企業におけるITシステムの2つの役割

平山宏氏:みなさん、こんにちは。今日はお忙しいなかお越しいただき、ありがとうございます。

このセッションでは「CORE Plus Dia」でどんなことができるのかという、特徴的なところをかいつまんでお伝えしたいと思っております。

私、エバンジェリストという仕事をしています。ご挨拶にいきますと、だいたい「何やってるの?」と聞かれることが非常に多いです。ひと言でいいますと「伝道師」という意味だそうです。 昨今、みなさま方のビジネスの中で、どんなふうにすればITをうまく使えるのか、今ひとつよくわからない、という声が非常に多くなりました。今からご紹介する基幹システムも、どう使っていけば、よりみなさまのビジネスに価値を加えていけるかということで、選択肢も広いですし、そこを考えていくことがなかなか難しい時代になってきました。

そんななかで、できるだけわかりやすく、みなさま方にお伝えすることが、伝道師としてのエバンジェリストの役目です。

こうしたことをご紹介しながら、自分で自分のハードルを上げているところではございますが、40分ほど時間を頂戴して、こんなタイトルでご紹介したいと思います。少しだけお付き合いいただければと思います。この3点について、みなさま方にご紹介差し上げます。

まず、CORE Plus Diaの位置づけについて、ご案内したいと思います。私たちは、みなさま方のビジネスの価値を高めていくITシステムの考え方として「バイモーダルIT」が非常に重要じゃないかなと考えているんですね。

みなさま方の会社の中で、さまざまなITをお使いだと思うのですが、それを大別すると2種類あると言われているんです。

その1つがSoE(System of Engagement)。一般的に、みなさま方の会社の中で、よりスピードを上げていくためであったり、みなさま方のお客様とのつながりや関わりをより強固なものにしていくために使うIT群を指します。

例えば、CRM(Customer Relationship Management)と呼ばれる顧客管理の仕組みであったり、営業の方々がお客様との関わりをより強固にしていくためのSFA(Sales Force Automation)と呼ばれる仕組みなどです。これらの仕組みの大半は、クラウドサービスで世の中に提供されているんですね。

こういったSoEと呼ばれるシステム群と、もう1つがSoR(System of Record)と呼ばれる、信頼性・安定性をより重視していく領域のシステムです。今日ご紹介するCORE Plus Diaもそうですが、一般的に基幹業務システムと呼ばれる領域になります。

基幹業務クラウド「CORE Plus Dia」の4つの特徴

みなさま方が、これからビジネスでITをお使いいただくときの分類でいうと、このSoEとSoRというのをそれぞれ独立して動かすのではなく、組み合わせることによって、今までなかなかできなかったことをできるようにしていくなどで価値を高めていこうというのが「バイモーダルIT」という考え方です。

みなさま方のビジネスの中でも、おそらく異業種の会社と手を組むとか、どこかと組んで新しいサービス価値を提供するスタイルをとられる会社もあると思います。

ITの世界も同じで、そういった組み合わせをどんどんやっていこうと。私たちはその中核にCORE Plus Diaを置いて、みなさま方にご提供差し上げたい。そう思っています。このCORE Plus Diaの特徴は、大別すると4つあります。

その1つは「選べる」ということです。いろいろな機能、さまざまな仕組みを選択していただける余地を増やしました。例えば今回は「販売管理」「生産管理」など6つのコンポーネント(部品)を用意しており、コンポーネントをチョイスしていただくなど、いくつか選択肢の要素を増やしました。

2つ目は「見える」ということです。CORE Plus Diaの中に入っているデータを、みなさま方の会社の従業員の方々の権限に合わせて、その情報を活用していただく。今までもそういう仕組みはありましたが、よりビジネスに活用していただくために、見えやすい仕組みにしました。

