肉をあまり食べない肉食獣「キンカジュー」の不思議な生態

Meet the World's Worst Carnivore, the Kinkajou

「肉食獣」と聞いて、頭に浮かぶのは力みなぎるライオンや、一匹狼だったりするもの。しかしこの世界には、そんなイメージとまったく違う肉食獣が存在します。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」は、異色の肉食獣「キンカジュー」の生態について解説します。

異色の肉食獣「キンカジュー」

オリビア・ゴードン氏:もし私が「肉食獣を思い浮かべて下さい」とあなたに言ったら、思い浮かべるのは力みなぎるライオンや、一匹狼ではないでしょうか。

食肉類に分類される肉食獣には共通項があります。大抵の肉食獣は狩りをし、するどいかぎ爪のある足と特別仕様の歯を使って肉を食べます。

しかし、そんな生物学的な決まり事すべてに当てはまらない肉食獣が存在するのです。キンカジューです。

キンカジューはメキシコ南部と南米の熱帯雨林に生息し、樹上で生活をしています。

樹上に住むという生活様式に合わせ、しゃれた進化も遂げています。毛むくじゃらの樹上住人と言えば、霊長目の動物なのではないかとあなたは思うでしょう。しかしキンカジューはアライグマ科に属する肉食獣なのです。タヌキやハナグマ、オリンゴ、リングテイルなどに近い生物なのです。

狩りではなく、木の枝を掴むために使われる鉤爪

自然科学者によれば、キンカジューはおよそ226,000,000年前にそれらの種族から枝分かれしたのだとか。キンカジューは肉食獣としての特性を引き継いではいますが、あなたが思う肉食獣のあるべき姿とは違います。鋭い鉤爪は、熊や猫のように相手をねじ伏せて狩りを行う為に使われるのではなく、木の枝を掴む為に使うのです。

さらに言えば、キンカジューは指屈筋短、前肢末梢環節と言われる小指から手首にかけた筋肉を持っているのですが、それはつまり、彼らの指が見かけ倒しではなく、しっかりと握れる機能が備わっていることを表しているにほかならないのです。

しかし、キンカジューの至福の時間はおやつの時間なので、ほとんどの場合、手の機能は熟した果物を掴み取ることに費やされています。つかんだり、握ったり出来る尻尾はそのようなところから来ているのでしょう。

肉食にも関わらず、肉はあまり食べない

掴める尻尾を持つ肉食獣はあと一種類だけということを考えれば、キンカジューは特別な生き物だというのもうなずけます。最も奇妙な適応と言えるのは、後ろを向く為に後ろ足を回転させれるというところでしょうか。顔を前に向けたままぶら下がることも出来るのです。

ジャングルジムで真似してはいけませんよ。キンカジューが樹上の食べ物を取るために招かざる友を出し抜いて与えられた能力なのです。

キンカジューはあまり肉を食べません。肉食獣としては妙な話ですよね? 彼らの食餌の90パーセントは果物で、10パーセントは葉や花、そしてはちみつで、混ざっているシロアリも飲み込むので、まあ、肉食獣と言えるでしょうか。

キンカジューの食べ方は、とても汚い

しかし、キンカジューは肉食獣の特性を持っている、とも先ほど言いましたよね? そのうちの1つが果物を食べるよりも肉を噛みちぎるのに適した犬歯です。

この犬歯があるせいで、キンカジューの食べ方は汚いのです。

しかし、それは決して眉をひそめる行為ではありません。種まきとしての役割を果たしているのです。よちよち歩きの子どもの要領で食べ散らかし、種を森林中に蒔くのです。キンカジューは花粉媒介者としても知られているのですが、花に顔を突っ込み、長い舌で蜜を吸う時に顔に花粉がつくので、それをまき散らすのです。

自然科学者に把握されている、何百、何千と居る花粉媒介者である生物のうち、10分の1パーセントが哺乳動物で、そのほとんどを占めるのはコウモリです。ほとんど居ない、飛ばないほ乳動物の中でもさらにほとんど居ない肉食獣が授粉を助けているのですね。

自然科学者はキンカジューが昆虫や他の哺乳動物と比べて、どれだけ花粉媒介の役に立っているのかは把握していません。が、ナツメグやスターアップルの助けになっているということは承知のとおりです。

新陳代謝をゆるやかにし、燃費よく過ごす

また、進化し続けているのは彼らの歯だけではありません。どんなものでも食べられる肉食獣っぽい内臓もあるのです。それはつまりは、果汁いっぱいのたっぷりとした果物をキンカジューの小さな糞山に変えるまでの時間はたったの2時間半、ということになるのです。

牛のようにたくさん植物を食べる他の動物と比べると、とても速いですよね。牛は食物から栄養を得る為には発酵させなければいけません。その為にかかる時間はおおよそ1〜3日もかかります。

キンカジューがお腹を空にするのがそんなに速いのは、食べ物から効率よく栄養を摂れないからなのです。彼らは新陳代謝をゆるやかにすることにより、その問題を解決しています。キンカジューは同じような大きさの肉食獣と比べ、たいして燃料がいらないのです。

野生動物は自然でそっとしておいてあげよう

あなたは今、果物食いのフワフワボールたちは凄く可愛い! と思っているに違いありません。それどころか、90年代にパリス・ヒルトンが一匹を肩に抱きかかえながら、一緒にこそこそ歩いているのを目にしたかもしれません。

しかし、この小さな生き物をペットとして飼うのは賢明ではないでしょう。あなたが眠りたい時に、キンカジューが運動したり、寝起きしたり遊んだりする広い場所が必要ですし、特別な食事形態をとっているため、やっかいな感染症を引き起こしかねません。

鋭いかぎ爪や歯については言う迄もないでしょう。普段は果物を割くために使ってるとは言え、未だ肉を裂くことは出来るのですから。興味深い肉食獣は、熱帯雨林でそっとしておいてあげましょう。

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