとめた本になりました。ちょうど12月にVol.5ということで5冊目が出ます。1冊約500ページくらいのもので約130人から140人のスタッフが出ています。

これはインテリア(の)本ではなくて、(例えば)「Aさんの『らしさ』ってなんですか」ということをまず1枚絵にするんですよね。それが置かれているあなたの家やスペースはどんなところかという、スタッフのサンプリングのようなものにしています。

なぜこれを作ったかと言うと、やっぱりとくにアパレルは就職難というか、時代に非常に左右されることがあります。そんな(ビームスのような)集団で働きたいという、リクルーティングに繋がるようなことももちろんそうです。偉い人ばかりが出ているわけでも、古い人ばかりが出ているわけでもなくて、アルバイトや、海外オフィス・店舗のスタッフも入れ込んでいます。

やっぱり、フラットに見た時に、「あ、仲間なんだ」という(ふうに思えるよう)。これはあくまでもインナーブランディングということも含めて、作っております。もちろん書店で販売していて、外に向けて「ビームスってなあに」という部分を伝えたいということは、もちろん大命題としてはあるんですけれども。

2,000人のスタッフがいても離職率は3パーセント

テクニック的な話ですが、さっきの本は500ページで1,500円なんですよね。細かい話ですが、スタッフを出すことで、印刷代と最低限の感材費しか(かから)ないということもあるので、1,500円で500ページ(の本が)できるんだったら、もう通常の商品カタログとこういうカタログ的なものを出せばいいじゃないかと。そう言われてから、5年連続で作るようになっていますので、ちょっと止められなくなっています。

それぐらい、いま社内でもいろいろなコンテンツが多いので……働き方というか、働き方改革という前のお話で、組織論の話になるかもしれませんが、うちは(スタッフが)2,000人いて、離職率が3パーセントなんですよ。

小宮:3パーセントって、低いですよね。

土井地:そうなんですよね。だから、ちょっと怖いんですが、(勤続)30年表彰も平気であります。ただ、先日の70(歳)までは定年がどうこうというニュースもありますが、やっぱり仕事を与えて「やってくれ」ということじゃなくて、あなたらしさを全力でぶつけてくれと。

それも打順を組んだり、いわゆるAtoZと申し上げましたけれども、文章にしたりという細かい部分は(こちらが)考えるからというのをやっていたら、10年、20年平気で働くスタッフが非常に増えてきたというのが、結果的な話にはなります。

インバウンドなどをやっていますが、やっぱりいま、働き方ももちろん、外から見た日本は非常に注目されています。いままでのみなさんの事例とちょっと被るかもしれないですけれども、商品作りや今日の本題でもあるオフィス機能について、1つはコミュニケーションの取り方ですね。

旧体制の一方通行で「こんな商品できました」「こんなことをやっています」というのではなくて。いまは海外誌やグローバルWebサイトがありますが、わりと「外の人から見たビームス」というものを編集していただくような作業をしています。

5~10人で一日一善、一日一アイデアを出す

これはオフィスに関する最近の媒体の事例です。

丹青社さんから共有スペースのお話がありましたが、いま、(ビームスでは)オフィスの30パーセントくらいをいわゆる共有スペースにしているんです。スマイルズさんからもアートと(いうお話が)ありましたが、いろいろな意味でちょっと美術館的な要素を入れています。

それは(値段の)高いものを入れるということではなく、やっぱり目線が合ったり、外の人から見た時に「気持ちいい空間ですよね」というようなことも含めて、共有スペースにしています。

(スライドを指して)この右下に、大学の講堂みたいに、いわゆる大きな段差を作ったスペースがあります。よく会議室でバーッと5、6人で会議をすると、偉い人から順番にしゃべっていって、入社2~3年目の子は、「あれを言いたかったけれど、これは言える空気じゃないよな」ということが多いと思います。自分もそうでした。

いわゆるフリースペースなんですが、この段差を付けることで、例えば上司が下に座って、部下が上に座ったり、横でお弁当を食べたりと、やっぱり会話が増えるんですよね。最近よく取り入れているのが……5人、10人くらいのチームが一番ちょうどいいと思うんですが、一日一善、一日一アイデアみたいなもの。社内ミーティングは、始まるまでにみんなが揃わなかったり、誰かがコーヒーを持ってくる間に、けっこう5分、10分が経ってしまうんです。

