「お金のことで悩まなくていい世界」をつくりたい
辻庸介氏が語る、マネーフォワード創立秘話

第四回 経営者道場 株式会社マネーフォワード 辻庸介 氏 #1/2

第四回 経営者道場
に開催

2018年8月1日、hoops link tokyo にて「第四回 経営者道場」が開催されました。hoops link tokyoは、SMBCグループが『くぐると何かにつながる「輪」』をコンセプトに運営するオープンイノベーション拠点で、日々業界業種問わず事業創出に熱い想いを持つ方が集っています。第4回となる今回の経営者道場には、株式会社マネーフォワード 代表取締役社長 CEOの辻庸介氏が登壇。前半となる本記事では、マネーフォワード創立の秘話について語ったパートをお送りします。

悩みのタネは、支払いサイクル・資金調達・営業不振

辻庸介氏(以下、辻):はい、みなさんこんにちは。マネーフォワードの辻でございます。(今日は)SMBCの谷崎さんとGMOの相浦さんからご紹介いただきまして、大変光栄です。

SMBCさんには、創業当時から資金面や提携とかいろんな面で本当にお世話になっております。株主でもいらっしゃいまして、当時からすごく応援いただきまして。当社の営業メンバーに、相浦さんの営業方法を叩き込むというセミナーをしていただいたこともあります。

ぼくも6年前に創業したばかりで、どこまでお役に立てるかわからないんですけども、多くの方々にこうやって助けていただいて今がありますので、今日はぜひなにか一つでも、皆さまのお役に立てることがお話できたらなあと思います。どうぞよろしくお願いします。

じゃあ本題にいきます。まずは会社概要と、今日は経営者の方が多いと思うので、創業当時の悩みについて。……あ、経営している上での悩みはなんですか?

参加者A:悩み……支払いサイクルが遅くて、売り上げに対してキャッシュが入ってくるのが遅いことですかね。

:支払いサイクルが遅い。なるほど、お金の悩みですね。じゃあ、(横の方)どうですか。

参加者B:ぼくはこれから資金調達するところなんですけど。

:資金調達するところ。(反対側の方)いかがですか?

参加者C:スタッフ同士で、作業がマンネリ化して飽きてしまう。

:人の問題。(手前の方)いかがですか?

参加者D:サラリーマンをやってたんですけど、販売促進が上手くいかなくて苦労しています。

:営業が売れない。

参加者D:そういう感じですね。

:なるほど。今の問題はほとんどSMBCさんと相浦さんに教えてもらったほうが解決しそうな(笑)。

(会場笑)

:やっぱり問題になるのはお金と人ですよね。あとは、お金を生み出す仕組みをどう作るかっていうのが、だいたいスタートアップの方々の悩みだと思うので、そのあたりのお話を集中的にしていきたいと思います。

ミッション・ビジョン・バリュー + カルチャー

はじめに、自己紹介を簡単にしておきます。(マネーフォワードは)6年前にできて、今300名くらいの会社です。4割がエンジニアやデザイナーです。ぼくはソニーやマネックス証券で合計12年位働いてきて、MBA取得を経て、マネーフォワードを設立しました。去年9月に上場させていただきました。

当社のミッションは「お金を前へ。人生をもっと前へ。」なんですが、もともと世の中のお金の課題を解決したくて会社をつくりました。当社はミッション・ビジョン・バリューを大事にしています。正確に言うとミッション・ビジョン・バリューと「カルチャー」なんですけれども。もし、経営される上でこれをきっちり定められてない方がいらっしゃいましたら、ぜひ定めていただくといいと思います。

この会社が何のために存在して、社会に対して何をやっていくか。マネーフォワードという船に乗ったメンバーが、どういう価値観を軸にやっていくのか。それを明確化するのが大事かなと思っています。あ、今日は写真撮っていただいていいので。撮ってください、必要でしたら。