3つ目は「やさしい」ということですね。何がやさしいかということなのですが、いわゆるインターフェースです。今までCORE Plusシリーズをずっと作ってまいりましたが、正直を言いまして、システムを提供する我々の側の論理で画面を作っていたんです。「これを使ってください」というスタンスでした。

そうではなく、使っていただくみなさま側の立場で、使いやすい、接しやすいというところにこだわったインターフェースにいたしました。これは非常に重要だなと思います。

そして4つ目が、「安心」してお使いいただけること。一番重要な要素だと思います。今回は、私たちの今までのさまざまなノウハウを集積したものを詰め込みました。CORE Plus Diaは、この4つの特徴を持っています。

ブラウザさえあればすぐに使える利便性

どんな「選べる」(ものがあるの)かについてです。CORE Plus DiaはERP(Enterprise Resources Planning)システムの構造をとっています。そもそもERPシステムの最大のメリットは、情報の一元管理ですよね。

みなさま方のそれぞれのお仕事の中で、異なる部門や担当者の方々が仕事をされていて、情報が分断しているといいますか、バラバラに散在している(という状況もあるかと思います)。その情報を、ITの力でタイムリーに、かつ正確に1ヶ所に集めてきて、今の企業の状態を正しく把握し、経営戦略や経営戦術に使うことを目的とするのがERPシステムなんですね。

そういったERPシステムの構造をとりながらも、この中から、みなさま方に必要な機能を1つだけチョイスしていただく、あるいは組み合わせて利用していただける仕組みになっています。

その仕組みのベースには「共通基盤」と呼ばれる部分があります。お客様からすれば、すべてのコンポーネントを最初から導入いただく必要は当然ありません。例えば、販売管理システムを最初に導入して、しばらく経ってから生産管理システムを導入するなど、みなさま方のニーズによって、それぞれのコンポーネントの(導入の)タイミングは変わると思うんです。

そうなったときにも無駄が起こらないように、共通部分は最初から共通基盤があって、その上にそれぞれのコンポーネントがくっついている仕組みになっています。ですから、無駄がないところがポイントになるかと思います。

そして、今回非常に大きく変えたところがここなんですね。完全Web対応のクラウドサービスにしました。みなさま方がCORE Plus Diaをお使いいただくときには、端末側はブラウザだけで利用できるようになっています。言い換えれば、特別なソフトウェアをインストールしていただく必要がないんです。

今まではどうしても、基幹業務をお使いいただくパソコンを限定していただき、そこにソフトウェアをインストールして設定する、あるいはメンテナンスをする、ということがありました。しかし、CORE Plus Diaはブラウザさえあればすぐに使える状態です。

グローバル時代に合わせた多言語・多通貨への対応

そして、サーバです。従来、プログラムを動かすためのサーバや、データを入れるサーバ、あるいは障害用のバックアップを取っていただく仕掛けが当然あったわけですが、このあたりをすべて、クラウドサービスとしてみなさま方にご提供します。

みなさま方には、ここを意識していただく必要はまったくない。みなさま方に意識していただくのは、「利用する」というところだけです。ITを利用する。販売管理を利用する。生産管理を利用する。この「利用する」ところだけ意識してくださいね。ここ(の仕組み)はあまり意識する必要はありませんよ。

水道の蛇口をひねったらきれいな水が出てきて、水が飲めますよね? 1ヶ月、水を使った分だけのちほど請求される。ITも、水や電気のように使った分だけ払うやり方にしましょうよ、ということなんですね。常にみなさまにきれいな水を提供する裏方の仕組みは、飲む側はなにも意識していないじゃないですか。

ITも、販売管理、生産管理、原価管理など、さまざまなシステムを使うための裏方の仕組みは、みなさま方は気にすることなく、我々のほうで常に安定的に可用性を高めてご提供できるスタイルにしています。ここはやはり、みなさま方に使っていただく上で(ソフトウェアを必要とするシステムとの)大きな違いじゃないかなと思います。

