今後10年の最大の社会変化はなにか?
藤原和博氏が教える、“正解のない問題”の考え方

AI時代を生き抜く #1/1

SOCIAL INNOVATION FORUM
に開催
2018年9月7日~17日にかけて、日本財団「SOCIAL INNOVATION FORUM」と、渋谷区で開催した複合カンファレンスイベント「DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA」が連携し、都市回遊型イベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」が開催されました。本セッションでは「AI時代を生き抜く」と題し、藤原和博氏が登壇。AI時代を生き抜くために必要なマインドセットやスキルについて語りました。

都内初の民間校長かつビジネス講師の藤原和博氏

司会者:お待たせいたしました。本日は、ご来場いただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2018・分科会「AI時代を生き抜く」を開始いたします。

ここ数年、メディアでは「AI」や「人工知能」が話題に取り上げられることが多くなってきました。自動運転、自動翻訳、前向きな情報もありますが、見えない時代に不安を感じ、なにをどうすればいいのかわからない、という方もたくさんいらっしゃると思います。

今日は本当に幅広い年齢・職種の方にお越しいただいております。私たち全員に共通するAI時代を生き抜くための重要なポイントをたっぷりとお話しいただきたいと思います。

ご登壇いただきますのは、教育改革実践家としてメディアにも多数出演されております、藤原和博さんです。ご存じの方も多いかと思いますけれども、藤原さんは、都内では義務教育初の民間校長として杉並区和田中学校校長を務め、現在はビジネス研修の講師としてもご活躍中です。

それでは藤原さん、どうぞよろしくお願いいたします。みなさん拍手でお迎えください。

(会場拍手)

藤原和博氏(以下、藤原):じゃあ、あらためまして、みなさんこんにちは。

私はこの10年の間に1,300回を超えるこういう講演……というよりは僕の場合はライブなんですね。みなさんのほうにも1時間半ぐらいの間に7回ぐらい振ると思うので、ブレストとかディベートを思う存分やってもらうので、自分の頭を動かして主体的かつ協働的に学んでもらいたいと。つまりアクティブラーニングというものですね。

藤原和博氏とさだまさし氏はそっくり?

藤原:そういうことなのですが、東京では相当講演会をやっており、どこぞでお会いした人もいるんじゃないかなと思うので、ちょっと最初に聞きます。今日、私ナマ藤原と初めて会う人だけ手を挙げて。はい。

(会場挙手)

わりと多いですね。はい、わかりました。それでは、その初めて会う人に聞きますが、初めて会ったけど、顔をよく見てみるとある歌手に似ているんですね。わかりますか? ちょっと言わないで。隣の人も相談しないでもらって、僕が「どうぞ」と言ったら、でかい声でその歌手名を叫んでいただきたいんです。まぁ、眠気覚ましだよね。

思い浮かばない人もいると思うんですよ。それはぜんぜん構わないの。正解を言うみたいな必要はないから、思い浮かばない人は自分の好きな歌手名をでかい声で叫んでください。負けずに。

浜崎あゆみであろうと、AKBの誰ぞであろうと関係ない。もう本当に、前後左右の人がなんと言おうと気にせず、自分の好きな歌手名を叫ぶ。もしくはわかった人はそのわかった歌手名を叫ぶ。いいですか?

どれぐらい揃うか揃わないか。けっこう若い人たちが多いんだけど、大学生がけっこう多いのかな。あのね、高校生以下だとわからない人のほうが多いんですよね。これぐらいだとどうなのかなと。たぶんね、40代以上の方はほぼわかるんじゃないかと思いますが、ちょっと試してみましょう。いきますよ。

私ナマ藤原に似ている歌手名ね。「誰でしょう?」「どうぞ」と言ったらでかい声でお願いしますね。一番後ろのほうの人は叫ぶようにお願いしますね。いきますよ。はい。では、私に似ている歌手名は誰でしょうか? どうぞ!

会場:さだまさし!