Speed・Pride・Teamwork・Respect・Funを大事にする

:ミッションは「お金を前へ。人生をもっと前へ。」で、ビジョンが「すべての人の「お金のプラットフォーム」になる。」、バリューが「User Focus・Technology Driven・Fairness」。ということで、ぼくたちのサービスを通して、お金に関する課題を少しでも解決できるように貢献をしたいという思いで、ワンルームマンションから作った会社です。

とにかくユーザーさんのためにやろうと。テクノロジーは世界を変えると信じているので、テクノロジーを使おうと。会社って、ユーザーや株主様、取引先様、社会とかいろんな方のおかげで成り立っていると思うんですけれども、そういった方々に「できるだけフェアでいよう」という姿勢を大事にしようということで、この3つを定義してやっています。

0→100でぜんぜん迷わない時の意思決定は大丈夫だと思うんですが、現場が51対49で、例えば「ユーザーさんをとりたいけど、もうちょっと手数料をとれるかな」など、迷うときがあると思うんです。そんな時に「ユーザーさんのほうを大事にしよう」という価値観を決めています。そうやって、社員の意思決定の軸がブレないようにするのを大事にしています。

ちなみにカルチャーは5個ありまして、覚え方はスーパーTRF。最近の若い人はTRFって知らないと思うんですけど(笑)。Speed・Pride・Teamwork・Respect・Fun。この5つをすごい大事にしています。

スピードを持ってやろう。自分のアウトプットに対してプライドを持とう。いいチームワークで仕事をしよう。お互いの仕事をリスペクトしよう。仕事は大変だけど楽しく(=ファン)やろう、というカルチャーです。

自分のアウトプットに対してプライドを持つ

当社はエンジニアやデザイナーは裁量労働制です。ちなみにいつも会社に行くはぼくが一番早いんです。エンジニアには夜型の人も多くて、けっこう遅く来る人もいるんですけど。

まあ、それでも結果を出していれば問題ありません。裁量労働制なので、結果・アウトプットで評価します。その分、自分のアウトプットに対してプライドを持ってもらわないと、組織ってぐちゃぐちゃになっちゃうと思いますが。「自分のアウトプットに対してプライドを持とう」とか、そういうことを決めてやっています。

個人向けの家計簿サービスは、今650万人以上のユーザーさんに使っていただいています。BtoBでは法人向けのクラウドサービスをやっています。

ちなみに、どっちでもいいんですけどマネーフォワードのサービス使ってるよっていう方、どれくらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

お、すごい、さすが。ありがとうございます。使っていない方はぜひ、当社のクラウドサービスを使い、SMBCに口座を開き、GMOペイメントの決済を使いましょう。

(会場笑)

もう一回言いますよ(笑)。

(会場爆笑)

いや、本当にいいサービスだと思います。フィンテックのところはもうご存知だと思うので軽く飛ばします。

フィンテックとは Finance × Technologyで、ご存知のとおり、テクノロジーですべてのものが変わってくると。これは全業界に言えると思います。ファイナンスの場合は、決済とか送金・交換・融資・投資・保険とあって、いろんな業界があるんですけども。

それぞれ資金決済法とか貸金業法とかの法律がありまして、そこにいわゆるテクノロジーの進化によっていろんなプレイヤーが出てきて、「アンバンドリング化」って言うんですけども、バラバラになってきている。それが1つになっていくと思うんです。

それぞれのサービス領域によって、いろんな良いサービスが出てきています。これはどっちかっていうとユーザーさんとの情報レイヤーと整理されているところがあるかなと思います。

シェアリング×◯◯という、新しいマーケットへの投資

フィンテックが何かというと、これはぼくなりの整理なんですけども、1つ目は結局、早く・安く・正確で。吉野家の牛丼みたいですけど。早く・安く・美味しくでしたっけ?

