デジタルデバイスがもたらした身近な変化

司会者:続きまして、セミナープログラム第1部「ERP市場動向とNJCが提案する次世代の基幹システム 〜『CORE Plus Dia』 コンセプトのご紹介〜」を行わせていただきます。講師は、弊社事業推進本部⻑・今村が務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

今村哲也氏:みなさんこんにちは。ご紹介をいただきました、今村と申します。非常に高い席からで恐縮ですけれども、ちょっと上に上がらせていただいてご説明したいと思います。私は事業推進本部を担当しておりまして、このサービスの企画の責任者ということで、この場に来させていただきました。

営業はネクタイをしてスーツ姿なのですが、私どもは働き方改革の一環で服装も自由化し、企画をしているような部門は、わりとラフなスタイルで会社に来ることが多いということで、ご容赦いただければと思います。

(テーマが)「ERP市場動向とNJCが提案する次世代の基幹システム」ということで、主に「世の中でこんな変化が起こってますね」というあたりをみなさまと見ていきたいなと思っております。40分間お付き合いいただければと思います。

最初のページに、ダイヤモンドのような写真が映っているのは、「CORE Plus Dia」ということで、Diamondを若干かけたようなネーミングになっているからです。正式な名称は、またあとでご紹介をさせていただきたいと思います。

最初に「今市場で起こりつつあること」ということで、(スライドに)デジタルディスラプションと書かれています。こちらについてみなさんと見ていきたいなと思っています。

(デジタルディスラプションというのは)市場で起こっている破壊的変化ということで、デジタルによって市場が破壊されるような動きが起こっていますよ、ということです。

デジタルといいますと、みなさんが思い浮かべるのはなんですかね? 私の場合はやはり、 iPhoneが一番身近なところでデジタルの変化を感じられるところなんじゃないかなと思っています。

今通勤電車に乗っていても、ひと昔前は新聞を読んでいらっしゃる方が非常に多かったんですね。私もよくやっていたんですが、首都圏の満員電車ですと、なかなか読めないので、新聞を四つ折り、八つ折りぐらいにして読んだりしていました。

このiPhoneが米国で発売されてから10年以上経っています。その出現によって、最近はたぶん紙の新聞を読んでいらっしゃる方は非常に少なくなってきているんじゃないかと思いますね。 スマートフォンで新聞を読むだとかメールを確認するだとか、あるいはゲームをする方もいらっしゃると思いますけれども、ほとんどの人が電車に乗ってもスマートフォンを操作している。

外出するときも、昔は初めて行くところですと、紙に地図を印刷していかないと不安でしょうがなかったのが、今はこういったものの中ですぐ検索できますから、地図を持っていなくてもすぐにその場に行ける世の中になってきているんじゃないかと思います。

Uberがもたらした利便性

そういうことで、非常に私たちの生活は便利になったわけですけれども、一方でこういう破壊的なことも起こってきているんじゃないかなということです。

よくいろんなところで取り上げられますけれども、Uberというのがその1つの典型じゃないかと言われています。Uberをご存じの方はいらっしゃいますか? あるいは「その名前ぐらいは聞いたことあるよ」という方も。

(会場挙手)

そんなに多くはいらっしゃらないですかね。Uberは、タクシーではないんだけれども、車で目的地まで連れていってくれるというサービスなんですね。

タクシー会社の場合には、タクシーも持っていますし、従業員も雇っています。Uberの場合は、タクシーの運転手という意味での従業員はいなくて、普通の方が自家用車でバイト的に、お客様をある地点から地点に運ぶというサービスなんですね。

日本ではまだ法規制の問題などもあって出てきていないので、実は私も、一昨年サンフランシスコやシリコンバレーへ視察に行った際に「Uberってどんなんだろう?」と試してみたんです。それをみなさんと共有したいと思います。

(スライドを指して)これは全部、私のスマホの画面にコピーを取ったものを貼り付けていま す。どんな仕組みかと言いますと、まず、ここにアプリケーションをダウンロードしているので、それ(Uber)を使いたいなと思ったら、まずアプリケーションをタップして開きます。

そうするとこのような画面になりまして、今私がどこにいるかが表示されるようになっています。実はこの上に出ているのは、今いる場所なんですね。その下に赤で出ているのが、私がこれから行きたい場所で、自分で登録するようになっています。登録すると、そこまで連れていってくれる車が表示されます。

