日本にヘルスケアベンチャーが増えないのはなぜか

鍵本忠久氏(以下、鍵本):それでは今からパネルディスカッションを始めます。

まずはDan Wangを紹介します。ジョンソン&ジョンソン Asia Pacificのトップです。

これまで、中国とアメリカ、2つの国からのプレゼンテーションがありました。日本におけるたった1つの巨大バイオテック企業はPeptiDreamですが、スタートアップのバイオテック企業をもっと増やしていけたらと思っています。

しかし、なぜ増えないのか。このパネルディスカッションでは、そのギャップを埋めるということについて話していきます。それに加え、英語のシステムについても、ついでに聞いていこうと思っています。ではDan Wang、どうぞ。拍手でお迎えください。

(会場拍手)

Dan Wang(以下、Dan):みなさん、プレゼンテーションありがとうございます。

パネルディスカッションのためのいい土台となりましたね。みなさん、ステージに戻って来てください。では、パネルディスカッションを始めます。

持続可能なスタートアップに必要な起業家精神

Dan:みなさんもご存じのとおり、中国、アメリカ、日本にはグローバルプレゼンスがありますよね。では、みなさんに1つ質問することから始めます。各々の考え方などを話していただければと思います。

成功する持続可能なスタートアップであるために考えておかなければならない、本質的で重要な要素とはなんでしょうか?

Joseph Payne(以下、Joseph):何が重要かということですが、起業家精神は重要だと思います。

優れた企業や科学者が素晴らしいアイデアを持っていたりするわけですが、素晴らしいアイデアを持つ科学者が、仕事を辞めない理由がわからないですね(笑)。

(会場笑)

仕事を辞める日が最高の日ですからね。悪いことではなくて、いいことですから。「クレイジー」「リスクがある」と思う人もいますが、起業家精神を持つことはキーとなるエレメントです。ただし、賢く実行する必要があります。まず、強く(自分を)信じてコンフォートゾーンを抜ける。その次は賢くやる。シンプルすぎるくらいがいいのですが、バカげたことはすべきではありません。素晴らしいアイデアがあって、賢い人々に会う。前に進み続けてリスクを取る。

起業するカルチャーが私の会社にあるか、ということを聞きたいかと思いますが、環境は整っています。それをとてもやりやすくしているものの1つが、ジョンソン&ジョンソンのインキュベーターです。

(起業する)プロセスにおいて、リスクと恐怖が少ないです。あちら側から来て、私たちはリスクを取った。その真ん中で出会うわけですね。崖から飛び降りるという感じではないのです。個人的にも、若い会社として、サンディエゴでジョンソン&ジョンソンがやりやすくしてくれていることに感謝しています。

熱中するだけでなく、集中しなければならない

Jin Li(以下、Jin):確かにそれはすごく重要ですね。いくつかあると思いますが、まずはとにかく明確であることです。

自分のやっていることが明確であること。もし明確でないと、たくさんのトラブルになります。次にフォーカスです。熱中するということは簡単ですが、集中しなければ、やるべきことがあちらこちらにブレてしまいます。科学者もそうですが、今やっていることは昔とは違うことですから。早く行って、突然気づくのです。もうHRはやっていないのだと。

ポリシー、雇用、ファイナンス、オンラインサーチでさえも問題になっていたりします。たくさんのハックもあります。ライブラリーはどこかと言ってもわからない。コストが10万ドルかかるということも問題になる。だから明確であり、フォーカスすべきなのです。そして彼も言ったように賢くあるべきです。また実践的でもあるべきです。

特に最初の1〜2年は、本当にフォーカスして実践的でなければいけません。私の場合は、毎週明確なプランを立てていました。資金、マップ、チーム。4つ目もすごく大事なのですが、誰かしらを確保することです。1人ではできませんから。パートナーとして、あなたと一緒に働いてくれる人を見つけるのです。

たくさんでなくても2〜3人でいいのです。私たちが始めた時は3人でした。ルーチンのオペレーションと、問題を見つけてくれる人です。これは科学の面でも役に立ちます。

最初の3ヶ月で、80ものやりとりをしました。表の科学というのは中国のパブリケーションにはなかったので。モレキュールを買うのも問題でしたし、チューブもそうです。もう全部問題でしたから(笑)。

(会場笑)

アメリカとはまた違って、テクノロジー界隈が成熟しています。サポートもあります。やるべきことを明確にする、フォーカスする、クリアなマインドを持つ、パートナーを持つ。これらが本当に重要なことです。

日本のアドバンテージは、その人口

Xiaoyang (Sean) Jiang(以下、Xiaoyang):私たちにとって重要なのは、仕事を辞めた人を探すということですかね(笑)。一番重要です。

ゼロから何かをやる度胸も必要です。スタートアップは、決して簡単なものではありません。私も、たくさんのことをしましたから。会社を1つ作って成功したり失敗したりしては売って、また同じことをするというサイクルです。多くの起業家たちが50〜60代で4〜5社を立ち上げて、IPOもします。

スタートアップにおいて成功するための秘密を、イスラエルからいくつか学べます。日本の起業家にも適用できる規範も学ぶことができます。イスラエルはとても小さな国で、800万人くらいしか住んでいません。日本には、もっと人が住んでいるためアドバンテージがあります。

イスラエルのベンチャーは、最初からインターナショナルになるという意思があります。800万人というのは「テスト人口」にすぎず、それでプロトタイプを試したりします。そこからアメリカかヨーロッパへすぐに展開します。最初はそういう(小さな)場所から始まるわけですが、考え方はグローバルであり、それは重要なことです。

次はお金です。クレジットカードやデビットカードがあれば、始められるというわけではないですから。ベンチャーで働き、彼らと話し合う。これはとても重要なことです。イスラエル人のCEOたちが最初からやっていることです。私のところへ来たり、Sheenさんのところへ行ったりするわけです。資金、資金、資金。お金が十分にある状況などありえないですし、(お金が)ありすぎるということもないでしょう。これは、私自身がある経営者から学んだことでもあります。

その後に、また会社を立ち上げました。お金があれば人を惹きつけることもできますし、商品からパイプライン、プラットフォームへとつなげていくことができます。それは、とても重要なことです。私は科学者ではありませんし、技術関係の人間でもありません。彼(ある経営者)はこう言っていました。すべてはギャンブルだと。ギャンブルをすれば失敗の確率は高い。しかし、お金がたくさんあって5回トライできれば、成功の確率も高くなる。以上です。

研究者から起業家へ頭を切り替えられるか

Sheen Komoto(以下、Komoto):みなさんの言ってることにほとんど賛成ですが、1つ加えたいことがあります。

日本のほとんどの研究者は、ずっと研究をしたがります。しかし、アメリカのバイオベンチャーの創業者などを見てみると、彼らも研究者なのですが、スピードにフォーカスします。起業することに関して言えば、研究者から起業家へと頭が完全に切り替わっているのです。

起業家は、事業を促進させ、他と競争しなければなりません。起業家は、ベンチャーキャピタルなど外部の協力を利用し、ベンチャーキャピタルはリスクマネーをかけます。研究者は、すべてのお金を費やす必要はありません。その代わり科学に使います。

彼らは、キーサイエンスにおいて20%から30%のストックオプションを得ることができます。ベンチャーキャピタルのマネジメントチームを引き抜きます。特に日本では、科学者と研究者が外部のサポートを最大化するための機関も必要だと思います。