デジタル化が工場の働き方改革を推進する

今村哲也氏:さて、ここからはデジタル化を『生産現場』で考えてみたいと思います。弊社は工場を持っていないものですから、「工場や人がデジタル化するってどんなことなんだろう?」「こんなことが考えられるかな」というのをいくつか書いてみました。

1つは、例えば設備稼働分析ですね。生産設備がいろいろあります。「どの設備が、何時に稼動を開始して、何時に止まった。何分間は動いていなかった」というものについて、センサーなどの情報を集めることによって把握できる仕組みが、今いろんなところでどんどんできつつあります。

そのようなことを分析して、どこがボトルネックになっているのかを見たり、あるいは可視化するだけでも「ここを改善できそうだね」と見えてくるようなものですね。

あるいは「品質分析」と書いていますけれども、今までは目で見ないとなかなか品質が良い悪いというのはわからなかったと思うんですね。例えば、食品の材料がベルトコンベアで流れてくるときに、それのどれがよくてどれがまずいのかは、やっぱり熟練の方が見ないと、わからない。

そういうものをカメラで撮っておいて、カメラの裏のほうで、AIの機械学習で「こういったものがどうも不良品だよ」というパターン化をして、それを知らせるという仕組みを入れているところもございます。

今まではずっと人が見なくてはいけなかったものを、カメラで見ておいて、「これはちょっと危なそうだぞ」というものだけは人が点検するような仕組みを導入されている企業もございます。

ビジネスのデジタル化はどのくらい進んでいるか?

それから、人の作業を分析することですね。今どんどん熟練の方が定年退職されたりして、人手不足が話題になっています。そういった(能力の高い方の)作業をカメラなどで撮って、その知見を他の従業員にもきちっと覚え込ませることに取り組まれているところもございます。

こんなことが工場などで起こっているのかなということですね。今まで人の頭の中にあったものも、そういったかたちでデジタル化することによって、もう少し経験の浅い人でもできるようになる。そんな仕組みが人のデジタル化にもつながってくるんじゃないかと思います。

以上のようなことが世の中の流れなのですが、JUAS(一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会)で「ビジネスのデジタル化が今どのぐらい進んでいるだろうか?」ということを毎年調査しています。その中で、この1年間はデジタル化の取り組みが非常に加速したと言われています。

これは主に大企業中心のアンケートなんですけれども、自由記述の回答内容が、昨年よりも具体化して、実際の困り事や課題、反省点などがリアルに記載されるようになり、大企業ではかなりデジタル化が本当の活用段階に入ってきたのだろうと思っています。この流れは必ず、中堅企業あるいは中小企業にどんどん広がっていくだろうと考えております。

そして、このアンケートで『ITをどういうところで使うでしょうか?』を聞いた結果、グループウェアや営業支援、CRMが多いという結果が出ておりますし、こういった分野をクラウドへ移行したいという回答も多くありました。

それと同時に、販売管理、仕入れ調達、生産在庫もこれからクラウド化をしていきたいという意見がわりと増えてきているということでございます。

次世代の基幹業務に関する2つのキーワード

今まで世の中の流れを見てきたわけですけれども、そういうなかでこれからの次世代の基幹業務を考えるときに、気にしておかなければいけないことを2つほど記載させていただいています。1つがCloud First(クラウドファースト)と、もう1つがBimodal IT(バイモーダルIT)という言葉です。

Cloud Firstというのは、なにかを検討するときにまずクラウドでできないかどうかを考えましょうという考え方です。Bimodal ITというのは、「2つのモードがあるよ。その2つを意識してやりましょう」ということを言っています。

クラウドERPのメリット

最初にCloud Firstについて見ていきたいと思います。先ほど見てきたように、今デジタルビジネスはどんどん進んできています。なおかつ、そのスピードはものすごく速いので、他社に負けないようにするにはスピードを上げなければいけません。それを支えるのは、当然のことながら新しい技術。こういったブレークスルーをうまく使わなければいけないということですね。

ERPは、実はクラウドとものすごく相性がいいと言われています。オンプレの上でやろうとすると、導入まで時間もかかりますし、お金もかかる。本当にそれだけの効果が出るのかというのもよくわからない。

ただ、クラウドでは使った分にだけお金を払えばいいので、小さく始めて大きくすることができるという意味で、「クラウドが非常に合っているね」と言われています。そういったことでCloud Firstという言葉が出てきています。

そうは言っても、「ERPに本当にクラウドは使えるのだろうか?」というお声もあろうかと思います。実際、あるリサーチによると、70パーセント以上のユーザーから「クラウドの上にERPを乗せるのは不安」との回答があったそうです。

しかし同じリサーチで「5年後はどうか」と尋ねたところ、不安だと答えたユーザーは30パーセント以下まで減っています。しかも「5年後はクラウドは使わざるを得なくなるだろう」という声が多く寄せられています。こういったことから、やはりクラウド化が進んでいくのは間違いないと言えるでしょう。

さて、アメリカの調査会社であるガートナーのプレスリリースをご紹介します。「2020年末まで、企業はERPを新たなデジタル・コアに転換するために、デジタル・プラットフォームへの投資の50パーセント以上を費やす」との見解を発表しています。

先ほど、クラウド化が進んでいくのは間違いないと申しましたが、このように投資が50パーセント以上増える、という見解が出ていることも注目するべきでしょう。

以上がこのCloud Firstという言葉でございました。2つ目のキーワードとして「Bimodal IT」というのを見ていきたいと思います。

攻めのITと守りのITを使い分ける「Bimodal IT」

このBimodal ITというのは「ITの2つのモード」という意味でございます。 

Mode1、Mode2とよく言われていますけれども、言い方を変えると、Mode1はSoRとも言われます。SoRはSystem of Recordという言葉の略で、ちょっとややこしいんですけれども、要は記録するためのシステムです。

