2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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前野隆司氏(以下、前野):ここからすごいスピードで進むところなんですけど、どんどん行きます。(スライドを見て)「あなたはどちらを望みますか?」と。
弱肉強食の競争社会と、みんなが支え合う共生社会。
工業化、都市化した世界と自然とともに生きる世界。もちろん工業化も便利でいい面もあるので、全部悪いというつもりはないんですけれども、両極端にいうとこんな感じですね。
勝ちと負けに分かれる社会。
みんなの良さを活かす全員活躍社会。
人々が孤立した孤独社会と、人々が助け合うふれあい社会。
みんなが怒り、妬み、疲れ、泣き悲しむ……、そんなの嫌ですよね。こんなの当たり前過ぎますよね。
でも、比べてみると弱肉強食、競争、工業化とか、20世紀型の競争社会を表しています。
僕はやっぱり21世紀にこうなって欲しいなと思うのは、昭和型のグローバル社会、さっきのみんなが多様に繋がる社会ですね。そういうものが必要だということで、ティールやホラクラシーという考え方も出てきたし、幸福学が流行っているのも、「勝つぞ!」という知財による長続きしない幸せじゃなくて、個人個人がみんな良さを発揮する社会になってきているんだと思います。
これまたさらに文章にすると、「誰もが社会の歯車となって盲目的に働き、競争社会の中で罵り合い……」というようなすごいことが書いてありますけど、みんなは自分が本当にやりたいことや、自分の特徴をよく理解し、夢や目標を持ってわくわくしていて、多様な人が繋がり信頼し合い、尊敬し合い愛し合い支え合う。お腹いっぱいになるぐらいですけども、もうなんかみんな良い人だなあ、というような。
後者はみんなが楽観的で前向きに自分らしく生きる社会。前者が個人主義だとは言いませんが、個人主義をやり過ぎたらこうならないですか? まあ集団主義だけを良いとは言いませんが、みんなのことを考える社会という違いですね。
この(スライドの)緑と赤は何を書いたかというと、実はさっきの幸せの4つの因子。「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「あなたらしく」を文章にしたものなんです。
分解してみると、「やってみよう因子」は、みんなが本当にやりたいことや特徴、強みを理解して、夢や目標を持っているということですね。「ありがとう因子」は、多様に繋がり合って、大事なのは信頼し合い、尊敬し合い、愛し合い、支え合う。これがみなさんの会社の中でできているでしょうか。
これが本当にできている会社、伊那食品さんとかすごいですよ。(社員が)600人もいるのに、全員が本当に信頼し合い支え合って、みんなが目標や理念を理解し、一致していて、みんなで前向きに自分らしく生きている。
そういうことが、信じられないぐらい落ちこぼれなく実現している。宗教みたいとよく言いますけど、もちろん行ってみると怪しい感じはしないですよ。本当に全員がこれをできている会社はあります。
だから、理想は集団主義なんじゃないかなと僕は思うわけです。そうは言っても、社会には競争があるから、こんなに極端なことは言わなくても、戦いはしょうがないんだという人はいますけど、本当にそうでしょうか? A社とB社が戦うと言いますけど、いや、A社は素晴らしいと。敵のA社も素晴らしい独自性のある商品を出している。
じゃあ、違う独自性でうちの会社はがんばろうじゃないか、ということが、もし本当に理想的にできれば、みんながブルーオーシャンを目指すわけですよ。みんなが独創性を発揮しないから、同じ製品で過当競争になって、利幅も少なくなって社内もギスギスするというように、悪い方向にいくわけですよね。
ということは、やっぱりイノベーションを起こしながら幸せになりつつ、みんなが本当に尊敬し合う。敵の企業も尊敬し愛することができれば、本当に幸せな会社(の実現)は可能なんじゃないかと思います。
実は、これは会社論ではなく日本論なんですけど、これも細かいので興味がある人は、(スライドに載っている本を指して)もう絶版かもしれないですけど。勝ち残りゲーム式の社会はストレスフルだったり持続しない社会だというような不満があります。一方では、サステナブルで、さっきのホラクラシーのような(真にフラットな会社)。
「(僕が)ホラクラシーとか全部書いてたのに……」というのがこの本なんですけど。もし、この条件を全部満たした組織をつくれるとしたら、それは幸せな組織だと思いますし、僕がこの本で書いた日本は、日本型システムの理想論だと。だから日本という国家自体が、本来は集団主義の国なのに、個人主義の人と集団主義の人に広く(分布することに)なっているのではないかというお話です。
