楽しみながら成果を出せる人は何をしているのか?
「フロー状態」を作り出す方法

世羅侑未氏

2018年6月27日、SENQ霞が関にて、「Mirai Forum #11 【特別企画】Mirai Forum X ハフポスト日本版 -これからの「健康革命」—人生100年時代を生き抜くための”心と身体”〜100人で考える、新しい世代のビジネススキル〜」が開催されました。仕事を長く続けていくための「健康な心と体」を維持するためのビジネススキルをテーマに、人生100年時代を生き抜くためのヒントについてプレゼンテーションを行います。本パートでは、生産性が上がりアイデアが生まれやすくなる「フロー状態」をどう起こすかについて語りました。

パフォーマンスが上がり、ひらめきが起こる「フロー状態」

司会者:続いて、体の健康の中でも、最も自分のパフォーマンスが上がったり、それによってひらめきが起こる瞬間って、どんなときなんだろうかということを、うち(プロノイアグループ)の世羅からお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

世羅侑未氏(以下、世羅):ありがとうございます、世羅と申します。さっき、プレゼンティーズムという言葉を初めて聞いた時に、私もすごくハッとしました。

「なにかパフォーマンスを出そう」「今日は仕事がんばろう」とか、「今日はいいアイデアを出すぞ」と思ったときに、とりあえず一生懸命アイデアを出すとか、資料をがんばって作りがちなんですけど。

ちょっと一歩引いて、「自分の体は今日ここに万全な状態で来てるかどうか」ということが、長く働いたり、とにかくがんばるということよりも、実はパフォーマンスが出せたり、いいアイデアを出すための重要な要素なんだなと気づいて、すごく大事な考え方だなと思ったんですね。

それで、そのプレゼンティーズムと、私が今から話をすることで少し似ているなと思うことがあるんです。プレゼンティーズムは、今この場にいても体の状態が万全じゃなくて、フルに自分の力を使えないという状態かなと思うんですけど。

私が今から話すのは、体の調子はいいかもしれないけど、意識がいろんなところに飛んでいて、自分の意識や心が、ここの場に向いていない状態だと、すごくプレゼンティーズムに近いなと。ここにいるんだけれども、みなさんの意識や心がここにいないという状態があるんですね。

私自身は今、プロノイア・グループでコンサルティングもやってるんですけど、個人で研究者として「フロー状態」を研究しています。もしかすると「フロー状態」と言うより、「ゾーン」と言うと少し聞き慣れてるかなと思います。あと、とにかく夢中になっていて時間を忘れる状態ですね。

夢中になって、楽しくて楽しくてやってたら、思いがけない結果を出してしまったり。そういうときをフロー状態と私たちは呼んでいます。このフロー状態について、みなさんに今日はお話ししたいと思います。

自分の限界を忘れたときにフロー状態が起こる

世羅:この場に自分がいて、体も健康だったときに、自分の意識や心もこの場に完全に集中させるにはどうしたらいいのか。そういうフロー状態についての説明を、2枚のスライドから話を始めたいなと思います。

(スライドを見ながら)これ、なんでしょうね? (真ん中の円が)赤くないので、日本の国旗ではないんですけど。これは子どもの状態なんです。赤ちゃんがこれ(真ん中の円)なんです。

だんだん大人になって、賢くなるとできるものがあります。なんだと思います?

ふふふ(笑)。答えたい方がいらっしゃったかもしれないんですけど、「自分」という枠ですね。赤ちゃんのときとか、自分が考える能力がないときは、「自分ってこんな人」とか、「こんな能力を持っている」「こんなことが得意」という丸は作らない、作れないんです。

でも、私たちはだんだん賢くなっていくと、だいたい「自分ってこんな人」「こんな能力を持ってて、こんなことができる」ということを考えますよね。

それで、フロー状態は何かと言うと、なんらかのきっかけで、自分の枠をピャッと飛び出していくわけです。その瞬間、すごく夢中になって、自分にどれくらいの限界があるのかを忘れるんです。これがフロー状態なんですよ。