藤原:ほぼ一致してますね。関西でやると、どういうわけかね、谷村新司が混じるんだよね。よくわからないんだけど。

(会場笑)

27歳で「リクルートのさだまさし」の異名

藤原:そのさだまさしさんとは、僕は実は27歳の時に出会ってまして。リクルートの広報課長をやってまして、宣伝課長と一緒に帝国ホテルでお茶飲んでいたんです。そしたら、1番前の人と僕とのこのぐらいの距離で、さだまさしと湯川れい子という作詞家がお茶を飲んでいたんです。

ものすごい偶然だったので、僕のほうはもちろんずっと知ってましたけれども、彼は知らないと思ったのでちょっと驚かしてやろうと思って近づきました。後ろから行って「ちょっとすいません。さださん」と言って、その湯川れい子さんとの話が終わったらちょっと話したいなと思って声をかけましたら、すごい顔して振り向いたんですよ。

ガッと振り向いた時にムンクの叫びみたいな顔をしてたので、これは怒られたかなと思って、僕はもう逃げて帰ってきました。自分の席に。そしたら彼のほうが追っかけてきて、「あなた誰ですか?」「弟より似てるんだけど」ということで。

(会場笑)

まぁ自覚はあったらしいんですよ。当時、僕は「リクルートのさだまさし」としてはもう不動の地位を得ていたのですが、まぁそんなことなんですね。

(会場笑)

彼はこのところ、3歳上なんですが、もう20年前から禁煙で横がちょっと太ってるのね。だから、テレビでご覧になると横が太っていると思います。今、ご覧になっている私の顔のほうがより原形に近い。ということで、当時は原形同士でしたので、本当に瓜二つで。

15分ぐらい話したあとに彼がなにを言ったかというと、「藤原さん、これはなにかおかしい。絶対なにかある。今日、とにかく、これから俺に付き合ってくれ」と。「なんですか?」と言ったら、「親父のところ行くからちょっと話をしたい」と。親父になんか聞きたいというわけですね。なんかどっかでしたんじゃないかということですね。

それで、僕はマネージャーの車で拉致されまして、当時、四谷にありました「さだ企画」。今は(東京都千代田区)二番町のほうにありますが、そこに連れ込まれまして、全従業員呼び集められ、最後にお父さん出て来られましたけれども、全員から指差して笑われたという、こういうエピソードございます。

結果的にはいったいなんだったのかといいますと、あとでわかるのですが、NHKホールのコンサートに呼ばれまして、僕が楽屋に母を連れていったんです。向こうも実は母を連れてきてまして、母と母同士が似ていたという非常に無難な理由でそっくりだったと。それから35年ぐらい経つのですが、いまだに家族同様のお付き合いという感じですね。

教育・ビジネス・著述業で幅広く活躍

藤原:この2年間、僕は奈良市立一条高等という(学校の校長をしていました)。みなさんたいがい知らないと思いますが、ダンスでは全国でベスト8以内にだいたい入っています。奈良県の代表、関西の代表、近畿の代表になることもあります。

それからサッカーですね。サッカーでは、僕の赴任中は2年間続けて夏・冬・夏・冬と奈良県代表をしてましたので、サッカーやる人も知っているかもしれませんけど。今年の冬は横浜桐蔭をやっつけましたので、相当名前を上げたんです。

そういうふうに一条高校の校長をやっていたので、2年間、奈良に赴任してました。奈良では春日大社とか、それから東大寺とさだまさしさんは非常に縁が深いので、境内でコンサートやるぐらいの感じなんですね。なので呼ばれまして、春日大社で一緒に2人でお祓い受けたり、そんなことがございました。

まぁ「教育界のさだまさし」というようなことで、そういう意味では通っているんです。

今日は教育とそれからビジネスと……。そうは言いましても、僕はリクルートで社員としては18年、その後0〜4,500万の間で年収が振れるフェローという会社と対等の契約をして、プロとして新規事業の開発だけをやっているんですね。

余計な会議とか接待とかはやらないでいいと。こういうフェローという仕事の仕方、「客員社員」と訳すことあるんだけど、社員じゃないんです。プロですね。

そういうこともやりまして、リクルートとは25年付き合ってましたし、今スタディサプリの授業をやっていますが、そこに僕の授業は今日やるものも含めて51パターン入っていたりします。

いまだに縁が深いんですけど、そういう意味では半分以上ビジネスパーソンなので、ビジネスでのコミュニケーション技術、それから教育、それから人生というところですね。

僕の著書には『35歳の教科書』、それから「55歳の教科書」と言ってもいいような『坂の上の坂』という12万部売れたベストセラーがありまして。この春に『45歳の教科書』という、つまり35歳、45歳、55歳でどういうことを考えたらいいかという、それぞれの教科書みたいのを書いている作家・著述家という面もあります。