ここでは、ちょっと見にくいかもしれませんけれども、写真に白いプリウスが写っていまして、Aさんという人が運転手ですよ、と表示されています。「ここまで行きたいよ」と言うと、こういうかたちで経路が示されます。この経路が示されて、ちょっと見にくいですけれども、料金表示されているんですね。

これはどういうことかと言うと、仮に運転手さんが道を間違えたり、わざと遠回りをしても、料金は変わらない仕組みになっています。コンピュータのクラウド上で計算された経路と料金で、もうここで契約するかたちになっています。

英語も料金のやり取りも不要

私がここで乗ったときに、運転手は当然いるんですが、その後ろに白人の男の人が1人乗っていましてね。「あれ、誰か乗っているけどいいのかな?」と思いながら、運転手さんが「乗れ乗れ」というので乗りましたと。

そうすると、その人は途中で降りました。降りたところに点が書いてあります。あとでわかったところでは、「POOL」という仕組みで、要は相乗りできる仕組みらしいんですね。

これは精算のときの画面で、相乗りをすると、「POOLのご利用により1.61ドルお得になりました」と表示されています。この6ドル44セントという料金は決まっているんですが、なにも(料金の支払いを)せずに降りて大丈夫なんですね。

それはなぜかと言うと、アプリを登録した際にクレジットカードも登録しなければいけないようになっています。そのクレジットカードで決済されるので、この場ではなにもしなくていいと。だから、お釣りや料金、チップのやりとりなどを考える必要はまったくないと。

これ(Uber)が「すごくいいな」と思ったのは、1つは英語をしゃべれなくてもOKなんです。目的地さえ入れられれば、英語をまったくしゃべれなくても、そこに連れて行ってくれます。料金のやりとりもその場で発生しないと。

なおかつ、普通のタクシーを使うよりも安いので、実はこの仕組みができて、2016年の1月にサンフランシスコの一番大手のタクシー会社が倒産しています。倒産したのはUberのせいだと言われています。

Uberがなにをやっているかと言うと、結局、タクシーの運転手を雇っているわけではない。車も持っていない。だけど、こういうシステムを持っていて、運賃の一部をシステム利用料みたいなかたちで取っているということになります。

こういうものが、デジタルが破壊をする1つの例だなと思うのですが、破壊だけなのかと言うと、必ずしもそうじゃないなと思っています。日本はいろんな法規制があって、Uberもなかなか入ってこられないんですが、この間、名古屋のタクシー会社さんがこのUberと提携したという話が記事に出ていました。

旅行業界や金融業界を変えるデジタル化の波

また、同じようにデジタルによって破壊するもう1つの典型とよく言われるのが、Airbnbですね。日本における⺠泊の仕組みを世界的に作っている業者さんがいるんですけれども。

これも日本ではまだまだ限定的なのですが、大分県の別府の旅館・ホテルの協会さんがAirbnbと提携したという話が、この間新聞で出ていました。こういったところと組むやり方もあるなと。

一方で、このタクシー業界で言うと、日本交通さんは自分の子会社にシステム会社を作りまして、Uberと同じような仕組みを開発して、自社でも使う。それから、ほかの全国のタクシー会社さんで賛同されるところには、「ぜひ使ってくれ」ということで連携を働きかけている事例がございます。

このように、デジタルによっていろいろな破壊が起こってくるのに対して、自分で同じようなことをやって戦うのか、あるいは連携するのかといった、いろんな道があるんじゃないかと思います。ただ、いずれにしても、今こんなことが起こっているということですね。

ビジネスのデジタル化ということで、よく「〇〇Tech」などと言われます。例えば金融業界で言うと、FinanceとTechnologyで変えていこうということで「FinTech」という言い方をされています。

みなさんが使っていらっしゃるかどうかわかりませんが、マネーフォワードという会社がございます。領収書やレシートなどをスマホのカメラで撮ってクラウドへ送ると、そこで家計簿を自動的につけてくれる仕組みを提供しています。

そこは、家計簿をつけてくれるだけではなくて、「あなたの今の総資産はいくらですよ」ということが毎日表示できる仕組みを作っています。「〇〇銀行にいくらあります」「〇〇証券にいくらあります」ということが、いつでもわかります。

そういうものは、個人の方の口座の残高について問い合わせをしなければいけないので、当然その法規制などもあるわけです。銀行業界に対して、「ある手続きをきちっと踏めば、その情報を公開できるようなアプリケーションを作りなさい」というような国からの指導が始まっています。