じゃあフロー状態が起こると、どうなるのか。私たちは賢いので、「あれ? こう思ってたけど、なんか今よく振り返(ってみ)ると、自分が思ってたよりもすごくできたなぁ」と。(それ)で、「自分が思ってもいなかった性格も自分にあったんだ」ということをだんだん分析し始めて、「自分って意外と、(限界が)これぐらいあったのかもしれない」と思うんですね。

つまり、フロー状態は、自分の枠をその瞬間にはみ出してくれて、その結果、成長を感じることができる状態です。「自分って、意外とこれぐらいできたんだ」と思うことで、成長を加速させるものなんです。

ひらめきが生まれ、集中力が高まる

世羅:ちょっと(スライドに)βと書いてみたんですけど、実はこの「なるほど、自分ってこんなことができるんだな」と分析する脳波をβ波と言います。いろいろな分析をしたり、自分という枠を作ったり、なにか考えたりするのがβ波。

それで、これ(自分の枠)をなんらかのきっかけで、またバッと壊してくれる時があるんです。そのバッと壊してくれる脳波が、θ波と言うんですね。これは何かの刺激に対して、反応する脳波なんです。つまり、作るのがβ波、壊してくれるのがθ波で、フロー状態というのはθ波がしっかりと出る状態なんです。

その状態はどんな状態か。フロー状態の時、みなさんの頭の中で起こっていることと、起こっていないことがあります。起こっていることとしては、冒頭でありました、ひらめきがすごく出るんです。これはγ波という、すごく科学的な話なんですけど(笑)。θ波が出るとγ波が出やすくなって、それでひらめきが起こる。

(スライドの)左下にあるのは、目の前で起こっていることを冷静に見られるということです。自分もひらめきがあって、頭の中がすごく活発化されてるし、でも周りで起こってることもすごくよく見えていると(いう状態です)。

それで、右下のものは、フロー状態に入ったスポーツ選手や、スポーツ選手以外でも、仕事などのいろいろな場面であるんですけど、「なんか体が勝手に動いた」「あんまり考えていないんだけれども、なんかアイデアが勝手に出てきた」とか。「体が勝手に動いて」とか、「口が勝手に動いていいこと言っちゃった」とか、そんな状態です。それが、まさにθ波の動きなんですね。

逆に、フロー状態じゃない時に起こっていることは、すごく頭で考えちゃって、煮詰まっている状態ですね。自分がどう見えるのかをすごく気にしてる人で、「ここで失敗したら自分はどう見えるだろう?」とか、「ここで変なことを言ったら、自分は恥ずかしいなぁ」とか、自分がどう見えるかを気にしてしまっている。

同じように、時間を気にしてしまっている。「何時かな、まだ仕事終わらないのかな?」とか、時間のことを気にしてしまっている。

フロー状態ではない時は、直接今この場の目的に関係ないことをとても気にしてしまったり、どんどん思考が煮詰まって(意識が)いろんなところにいってしまうような状態。フロー状態は、本当にいろんなことに意識が散っていなくって、ひらめきだったり、体が勝手に動いたりするような状態なんですね。

人は8時間の仕事時間のうち、平均30分はフロー状態になっている

世羅:もう少しフロー状態について説明します。これが何かというと、みなさんが働いている時間を8時間と想定したときに、実は平均で30分ぐらいは、どこかでフロー状態に近い状態に入っていると分析されています。

フロー状態と言うと、「アスリートじゃなきゃ(フロー状態に)入らないんじゃないか」とか思っていると思うんですけど、1日の働いてる中で、どこかに30分ぐらい、きっと夢中になっている時間があるんですね。

この30分が、1時間増えて、1時間半フロー状態に入れたとしたら、実はみなさんの生産性は、2倍に上がるという研究結果が出ています。なので、ただがんばり続けることとか、長時間がんばり続けること以上に、フロー状態、自分の心が最適な状態にあることがすごく大事なんですね。

じゃあ、「どうしたらそういう状態になれるのか?」という話を後半でしていきたいんですけれども、1つ覚えていただきたい数字があります。「126」、これは、なんの数字でしょう?