だったら、もう椅子に座らなくてもいいから、軽く腰掛けたり立ったりしながら、「今日さ、順番に何か一個一個、いいことをやらない?」「いいアイデアを出さない?」ということをやるんですよ。

例えば、いまステージの上にある植木の色が白ですけれども、「ちょっとトレンドっぽくライムカラー、蛍光の黄色にしてみようよ」とか。「今日は雨が降っているから、音楽はジャカジャカジャカジャカという音じゃなくて、ちょっとジャジーにしようよ」とか。

いわゆるビジネスのこともそうなんですが、今日やることを朝みんなで話したり、本当にこういうところ(フリースペース)に座ってランダムに、何かアイデアがないかということを自由な空気感でやると、意外といいことが生まれて事業に繋がることがあります。

「らしさ」を発揮できるような働く場所をつくる

あとは紙の資料を基本的にもうすべてやめました。細かい話ですが、資料はほとんど、A3・1枚のものに集約するようにしています。僕はこんな資料を作ってしまったので、ぜんぜん説得力がないですが。

だいたい資料って、1枚目と最後をめくってなんとなく見て、ぜんぜん頭に入らないということが多いので。それは、外の人たちへのアプローチもそうですけれども、いまのところ、A3・1枚の中にいかに集約できるかということをやっています。

極論を言うと、事前に社内で情報共有をしてプリントアウトしない、と。そういう時間と働き方を基本のベースにしています。細かいことを言うと本当にきりがないので、ざっとしか申し上げていないんですが。

小宮:(スライドに表示された雑誌『Casa』の表紙を指して)これはスノーピークさんのオフィスですね。

土井地:はい。本でも「デザインのいい仕事場」と(書いて)ありますが、スノーピークさんとはご縁があって同じオフィスになっているんです。オフィスって、フリーデスクとかいろいろなオープンスペースがあると思うんですが、極論を言うとこれはビジネスですから、やっぱりいかにマネタイズできるアイデアを出せるか(が大事だと思います)。

あとはもちろん人生の3分の1、1日の3分の1も含めてですけれども、働く機会がその場にあるのであれば、それぞれがどれだけ(その人)「らしさ」を最大限に出せるかということを考えております。

これは心理的な話らしいのですが、ほっとする色とか。取っ手1つにしても高さを変えると、すごくフラットな気持ちになるとか、高いところに扉があるとちょっと緊張感があるので、大事な話をしたり。随所にそういうものを実験的に取り入れたりですとか。

店舗内装と同じかもしれないですが、やっぱり人が動く動線の部分をテーマに、オフィス作りをしております。とはいえ、機密情報とかいろいろなことも含めて、古典的な部分は多少はあるんですけれども、基本的にはラウンジというのをテーマにしています。

ファッションを通じて世の中にインパクトを

あとはよくありがちなのが、内勤なのでけっこう楽してしまうことが多いんですよね。足元がサンダルだったり、女の子だけで集まっているとか。男だけで集まると、やっぱり人に見られている感がなくて。

私たちはアパレルなので、ファッションの仕事で人を幸せにするというようなことを掲げていながら、それができないとやっぱりダメだということもあるので、常日頃から人に見られてもいいようにしています。そういった意味でもオープンスペースにしています。

ファミリーデーの時は(オフィスを)開放したり、スノーピークさんとご一緒にヨガのイベントをさせていただく際に、道具をお借りしたり。エレベーターで会ったり、同じオフィス内でのやりとりもあるので、ちょっといろいろなことをさせていただいている状況でございます。

最後に、ビームスはなんでも屋なので、一言で「これ」というのをお伝えすることはなかなか難しいんですが、「オペレーション機能を持った企画集団」とまとめています。とくに内勤のいるオフィスのようなところは、人それぞれに考えがあったりキャリアがあったり、性格ももちろん違うという部分もあるので、目的がやっぱり1つ欲しいと。

大人向きのゾーンを作っているデザイナーもいれば、店舗運営をやっているスタッフもいます。手法は違うんですけれども、やっぱり僕らはプロとしてオペレーション機能をいかに持つかをテーマにして仕事をしていこうとしています。

最初にここに出させていただいたように、クエスチョンマークからびっくりマークにするための1つのツールを、この企画集団から作っていこうじゃないか、と。これは社風ではないですけれども、1つの方向性というかたちにしております。