日本という国はもともと「和の国」というわけですよね。和は調和、平和の和ですよ。ということは本当にみんなが助け合って、思いにより繋がって、競争してオープンにネットワークをつくる。アメーバ上になっていて、みんながコミュニティを形成するような。
こういうことが本来あるべきなんじゃないかと思うんです。(スライドを指して)この図は実は仕組んであって。これはこうやると、日の丸に近づくという図なんですけど、この前自民党でお話したらすごく好評でした(笑)。
(会場笑)
僕は、右寄りという意味で日の丸を出したわけではないのですけど、「前野くんわかってるね」というような感じで。右翼も左翼もなくて、でも、やっぱり日本は平和、調和の国だと僕は思うんですよね。すごく美しいじゃないですか。倭国の倭というのは本当は、にんべんに委ねると書いて、魏志倭人伝の倭だったんですよね。
にんべんに委ねるというのはどういう字かと言うと、女性のようにナヨナヨして覇気がないこと。女性差別みたいなことを言いましたが、そういう意味なんですよ。中国の周りは、匈奴とか鮮卑とか獣のような名前が付いているのに、日本には「倭」というナヨナヨしていて弱々しい国民という侮辱の名前を付けられたと言われているんですね。これは素晴らしいことだと思うんです。
ナヨナヨというのが女らしいという言い方は差別的ですけど、要するに力で誰かを制するのではなくて、平和と調和を愛する倭ですね。たぶんナヨナヨしているという意味が嫌だったので、日本人は倭という字を「和」に変えて、ワとかヤマトと読むようになったと僕は思います。それとは違う説もあるんですけど、(日本は)そういう国なんじゃないかと。
だから、日本こそすごく平和で調和的で、幸せな組織形態を(実現)できる国で、一部はそれができていて。要するに幸せ企業というのはできていて、そうじゃないところは、集団主義と個人主義の間で、ちょっと行くべきところを見失っているとも言えるんじゃないかと思うわけです。「日本とは何か」という話は長い話なので、ちょっとかいつまんで話しますね。
日本人は意見がはっきりしないとか、決めてこいと言っても「社内に持ち帰ります」と言って、みんなで話し合った挙げ句、結局決めなかったりするから、考えのない国だということをよく言われます。それに反論したかったんですけども、アメリカでは、アメリカ人の中心に愛と自由があって、愛はキリスト教、自由はやっぱりアメリカ建国の精神ですよね。
「愛を守るためなら命でもかける」というような、明確な中心があります。日本の中心には何があるのでしょう。本には、無情とか無我、無私というものがあると思うんです、と書きました。無情や無我は仏教用語で、無私はそれが転じて、日本の「無私の心」と言いますよね。これはアメリカ人から見ると、アメリカ人は単純なので、日本の中心には無があるんじゃないか。何もないな、となる。
だから、何も考えていないんじゃないかと思うわけです。でも、本当は何もないのではなくて、「無があるんじゃないか」ということが、丸山眞男などのいろいろな人の日本論に関する本を読んだ結果です。日本の中心には、ちょっと見ると何もないように見える。でも、本当は無情、無我、無私という確固としたものがあるというのが、この本で主張したことなんです。
この(アメリカと日本の)違いは何かと言うと、アメリカは愛と自由の国なので、相容れないものがいると戦うわけです。非常に戦いのパラダイムに陥りやすいわけです。
ところが、日本は中心に無があるので、ブラックホールみたいなものです。何がきても受け入れるわけですよ。そういう面で、非常に調和的で平和的なパラダイムなのではないかと。だからこそ何もないように見えるのですが、そうではないと。
そうではなく何なのかというと、昔、平安時代に中国から仏教や漢字が入ってきました。それを全部受け入れたわけです。それまで文字を持っていなかったから。もし、中心に本当に何も持っていなかったらどうなっていたでしょう? 漢字を受け入れて中国の属国になって、中国の一部の島のようになっていたかもしれません。でも、ならなかったわけです。
平安文化は、前半は仏教や漢字を輸入しましたけど、後半はひらがなを作って「春はあけぼの」(の『枕草子』)ですとか、日本の女流文学を作りました。まさに女性的社会が花開いたわけです。江戸時代もそうです。前半は人口が伸びるんですけど、後半は庶民の文化や武士道など栄えるわけです。明治維新や戦後、現在も含めて、もう100年以上西洋のものを受け入れている。
だから(現代では)平安時代の前期と同じようなことがずっと続いていて、その後はどうなるかというと、平成と書きましたけど、平成の次です。年号はまだわからないけど「~文化」が、すごく栄えるんじゃないかなと思うんですよね。中心にこういったものがあるおかげで、なんでも受け入れる。受け入れて、しばらくすると片鱗が現れる。現在では「クールジャパン」などがそうで。