(会場笑)

2つ目は、中央集権型から分散型に変化してきていること。3つ目がデータとAIによる最適化。そういったことが背景にあるんだろうなと思っています。

1つ目の、早く・安く・正確に、についてですが、もうご存知のとおり、クラウドですべてがつながる世界になってきていますよね。クラウドでリアルタイムに共有したり、アップデートがされる。さらにサーバー費用も激減しています。

こういう背景があって、今まで受けられた。例えば100の便益を受けたサービスを、コスト100万円で提供していたのが10万円くらいに下がり、下手したら5万円くらいでサービスが提供できるようになりました。

こういった背景の中でフィンテックというものが伸びています。みなさまも経営をする上で「どういう環境が変わっていって、世の中どうなるのか」というのは、読みがすごく大事だと思っています。

1つは、やっぱり伸びる領域にいないとならない。どんなにがんばっても売り上げが10分の1になる領域で、自分ががんばってシェア2倍にしても、10分の2にしかならないんですね。やっぱり「どういう領域を狙うか」は大事かなと思います。

なので国が発表している「未来投資戦略(2018)」などを参考にしてみるといいと思います。政府がどういうところを重点的にやろうとしているかとか、伸びる領域はどこかとか整理されているので。

ちょっと飛ばし飛ばしでいこうと思うんですけど、2つ目のテーマが、中央集権型から分散型へ。これはもうご存知のとおり今までサーバーが中心にあったものがどんどん分散されていっています。ブロックチェーンなどは代表的な事例です。

シェアリングエコノミーの流れも、そういう「シェアリング × ◯◯」、というようなことだと思うんですけど。この中で新しいマーケットが出てきているので、経営者の方々は、この新しいマーケットをどうとっていくかっていうのがあるのかなと。

「シェアリング × モノ」だとメルカリさん。5年で時価総額5,000億円以上の会社になっています。「シェア × 空間」では、日本には民泊規制があるので世界ほど上手くいってないですけど、Airbnbさんというビッグプレイヤーがいらっしゃいます。「シェアリング × スキル」だと、上場されたクラウドワークスさんとかランサーズさん。そういう素晴らしいサービスがいっぱい出てきています。

こういった世の中の大きな流れに注目すると、自社のサービスにどうやって活かしていくのかが見えてくる場合もあるかと思います。「データ × AI」などはご存知のとおり、もうどんどん進化していくので、ビジネスチャンスになってくるかと思います。

お金のことで悩まなくていい世界をつくるために

ここからは、ものづくり・サービスづくりについてお話しさせていただければと思います。0→1のものをつくるのが一番難しいなと思っていまして、ぼくらもまだまだできていないことが多いのにお話しするのは恐縮なんですけど。

サービスをつくる上では、やっぱり「カスタマーペインの解消」が一番大事だなと思っています。ぼくたちがサービスをつくるときに、提供者目線になって「Aというアセットがあるから、これで何かサービスをつくれないか」と考えちゃうこともあるんです。これはすでにスタート地点から間違っていて。

スタートは「そこにあるお客さんのペインとか課題を解決するためには、どんなサービスが最適であるか」っていうことから考えるべきだと思っています。

元々マネーフォワードというサービスを、ワンルームマンションで「あーだこーだ」と作っていたときに考えてたのは、「お金ってモヤモヤした不安だらけ」ということで。これを解消するためにどうすればいいのか考えたときに「お金の課題を解決するときに、そもそもスタート地点さえわからないじゃないか」と。自分がお金をいくら持っているかとか、いくら使ってるかとか、将来いくら必要であるかとか、じゃあどうすればいいのかとか、そういったことがぜんぜんわからないと。

だから、まずスタート地点がわかるようになろうと。自分がいくら持っているのか、いくら収入があって支出があって、アセットがどれくらいあるのかを自動で見れるようにしようとしたのがスタート地点です。

お金のことで悩まなくていい世界をつくるのが将来のゴールです。自分たちのやりたいこととか企業がやりたいことに挑戦できるような世界をつくりたいんですけど、そこまではかなりの道のりがあるので、一歩ずつ行こうと思っています。