今後10年のあいだに生じる最大の社会的な変化とはなにか

藤原:そういう人生の面と、「教育」「仕事」「人生」みたいな感じで全部ごちゃまぜにしながら、かつ、最近のAI・ロボットがどこまで進化するかということを含めて。たぶん知っている人は知っていると思います、常日頃YouTubeなんかよく見る人は、落合陽一君とかホリエモンと、かなり密に仕事をしていますので、そういうところも織り交ぜながら、みなさんにまず未来のイメージ。

未来といっても、どこか向こうにある未来じゃなくて、今とつながっていく、この今この瞬間とつながっているみたいな。それのイメージを少し固めてもらい、どういうふうに仕事というものは変化していくのか。

変質しない仕事はないです。医者の仕事や弁護士の仕事でさえも、ある部分なくなってしまいますし、ある部分がものすごく変質し、たぶんみなさん仕事をしていらっしゃる方はイメージあると思うのですが、ここから10年ぐらいすると、どんな仕事でもAI・ロボットと協業、一緒に仕事をやるようになると思います。

というようなことも含めてイメージを持ちながら、自分はどういうふうにしたらここから先、まぁ人生の中盤あるいは後半ですね、楽しく生きていけるか、あるいは生きがいを持って生きていけるかという、そのイメージを少し持ってもらったらうれしいかなと思います。

そういう話でいいですか? いい? よければ一応拍手で承認。

(会場拍手)

では、さっそくです。アクティブラーニングですから、まず最初にみなさんにこのお題を振りたいと思います。「今後10年、最大の社会変化はなんですか?」というですね。これは、『10年後、君に仕事はあるのか?』というダイヤモンド社からのベストセラーで今は11刷ぐらいまでなってる本の最初、冒頭で出てくる問いかけなんです。

と同時に、一条高校の校長として、僕が2年連続して入学式で新入生と保護者を前に問いかけた問いかけでもあります。「今後10年、最大の社会変化はなんだと思いますか?」というのですね。

AIやロボットにコントロールされないために必要なこと

藤原:1人で「う〜」とか考えてもそんないいアイデア浮かびませんので、3〜5人ね。例えば2人と話すんだったら、前の人とパッと後ろを向く。それで4人でいいと思います。2人だけでチャットするのはやめて。そうじゃなくて、バッと後ろを向いて4人ぐらい、3、4、5人を1チームというような感じで、それでブレインストーミングしてもらいたいと思います。

ブレインストーミングというのは脳(brain)の嵐(storming)と書くので、脳がつながるということがすごく大事です。今日の僕の話の中で脳をつなげるとか脳がつながるってことをおそらく100回言うと思うですが、この感覚がこれからものすごく大事になってきます。

その脳をつなげた例えば3〜5人に、将来的にはAIとかロボットがつながってきますので、その感覚を自分のイニシアティブでコントロールできる人だったら、これはいくらでも幸せになれると思うんだけど、それができない人はおそらく従えられるようになる。ネットワークに従えられる人。

まぁ、今でもわりと青山のあたり、そのへん歩いている人たち、スマホを片手にこうやってやっているじゃないですか。僕には半分以上の人が「スマホが人間を連れて歩いている」というふうに見えますよね。

そういうふうにならないように、スマホなんて道具にすぎないので、やっぱり自分の支配下に置くということを当然やってもらいたいんです。そのためには脳をつなげる技術を訓練しなきゃいけないのですが、ぜひ今日はブレストとディベート、6回7回やりますので、やってみてもらいたいと思います。

サッとつながるためには、まずとにかくバカなことを言ったほうがいいです。正解を当ててやろうとか、正しいことをかっこよく言いたいみたいな、例えば、パッとたまたま組んだ3〜5人のチームにすごい美人のお姉さんがいた場合、ちょっとかっこいいことを言いたい男の子の気持ちもわかるんだけど。そこでウケを狙ってバカなこと言ったほうが、とにかくお姉さんにも笑っていただいて、全員が和む。和むと脳がスッとつながりやすくなるんですよ。