漫画は外からきたけど、それを受け入れて今は輸出しています。日本酒もそうですし、他にも着物や科学技術もそうですね。寿司だってそうです。寿司はもともと酢につけて長持ちさせる中国のもので、日本に持ってきて長年かけて、今は寿司という文化は世界中で流行ってますよね。そういうふうに世界中のいろんなものを受け入れて、その挙げ句、最後にはそれを文化にしてしまう。
そういう力のある国なんじゃないか、と僕は思うんですね。だから人口も増えて、これから減り始めるから、これからは閉塞感(のある時代になる)と言う人もいますけど、江戸時代とのアナロジーで言うと、江戸時代前半は戦国時代が終わって人口がすごく増えるんですよ。さっき言ったように、後半は人口の増加がピタッと止まるんですが、ここで庶民の文化や武士の文化が栄えるわけです。
ですから、これからは平成の次の時代を上手くやると、みなさんの会社も日本的で良い組織になって、日本中がネットワーク状になっていくと。それこそインターネットの技術もすごく進歩する。それを上手く使って「~文化」というのが栄えるんじゃないかと思うんですね。要するに、日本の中心には無常、無我、無私がある。無常というのは諸行無常ですね。
すべてのものは無である無に戻る。無我というのは仏教の境地、悟りの境地ですけどね。要するに知財への欲はスーッとなくなって、本当にみんなとともにあるというんですかね。そういう集団主義だと思うんですけど。無私もそうです。無私は自分というものを出し過ぎないで、みんなとともにあるということで、非常に集団主義的な良い面だと思うんですね。
ですから、つまり日本とは既に述べたように、無常、無我、無私があるからこそ、あらゆるものを受け入れて自分ごと化し、常に進化することができる、世界一サステナブルな調和・平和の国なのではないか。日本(の歴史)は2000年、実際は1500年ぐらいだと思いますけど、過去のものをずっと維持しつつ、現在までそれがあるという、最もサステナブルな国です。
幸せな企業はサステナブルであると。長く繁栄するのは幸せな会社であると。日本は目の前のことを見ると自殺率が高いなど、いろいろありますけど、1000年、2000年規模で見ると、実は非常に幸福度が高い形態を維持しているのではないかと思うわけです。これについてもっと細かく言うと、電子書籍で無料で読める『滅亡に向かう世界、依存症時代の未来像』という短い文章があって、ここにいろいろ書いてあるんですよ。
(スライドを指して)簡単に話すと、横軸の左端が2500年前、右端が現代。なぜ日本だけがこんなに2500年も発展し続けているかというと、2500年前は日本もギリシャもみんな多神教ですよ。日本の神道のもとは西アジアにあると言われてて、その西アジアから広がったものがギリシャ神話にもなったと言われているんです。だから、ギリシャ神話と神道は、実はルーツが近いものであると。
だから、もともとは多神教だったわけです。そこに紀元前500年ぐらいから仏陀や老荘思想、孔子、ソクラテスやプラトン、アリストテレスという賢い人たちが出てきました。その頃から西洋は非常に合理的で、要するに戦って勝つとか、中と外、正しいと間違いとか、そういう二元論で分ける世界が作られていました。これは分けるから合理的で、科学技術が進歩して産業革命が世界を席巻したんですね。
でも、それだけじゃないんじゃないかな、というのが哲学でいう「ポストモダン」という考え方です。実はポストモダンは近代の否定であって、アリストテレスや仏陀が言っていたことに戻ろうという思想でもあると。要するに、昔は東洋も西洋も一緒だったのが、西洋が急激に伸びて、今はちょっと違うかなということになっている時代であると。
日本はどうかというと、世界中が変化しているなかでも、昔から変わらず、今もずっと日本のままなんですね。その間、漢字を受け入れたり西洋文明を受け入れたり、全部個人主義ですね。集団主義の中に個人主義というものを受け入れながら、無常、無我、無私が中心にあるというということを、なんと維持し続けていると。日本は褒めるとすごいもので、西洋的なものを全部持っているのに、人類が持っていた1番古いものもちゃんと持っているという、恐ろしくすごい国だとも言えると思うんですね。
だから、日本が持っている、隠れているすごいものをもっと広げていければいいのではないかと。今は良い面だけ見ましたけれども、東洋の悪いものと西洋の悪いものをミックスしてごちゃごちゃになって、自信をなくしている国とも言えるわけですね。だから、本当に表裏なんですけども、私がお伝えしたいのは、日本の良い面をどんどん取り戻していきましょう、という話です。
