「健康経営」とはなにか

司会者:まず自己紹介をしていただけますか?

平井:では簡単に。この中で、「健康経営」をご存知の方はいらっしゃいますでしょうか?

(会場挙手)

平井:おぉ〜、これは非常に話しやすい。ちなみに「健康経営って聞いたことない」という方はいらっしゃいますか?

(会場挙手)

平井:まぁまぁ、そうですよね。普通はたぶんそうだと思うんですけれども。私が主に行っている仕事は、健康経営というものです。簡単に言うと、従業員を健康にすることによって、組織の生産性が上がり、それがその会社にポジティブな影響を及ぼすという取り組みです。

健康に関する取り組みは、よく福利厚生的な側面が強いと言われていますが、そうではなくて「投資だよ」と、経済産業省を中心に数年前から、厚生労働省や医師会とともに推進しているのが、健康経営と言われているものです。

今回いらっしゃっている企業さんの中で、「健康経営銘柄」を取られている企業さんもいらっしゃるかもしれないですが、まだ私の会社は健康経営銘柄にはなれていません。

健康経営の表彰制度として健康経営銘柄という、健康経営をやっている企業の最上位表彰制度があり、それは上場企業の中で一業種一社しか選定されません。

選定されなかった企業には、次点となる「ホワイト500」という表彰制度があるのですが、現在はそちらに認定されています。銘柄を取られている企業さんがもしいらっしゃったら、その中で話すのはおこがましいとは思うんですけれども、ちょっと簡単に紹介させていただきます。

もともとなんで健康について興味関心を持ったかというと、高校時代にゴルフを始めた時にですね……。ちなみに、この中にゴルフをやったことある方いらっしゃいますか?

(会場挙手)

平井:おぉ〜、すごいいらっしゃいますね。ゴルフって比較的うまくなりづらいものなんですけど、僕は高校時代に、(ゴルフをやり)始めて半年で(スコア)75で回るという。ゴルフをやっている人から見たら、「それすごいよ」という話になることがあるんですが。

「これだけうまくなるんだったら、世界的に活躍できるようなプロゴルファーになりたいな」と思い……。

(会場笑)

健康経営を始めたきっかけはゴルフ

平井:調子に乗ってですね(笑)。そのためには、食事や運動、メンタル全般がすごく大事なので、そこを徹底的に極めようと思って、自分のライフスタイルをいろいろ見直し始めました。

まぁ当然、高校生だったので、病気などはそんなに恐れていなかった中で、「自分のパフォーマンスをいかに上げるか」に注力して取り組み始めたのが、健康に目覚めたきっかけです。というので、別に自慢ではないんですが、健康経営を始めるにいたった経緯にゴルフが大きく影響しているのでゴルフの話をしています。

これは2015年6月号の『日経ビジネス』ですね。こういう表紙で、「時代は健康経営」という文を見ました。健康経営はまだまだ認知度が低かったんですが、ここで私は健康経営というものを知りました。

だいぶ端折ってしまったんですが、私が健康に関する仕事がしたいと思っていた中で、今の会社に入ったきっかけは、大学4年生の時にインターンをしていたことです。

私はITに関しては、あまり強いとはいえず(笑)。なので、インターン終了後は、就職しないで、ゴルフ事業などを細々とやっていました。

それを7、8年ぐらいやっていた中で、ゴルフは良い仕事だと思うんですけど、社会人経験も必要だなと思いなおし、改めて今の会社で人事の担当から始めさせてもらえることになりました。

4年間ぐらい人事でいろいろやってた中で、今思うと当時の自分は付加価値を出すような仕事はできていなかったと思っています。

そんなこんなで偶然出会ったのが健康経営というものでした。この雑誌を見て、「こうやって社員を健康にすることを仕事にできるんだったらやりたいな」と思って、人事責任者に何度もしつこく話をしたんです。

(会場笑)

軽い不調「プレゼンティーイズム」が生産性を損なう

平井:私の熱意に根負けしたということもあるかもしれませんが、次第に「(健康経営を)そんなにやりたいんだったらやれば?」という感じになって、「あ〜、これはいけるな」と。その言葉をもとに、周りの人たちにも、「責任者と話をしたい」と伝え、会長に直接話をしに行きました。今、私のいる部署は「CHO(Cheif Health Officer)室」と言います。「最高健康責任者」という、CEOの健康版ですね。

やっぱり、この雑誌(『日経ビジネス』)にも、「CHOや健康経営をやるんだったらトップの旗振り役が大事だ」と書いてあったので、「トップといえば会長だ」と思って「CHOになってほしい」という話をしました。それで、2016年の1月に部署を作り、健康経営だけを仕事にする人間になりました。

流れとしては、2016年1月からそういう活動をしています。社員の多様な働き方を認めてくれるすばらしい会社でして、副業とか、兼業、起業も制度として認められています。

前に「Yahoo!ニュース」で見た人もいるかもしれないですが、横浜市立大学で最年少教授になった武部貴則さんという方がいて。

山中先生で有名になったiPS細胞を研究されている人なんですけども。「広告医学」という、「デザイン×健康」とか「エンタメ×健康」の切り口で医療業界に新たな風を吹かせようとされてる先生だったので、私がやっている楽しくワクワクするようような健康経営にも興味を持ってくれたんです。

(それで)「一緒にやろうよ」ということで、私が会社を作って、顧問として参加してもらい、健康経営に関する取り組みを共同で始めたというところが、最近の流れになっています。健康経営をやるときに、「これが一番重要だな」と思っていることがあります。

