世界を変えられると本気で信じる人が、本当に世界を変える

横山弘毅氏(以下、横山):みなさん、こんばんは。今日はお忙しい中、月曜の仕事の後にお集まりいただいてありがとうございます。今日のイベントを主催させていただきます、横山と申します。よろしくお願いいたします。

今日はお二方、ゲストに招いてお話をさせていただきます。昨日ちょうど台風が来て、「イベントの開催大丈夫かな」って、かなり心配していたんですけど、幸い昨日、夜のうちに過ぎ去ってくれましたね。

実は2月ぐらいに1回イベントやったんですけど、その時は、ものすごい大雪の日にヒットして泣く泣く中止したことがあったので。今度は台風か、と思って、ちょっとドキドキしていたんですけど、無事に開催できてよかったなと思っています。

今日の会場は、ユーザーグラムというWeb解析ツールを提供している株式会社ビービット様に、いろいろちょっとご無理を言って、無料でお貸しいただいています。ビービットやユーザグラムに仕事の関係で興味がある方いらっしゃったらお声がけいただければ、と宣伝させていただきます。

今日のテーマは「Think different Again- in Nepal」ということで、元Appleの、このThink differentのキャンペーンをやっていた責任者の方と、「ネパールで学校を作ろう」というプロジェクトをやってらっしゃるライさん、お二方をゲストに招いて進めていきたいなと思っております。

Think differentに「自分が世界を変えられると本気で信じている人たちこそが、本当に世界を変えている」という一節があるんですけれども、実際に仕事で、プロジェクトで、そういう現場に携わっているお二方なので、いろいろなヒントや学びがあるんじゃないかなと思っております。

ご登壇者の紹介です。まず元Apple Japanで、Think differentのキャンペーンで日本の責任者をやっていらっしゃった河南順一です。どうぞ。

河南 順一氏(以下、河南):よろしくお願いします。

(会場拍手)

横山:今は某大手会社ですごい偉い方なんですけれども、昔からいろいろお世話になっていて、今日お声がけして来ていただいた次第でございます。

虎の出るネパールの村からやって来たライさん

横山:それからNPO法人YouMeNepalの代表を務めていらっしゃるライ・シャラドさんです。

ライ・シャラド氏(以下、ライ):よろしくお願いします。

(会場拍手)

横山:ライさんはつい先日まで、故郷のネパールに2週間くらい戻っていて、ライさんが作っている学校の視察など、いろいろ見てきたそうなので、その辺りのお話もいろいろうかがえればと思っています。

ネパールで野生のベンガルトラが絶滅寸前だったのが、「頭数が回復してきて倍増した」っていうニュースが出て。ライさんのツイッターを見たら、ライさんはヒマラヤのすごい田舎のほうだそうで、「虎が増えて村の牛が毎週消える」ってツイッターがあって(笑)、「まじか!」みたいな。

そういう場所なんだって改めて感じたんですけれど、そういうところでどういうことをやってらっしゃるか、うかがえればと思ってます。

対談の後半は、ライさんと河南さんでトークセッションとなります。ジョブウェブという採用の支援の会社をやってらっしゃる佐藤さんにモデレーターをお願いしております。ここの会場も、実は佐藤さんに紹介していただいてつないでいただいたんですけど、佐藤さんも筋金入りのAppleマニアだそうです。

すごい昔からMacを使っていたということだったので、お話をつないでいただければと思っています。あと、飛び入りでお願いして、もう一方、ゲストをお呼びしております。こちらにいらっしゃるんですけど、元Apple Japanで、今はcloudpackというサービスのマーケティング責任者をやっていらっしゃる増田隆一さんでございます。

増田さんも元Appleで、河南さんの部下で。上司と部下という関係で、当時キャンペーンでいろいろお仕事をされたということなので、また後でお話うかがいたいなと思っております。よろしくお願いします。

(会場拍手)

Apple起死回生のきっかけとなった「Think different」

横山:さっそくなんですけれども、ちなみにThink differentのキャンペーン自体をご存知……あまり知らないという方、いらっしゃいます? 半分くらいですね、はい、ありがとうございます。

逆にけっこう、すごい知ってるっていう方は? そんな感じですかね。はい、ありがとうございます。ちょうど20年くらいですか、経つので。

ちなみに今日、パッと見た感じは大丈夫そうかなと思うんですけど、Appleが、今でもそう、iPhone、Apple Watchなどがいろいろヒットして世界一の企業になってますけど、ちょうど21年前、22年前ですか。96年、97年にこのキャンペーンの直前で、Appleが倒産寸前になってたって、リアルに覚えてらっしゃる方っていますか?