みんなが正解を言いたくて、なにかカッコイイことを言いたくて、なんか正しそうなことを出しますと、もう脳が交わらない。脳がつながらないです。だから、ろくなアイデアが2周目から出てこないです。なので、1周目はもうとにかくバカなことの言い合いでけっこうです。

ブレインストーミングの2つのコツ

藤原:今後10年ですからね、まぁわかんないけど、「人間がみんな飛ぶようになっちゃうんじゃないか?」と言ってもいいし、「隕石が当たって全員死んじゃうんじゃないの?」というぐらいのことを言っても全然いいです。正解なんてないので、そういう感じで頭を柔らかくしてもらいたいと思います。

あとは、なにかいいのが出てきたら大げさに褒める。別に驚いていなくても「おお!」とかですね、「おっ、いいじゃない!」みたいな感じで、「いいね!」「いいね!」の乱発。あるいは拍手しちゃってもいいですから。

今僕がさりげなく言った2つのことが、実はブレインストーミングのコツでして。最初1〜2周はバカなことの言い合いをやったほうが脳がつながりやすい。もう1つは、褒めて褒めて褒めまくる。大げさに褒めて酔っ払っちゃったようにやったほうが、後ほどいいアイデアが出てきます。

脳がつながって化学変化が起きるのがブレストの一番大事なところなので、後に説明します。「情報編集力」というキーワードがあるのですが、これが高くなるためには、ぜひこの脳をつなげるということ、技術を磨いてもらいたいと思います。

いいですか? では、今後10年、最大の社会変化はなにか? けっこう若い人が多いのでそういうことはないとは思うのですが、わりとパターン認識(をしてしまう)。例えば、社会変化の「社」というこの字を聞いただけで、高齢化と少子化みたいな正しいことを言おうとする人がいるわけです。

(会場笑)

はっきり言います。テレビのコメンテーターの言うことを自分の考えのように思っている人はすごくいっぱいいるのですが、これは今日は封じてもらいたいです。パターン認識を封じて、自分の考えてることを出してもらいたいので、今日は高齢化と少子化はダメということにしましょう。

高齢化と少子化と言っちゃいけないの。ググッと堪えていただければ。そうじゃない社会変化で大きなもの、ぜひ「こうでもない、ああでもない」と言ってみてください。1分ぐらいしかありません。1分ぐらいで交流してみてください。いきますよ。3、2、1、はい、どうぞ!

(ブレストタイム)

正解がない問いには「納得解」を出す

藤原:はい、じゃあそこまでにしてください。非常にいい感じだと思いますので。自分が言った意見がほかの人にすごくウケた、「ああ〜」みたいな感じで「おお、それ目からウロコ」みたいな、そういう意見を言えた人、けっこう気分よかったと思うんですよ。わかります?

自分が納得し、かつ関わる他者が納得できる案のことを「納得解」というふうに僕は呼んでいますが。今のような問題の場合には正解はないんです。納得解を出すんです。自分の知識、技術、経験のすべてを組み合わせ、かつ、人の知識、技術、経験も今引き寄せて、共通した頭の中で考えましたよね。

佐藤さん、鈴木さん、田中さんが、それぞれに考えて独り言を言っているわけじゃない。自分の思いをそのまま言って独りごと言ってるんじゃなくて、佐藤、鈴木、田中がここで混じっちゃって「佐藤・鈴木・田中脳」ができて、そこで化学変化が起こっていたから、0.1秒前に考えもしなかったことを言っている自分がいたんじゃないかと思います。

その中で、より納得できる、自分が納得し、かつ、関わる他者が納得できる解をこれからどれほど頭をやわらかくして紡げるか、この勝負なんですよ。

もうビジネスをまともにやっている人なら誰に聞いてもらってもいいです。どの会社の人事部長に聞いてもらってもいいです。これからは、情報編集力といいますが、納得できる解(納得解)、あるいは納得できる仮説をどれぐらい出せるかで、採用するかしないかが決まります。いいですか。これよく覚えておいてくださいね。

今、わりとその最初の練習をしたわけなんですが、いいですよね。納得できる解が出たり、あるいは納得できる仮説をけっこう出せた人もいたんじゃないかと思います。

それは一応置いておいてもらって、この問いかけについては、もう世界中の有識者の意見は一致しています。これは別にそれがただ1つの正解とは言わないんだけど、これ以上大きなものは僕にもちょっと思いつかない。それはなにかというと、世界で約50億人、たぶん地球人口の半分以上がスマホでつながるということです。