ですから、みなさまがサーバを管理したり保守する必要はありませんし、バージョンアップ・バッチ作業も必要ありません。障害が起こったときのためのバックアップ作業も不要です。全部、我々のほうにお任せください。今回、こういった仕組みに変わりました。

とは言いながら、「ちょっとまだ、クラウドの仕組みは早いんだけどなあ」というお客様の場合は、この仕組みをオンプレミス、(つまり)みなさま方でサーバを設置して動かしていただく方式も選択できるように考えています。

本日いらっしゃったお客様の中でも、すでにビジネスをグローバル対応されているお客様、あるいは今後グローバルに出ていかれるお客様がいらっしゃるかと思います。これからはやはり、グローバルの時代です。そんな中でCORE Plus Diaをみなさま方に満足してお使いいただくためには、最低でも2つの要素が必要だと思っています。

その1つが、多言語対応です。日本語以外に、英語、中国語の合計3ヶ国語のサポートでスタートしまして、そのあとは言語辞書を追加していくことで、さまざまな言語に対応できるようにと考えています。この要素が1つですね。

これから海外のローカルの方々に、何かを入力していただく、あるいは国内に来ている、まだまだ日本語よりはご自分の母国語のほうが仕事がしやすいという方々なども考慮しますと、多言語対応というのは重要なことなのかなと。

もう1つが、多通貨対応ですね。基幹システムですから、みなさま方の会社の海外取引部門では、さまざまな外貨の入力をしていただく。それが円に集約されるわけですね。そういう仕掛けを持っています。

債権・債務・会計の領域ですと、月末や期末の段階で、そのときの為替の状況に合わせて、為替の差損益を計算して自動振替を起こす機能や、外貨に関わる帳票なども円建てや外貨で表示するなど、そういった多通貨対応の機能を今回入れました。

ビジネス活動をデジタル化で見える化

こうした選択の要素に加えて、2つ目の大きな要素が「見える」ということです。CORE Plus Diaの中に入っているデータを、今までよりも、もっとみなさま方にお使いいただきたいなということなんです。

CORE Plus Diaの中に入っているデータを、何のために使っていただきたいかというと、みなさま方のさまざまな取引活動、あるいは営業活動、生産活動、そういった活動の結果がCORE Plus Diaの中にデジタルのデータとして溜まるわけですね。

今までも、CORE Plusシリーズをお使いいただいたお客様は、そのCORE Plusの中に、みなさま方のさまざまなビジネス活動のデータがデジタル化されて入っているわけです。

例えば今、試算表や損益計算書を見たときに、その数値のデータの結果や原因となった取引が、いったい何なのかを突き詰めていき、「これが大もとなのか」というデータを見つけて、次の一手として何を打つ。

あるいは、月に1回、3ヶ月に1回など、ルーチンワーク的にみなさま方の商品ごとの売上、得意先ごとの売上などを、任意の見方で定期的にデータを集積、分析したり(も可能です)。あるいは、データを落として、またはエクスポートした上で加工して何かに使いたいなど、ルーチン業務の分析という仕事を、もう少しやりやすくしていきたいというご要望をかなえます。

さらには、もっと多面的かつ複合的に、高度に分析して、今までわからなかった、見つけきれなかったいろいろなことを発見したい、といったことにも役立てられるわけです。今までも、いろんなやり方はできたのですが、もっと高度に、しかも短時間でできる。そんなお手伝いをしていきたいなと思います。

よくよく考えると、こういうことだと思うんですよね。要は、どのようなことにおいても、私たちは目に見えないものには手を打てないじゃないですか。

自動車がそうですよね。自動車を運転していて、スピードメーターが見えているから「ちょっとブレーキを踏まないといけないな」と思います。あるいは、燃料計のメーターが見えているから「そろそろガソリンを入れないといけないな」と。次の一手とは言いませんけれども、アクションを起こすわけですよね。