ちょっと早口で聞きづらかったかもしれませんけれども、極論で言うと日本を元気にする。ファッションを通じて自分らしさ、同性異性にモテるというようなことも含めて、世の中にインパクトを与えられるようなことを目指す集団です。

小宮:どうもありがとうございました。

(会場拍手)

2,000人のスタッフの個性をピックアップする方法

小宮:土井地さんから、スタッフが2,000人くらいいらっしゃると聞いて。かつ動物園みたいにそれぞれ違うキャラクターの方たちを、あの本でピックアップするというのは、1つの表現の仕方(として)、社員を立たせるということがあると思います。ぜんぜん違う2,000人の動物たちの個性をピックアップしたり活かしたりするうえで、どうされているんですか?

土井地:以前、マガジンハウスから出ている雑誌の『BRUTUS』で、自転車特集がありまして。代表・バイヤー・プレスにはありがちなんですけれども、私のところに「土井地くん、だれかいない?」と連絡があった時に、うちのスタッフだったら自転車に詳しい人がいっぱいいるだろうなと思って。

いま、書き込みできるシステムがいろいろありますけれども、当時使っていた社内ウェブサイトで、全スタッフに「『BRUTUS』に自転車特集があるので、自薦他薦を問わないから、写真とコメント付きで、いついつまでにください」と(連絡しました)。

それは「全スタッフが閲覧できる」というのがけっこうポイントで。「送ってください」ではなくて、書くとわかるスプレッド(シート)のようになっていて、(書き込みが)ぽこぽこ出始めたら、もう300人くらい普通に集まったんですよ。それを見るのは大変だったんですが。

小宮:そうですね。

土井地:ズラーッと見た時におもしろかったのが、たまたま原宿オフィスのアルバイトの女の子がいまして。その子は洋服がわりとベーシックで見た目は大人しい子なんですが、よく見ると……スニーカーブランドの「Vans」ってありますよね。VansのいわゆるBMX用のグリップをつけて、トルコで買った鞄をつけたり。京都の古い自転車屋さんがオリジナルで出していたもの(自転車)に、すごくカスタムをしていて。

「そんなのを持っているんだったら、きみ出ない?」というので出したんですよね。そうしたら、(『BRUTUS』の)編集長、編集部も喜ぶし、「こんな人がいるんですか」と、読者の人からも問い合わせがありました。

なおかつ、その彼女も「雑誌に出ることなんか、もう一生ないんじゃないかな」と思っていたら、こんな有名な雑誌に出ましたということで、「ビームスに入ってすごくよかったです」という気持ちにもなったり、みんながいろいろなかたちで喜びました。

社員の個性を把握するために、思いつく限りのアンケートをとる

土井地:ふと考えた時に、自転車に限らず、文科系も含めてこういうことがないかなということで、一時、ひと通り可能な限り、思いつく限り、いろいろな情報を(集めるために)、いわゆるアンケートを取ったんです。

それをデータ化して、ああいう本にしたりしていたので、わりとシステム的には楽にはやったんですけど。人事部と組むことで、(スタッフの)どこに適性があって、「らしさ」がどこにパフォーマンスを向けられるかを宣伝と人事が共有しているかたちになりますね。

小宮:そうですね。個人をどう立たせていくかを考えられている会社さんも多いと思います。普通は宣伝部長、社長、ブランドマネージャーなどが出ると思いますが、アルバイトや受付の方も主役になるような仕組みは、すごく参考になりました。

土井地:映画のタイトルの話がくると、よく宣伝部で考えるわけじゃないですか。「これいけてる?」「 みんな一緒じゃない?」と言って。いやあ、どうなんだろうって(いうことが)あるんですが、(ビームスでは)映画好きをすぐにピックアップできるので、ショップマネージャーやエリアのブロックマネージャーと相談して、「こういう話が来ているから、ちょっと試写会に連れていっていい?」というようなことがすぐできるんです。

結局そういった子がお店にいると、お客さんとも(目線が)近いので、やっぱり売り場もわかっているし、映画も好きだし、かつキャリアに関係なく会社に貢献できるという。そういう意味では繋がるところがあるかなと思いますね。

小宮:ありがとうございます。というところで、一旦パネルディスカッションは以上になります。

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