スマホで地球人口の半分以上の脳がつながる

藤原:「スマホで」ってところがミソなんですね。携帯でつながるんだったら「青山からアフリカまで電話できますよ」というようなことで終わっちゃうのですが、スマホでつながるということは、もうみなさんわかっているように動画がつながるということなので、動画でつながるってことはほぼ脳が擬似的につながっちゃうような状態ですね。わかりますよね? 脳が擬似的につながっちゃう状態。

「そのネットワークにAIとロボットもつながってくる」というところがミソなんですよ。わかります?

というようなわけで、これ以上の社会変化というのはまず考えられないんじゃないかと思います。もちろん、地球自体がぶっ壊れちゃって人類アウトということになれば別だし、10年以内に人間が火星にどんどん移住するとか月に移住するということが起これば別ですが、そこまでスピードは速くないと思うので。というようなことです。

この10年ということで言えば、スマホで地球人口の半分以上がつながっちゃう。脳がつながるという状態。スーパーコンピュータ並みの脳をみんな持っているわけですが、それが並列処理される。それがつながっちゃうわけですからね、どこまでいくんだろうかと。

一説には、地球というものが100億人ぐらいの脳でつながると、1つの生命体として人間がもう1つ上のレイヤーへいくんだということを言う人もいます。これはもう50年前からそういうグローバルブレインという予言をしている人がいるんだけども、それはわかりません。

とにかく脳がつながるというこの感覚ね。若い人たちはわかるんじゃないのかと思うのですが、脳がつながっていることでなにが起こるかということを、我々日本人はけっこう最近この1〜2年で経験しました。

世界中で才能が発見されやすくなった時代

藤原:それはなにかというと、PPAPですよね。知ってますよね? 古坂大魔王さん。彼が演出し出演した「ピコ太郎」。あのPPAPの1分間のYouTube映像ですね。当初あがった時そんなに日本で話題になってなかったです。それを海外の人たちがおもしろいと言い出して。Apple-Pen Pineapple-Penですね。

どうなったかといいますと、途中でジャスティン・ビーバーが「これいいんじゃね?」って言っちゃった途端に、ぶわーっと世界中を駆け巡って1億視聴とかになっちゃって、その年のうちに紅白歌合戦ですよね。

今までこんなことありました? 40年、50年、60年生きている人もこの中いると思うんです。こういうデビューの仕方はなかったはずです。

というわけで、僕らは、まぁ今はYouTubeですが、いろんなものが出てくると思いますけれども、人の才能を発見して、日本人がなんと言おうと、あるいはコミュニティで親がなんと言おうと、お友達がなんと言おうと、世界中の人たちが「いい!」「おもしろい」「悲しい」「すげえ」「敵わねえ」とか、そういう世界中の人たちの感情が動くコンテンツについては、あっという間に有名になったり。

あるいは、その天才を発見して、もしかしたら例えば1〜2週間後にハリウッドからスカウトに来るということが、ここにいらっしゃる誰ひとり例外じゃない。そういうデビューの装置を持っちゃったということなんですよ。

気づいてますか、これ? わかりますよね。だから、パフォーマンスでやっぱりビジュアルで見れるものがそれはそうなると思うんです。例えばダンスにしたっていいし。

子どもって変顔ってやるじゃないですか? もしかしたら、ここのみなさんの甥っ子や姪っ子の変顔があまりにもすごい変顔で、海外の人たちがウケちゃうみたいな。

だから、おじいちゃんおばあちゃんがフッとのせた孫の、ただのYouTube映像がものすごくウケちゃって、2週間後にハリウッドから「子役で登場してくれませんか?」というようなことが起こる。まぁ、これからは起こる可能性が否定できないですよね。脳がつながるというのはそういうわけなんです。

ロボットとの共生はすでに始まっている

藤原:もう1つ、「そのネットワークにロボットがつながる」ということについてもイメージを持ってほしいんです。ロボットがつながるというのは、今の中高生をつかまえて「君たちが大人になるとロボットと共生する時代だよね」という、そういうとぼけたことを言う先生いっぱいいるのですが、それはとんでもない話で、もうすでに我々はロボットと共生していますよね。