そんな感じなんですね。ありがとうございます。これ本当かどうかあれなんですけど、当時、運転資金が残り14日をきってたみたいな。「あの会社に買収される」「この会社に買われるんじゃないか」とか、人もどんどん辞めていってとか。

そういうどん底の時に、河南さんがAppleにいらっしゃって、ちょうどその時にジョブズが復帰して、このキャンペーンが始まって、そこから本当に奇跡的なV字回復を遂げたというところで、そういうきっかけになったキャンペーンです。

これがキャンペーンの全文なんですけど、このCM見たことないっていう方いらっしゃいます? それかあんまりよく覚えてないとか。ないですか? せっかくなんで1回流そうかなと思っております。

わずか1分足らずのCMで、Appleの商品も一切出てこないし、ロゴも最後にちょっと出るくらいで、あとは昔の偉人やメッセージが流れるだけのCMです。これがきっかけで本当に劇的にAppleが復活しました。なんでこれがそういう効果をもたらしたのか、どういう経緯でAppleが再生していったのかを、河南さんに今日詳しくおうかがいしたいなと。

アジア最貧国のネパールにThink differentを

横山:世界中のマーケティングの担当者、河南さんもアメリカの本社に呼ばれて、試写会があったらしいですけど、最初に見た時に、まったく意味が解らず「なんじゃこりゃ」みたいな。どの国もそんな反応だったそうです。倒産しかけてて、やばいやばいって言ってる時に、このよくわからないメッセージが流れるCMを、えらい金をかけて流すという。

「これはなんなんだ」と、最初はちんぷんかんぷんだったらしいですけど、やっていくうちにその意味が解っていったと。その辺をいろいろうかがいたいと思っています。

今日もう1つ、ライさんの国、ネパールです。ネパールでの教育改革に取り組まれており、「アジア最貧国ネパールにThink differentを」というテーマでお話をしてもらいたいなと思っています。

ネパールに行ったことがある方? あら! 多いですね。ありがとうございます。逆にそういうテーマだから来ていただけたのかなと思うんですけど、ネパールがどこにあるかとか、実は僕も知らなくて。

インドのちょっと上ですよね。本当に小さい国で人口が2900万人くらい、日本の首都圏ぐらいしかなくて、非常に貧しい。特に教育が非常に厳しくて、ほとんどまともに教育が受けられない。一応、公教育もあるんですけど機能していないと。そうすると、基本は肉体労働をするしかなくて、海外に出稼ぎに行く。

ネパールの失業率は42パーセント、国では稼げないので外に出るしかないと。ただ非常に危険な……これどこですかね? どっかの国だと思うんですけど、こういう危ない工事現場に行って、亡くなる人も大勢いると。平均すると毎日4人~5人くらい亡くなって、国に戻ってくるのがあって。

これをなんとかするには、やっぱり「教育を何とかするしかない」とライさんが立ち上がって今いろいろなプロジェクトをやっており、実際にネパールに学校が2つ作っています。

それだけだといろいろ限界もあるということで、今3校目の学校を作る資金を集めるために、クラウドファンディングに挑戦しています。

Appleのキャンペーンが人々を変革に巻き込んだ

横山:縁があって、ライさんと知り合って、僕も本業で教育系の仕事をやっているんですけど、共感することもあり、何かお手伝いや応援できないかなと、こういうイベントを開催しました。ネパールの現状やどういうことをやろうとしているのか、その辺りをこの後、詳しくうかがっていければと思います。よろしくお願いします。

