沖縄にはどこでも「島中Myおばぁ」がいる

司会者:Rethinkクリエイターの作品をご紹介いただき、特別審査員のみなさまにコメントをいただきました。本日はせっかくですので、特別審査員のみなさまにも、ぜひアイディアを見せていただきたいと思います。Rethinkクリエイター賞にちなんで、ゆかりのある地域の魅力をRethinkしたアイディアを考えていただきたいと思います。それでは、ホワイトボードをお渡ししますので、ぜひこちらにお書きください。

本日発表のテーマですが、鯨本さんには沖縄県の魅力をぜひRethinkしていただきたいと思います。そして西野さんには兵庫県川西市の魅力を、ぜひRethinkお願いいたします。そして平田さんには福岡県福岡市の魅力をぜひRethinkお願いいたします。そして柳澤さんには鎌倉の魅力をぜひRethinkお願いいたします。

みなさんにはこの場で即興で書いていただいております。だいぶ筆が進んでいらっしゃいますね。もう書き終えちゃいましたね、西野さん。あ、消しちゃった!

西野亮廣氏(以下、西野):タイトルみたいなものを書くんですね。

司会者:そうですね、ぜひ発表のテーマをお願いいたします。さあそろそろよろしいでしょうか。では最初に鯨本さん、書き終えたようなので発表をお願いいたします。

鯨本あつこ氏(以下、鯨本):これは沖縄の魅力を伝えるということでよろしいですか。

司会者:はい、そうです。

鯨本:こうしました。「島中Myおばぁ」という感じになります。説明していいですか?

司会者:どうぞ!

鯨本:お住まいの方はたぶんわかると思います。沖縄というとおばあちゃんが元気だ、というイメージがあります。実際に島で子育てをしておりますと、おばあちゃんたちがとても寄ってきてくださいます。例えば子どもと一緒に市場を歩いていたら、みなさんが子どもの顔を触っていくんです。ペタペタ触っていくし、保育園にお迎えに行ってちょっと待ってたりすると、「前髪ぱっつんしてかわいいさ」という感じで髪の毛を触っていきます。「じょうとうさー(注:沖縄の方言で褒めるときに使われる言葉)」と誰でも言っていくんですね。

東京とか都市部にいると、そういうおばあちゃんたちになかなか会わないといいますか。かわいいけど触っていいのかな、という感じで他人(行儀)なんですけれども、沖縄に行くとそこら辺のおばぁがみんな自分のおばぁみたい。子どもからすると、誰が自分のおばぁかわからない状態だと思います(笑)。

ですので、島の魅力というか沖縄に住んでわかる魅力、みんなで子育てしてわかるような魅力というと、島中どこにいってもMyおばぁがいる、ということかなと思いました。

司会者:そのMyおばぁをRethinkした結果を今度はクリエイトに繋げていくんですね。ありがとうございます。では西野さんお願いいたします。

名物がなく、高齢化が進む地方都市を盛り上げるには

西野:はい、僕はこれです。「お客さんゼロ」といいます。柳澤さんが言葉から作る方が大事ということをおっしゃっていたので、引きのある言葉をバッてやって今非常に困っているという状況ですね。

(一同笑)

西野:僕は、兵庫県の川西市が地元なんですけど、なんにもないんですよ。すごく美味しいものがあるわけでもないし、有名な滝があるわけでもないし、本当になんにもないんですよ。加えておじいちゃんおばあちゃんばかりになってるという、よくある田舎、すたれゆく田舎の、いわゆる代表的な街です。

酔っぱらっていて、この町を盛り上げるのは難しそうだから、友達とやっちゃおうぜということになったんですよ。なんとかしてこの難しそうなところを盛り上げようとなった時に、じゃあ美術館作るかということになりました。

自分は『えんとつ町のプペル』という絵本を作っているので、「えんとつ町のプペル美術館」を作っちゃおう、と。それで、調子に乗って土地を買っちゃったんですよ(笑)。

(一同笑)

えんとつ町のプペル

けっこう広大な土地を突然買っちゃったんです。ここからどうしようかと悩んでたんですよ。田舎の盛り上げ方に1つヒントがあるとすれば、僕はクラウドファンディングをよくやるんですよ。

クラウドファンディングというと誤解されてる方もけっこう多いんですけど、いろいろな種類があって、寄付型のクラウドファンディングや購入型のクラウドファンディングとかがあります。寄付型のクラウドファンディングは、3,000円支援したらそのまま使ってくださいよというものですね。

購入型のクラウドファンディングは、3,000円支援してくださったら、お礼にこれをお返ししますよという明確な見返り、リターンがある。

僕は『えんとつ町のプペル』でクラウドファンディングをやったんですけど、1万人くらいの方に支援していただいて、5,600万円集まったんですよ。3,000円支援してくださったら、これをお返ししますというリターンは何かというと、完成品の絵本にサインを入れてお送りする。