それはロボットがたまたま人間のかたちをしていないだけですよ。今このスマホなんてもう完全に「通信くん」という名のロボットでしょうし、あるいはもうちょっとするとエージェントになっちゃいますよね。たぶん通訳なんかもものすごく楽にできるようになっちゃうんですよ。2020年に向けてもう各社がすごい投資していますから。

あるいは車も、最新の車はもうほとんど自動運転の初期的な機能を搭載していますから。ベンツの中型のやつでもボタン一発で駐車できるように本当はなっているんです。日本の場合は駐車場が狭いから「いつ子どもが飛び出してくるか分からない、そういうときにどうする?」という感じがあって日本ではなかなか使われないらしいですが。

どちらにしても、これについては2020年以降、トヨタも参戦するってことを宣言しちゃいましたから、2020年代中に「高速における方向転換」「低速での渋滞時の追尾運転」「駐車場の車庫入れ」「お父さん、お母さんたちが非常に不得意な縦列駐車」を含めて、もう自動になっちゃうと思います。

そうすると、自動運転する車ってロボットですよね。乗り込むタイプなのでロボットという意識はないと思いますけど。要するにガンダムと同じですよ。その証拠に、最新のプリウスのあのデザインね、正面から見てもらったらガンダムそっくりじゃないですか。気づいてました?

参加者:おお。

藤原:というような……いまさら感心してもダメなんだよね。見てくれないとね。というわけで、ぜひ今度は見てみてもらったらいいと思いますが、そういうことなんですね。もちろん、その世代の若手がデザイナーとして起用されているってこともあるとは思うんです。

掃除ロボットは5年後にどこまで進化するか?

藤原:とにかく、ロボットとはもうここにいる人たちはみんな共生しているということ。例えば、冷蔵庫。最新型のやつなんてバーコード読み込んで賞味期限切れを教えてくれたりするでしょ。

あれね、もうちょっとしたら、賞味期限切れの野菜を勝手に捨てたり。わかる? それから、そういうモードにしておけば勝手に発注して。中に入れておくのは無理なんだけど、勝手に発注するような冷蔵庫も出ると思いますよ。そういう気持ち悪い冷蔵庫。

(会場笑)

あと、今、エアコンだって、体感温度の違う人が2人で入っていったら、違う風を吹かせる気持ち悪いエアコンがもうすでに出てるじゃない? そういうふうになるわけですよ。

あるいは、たぶん10年もしないうちに、今日なにげなく座っている椅子がしゃべるようになると思いますよ。違います? 椅子の中にもチップとセンサーが組み込まれて、「今日いかがでしょうか?」、どういう声で聞いてくるのかわからないけど、「いかがですか? もうちょっと高くしましょうか」「もうちょっとソフトにしましょうか?」みたいな、気持ち悪い椅子だって絶対出てくるんじゃないかと思います。

つまり、ありとあらゆるところにチップとセンサーが埋め込まれて、それだけ人間が気持ちよく暮らせるようにということをあらかじめ読み込んでやるという、それが要するにクラウドにつながっているというような感じにもう絶対なりますから。ですよね?

というようなわけで、そういうことについてもちょっとイメージを高めてほしいんです。僕が今言ったことをなんとなくただ単に納得したりメモしたりしないで、自分の考えとしても高めてもらいたいので。

ここでなにやるかというと、「お掃除くん」が5年後にどこまで進化するかというのを同じチームで、これはもうバカな意見の言い放題でいいんですが、やってもらいたいと思います。

天井まできれいにする掃除機が出るかもしれない

藤原:いいですか? お掃除くん、ちょっと聞きますよ。自分の家か、もしくは実家ね、自分の家か実家、親の家で使っているってどのぐらいいる? ちょっと手を挙げて。

(会場挙手)

ちょっと見てみて。まだこれ……ちょっとはっきり手を挙げて。そんな恥ずかしいことじゃないでしょ。だって、これ。まだ少ないですね。でも、どうですか、3パーセントぐらいかな。これが7パーセントを超えてきますと、たぶん普及曲線に乗っていきますので、もうちょっとですね。

やっぱり、まだあの機能じゃみんな嫌なわけですよ。だとしたら、何の機能を搭載すればあの程度の金額で買いますか? あるいは、もしかしたら半額になったら買いますか? まぁどうせさ、どこかが出せばジャパネットが安く売ってくれますから。