私が長々としゃべってもあれなので、河南さんからThink differentのキャンペーンについてお話をうかがえればと思います。バトンタッチしたいと思います。

河南:私、河南と申します。先ほどご紹介いただいたんですけど、私はライさんみたいに何か変革を起こしたとか、起こしてるとかではなくて、基本はただのサラリーマンです。

このAppleのキャンペーンに携わったということで「元Appleの責任者だ」とかいって、いかにも胡散臭い感じなんですけど。実際に「変革に巻き込まれた」という意味では自分の人生も確かに変わりました。

これはAppleの社員やユーザー、開発者、関係している人たちだけでなく「実際に世の中に何かしらの影響を与えた」「その中にいつもいた」ということでは、みなさんにもなにか共有させていただき、ヒントになることがあるかなということで、今日はお話をさせていただきます。

まず最初に、これをご覧いただきたいと思います。ちょっとうまく動いてないですけど、これってご覧になった方いらっしゃいますか? これが何かご存知の方って? あ、お1人いらっしゃいますね。

「これ素晴らしい広告なんですよ」って言われて、みなさんどんな反応をされますか? まさしくさっき横山さんが使った言葉なんですけど、この「なんじゃこりゃ」というのが、私が最初にThink differentのブリーフィングを受けた時に、実際に感じたことなんです。

「これはこれで広告的にもすごく意味があってすばらしいものが」っていう説明をしなくちゃいけなかったんですけど、Think differentの1つの局面は「シンプルに物事を済ませる」というところで、非常にスティーブ・ジョブズやAppleがこだわっていたことにあるんです。

Appleが倒産しかけた理由

河南:ここら辺の説明は後でしますけれども、「いろんな突拍子もないものが普通の人間には起きる」というのがThink differentのキャンペーンでした。

「そもそもこれって何が起きていたか」ということですね。先ほど、横山さんがお話しした通りなんですけど、Appleは資産総額が1兆ドルでしたっけ、8月に超えて超優良企業ですね。ついこの間、Amazonもそれに追随したとのことでした。

素晴らしい会社なんですけど、実際、1997年、1996年の頃には倒産しかけて「こんなみじめな会社はなかった」「なんでこんなところにいるんだ」というのが周りから聞こえてくる言葉でした。

なんでこんな事態に陥ったのか。資産総額1兆ドルのこの超優良企業が、倒産しかけてたというのは、なんで起きたんですかって。

これはもうみなさん、よく聞いてらっしゃると思うんですけど、Windows 95というのが出て、競争優位性がなくなったというのが一般的な、まず第一の解釈です。アップルは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)で非常に使いやすいコンピューターだったという強みだったのが、Windowsがそのお株をとった。

グラフィカルユーザインタフェースはApple独自のものでなくなり、Appleは先細りしたわけです。しかし、優位性を失った真の理由は、「自分が何者か」を忘れていたというのが、一番の大きなものでした。

今はパソコンやiPhone、iPod、iPadなどをアップルの統合したテクノロジー上で展開していますが、昔はプリンタやデジカメ、サーバー、モニターなど、製品ラインを手当たり次第に拡大しました。PDAという、今のスマホの先駆けのようなものもやってました。

電子機器にとどまらずプリンタのインクのような消耗品まで、いろんなものを売って「じゃあAppleって何者なんだ」ということを、見失ってしまっていて。Appleの営業マンも「何をお客さんに売ったらいいのか実際わかっていなかった」という状況ですね。

Macintoshと「知的自転車」

河南:OSも、Windowsはライセンシングしてどんどんシェアを拡大しているということで「じゃあ自分たちもライセンシングがこれからの方向だ」ってやったんですけど、それがぜんぜんうまくいかない。

例えば、Appleのコンシューマー向けの製品。同じスペックで販売チャンネルが違うだけで、別の名前で売られていたものがありました。スティーブ・ジョブズが戻ってきて最初にやったのは、これらを統合・整理し、コンシューマーとプロ、そしてポータブルとデスクトップの、4つのクライテリアにまとめることでした。これが最初にスティーブ・ジョブズがやったことの1つの改革です。