まず絵本の原価がありますね。2,000円弱くらいですね。お送りする時にレターパックに入れるので360円かかります。そこにサイトの手数料やスタッフさんのお給料とか諸々を入れていったら、3,000円支援してもらっても数百円しか使えないんですね。3,000円使えるわけじゃないんです。

リターンはA、B、Cというようにいろいろと用意できるんですけど、3,000円支援してもらっても、場合によっては4,000円分のリターンを用意することもある。するとこのリターンが売れれば売れるほど、こちらから1,000円が出ていくという状況です。

集金こそ集客のタイミングになる

西野:つまり5,600万円集まったからといって、5,600万円すべてを使えるわけではないんです。購入型のクラウドファンディングにおいては5,600万円集まっても、リターンで5,500万円かけていたら使えるお金100万円だし、リターンで6,000万円かけていたら、使えるどころか400万円出ていく。

事実、『えんとつ町のプペル』のクラウドファンディングでは5,600万円集まって、5,800万円使ってるんですよ。つまりクラウドファンディングをやることによって200万円出ていってるという状況、こちらが使っているという状況です。じゃあなんでクラウドファンディングするかというと、欲しかったのは金額ではなくて、1万人の支援者です。

例えば僕がお姉さんと2人で本を一生懸命作ったとしたら、僕たちが1冊ずつ買うので、この本は最低2冊は売れるということですよ。つまり、2人で作ったものが2冊売れるのであれば、10万人で作っちゃえば10万部売れるじゃん。

お客さんなんて増やさなくてもよくて、作り手さえ増やしてしまえば作り手がそのまま消費者になっちゃうということで、『えんとつ町のプペル』は、支援者数を増やして1万人で作ってしまう。1万人で作ったので、予約の中で1万部売れたということです。予約の中でヒットが決まっていました。

これが世に出た時に、これまでだったら僕や吉本興業や幻冬舎の人間が十数人に買ってくださいと言ってたんですけど、1万人で作っちゃったので、1万人がお父さんやお母さん、恋人、友達にバッと宣伝したら一気にバッと回ったんです。

やっぱり地方を盛り上げる時も、美術館を作る時も、まずパッと頭に浮かぶのがやっぱりお金のことなんですよ。助成金のようなものをバーンと出してもらうのも良いんですけど、さっきのクラウドファンディングでいうと、集金のタイミングこそ集客のタイミングなんですよね。

だから、どちらかといったら大きいところにバッてお金を出してもらうより、100円ずつを、1万人とか10万人とかに出してもらった方が、100円出した人は「俺が100円出した美術館はどうなっているかな」と思って、完成したらおそらく来てくれる。自分が作ったので来てくれるんですね。全員をつくり手にしちゃおうということで、「お客さんゼロ」ということです。こういうことで大丈夫ですかね? なんとか着地しました。

(会場笑)

司会者:具体的なアイディアと共に、お客さんゼロからぜひ、たくさんの方に(来てもらいたいですね)。

西野:作り手をとにかく(増やす)。100万人で作っちゃえば100万人来るので。

司会者:素晴らしい発想だと思います。ありがとうございます。続いて平田さんお願いいたします。

福岡の魅力は県民の地元愛の強さ

平田麻莉氏(以下、平田):はい。「語り出したらやめられないとまらない福岡」と書きました。食べ物や景色、観光名所とかいろんな土地の魅力があると思うんですけど、福岡の人の特徴って本当に地元愛が強くて、誰に会っても福岡というとそれだけで意気投合して永遠に語れるという感じです。もともとおしゃべり好きの人が多くて、ほんと止まらないんですよ。地元の1番の魅力は、そういう人、熱量だなと思います。

そういった福岡を愛している人たちの熱量が伝わるようなものができるといいかなと思ってます。フリーランスにしても、やっぱり地元に戻りたいからフリーランスになって遠隔で仕事するという方がたくさんいて、福岡の拠点というか、福岡ハブと呼んでるんですけど、今どんどん人が増えていています。そんな感じで、今は場所にとらわれず、お仕事ができる時代になっているので、みなさん自分の愛する場所でお仕事していただけるといいかなと思います。

司会者:ありがとうございます。では最後に柳澤さんお願いします。

柳澤大輔氏(以下、柳澤):すみません、言葉が大事だと言っておきながら、これは完全に僕が作った言葉じゃないんですけど(笑)。

(一同笑)

最近鎌倉市が言い出した言葉に完全乗っかろうかなと思いましてね。鎌倉市が「つがなるまちにしたい」と言ってるんですよ。これは最近のキーワードで市が自ら発信しはじめました。

みなさんご存じだと思うんですけど、鎌倉市は住みたい街ナンバーベスト3とかに入ってるんです。住環境があって、海と山があって、住みたいという魅力はもうみんな知っていて、そこを打ち出すというのはしばらくやったから、もう1歩進んで、住んでる人同士や観光客とか、いろんな人が繋がるというところを価値としてもうちょっと出していこうよということを市が言い出したんですね。

