一旦増えて、また減り始める日本の労働人口

田中潤氏(以下、田中):みなさん、こんにちは。ウイングアークの田中です。本日はよろしくお願いします。ウイングアークフォーラム大阪がついに始まりました。今回からウイングアークフォーラム「WAF」というタイトルに変えております。

これから60分の基調講演を始めさせていただきます。今日のテーマは「データによるエネルギー革命、あなたが変わる、世界を変える」です。

「なにを言っているの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、ぜひこの基調講演で内容についてご理解いただければと思います。

まずは世の中の状況についてお話ししたいと思います。いま日本が抱えている課題として最近よく言われていることに、「労働人口の減少」という言葉があります。でも実は、いま日本の労働人口は増え続けているのです。不思議ですね。

人口は減っていっています。そして少子高齢化でこれからますます人口が減っていくと言われているなかでも労働人口が増えているのは、女性の活躍と、一度引退された方々の再雇用が関係しています。いま日本では、こういった新しい労働力を獲得しているので、労働人口は増え続けているのですけれども、2025年から今度は一気に減ると言われています。

それまで増え続けた労働人口が、またもう一度減り始めるのです。ある意味では当たり前なのですけれど、世界と比較しても、日本はどんどん労働人口が減少していくと言われています。

働き方改革における3つのキーワード

田中:そのようなかで、当然日本の政府もいろいろことを考えております。昨年のウイングアークフォーラムでもけっこうこの話題が出たのですが、「働き方改革関連法」というものが制定されました。

来年になると、すべての企業がこの働き方改革関連法に従わないといけないということになります。みなさん、他人事ではないですね。全部の企業が関係している。当然ながら当社もそうです。

ポイントになっていることに、3つのキーワードがあります。

まずは「長時間労働の是正」です。世界から見ても日本はとくに労働生産性の低い国と言われております。長い時間働かないと結果が出せず、残業時間も長いということですね。

ということもあり、働き方改革で真っ先に言われたのが「残業をなくそう」ということです。「でも、残業をなくすにはどうすればいいの?」「いままでと同じようにしていたら、成果があげられないのではないか?」と。こういったところを、もっと変えていかないといけないというのがテーマとしてあります。

そしてもう1つは、「労働の内容によって賃金を一定化させましょう」という考え方です。「社員や契約社員、派遣とかではなく、取り組んでいる業務に応じてちゃんと給料を払っていきましょう」ということです。

(スライドを指して)その下(の言葉)、「時間給から成果給に変えていく」にもつながっていくのです。そうすることで、日本でも「ただひたすら時間をかけて仕事すればいい」のではなく、成果をあげている人たちをきちんと評価することで、より生産性の高い国に変えられると言われてきています。

データによっていかに労働生産性を上げていくか

田中:当社でもやらないといけないと思っていることですが、やっぱり企業は、これからどんどん変わらないといけないわけです。それは我々だけじゃなくて、みなさんもです。

では、どうやって変えていくのか。そこにポイントがあるわけですよね。

そのなかで私が変えるために必要だと考えているのは、データとテクノロジー、この2つです。

テクノロジーについては、みなさんはITのイベントに来ているぐらいなので、仕事でもITのさまざまな要素を使われていると思います。いま一番ポイントになっているのは「データ」です。

みなさんは「データ」と聞くと、会社で所有しているデータではなく、外部にあるさまざまなデータのことをイメージされると思いますが、自分たちが持っているデータを使うことによっていかに労働生産性を上げていくかが重要なのです。このデータとテクノロジーをうまく使いこなすことで、これからの世の中に起こる変化に対応していくことがポイントになってきます。

ITをうまく活用できれば生産性は上がる

田中:(スライドを指して)このグラフは当社が出しているData Empowerment Reportというもので、いろんな企業さまから実際に採ったアンケートの内容をもとに制作しています。

「うちの会社は労働生産性が高いです」とおっしゃる方々がいるのです。「何で高いのですか」と聞くと、「それはITを活用しているからですよ」「ITは活用できていないけれども、労働生産性の高い仕事がうまくできています」という2つの答えがありました。

ただ実際のところ、「労働生産性が高い」と答えた方々の大半は、ITが活用できているからなのです。つまり、データをうまく使ってITを活用し、それで初めて労働生産性を高めることができる。ということは、「ITの活用」がとても重要になってきます。

当然ですが、我々ウイングアークは「ITをうまく活用しましょう」と言わせていただいております。けれども、実際にITを活用した結果、本当に労働生産性が上がっていくのかと疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

労働生産性が上がるということは、企業の業績も必ず上がります。当然(企業に)いらっしゃる方々の成果が上がりますから、企業の業績もどんどん上がっていきます。では、実現できている事例は本当にあるのか。これは、みなさんが気になるところだと思います。

そこで、今日はゲストをお呼びしております。ITとデータをうまく使い、労働生産性を高めて会社を変えていっている方々です。

1人目のゲストは住友電気工業株式会社の吉江さんです。よろしくお願いします。

(会場拍手)

住友電工のIoTを用いた生産技術革新の取り組み

吉江信夫氏(以下、吉江):住友電工の吉江です。よろしくお願いします。

田中:(スライドを指して)「自ら会社をIoTの力で変えてきた」というのは、私が書かせていただきました。住友電工さんは非常にすばらしい取り組みをして、会社自身をどんどん変えていっています。まさにそこで活躍されているのが、IoT研究開発センターでセンター長を務めている吉江さんです。ぜひみなさまにこの事例を聞いていただきたいと思い、今日はお呼びしました。

吉江さん、せっかくなので、まずは住友電工という会社についてご紹介いただきたいと思います。

吉江:それでは、簡単に住友電工グループの紹介をさせていただきたいと思います。グループ全体での売上高が3兆円となっておりまして、ワールドワイドに展開している会社が約400社ございます。その半分が海外で、主に工場や製造拠点です。従業員は25万5,000人で、その多くは工場で働く従業員です。

田中:どのような事業をしているかを教えていただけますか?

吉江:情報通信・自動車・環境エネルギー・エレクトロニクス・産業素材という5つのセグメントがございまして、弊社内では長モノ・半導体・組立製品という3つのジャンルの製造を行っています。

田中:(住友電工さんは)関西でとくに強い、ものづくりの会社だと思っております。

吉江:そうですね。もともと銅線から始まった会社です。