そして、「そもそもAppleっていうのはなんなんだ」という原点に立ち返ったところが、一番のポイントです。Appleの原点ってどこにあったかというと、創業した時に掲げたスローガン「Changing the world, one person at a time.」です。これは、世界を変える、1人ずつを変えることで。パーソナルコンピュータを世に送り出して世の中を変える会社でした。

それまでコンピュータというのは、企業で一部の技術者が操作するものでしたけど、そのパワーを個人にもたらすことができるようになった。この理念をAppleはずっと引き継いでまして、Macintoshが出た時に「知的自転車」という言葉を使いました。

自転車というのはペダルをこぐことで、人間の力を増幅させて目的地に早く着ける。人間の力や創造性を拡大してやりたいことをもっとパワフルにできる、そういう考え方で、Macintoshを世に送り出したんです。

それが今も続いてまして、これはiPodが出た時に掲げた言葉ですけど、Appleの立ち位置というのはテクノロジーとリベラルアーツの交差点にあるということ。リベラルアーツというのは、教養学というんですか、芸術や音楽といったクリエイティブな世界の勉強ですね。

“crazy ones”は厄介者のことではない

河南:それとテクノロジーを融合する。つまり、人間が持っている創造性をテクノロジーで増幅させて、人間ができることを、さらにすばらしいものを作り上げるということに結びつける。これが今までも続いています。

それをすっかり忘れていました。Appleがもう倒産寸前になっていて、マーケットもAppleがそういう会社だとは誰も考えていないですし、投資家もそうですし、ひどいことにApple社員がそれを忘れていたというところで、この「Think different」を立ち上げた意味があるのです。

先ほど横山さんがもうコマーシャルをお見せになったので、そのビデオはスキップしますけれども、これはそのプリント広告です。広告はテレビや雑誌、新聞で展開しまして、さっきのテレビのナレーションを新聞で、あるいは雑誌で展開したのがこのコピーです。

このコピーには、テレビのナレーションに含まれていないことがいくつかあります。さっき解説がありましたけど、世の中で変革を起こした人たちは、えてして「厄介者」「はみ出し者」と受け止められたと。だけど自分が信じることを突き詰めて世の中を変えた、というのが内容です。

スティーブ・ジョブズはAppleの立ち位置として、この黄色で囲んだところですけど、そういう人たちのための道具を作っているんだということを世の中に宣言をしました。これでAppleの社員も原点を思い起こすかたちになりました。

これをもうちょっと掘り下げると、英語ではまた違うんですね。広告のコピーは、翻訳するところもありますけど、基本はコピーライティングなので、そのとおりにはならないんですね。いろいろと違うところがあるんです。

例えば、日本語に単純に直すとそれだけで1.5倍の長さになるので、スペースや字数の問題もあります。あと意味合いやニュアンスを失わないようにするには、「伝わる」日本語に変えなきゃいけない、という部分ですね。

そもそもこの「Here's to the crazy ones.」というところで始まるのは、このクレージーな人たちを称える、あるいは「Here’s to」というのは「乾杯」だと、そういう称賛する言葉で始まっているところもまた違います。

Appleは広告の世界でも型破り

河南:世の中に「はみ出し者」になっている人たちというのはどんな人たちか、日本語版では書き切れなかったものもあります。例えば、発明した、創造した、人を癒やして、奮い立たせた。英語版ではこの中にもう一つの「ソウゾウする」というのがあります。Imagineの想像です、あと、Exploreって開拓する・探検するという言葉も英語版には盛り込まれているんですね。日本語に収めきれなかったところがあります。

あとは、どんなことをするのか。例えば、こういうThink differentのクレージーな人たちは、なにもないキャンパスになにかを創造する、描くということをするんです。音楽は、なにも音がないところに譜面を書いて、音楽を創り出す。

日本語版にないもう1つは「赤い星を見て、探査機を見た人がいるだろうか」。火星に打ち上げたあの実験室ですね。

本当にたくさんのイマジネーションが広がるものになっています。これを『アップル宣言』という本にまとめた人たちがいるのですが、これは飛ばします。

アップル宣言―クレイジーな人たちへ (ポケット・オラクル)