僕らは意外と、体制派というか体制にまかれちゃうので、これ乗っかろうとなりました。さっきの街の社員食堂もまさに「つながる」じゃないですか。ちょうどまさに鎌倉市はSDGsの10市に選ばれて、このへんを強く推してるのでこれに乗っていこうって(考えました)。

実は、僕がこの前考えていたのは「仲良し特区」というものです。とにかく仲良くすることに市が協力して助成金を出しちゃう。例えば普通はありえないコラボが企業同士に起きたら助成金が出るとか。実はこのヒントは、鎌倉宗教者会議というのにあって、震災のあとに神道キリスト教仏教が鎌倉で一緒にお祈りしてるんですよ。これは世界的にもかなり珍しくてみんな見学しに来るんです。

これは、なかなか小さいエリアに全部が詰まっている鎌倉ならではだなと思いました。仲良しという言葉が良い言葉だし、仲良しだと大概のことが解決するからと考えていたんですけど、「つながるまち」と言い出したので完全にこれに乗ろうという(笑)。

(一同笑)

今はそういうモードでございます。鎌倉にとってはRethinkだと思います。今まで住環境を推していたのに、推すものを人の方に変えていっているので。

変化のプロセスとおもしろさ

司会者:ありがとうございました。本当に視点を変えて考えるだけで、こんなにも世の中に広がりができるんだなという新たな発見ができたと思います。みなさんの参考にもなったのではないでしょうか。ありがとうございました。

特別審査員のみなさまのアイディアもご覧いただいたところで、ここからは会場にお越しのRethinkクリエイターから、特別審査員のみなさまへの質問のお時間を設けさせていただきたいと思います。では、質問のある方は、どうぞ挙手をお願いいたします。

(会場挙手)

3人の方から手が上がりました。どなたからお話しいただきましょうか。では、白いTシャツの方からお願いいたします。

質問者1:はじめまして。今回のプロジェクトに参加させていただくクリエイターです。よろしくお願いいたします。質問したい内容なんですが、今回12月のコンテスト(「Rethink Creator AWARD」)に私もぜひ出展したいと思っているんですけども、評価のポイントや、どういうところを見ていらっしゃるか、といったところをおうかがいしたいんですが、よろしいでしょうか?

司会者:では、鯨本さんから順にお1人ずつお願いいたします。

鯨本:Rethinkというのは、どこからどこからまで変化するというか、どこから視点を変えたのかというところ(にポイント)があると思うので、スタート地点や、その方がいらっしゃるベース、テーマとされていること自体がどこの地点にあってそこからどのように変わったのか。といったところに注目したいと思います。

司会者:では西野さんお願いします。

西野:ちょっと難しいんですけど「おもしろい」ですね。ざっくりしていて申し訳ないんですけど。これが仕事になるのかならないとかはもはやどうでもよくて、おもしろかったら、良いほうに転んだらそのままいくし、こけたらこけたでそれを売ればネタになる、仕事になる。とにかく、僕は「おもしろい」を重要視すると思います。

司会者:では平田さんお願いいたします。

審査基準があっても、審査員は自分の好きなものを選ぶ

平田:私はPRが専門なので、クリエイトのデザインとかはあまり得意ではないんですけれども、Rethinkという部分で、同じ題材でもどこから光を当てるかによって見え方がだいぶ違ってくると思うんですね。その光の当て方が、これまでにない新しい切り口だな、こんな魅力があったんだなと思えるような作品に出会えたらと思っています。

司会者:では柳澤さんお願いします。

柳澤:テクニカルな話を言うと、僕もカンヌの審査員とかをやっていて、(審査には)審査員を主催する側の意向というのがあって、ここを重要視してくださいという紙を渡されるんです。それはサイトに載っているんですよね。

そのへんを重視すればいいんですけど、実際に審査員として行って、見ていていつも思うのが、ほとんどの審査員がその観点からはぜんぜんチェックしていなくて、結局自分の趣味で選びますね。それでいいんだろうなと長年やってきてわかって。

そもそも審査員はそういう人を選んでるから、自分の好きに選んでいいんだねという意向が、選んだ時に主催者側に発生している。審査員はたぶん好きなものを選んでいくので。

審査員がどういうものが好きかを見極めて出すと通りやすくなるんですけど、僕は西野さんと一緒で、おもしろいものを選ぶと思いますね(笑)。僕はどちらかというとわかりにくいものよりも、ちょっとわかりやすいほうを選ぶと思います。実は面白法人の社員が作ってるものはいつもわかりにくいなと思うんですけど、自分は比較的わかりやすいものを重視して選ぶと思います。

質問者1:ありがとうございました。

司会者:続いて質問のある方いらっしゃいますか? 真ん中の黒いTシャツの女性の方お願いします。