細かいところは飛ばして最後のまとめにいきたいと思います。「日の丸」の話です。この話が自民党で一番受けたんですけど、僕はあまり日の丸が好きではなかったんですよね。なぜかというと、日本=太陽のもとって、ちょっとずうずうしいじゃないですか。自分勝手ですよね。「太陽は自分たちのものだ」みたいな。(日本は)日の出る国で、中国は日の沈む国とか失礼過ぎて、他人のことを考えていないのではないかと思って。
それを国旗にするのは、ちょっと太陽独り占め感があって嫌だなと思っていたんですよ。ところがある時に、ある写真家の人が「自分は何か辛いことや苦しいことがあったら太陽を見るんです」と言うんです。
「太陽を見るんですか。(目は)大丈夫ですか?」と言ったら、見つめるのではなくて、太陽の光を浴びるんですって。なぜかというと「太陽は何の見返りも求めずに、みんなにエネルギーを与え続けるすごい人だ」というんです。
(会場笑)
いや人じゃない、核融合反応だから(笑)。別に人間ではないんだけど、エネルギーを出し続けているし、人間だと思って見るとすごく利他ですよね。自分なんてどうだっていいからエネルギーを宇宙中に出していて、地球のすべての生物は、そのおかげで生きているわけじゃないですか。太陽はなんて素晴らしいんだ、と。だから、その人は太陽の光を浴びていると、落ち込んでいても元気になるとおっしゃるんですよ。
それを聞いて、はっと思ったのは、日本って日のもとじゃないですか。太陽を独り占めの国という意味や、太陽のもとの国ではなくて、「太陽のように世界を照らすことを本質とする国」という意味が本当はあるのではないかと。そういう意味だと思うと、すごく元気が出ませんか?
私たちが私利私欲ではなくて、みんなを幸せにするために、2500年前からあった人類の知恵をずっと残してきていて、世界中の知恵も全部受け入れ、それを最後に太陽のように恩返し続ける国になる。そう思ったら、なんかかっこいいですよね。だから、ぜひ日本はそうなって欲しいし、みなさんの会社、あるいは組織とか家族とかも、そういうものになるといいんじゃないかなと思うんですね。
つまり、日本というのは和の国。平和、調和の国でもあるし、太陽になりたい国ですよね。天照大神は太陽神ですから、正にそうなりたい国だと歴史上でも言われているわけですよ。これは幸せの条件ですが、さっき言ったように、私たち自身がまず本当にやりたいことを見つける。
そういうみなさんであって欲しいし、みなさんの組織もそうあって欲しいし、夢や目標を持ってわくわくして、多様な人々が信頼し合い、尊敬し合い、愛し合って、支え合って、そういう本来の日本、和の国をつくって、世界中に広めていくと。そういう国にしたいなと思って、こういう話をいろんなところでして回っているわけです。
今日の話は、幸福経営学などというよりも一番壮大で、本当は最も言いたいことなんです。ただ、この話ばかりすると「宗教家になったんですか?」などと言われるので、もうちょっと小さく「幸福経営学はみんなと信頼を……」と言ってますが、本当は「ぜひこうなろうじゃないか!」ということを伝えたいと思ってお話しました。今日はどうもありがとうございました。
櫻井将氏(以下、櫻井) :ありがとうございます。
(会場拍手)
櫻井:スライドを変えるあいだに、1個だけ質問していいですか? こういう方向に前野さんがいったきっかけや、いつぐらいに、ということがあればお聞かせいただきたいのですが。
前野:中1の時に「偽善者」という、すごく嫌なあだ名を付けられたんですよ。なんで「偽善者」というあだ名を付けられたのか、その時はわからなかったんですけど。それから20~30年して、今から10年くらい前に中学校1年生の女の子が「偽善者」というあだ名を付けられて自殺したことがあったんですよ。
それがすごくショックで思い出したんですけど、僕はたぶん、もともと夢見る少年だったんです。スピリチュアルな話ではないですけど、自分と世界は、やっぱりともにありたいから、みんなが戦わないで平和な世界をつくりたいなと思っていたので、中1の時にたぶん「みんな仲良くしようよ」とか言ったんだと思うんです。
それが、そのいじめっこにはわからなくて、「偽善者」と言われたんだと思うんですね。昔からそういうふうに思っていたんですが、いじめられたのでそのことは隠していたんです。「本当は世界平和を目指したい」というようなことは隠していて、ロボットの研究をして、幸せの研究をして、徐々に徐々に近づいてきて。
「みんなで幸せな世界をつくろう」とか言ったら、みんな「おおー!」とか言ってくれるから、調子に乗っているうちに、ついに「日本は世界を救うんだ」というように言うようになったという。だから中1からです。
櫻井:なるほど。わかりました。ありがとうございました。
(会場拍手)
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