ということで、お金に関する個人のペインをダーっとみんなで書いて。例えば、毎日いくらのお金をなにに使っているのかわからないとか、お金が貯まらないとか、お金についての知識が足りないとか。みなさんもご自分で経営されていて、ご担当の領域でいろんなペインがあると思うんですけど、文字にして書き出してみるとかなり整理されると思います。

個人のペインを解消するサービスをつくりたかった

そういうシンプルな視点でぼくらが今やっているのが、自動でラクにつけられる家計簿です。いくら持っているのかわからないというのは、テクノロジーでできるよねってことで、自動家計簿・資産管理サービスというのを作りました。

お金が貯まらないという悩みに対して、「節約しなさい」とか「貯金しなさい」とか言ってもなかなかできないじゃないですか。忙しいし、いろいろ買いたいものあるし。じゃあ、「家計簿を使っていたら自動で貯金までしてくれるアプリを作ればいいじゃないか」という発想で、自動貯金のアプリも作ったんです。知らずに貯まるから『Sira Tama』っていうんですけど。かわいくないですか?

(会場笑)

これはデザイナーと労務の女性が考えた名前なんです。他にも本当に正しい情報とか役に立つ情報を出そうっていうことで、暮らしの経済メディアの『MONEY PLUS』っていうのを作ったり、未来のお金を学べるお店『mirai talk』などもやっています。『mirai talk』は新宿に1店舗だけあるんですけど、ファイナンシャルプランナーや個人資産管理のプロがお金の相談に乗ってくれます。

これ、「お金のライザップ」を目指していまして、今絶賛テスト中なんです。「コンサルティングにお金を払う」という習慣が日本人にはないので、そこをなんとかチャレンジしようとは頑張っています。

『Sira Tama』も今のところ売り上げが出る構造ではありません。なんでやってるんですかって言われたら、「ちゃんとマネタイズプランはあります」って言ってるんですけど。現状は1円も儲かってないサービスだったりするんですが、やっぱり個人のペインを解消するサービスをつくりたいという思いから作っているというのが現状です。すべてはカスタマーペインからだと思っていまして。

20代の頃に味わったネガティブな感情からスタート

ちなみにこれは法人向けのサービスです。みなさまもビジネスをされていて、法人向けの方も、企業のペインが何かを仮定してソリューションを提供したいと思ってサービスをつくっていますよね。

これはぼくの経験も大きく影響を与えていて。ぼくはもともとソニーの経理部に配属になったんです。2001年にソニーに入社して、理系だったから経理部みたいな感じだったと思うんですけど……そんな単純じゃないとか思うんですよ(笑)。

それで経理をやっていたんですが、手作業が多かったんですね。紙をバインダーで止めて、書庫に入れて……というような作業を夜中までやっていたこともあります。もうなんか途中で悲しくなってきて「俺はこれをやるためにソニーに入ったんだろうか」と思って、手に持っていたバインダーをばーって投げちゃったんですよね。24歳の夏ですけど。ぶわーって紙が書庫の中に散らばって。深夜の1時半に。で、そこで気付いたのは、「あ、これを拾うのはぼくなんだ」と。

(会場笑)

そんなつらい思いをしてまで「紙っているのかな」とか「なんでこのデータを、手でもう一回入力せなあかんねん」とか、なんかそういう気持ちになりました。

もう1つは、確定申告ですね。当時は自分で不動産投資をやっていたんで、確定申告もやっていたんですけど、本当に時間がかかっていたんですよね。

ニーズとペインは表裏一体

個人向けのサービスのユーザーさんに定期的にアンケートをとっていて、ニーズをヒアリングしていたんです。

そうすると、当時一番多かった回答が「この便利な仕組みを使って確定申告をラクにしてほしい」というのが22パーセントぐらいでトップだったんですね。ぼくも経理の経験があって、確定申告にもすごい日数かかっていたのですごく共感できたんですよ。