なんの数字かわかる方いらっしゃいますか? 心拍数! あ〜、なんかそういうのにちょっと近いですね。126、単位は「ビット」といって、人が1秒間に意識することのできる情報量です。1秒間に126ビット。

でも、126ビットってどのぐらいなのか、ちょっとイメージわかないですよね。なので、ちょっと説明していくと、今みなさんが私の話を聞いて理解しようとしてくれている、この1人の話を聞くのに、だいたい50ビットぐらいなんですね。

さらに、みなさんは私の話を聞きながらも、きっとなにか考え事をしてるんですよ。「なぜ、この人はフロー状態の話をしているんだろう?」「なぜ、なかなかスライドに文字が出ないんだろう?」とか、いろんなことを考えるわけです。そうすると、もうこの126ビットの3分の2まで埋まっちゃうと。

他には、今みなさんは視覚的にいろんな情報を得てるんですね。スライドを見てくれたり、私が「白い服着てるな」とか、視覚的な情報が入ると、126ビットって、実はすぐに埋まってしまうんです。

ここで私がすごく言いたいのは、フロー状態というのは、この126ビットを何に向けるのかのコントロールだということです。やっぱり1秒あたりにおける意識の量、注意の量は限られているんです。126ビットの情報しか得られない中で、この意識がいろんなことを考えたり、いろんなことを感じて分散していると、すごくノンフロー、フローじゃない状態に近くなってしまいます。

ですが、ちゃんと「自分が今日ここに来た目的」とか、「ここで学びたいこと」にフォーカスしていると、この126ビットをうまく使えて、フロー状態に近い状態になると。そのためにどうしたらいいのか、こういう状態になるためにどうしたらいいのかということなんですけれども。

ゴールを決めて、フィードバックを得る

世羅:大事なことを2つ言いますね。1つ目が、目標を決めることです。目標を決めると言うと、なんか「世界を変える」と言わなきゃいけないのかなとか、「世界平和」とか、「大きな社会問題を解決することを決める」と言われてるのかなと思ってしまう人もいるんですけど。

そうじゃなくて、とにかくこの場でなにをしたいのか、この場のゴールはなんなのかということが、クリアになっているかどうかなんですね。「小さい・大きい」「細かい・抽象的」というのは本当になんでもよくて、とにかく「今ここに自分はなぜ座っているのか」がよくわかっている状態です。

それで、現在地から、行きたいゴールがわかって、(スライドを指して)「Good・Bad」、「いいね・よくないね」のマークなんですけど、フィードバックが得られる状態なんですね。

つまり、目標だけがわかっても、今そこに対して自分がいい感じで進んでるのか、進んでないのかがわからないと、またどんどん意識が散漫になっていってしまいます。目標が決まっていて、「今日は進んだ」「今日はちょっと進めなかった」というフィードバックがある状態が大事なんですね。

一番大事なことはこの2つなんですが、それだけじゃなくて、実はフロー状態は相反するもう1つの要素が必要です。それは何かというと、「刺激」です。その刺激は、目標からあなたを阻害するような刺激でもいいんです。

ちゃんと(目標を)明確に持っていること、それに対してフィードバックがあることも大事なんだけれども、それだけではダメで、あなたに対してチャレンジしてくる刺激がすごく必要なんですね。

この図はフロー状態の話で、よく出されるんですけども、このチャレンジしてくる刺激、あなたの注意を阻害しようとするようなプレッシャー、難しさだったり、たくさんの情報と、自分のその目標に対する意識の強さ。この2つの相反するもののバランスがすごく大事なんですね。それで、具体的な事例を2つ挙げて終わろうと思います。

ふざけた格好で真面目なミーティングをする効果

世羅:(スライドを切り替えて)例えば、初めて文字を出してみたんですけど、こういう状態。強い意図とちょっとした混乱、刺激が大事なんですね。

例えば、うちの会社は、こんなふうにみんなが「誰もが自己実現できる社会を作る」と言って、みんなが一生懸命に強い意図を持って……ふふふ(笑)。ミーティングしてるんですが。

司会者:ちょっと真面目すぎます。

世羅:ちょっと真面目すぎますよね? これだけだとフロー状態って起こらないんです。何が大事かって……(笑)。

(会場笑)