昨年、銀行法が改編されまして、そういったことが今の努力義務になっています。政府もこういった動きをどんどん後押しする時代になってきています。いろんなところでビジネスがデジタル化するだろうと言われているわけですけれども、これから会社や工場、あるいは人がデジタル化していくだろうと言われています。

NJCのデジタル化の事例

そうは言っても、会社のデジタル化とはなんだろうかというところがよくわからないということで、1つの例として、弊社の働き方改革にもちょっとつながりますけれども、弊社の仕組みを簡単にご紹介したいと思います。 弊社では今、Salesforceソリューション、G Suite、AWSなど、いろいろなクラウドを組み合わせてシステムを運営しています。

例えば(スライドを指して)ここに1つあります。これはワークモバイルといいまして、スマホ上で勤怠を管理できる仕組みを入れています。本社だけでなく全国の支社・支店全てが無線LANの環境になっているのですが、自分のモバイル(iPhone)がこの無線LANの範囲に入ると自動的に出勤したとみなされます。

あるいは、勤怠関連の申請類や交通費の清算といったものもすべて、このワークモバイルの上からできるような仕組みになっています。

それから、その横にありますのがスケジュールですね。G Suiteという機能の中のカレンダー。1つのグループウェアみたいなもので、今はそれを使っております。自分のスケジュールは当然ですけれども、他人のスケジュールが全部わかることになっています。

昔は、私も全部手帳に書いていたんですけれども、手帳に書いていると、その情報をほかの人が見られないんですね。ですから、全部こちらに絞って、もう手帳はやめました。

これを使うと、例えば上司となにかの打ち合わせで15分取りたい。あるいは1時間取りたい。そのときに上司が空いているかどうかを確認して、そこに自分からアポを入れることができるんですね。そうすると、その上司もそれを見れますから、もし都合が悪ければ「ほかの日に変えて」と、またメールなどでやりとりできます。

そういったかたちで、昔だと「この日空いてますか?」というようなことを直接聞いたり、あるいは秘書の方を通じて聞くとか、そんな面倒なことがあったかと思いますけれども、今はもう本当に、これがあればいつでも誰のスケジュールでも把握できるようになりました。

社員1,000人の「知恵袋」

それから営業活動ですね。こちらは先ほど申し上げましたSalesforceソリューションのSFAを使っていまして、そこに自分の活動を記録していくかたちになっています。

昔は日報や週報ということで、その週のまとまった動きをお伝えするようなことがあったわけですけれども、今は「なにかあればこのSalesforceを見てください」と。上司は部下の(動き)を見られますし、当然、同僚のものもみんな見れるようになっていますので、いつでも情報共有ができる。

営業担当が変わったり異動になったときに、そのお客様と過去にどんなやりとりがあったのかも全部ここに記録してありますので、引き継ぎも非常に楽になったということです。

安否確認というシステムも使っております。最近、地震や台風の水害などいろいろなことがありまして、社員が大丈夫なのかと心配される方もいらっしゃるかと思います。そういうときに、「今とくに怪我はないよ。出社できるよ」「家のほうに被害があるので、家族と家で待機しています」ということが報告できる仕組みを入れています。

それから、「社内SNSで情報共有・活動アピール」と書いていますけれども、Salesforceソリューションの一つであるChatterを使って、全社にいろいろな情報発信ができるようになっています。

私どもは約1,000人ぐらいの従業員がいるわけですけれども、やっぱりぜんぜん会ったことがないという人も多いんですね。それでもこういうものを見ていると、「あそこでこういう活動をやっていた人だな」ということがわかって親近感が湧くという、そんなかたちでも使われています。

同じ機能で、「誰か教えて!!」と書いているものについて。例えば、ある北海道の営業がお客様からなにか質問事項があって、周りの人に聞いてもよくわからないというときに、「こういうことを言われたんだけれども、どなたか経験のある人はいますか?」と発信すると、首都圏の営業だったり、あるいは九州のSEだったり、わかっている人がいろんなアドバイスをしてくれる仕組みもできています。

そういった意味で、「私の後ろには1,000人の知恵袋があるんだ」と、よく社⻑が言っているんですけれども、そんなことを活用できる仕組みを作っております。まだ道半ばですが、これが1つの会社でのデジタル化の例かなと思っています。