「ニーズがあるなら確定申告のサービスもやるべきだ」っていうことになって、15人くらいのときにBtoBのほうもやろうと決断したんです。ぼくの個人的なペインとユーザーさんのペインのニーズがくっついて、これは絶対いけるという確信があったんです。

話が長くなったんですけども、やはりこういったペインをもとにサービスをつくらないといけないですね。とにかく「カスタマーペインはなんなんだ」っていうことを徹底的に追及することが大事だなと思います。

経理作業の効率はクラウド会計で解決しようとしています。営業マンが毎月経費精算やってるじゃないですか。(のりで)ペタペタ貼って、2時間半くらいかけて。

あれって、日本全国で莫大な時間が付加価値のない作業にとられてると思ってまして。社長があれ見たらもう、お前ちょっと営業回り行ってこいよ、みたいな感じだと思うんですけど。それを解決したくて。2時間かかったものを10分ぐらいにしたいっていうのがクラウド経費サービスです。

問題解決の提供価値をどうやって上げるか

そのほかにも、本当にお金に関する企業のペインはすごくたくさんあると思っていまして。ニーズはそこにあるので、1つずつ丁寧に解消していくことができれば、サービスとして使っていただける。サービスとして使っていただいて、提供価値の分まではユーザーさんに払っていただくことができます。なので、ぼくたちが集中すべきは、サービスの提供価値をとにかく上げることかなと思います。

よくプライスが安いとか高いとか、そういう議論もあるんですけど、最終的には提供価値だと思うんですよね。ぼくたちはよく「提供価値をとにかく上げる」っていう議論をよく社内でしています。サービスを開始した当初は「怖すぎる」とか「こんなの使いたくない」と言われたこともあります。

ベンチャーキャピタルさんにも断られ続けて、とてもつらい時期だったんですけど、最近はようやくそう言われることも減ってきた感じです。あとは金融機関さん向けのサービスもやってるんですが、これはちょっと今回は割愛します。

2つ目は、リーンスタートアップですね。もともとマネックス証券にいまして、マネックスもいい会社で辞めるつもりもぜんぜんなかったんですけど。当時「食べログ」とか「クックパッド」とか……クックパッドだとレシピ、食べログだとレストランですよね。ちょっと想像していただきたいんですけど、クックパッドさんが提供した価値って素晴らしいなと思っていまして。

夕方に主婦の方々が「今日の献立なににしよう?」とか、「子どもに栄養のあるものを食べさせてあげたいんだけどどうしたらいいかな」と考えた時に、今までって自分のレパートリーしかなかったり、本読んだりするしかなかったんですね。今はクックパッドさんのサービスにアクセスして、例えば冷蔵庫にある「ナス」で検索すると、ナスのレシピですごい美味しいのがすごいダーって出てきて、足りないものを買うだけでよくなったり。作り方も全部見れますね。

世の中の主婦の方の、夕方の悩みって日本全国にすごくあるじゃないですか。それがクックパッドのサービスでどれだけ悩みが消えたかっていう……。あんまり伝わらなかったですかね?

(会場笑)

すごくないですか? もうすごいなって……夕方全員クックパッド検索してるっていう。

マネーフォワードは最悪の環境から始まった

そういうサービスを見てきて、やっぱりインターネットってわくわくするし、そういう「人のモヤモヤとか悩み」を解消できるなと。クックパッドさんとか食べログさんのようなサービスがどんどん出てきて、ぼくらはもともと金融×ITの分野で働いてましたので、ぼくらがなんか役に立てるとしたらその領域かな、ということで起業しました。

(スライドを指して)当時はこんな感じの素晴らしいオフィスで(笑)。高田馬場のワンルームマンションで、1階が居酒屋の笑笑でした。当時はお金もなかったんで、ホワイトボードも買えなかったんですけども。ペラペラの紙で。これぜんぜんおすすめしないんですけど、2回書いたら消えなくなった(笑)。最悪ですね。

(会場笑)