(会場笑)

というような感じで、どんな機能が5年以内につくか。10年後というと想像を絶すると思うので、これもバカな意見から言ってください。

例えばなんだけど、今、床だけやってるじゃないですか。それが壁を這っていっちゃって、天井まできれいにしてくれるという。「天井きれいにしてどうするの?」って感じだけど。あるいは「空飛んじゃう」みたいなこと言ってもいいですよ。

というような感じで、バカな意見から言ってもらって、中盤ぐらいから脳がつながってきたときに、どんな化学変化が起こって、すげえアイデアが出るかですね。ぜひやってみてください。

これだって1分ちょっとしかありませんので。いきますよ。はい。お掃除ロボが5年でどこまで進化するかです。3、2、1、ハイ、どうぞ!

(ブレストタイム)

はい。じゃあ、そこまでにしてください。今、脳がつながって化学変化で本当にすごいアイデアが出ちゃったところは、来週すかさず特許庁に走るように。

(会場笑)

実用新案かビジネス特許でスッとやっておいたほうがいいですね。本当にいいアイデアだったら。ただ、このようなブレスト、おそらく例えばパナソニックの社内で100万回やっていると思いますので、そう簡単にそれを超せるようなアイデアが出るかどうかはわかりませんが。

掃除ロボットに搭載されるかもしれないさまざまな機能

藤原:いろいろ出たと思います。今、納得できる仮説というのもたぶん何人かから出たんじゃないかなと思います。

簡単にわかるのは、「目」を持ちますよね。絶対にね。要するにカメラ搭載する。今カメラなんてそんな高くないから。

カメラを搭載すると何になるかというと、外からスマホで家の中の様子が見られる。今はそれの専用ロボットってもうあるじゃないですか。だから、僕は掃除機に搭載というのはあるんじゃないかと思います。

それで、例えば赤ちゃんの様子がわかったり、ちょっとおつかい行ったときに、あるいは犬とか猫とかの様子がわかったりという。それは便利だから、それに対していくら払うかというのはあるんだけど、それはあるんじゃないかなと思います。

次、僕が希望するのは犬の世話なんですよ。犬飼っている人たちはどのぐらいいる? ちょっと手を挙げてみて。実家でもいいんだけど、犬を飼っている(人)。

(会場挙手)

はいはいはい。その人たちは気持ちわかると思うけど、犬って猫と違って定時に定量のエサをあげなきゃいけないんですね。

これがあるので、実はおじいちゃんおばあちゃん、今一人暮らしの人もだいぶ犬猫と一緒に暮らしていて、それは非常によいことなんだけど、1回犬を飼っちゃうと旅行へ行けなくなっちゃうんです。わかりますよね? 旅行へ行けなくなっちゃう。

エサをあげなきゃならないし、散歩も日に2回ぐらい出なきゃならないから。そのときに、「温泉行きたい」というおじいちゃんやおばあちゃんに、「1日ぐらい行かせてあげたらいいじゃない?」と。そうするとロボットがエサをあげてくれると助かるわけですけど、できると思うんですよ。

犬はエサをくれるロボットになつくか

藤原:まず、その犬の名前を呼ぶじゃないですか。僕のうちは、実は長野県の川上村というところ特産の天然記念物。長野県が天然記念物指定した「川上犬」というのがいるんですよ。

純粋日本犬って実は3種か4種しかいない。柴犬含めて、秋田犬とか土佐犬って純粋日本犬じゃないんですよね。要するに雑種というかハイブリッドなんです。その純粋日本犬の一種で川上犬というのはニホンオオカミに近いんだけど、これうちで飼っているんです。

350頭ぐらいしかいなくて、取引されていない。要するに売買されていないんだけど、東京で飼っているのはうちだけではないんじゃないかなと思うんだけど。なんと純粋日本犬なのに「ハッピー」という名前なんですよ。

(会場笑)

例えば「ハッピー♪」って呼びますよね。昔だったら電子音になったと思うんですよ。「ハッピー」ってね、「オスワリ。オテ。ヨシ」みたいね。でも、今は違いますよね。

もう僕の声、あるいはうちのかみさんの声を録音しておけば、その声で言うと思うんです。その声で呼びますから、たぶん来ますよね。

犬ってエサをあげる人に懐きますので、これはもうはっきりしてるんです。僕はエサあげる「人」じゃなくて「ロボット」にも懐くんじゃないかと思ってまして、これやってみたいと思うのでぜひ。たぶん懐きますよ。