(スライドが)文字文字しくてよくわからないと思うのですが、まず「プレゼンティーイズム」という文言を知らなかった方が、ほとんどだと思うんですけれども、覚えていただけたらなと思っています。

それは簡単に言うと、軽度の健康リスクによる生産性の損失のことを言っています。それと同列にある「アブセンティーイズム」は、会社を休んでいて生産性が下がっている状態で、「プレゼンティーイズム」は、会社に出社してるんだけども生産性が下がっている状態です。

例えば、春だったら花粉症だったり。二日酔い、腰痛、肩こりとか、睡眠についての悩みもそうなんですけれども、なかなか検診では引っかかってこないけれども、みなさん一度は感じたことがあるだろうものがプレゼンティーイズムと言われています。

「腰痛・寝不足・二日酔い」と生産性の相関関係

平井:それで、(スライドを指して)これは(この会場の)横にある経済産業省の方にいただいた公開資料ですが。

(会場笑)

これは何が言いたいかというと、一番上は検診結果ですね。検診結果による、γ-GTPや血圧を表していて、そういうものと生産性の相関は薄いと(言うことです)。

それに比べて、真ん中に、「アルコール摂取、運動習慣、睡眠休養」と書いてあるんですけど、そういうプレゼンティーイズムにあたるものは生産性との相関は高い。その下のメンタルも、(生産性との)相関は高いと言われています。もっと詳しく知りたい方は、確か経済産業省のホームページに載っていたので、「プレゼンティーイズム 経産省」で調べてもらうといいと思います。

これを元に、社内でどれだけプレゼンティーイズムがあるのかを算出して、今は「プレゼンティーイズムをできるだけゼロに近づける」というのをミッションに取り組んでいるところです。

そう、これすごいんですよ。プレゼンティーイズムってこういうことだよというのを、わかりやすく描いてもらったイラストなんですけども。例えば、腰痛を抱えてたり、寝不足、二日酔いだったりする人は、どんなにがんばって走っても、なかなか自分のパフォーマンスが発揮できないから、すごく空回りをしてしまいます。

それに対して、常に体調万全で、メンタル面でも「悩みがない」状態の人。それが果たしていいのかわからないんですけど、ネガティブなストレスがない状態で仕事に取り組めている人は、追い風ではないかもしれないけど、ムダな抵抗を受けない。自分の持っている力が100パーセント発揮できることが、「プレゼンティーイズムが小さい状態」ということで、社内のデザイナーに描いてもらいました。

(スライドを切り替えて)それで、なんでこれを載せたのか(と言うと)……。昨日の夜、朦朧とした中でこのスライドを作ってたので……。

司会者:朦朧としてたんですね。いっぱいアニメーションがあるなぁと思いながら、でもかわいいから載せちゃえという?

平井:会社のトイレはビルの共有部分なので、フロアを借りている企業とはいえ、いろいろ自由にできない領域なんです。

そんな中、オフィスのビルを管理している会社が、すごく健康経営に理解のある会社なので、この絵を共用部分であるトイレの個室や給湯室、非常階段に貼らせてもらったりしています。それで社員の腸内環境と食事をテーマにとりあげたポスターを貼ったりしました。

腸内環境を整えると“幸せホルモン”が出やすくなる

平井:それで、話の順番がむちゃくちゃなんですけど、健康に関することとして、私が一番ハマっているのが腸内環境に関することです。それで、その腸内環境に関して具体的に何をやってるのかと言うと。

ちょっと今日のメンタルの話にもつながるんですけど、医学的エビデンスが出ているようですが、腸内環境がいいとセロトニンが出やすくなって、メンタル面にも関係するのではないかと言われていて、報道番組とかでも特集されています。

(スライドを指して)私が個人的に最近すごくおすすめなのが、これ(植物性乳酸菌飲料ラブレ)です。

平井:それと、あと右側にある(のが)甘酒です。

私は砂糖の入っている甘酒がすごく苦手だったのですが、砂糖が入ってない甘酒もいつの間にか発売されていました。それで、この2つを混ぜたらどういうことが起きるんだろうと思って、混ぜたのがこの真ん中のやつなんです。

(会場笑)

平井:しかも、コップをよく見てもらうと、真ん中にちゃんと腸が描いてあるんですよ。

(会場笑)

平井:この前まで上野でやってた「人体展」というのがあるんですけど、行かれた方いますか?

(会場挙手)

平井:おもしろかったですよね。どうでした? なんか誘導尋問ですけど(笑)。

司会者:人体展行かれた方って、どれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

司会者:おぉ〜。けっこう多い。

平井:(展示は)もう終わっちゃったんで、行けないのがあれなんですけど。そこで売っていたコップを買ってきたら、腸が描いてあって。それで、そのコップに入れて混ぜて飲むと、どれだけ今微生物が繁殖してるのかというのを……。

(会場笑)

平井:K社の方の調査によると、甘酒に入ってる菌とラブレ菌を混ぜると、すごく大量繁殖するという研究結果が出ていると担当者からお聞きしました。それで今、自分の人体実験になるんですが、一番菌が効きやすいと言われている寝る前に飲んでいるところです。なので今もちょっと(私)1人だけ、(菌を)混ぜて飲んでるんですけど。

(会場笑)

平井:これ(ラブレを)飲んでいるイラストなんですけど、社内で植物性乳酸菌の良さを研究者の人に聞いてから、もう魅力に完全に取り憑かれてしまって。

司会者:ありがとうございます。