ちょっと汚い話なんですが、トイレがオフィスの中にあって、誰がなにをやってるか音でわかっちゃうっていう最悪な環境で。ここにいたら女性社員は絶対に来てくれないから、ここを抜け出そうっていう合言葉で、よく遅くまで仕事をしてました。

これも余談なんですけど、当時は「フィンテック」っていう言葉がぜんぜん知られていなかったんですが、たまたまこのビルの名前が「ファインテックビル」だったという(笑)。すみません、どうでもいい小ネタです。

(会場笑)

それで会社を始めて、じゃあ新規ビジネスをどうつくるかと。当時ぼくと、瀧という創業者がいまして、2人であーでもないこーでもないと書いてたんですね。日本には資産運用ビジネスがないんじゃないかとか。瀧がやりたかったのは今のロボアドですね。ロボアドのサービスがやりたくて。

ぼくは「ロボアドはものすごく社会的に価値があるとは思うんだけど、ユーザーを集めるまでにけっこうかかるからベンチャーはキツイよ」と話をしていて。今となってはいくつも良いベンチャーが出てきていますけど、当時はどうやろうかなということを散々議論していて、アイディアは出てくるんですけど、途中アイディアに飽きてきて、もうアイディアには価値がないと。だから作ろう、もう手を動かせ、ということで作り出しました。

アクセスのほとんどが友人だった、サービス初期

(スライドを指して)これは当時ベンチャーキャピタルさんに断られ続けたサービスで、マネーブックといいます。当時マネーフォワードではなく、マネーブックっていうサービスでして。

「使い勝手・分かりやすさ・セキュリティを重視。個々人の資産・取引情報を比較することが、安心と行動につながる」っていう。

(会場笑)

当時は真剣にやってたんです(笑)。金融リテラシーとかお金の教育って、大事なのに時間かかるから、上手くやっている人をフォローしてその人がなにに投資しているかを見ることができたら、学べるんじゃないかなと思っていたんですね。

当時アメリカで、「ミラートレード」というすごい儲けている人と同じようにコピートレードして、そこで手数料の落ちた分をそのコピーした親元に払う、みたいな証券会社が出てきて、実際に作りました。6ヶ月くらいで作ったと思うんですけど、これが結局どうなったかというと大惨敗で。リリースして1日のユーザーが20人くらいでした。

張り切ってGoogleアナリティクスを入れたんですけど、ずーっと低空飛行。アクセスが10人くらいのときもありました。友だち7人くらいに「使え」って言ったんで、アクセスの7人くらいはぼくの友だちなんですよ。オーガニックユーザー3人か、みたいな(笑)。

当時オフィスの雰囲気は悲惨で。「がんばって起業して、やるぞ!」って言ったのに、ユーザー10人じゃんみたいな。本当に真っ暗で出口がなくて。

人間って、「こっちに向かったらゴールがある」と思えたら、その方向に走るのってすごい簡単で。なぜかっていうと、絶対いつかゴールにたどり着けるので。でも「ゴールはあっちなのに、俺らはこっちに走ってる」みたいな恐怖心をお持ちの方もいらっしゃると思うんです。ぼくはそういうのがすごく怖くて。なぜって、一生懸命走れば走るほど、ゴールから遠ざかっていくからですね。

■hoops link tokyoとは

SMBCグループの、オープンイノベーション拠点hoops link tokyo。

ここは、いつの時代も、新しいエネルギーにあふれる、渋谷の街にあり、スタートアップ・自治体・大学・大企業など、異なる世界の人々が、出会い、語らい、ともに挑戦するための交差点です。

そして、SMBCグループの知見・ネットワークを基盤に、挑戦するすべての人々とともに、社会的な価値を創出する場です。

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このログの連載記事

1 「お金のことで悩まなくていい世界」をつくりたい 辻庸介氏が語る、マネーフォワード創立秘話 
2 会社の大きさと、経営者の器の大きさは同じ 辻CEOが語るマネーフォワード成長のプロセス

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