それで、呼びますね。「お手!」っていったときにロボットから手が出るかどうかはちょっと別。これはオプションじゃないかと思います。高いから。この技術は高いと思う。

(会場笑)

これなければ、言うだけだったら、もう「お手」は言えますよね。おすわりしたところでガーッと箱が開いて。今だってゴミの収納をしてるわけですから、そういう収納スペースは絶対ある。丸なのか三角なのかもしれないけど、ガッと1回分のエサが入って。

それであげれば、1日、つまり1泊ぐらいはできると思う。本当は2回ぐらいあげてくれると、「おじいちゃんをおばあちゃんを2泊ぐらい温泉でのんびりさせてあげたらいいんじゃないの?」と思うんですよ。

なくなる仕事、なくなりにくい仕事、新たな仕事

藤原:というようなので、ここまでは絶対できると思うんですよね。だけど、ここからはちょっと大変。つまり、散歩に連れ出せるロボット。これは相当大変だなと。

まず、とにかく宙に浮かなきゃダメですよね。宙に浮いて、ちょっとみんなで想像してみてほしいんだけど、自分家の周りでもそのへんの青山でもいいんだけど、宙に浮いたルンバみたいなやつが、ここをプヨプヨしてるんですよ。

そこからリードというのがあって、そこに犬がぶら下がっているというよりはつながれていて、散歩に行くわけですが。これができるようになるためには、まずとにかくこのルンバなりルーロが自動車を見分けて、そこに当たらないようにする制御が必要だし。

かつ、犬は犬を見ると反応しますので、それをまたさらに制御するという二重の制御が必要になるので、これができるようになるのは相当先、まず10年じゃ僕は無理だと思っていますが、そういうことですね。

宙に浮くのはそのうちやるんじゃないのかな。もしかしたら10年かからないんじゃないかな。というような感じで、いろいろ想像できると思います。

そういうふうにお掃除ロボでさえも進化するわけですね。そういうやつらがガンガンネットワークにつながってきて、その先で当然クラウド上にいろんなAIが働きますよね。そうすると、当然ここにあるような「なくなる仕事」が出てきます。それからなくなりにくい仕事も出てきて、新しく生まれる仕事も出てきますよね。

新しく生まれる仕事については、もう今日はそんなやりません。もうみんななんとなくわかると思う。だいたい、YouTuberなんて20年前にはなかったですよね。そういう仕事が出てるわけですね。YouTuberというだけで食ってるやつももう出てるじゃないですか? 月100万稼げる人もいるらしいんだけど、そういう仕事が生まれます。

なくなりにくい仕事とはどんなものか

藤原:それから、この左の社会がこういうネットワークの社会になったときには、当然、各分野で全部プログラミングが必要になりますので、プログラマが圧倒的に足りない。

あるいはデータマイニングだったり、仮想通貨関係だったり、それからどうですか、データアナリストみたいなものは相当年収の高い仕事になってくるでしょうね。

この統計とこの統計を見比べて「このギャップがあるからおかしい」「これは真実はこうじゃないか?」ということを指摘できるような、統計解析にものすごく強いやつ。できたら数学にも強いようなやつがものすごい年収を取るようになると思います。実際、今はGoogleでも一番年収の高いやつは数学と統計に強いやつだからね。

ということで、そういう新しい仕事は生まれてきます。それに対してなくなる仕事もあると。今日議論したいのは、このなくなる仕事の次に、「なくなりにくい仕事」があると思うんですよ。

どういう仕事がなくなりにくいのか? あるいは、みなさんがやっている仕事はどっちに分類されるのかを見極めてもらいながら、このなくなりにくい仕事をちゃんと議論していきますと。人間が本来やるべき仕事、人間こそがやるべき仕事ですね。

今、人間がやらなくてもいい処理仕事なのに人間がやってることは、いっぱいあるんですよ。違います? そこがブラック化するわけじゃないですか。だから、そういうものをなるべくロボット・AIに任せていって、人間でしかできない、もしくは人間が本来やるべき仕事に人間は回帰したほうがいいわけですよね。

<続きは近日公開>

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