受注しました、出荷しました、売上げました、請求しました、入金しました、というトランザクションを正確に記録していくのは絶対に必要なことですよね。これがMode1と言われているものです。

Mode2は、System of Engagementという言い方もよくされます。なにかと言いますと、エンゲージメントをするためのシステムだということです。エンゲージメントというのは、例えば従業員との関係で言うと、従業員の方がもっと働きやすいように、もっとモチベーション上がるようにしましょうというもの。

あるいはお客様との関係で言うと、お客様がもっと私たちのことを好きになってくれるように、もっといっぱい取引をしてくれるように。ロイヤリティという言い方もするかと思いますが、そんなことができるのがSystem of Engagementと言われています。

これからは、その両方をクラウドのソリューションで解決していくべきだろう、と私どもは考えています。

今言ったことですけれども、Mode1はどちらかと言うと信頼性や安定性。データが壊れてしまったら困りますし、止まってしまったら困る。「こんなことを重視しますよ」ということです。Mode2はどちらかと言うと俊敏性とスピードで、どんどんシステムが変わっていく可能性があるのが特徴だと言われています。

私どもは、どちらかと言うと従来、このMode1中心で動いてきたんですね。これは日本だけじゃなくて海外でもそうだったんです。これからはMode2のほうがどんどん重要になってくるだろうと言われていますけれども、やっぱり両方のデータのやりとりが当然あるだろうと。

Mode2がクラウドに非常に向いているということなので、Mode1もクラウドの上に乗せて、データをやりとりしやすい環境にしていきたいと考えています。今回の「CORE Plus Dia」でクラウド化しましょうというのは、そういう背景もございます。

お土産屋さんの仕事をデジタル化するとどうなるか

そうは言いながら、Mode1・Mode2と言ってもわかりにくい面もあるかと思いますので、ちょっと1つの例を書いてみました。上がこれまでで、下がこれからです。

ここでの例は、お土産屋さんのようなお店をイメージしています。そこに最近流行りのインバウンドということで海外のお客様が大勢やって来て、みなさんSNSとかで「いいね!」と言われたものはどんどん買うようになっていますから、品物があっという間に売り切れてしまう。

ところが、店員さんは海外の方の接客にもけっこうてんやわんやしていますし、なかなか補充発注するタイミングがないと。ようやくお昼休みぐらいにFAXを使って、補充発注しました、ということなんですけれども。

FAXで送られてきたものは、当然のことながら、人が入力しなければいけません。そうこうしているうちに補充発注の品物が届くのは翌朝になってしまったということで、午後は商機を逸したということがあろうかと思います。

下の例は、同じものですけれども、そのお店に来たインバウンドの方々が、例えば商品の説明を知りたいと言うと、こんなもの(スマートフォンを見せながら)を商品にかざすと英語や中国語の表記が出てくる仕組みがあると、店員さんがものすごく楽ですねというものだったり。

あるいは補充発注も、手書きでFAXするというのではなくて、スマホなどで入力したり、他にも、クラウドでプログラミング可能な小さいボタン(※例 : Amazon Dash Button)を押すと注文が飛んで、それを補充発注できるものが今売られています。

これまではFAXでやっていましたけれども、デジタルで発注すると、デジタルで最初から入ってくるので、いろんな仕組みは通しますけれども、基幹業務のほうにそのままデータを取り込むことができると。そんな仕組みができるだろうと考えています。

そうすると入力も一瞬で済みますので、午後には補充発注の入荷ができ、来店客にも安心して対応できると。1つの例ですけれども、デジタル化することによってこんなことができるんじゃないかなと考えています。私どもは、その中核としてこの「CORE Plus Dia」を位置づけているということでございます。

基幹業務サービス「CORE Plus Dia」のコンセプト

これからは「CORE Plusシリーズの歴史と実績」ですが、2001年に初代のCORE Plusをリリースしてから、徐々にいろんな機能を出してきまして、今回はその最新版として「CORE Plus Dia」を出させていただくということでございます。

おかげさまで、累積出荷本数3,000本のノウハウをここに詰め込んでいるということでございます。コンセプトとして、CloudとConnectとComponentと書いています。Cloudは今申し上げたように、CORE Plus Diaという製品をクラウド上で動かすことができるのが特徴の1つですね。

それから、そのクラウドの上でいろんなものと連携をしていく。先ほど、私どもの会社でも、例えばSalesforce ソリューション/Saleforce Chatter、G Suiteなどと言っていましたが、そういったかたちでクラウドの中でつなげられるようにしているということですね。

なおかつ、Componentということで、そこで選んできたものを1つのパッケージ化した商品のようにみなさんにまとめてご提供すると。そんなことをこのコンセプトとして書かせていただいております。

最初に「『CORE Plus Dia』について、Diamondというようなこともちょっと意識しています」という話をしましたけれども、正式な名称としては、ここにありますように「Drive innovation and agility」ということで、その頭文字を取って「CORE Plus Dia」と命名しております。

innovation、革新ですね。agility、「迅速」「機動力」という言い方をしますけれども、そういったものをDriveしていく、加速していくということが今回の命名の趣旨です。

短い時間ではございましたけれども、これからの世の中はこんなかたちで変わってきます。デジタル化されてきます。クラウドを使っていきましょう。このCORE Plus Diaを使って、ぜひみなさんと一緒に新しい未来につながるストーリーを紡いでいきたいなと思っております。

ということで、若干短いですけれども、私のお話はこれで終わりにさせていただきたいと思います。ご清聴どうもありがとうございました。

(会場拍手)