世羅:(スライドに)勝手に使ってごめんね(笑)。私たち、よくこういうふざけたことをしていて。これは他の人が買ってきてくれた、ちょっとヘンテコなメガネなんですけど。こういうのをつけて、でも、真面目なミーティングをする。超真面目な振り返りとフィードバックを、お互いにこれをつけてやってたんですが、私たちはこういうの絶対に欠かさないですよね。

司会者:これ本当に丸々2時間付けっぱなしだったんですよ。

世羅:けっこうガチなことをしましたね。

司会者:タイトルが「笑ってはいけないプロノイアーズ」という定例会で、笑ったら本当にいけなくて。笑ったらワンカウントで、一番多かった人が罰ゲームで買い出しだったんですけど、負けました、すみません。

(会場笑)。

世羅:こういう「なんで今日これつけるの? 笑っちゃうんだけど」という混乱がすごく大事なんです。だからもう1回言いますけど、自分がなぜここにいるのかという強い意図と、そこにちょっとした混乱を入れる。

もう1つ、ちょっと例にあげますね。今日せっかくいらっしゃっているので、ハフポストのビジョナリーなリーダー、竹下さんが編集長をしていて、みんながこのハフポストでメッセージを発信するために日々がんばっていると思うんですけど、私がハフポストのオフィスにおじゃました時に、「あっ、これはちょっとした混乱でいいな」と思ったのが、これなんですよ。

「ちょっとした混乱」がインスピレーションを生み出す

世羅:みなさん一生懸命に、机の前で自分の記事を書いたりとか、仕事をしているんですけど、常にテレビが音声付きで、ニュースが流れてるんですね。もちろんメディアの会社なので、いろんなニュースをタイムリーにキャッチするためという意図もあると思うんですけど、これって自分が仕事してるのとぜんぜん関係ない文脈で、いろいろな情報が入ってくるじゃないですか。実はこういうのがすごく大事なんですよね。

やっぱり強い意図がないと、テレビにどんどん集中がいってしまって、ノンフローになってしまうんですけど。本当に自分が目的を持って仕事をしている中で、こういうちょっと関係ない情報が自分に迫ってくるというのは、すごくフロー(状態になること)にとって大事な情報なんですね。

大手IT企業担当者:テレビの下に見える、左下のあれは何ですか?

世羅:確かに(笑)。

竹下氏:救命胴衣です。

大手IT企業担当者:救命胴衣? やっぱり。

司会者・世羅:へぇ〜!

竹下氏:災害時もちゃんと逃げられるように。

世羅:あっ、そうなんですね。

大手IT企業担当者:そうかなと思ってて。別にそれは冗談ですけど(笑)。本当になんかそれっぽく見えますよね。

司会者:そこに目がいくのはさすがですね。

大手IT企業担当者:たぶん、みんな目がいってたと思います。

世羅:はい。ということで、とにかく意図と混乱が大事ですよという話だったんですが、これも今ハフポストさんがやってる、いい意味でのちょっとした混乱の1つかなと思っています。今、「アタラシイ時間」という、キャンペーンですか? プロジェクト?

竹下氏:基本的にはキャンペーンです。

世羅:キャンペーンをやられていて。メディアってけっこうWebから(読者に)記事が流れてくると私たちは思うんですけど。ハフポストさんが5周年を記念して、1杯のコーヒーを片手に、実際に読者さんと会う機会を作ったということで。

いつもとは違う、「なんでそれをするの?」というちょっとした混乱を作ることが、実は世の中や社内にとっても、インスピレーションがある働き方や計らいなんじゃないかなと思っています。

(このイベントの)休憩の後は、そういった新しい時間や、ちょっとした混乱をどういうふうに作っていけば、新しい気づきやひらめきを得られるかという話をしていきたいなと思っています。

司会者:はい、ありがとうございました。健康をいかに大切にするか、健康な状態の中でも、どうやったら自分のパフォーマンスが上がって、破壊的にいろんなインスピレーションを得られるかについて話していただきました。ありがとうございます。

次のセッションでは、この3つのファクター、「健康な状態」「自分の心も健康な状態で集中した状態」「アタラシイ時間」。この3つが重なり合ったときに、どんなことが起きるんだろうというのを、ファシリテーターでハフポストジャパン編集長の竹下さんに主に対談をしていただきたいと思います。みなさんありがとうございました。

(会場拍手)

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