いろんなことをやりました。これはまたあとのディスカッションで細かい話が出てくると思うんですけれども、いろんな広告の世界で信じられないことをやりました。

今では当たり前になっているものもありますけれども、例えばあのチャップリンの広告もAppleのものです。あと、このラッピングバスっていうのも今は普通になっていますが、これを日本で初めてAppleがやりました。

これは渋谷のQFRONTですね。あそこの壁面を使って広告展開したと。これも3面、横にあるビジョンを連動させてやったのも初めてとか、そんな今までは考えられていなかったものをやりました。

あと、広告を秋葉原などでガーッともちろんそれもやりましたけど、もっとパソコンユーザーとは関係のないファッションの街で展開するという、エンドユーザーの裾野を開拓したというのもありますね。

「Think different」は人に選択する力と勇気を与えた

河南:先ほどの偉人は、いろんな海外の偉人に加えて日本人も、黒澤明さんとか三宅一生さん、手塚治虫さんも登場しました。

あとは、店、展示会、そういったディスプレイも変えましたね。その頃はまだ直営店はありませんでしたが、販売店にAppleだけのスペースを作るということで、今のApple Storeの前身になる考え方が、そのデザインも含めてここにありました。

じゃあこの「Think Different」はどういう意味があったのかということで、ここからは私の解釈もあるんですけど、これは「人に選択する、そういう力と勇気を与えた」ということだと思うんですね。

この「選択をする」って、選択肢がたくさんある人たちもいれば、ネパールの子どもたちみたいに選択肢自体がないというのもありますけど、選択って私たちの人生でいろんなことが起きますけれども、すべて選択ですよね。

もちろん「進路を選ぶ」というのもありますけれども、例えばなにかが起きたときに「がっかりして失望して諦める」という選択があれば、そこになにか意味があるんだと考えて「なにか違う道を探しだそう」という選択もありますし、「なにか自分に起きたひどいことに対して怒る」という選択があれば、ここで「見つめ直してそこに違うかたちで道を拓いていこう」という選択もあると。

「Think different」というのはスティーブ・ジョブズが広告代理店のChiat\Day(のちのTBWA\CHIAT\DAY)と一緒に考えたんですけれども、その考え方を紐解くと、彼が後にスタンフォードでスピーチしたところにつながるところがあるなと。

その時の話としては「点と点をつなぐ」ですね。これはまたご覧いただければいいと思います。佐藤さんも「つなぐ」ということを生業にしておられるということですけれども、これはすごく重要なことですね。

「宇宙にへこみを残す」

河南:私たちは、いろんな機会があって、いろんな人と出会ったり、いろんな経験をしたり、いろんなことを学んだりする機会があるんですけど、先を見通してあらかじめ「これとこれをつなごう」と考えてもそうならないことがあります。

あとになってそれが「こういうふうにつながるんだ」というところがあるんですけれども、誰も将来を、すべてどんなことになるということがわかって、それをつなげられる人というのはいないんですね。

「なにがこれをつなげていくんだ」というのは、さっきの選択になると思うんですね。ここでどっちを選ぶか? 諦めるか、なにか別の道を探すとか、だとか。

あとになって、私たちはその点をつなぐことで、「自分がやってきたことが失敗だったんだ」と解釈する人もいれば、「これで私は、ここの点で成長して、ここに今つながってるんだ」と、それを未来につなげていくことができる人もいます。

スティーブ・ジョブズがよく使った言葉で「宇宙にへこみを残す」という言葉があるんですけど。宇宙になにか影響力が与えられるのか? 普通の人間じゃわからないですけどね。でも、そこに想いを馳せる。「火星に実験室を作ることができるだろうか?」と考えてみることは重要です。

そういうことをやっているのがライさんだなということで、私も楽しみにライさんの話をおうかがいしたいと思います。とりあえず、私の部分、これでおしまいです。よろしくお願いします。

(会場拍手)