取引や活動が見えることで次の一手を打つ

ITも同じように、見えることによって何らかの手が打てます。そもそも、見えないものには手を打てないということを考えていくと、いろんな見え方をしていることが重要だなと、私たちは思うわけです。

例えば、CORE Plus Diaの会計システムで残高のデータを見る。「この残高の集計値は、いったいどんな理由で、どこから発生して、どう溜まったの?」といったことを調べようとすると、例えば残高のデータから補助残高を紐解いて、「これじゃまだわからないな」(となるわけです)。

そこから仕分けの明細まで紐解いて、「この仕訳伝票の出処はどこなの?」といったことを、だんだんグロスのデータから細かいところに掘り下げて見ていく。ドリルダウンと言うそうなんですけど、そういったことを非常にシンプルにできるようにしています。

あるいは、みなさま方の会社の中で、データをExcelに出力またはエクスポートしてちょっと加工してなにかに役立てるというお仕事があるじゃないですか。そんなときに、今回のCORE Plus Diaでは、商品あるいは得意先を無制限にグループ化できるようにということにしたんですね。

例えば、ある人は、得意先別の売上をこの6つの業種に分けて、それぞれに売上値を集計して見てみたい人もいるかもしれません。ある人は、エリアごとに10個のエリアに分けて集計してみたい、あるいは10個ではなく5個ぐらい。「いやいや、僕は20個に分けたいよ」とか。

それは、みなさま方の会社のそれぞれの部門の方、担当されている仕事の領域によって、「こんな見方で分類して分析したい」という目線がたくさんおありだったと思うんです。しかし、今までは、それぞれ3つまでしかできなかったんですよ。

そうすると、「いや、いろいろやりたいんだけど」と言っても、お願いして時間をかけて、誰かにデータを出してもらって分析するなど、そういう手間がかかっていました。しかし今回は無制限ですから。個人個人が見たい見方で集計、あるいは、そのデータを抽出できるようにしました。

多面的・複合的にデータを組み合わせて分析し、次の一手を打つ

「これから、もっと多面的に分析して、今まで掴めなかったことをCORE Plus Diaのデータを使ってやりたいんだ」となったときに、私たちが重要だなと思っていることが、「バイモーダル」という考え方なんですよね。

CORE Plus Diaと、今回は「MotionBoard」と呼ばれる、クラウドで動く分析サービス、つまりクラウドBI(Business Intelligence)を組み合わせることで、非常に簡単に、手間なく、多面的・複合的に分析できる環境を用意しました。CORE Plus Diaという1つのシステムだけですべてができる時代ではないものですから、できるだけ組み合わせてやろうということです。

どう組み合わせるかなんですけど、例えば、製造工場・生産工場をお持ちの会社さんであれば、ある製品がどの工程を通って、どの設備を通ったときに、どんな不良品が発生して、どれぐらいラインを止めたのかなどといったことです。

そのときに誰が何時間働いていて、どうだったのかが、おそらくなにかのシステムに入っていたり、Excelで管理されていたり、あるいは別のデータベースシステムを作られていたり、いろんなところにデータがあったりするんですよね。

そういったデータを、このクラウドBIの中に簡単に集めることによって、それを複合的に見ていき、不良品の発生条件を特定する、あるいは問題の解決時間の短期化につなげていくといったことができたりします。

こうして複数のデータを組み合わせて利用することで、今まで気がつかなかった新しいことに気づけるんじゃないかと。その仕掛けを提供したいということでございます。そんな見え方ができるようになったということですね。

3つ目の「人にやさしい」ということについてです。何がやさしいんだという話ですが、できるだけ直感的に、社員の方々がすぐにとっつきやすいような、そんなヒューマンインターフェースといいますか、そういうところにこだわって作りました。

ユニバーサルデザインと言いまして、老若男女、誰でも難しくなく、すぐに理解してもらえるのではなかろうかということを意識して、画面を設計しました。

あるいは、入力の効率を重視して、複数画面を同時表示するといったこともできるようにしました。