デザイナーがkintoneをハックする方法

石井優氏(以下、石井):ここからはkintone hackのコーナーに移ります。kintone hackは、ディベロッパーの方にご登壇いただいて、5分間というかなりタイトな時間でライトニングトークをしていただくセッションになります。

事例というより、「kintoneでここまでできるんだ」「こんなことができるんだ」という可能性を感じていただけるセッションとなっています。とくに今日は「ノンコーディングでもここまでできる」がテーマにもなっていますので、ぜひ楽しく聞いていただければと思います。では、株式会社オルターブースの松本さん、よろしくお願いいたします。

松本典子氏(以下、松本):それでは私からは、ノンコーディングでここまでできるよということで、kintoneの可能性についてお話ししたいと思います。

まず簡単に自己紹介をさせてください。松本典子と申します。福岡の株式会社オルターブースというクラウドインテグレーターに、デザイナーとして所属しております。アスキーさんに記事の寄稿やAzure カテゴリでMicrosoft MVPを受賞しているのですが、私は完全にデザイナーです。

今日の基調講演でも紹介がありました、アールスリーインスティテュート様の「gusuku」や、コーポレートロゴのデザイン制作を担当しています。完全にビジュアル寄りのデザイナーなのですが、そんな私も便利なツールを使うことでkintoneをハックできます。今日はkintoneとiPaaSを使ってハックする方法をお話しします。

まず「iPaaS」という言葉は、なかなか耳馴染みがないかなと思うのですが、ノンコーディングでUI部品を組み立てる感じでさまざまなサービスと連携できる、Integration Platform as a Serviceと呼ばれるサービスです。パズルのようなものだとイメージしていただければと思います。

今回ご紹介したいのはマイクロソフトが提供しているiPaaSの2つのサービスで、「Logic Apps」と「Microsoft Flow」です。kintoneを使う場合は、Logic Appsをおすすめします。

その理由なのですが、(Microsoft)Flowはkintoneコネクタがプレミアムコネクタになっていて、ご契約内容によっては使えない場合があるんですね。AzureのLogic Appsの場合は、そこに関係なく利用できますので、ぜひLogic Appsという名前を覚えて帰ってください。

現状の提供コネクタ数は200コネクタ以上で、200以上のサービスとノンコーディングで連携できます。

コネクタは「トリガー」「アクション」という機能を使ってつないでいくものになります。

クレーム判定ができるkintoneアプリを作成

その基本編・応用編ということでザッとご説明します。まず、お問い合わせの内容をkintoneに自動登録する方法です。

どうやって再現するかというと、たった2つのコネクタを選んで作るだけで入力ができてしまうんですね。

使い方も非常に簡単で、アプリ番号を入れるだけでアプリの項目数がバッと自動で出てきます。そこに動的コンテンツということで前の内容を入れていきます。

これはみなさんもお馴染みのアプリの画面ですが、このように内容がどんどん登録されていきます。

次に応用編です。どこまでノンコーディングでハックできるのか。クレーム判別をノンコーディングで実現する方法を試してみました。アプリ側は、クレームだったら優先度を高くする、そしてSlackに通知するといったかたちになります。

そのときにマイクロソフトが提供しているCognitive Services「Text Analytics API」というものを使います。これは0〜1の間の値で数値を返すのですが、0に近ければ近いほどネガティブなんですね。

これを使ってハックしていくのですが、まずアプリを改修します。「優先度」がなかったため、今回「優先度」を追加しました。追加したkintoneアプリ上の修正内容が、Logic Apps側にも自動で反映されます。そのため、Logic Apps側もそちらの修正を適用するかたちになります。

そして、(スライドを指しながら)これが全体のクレーム処理を入れたものになります。たったこれだけです。

何をしているかというと、感情分析のところに入ってきたお問い合わせ内容が0.3より大きいか小さいかで判定しています。(数値が)大きい場合はクレームの可能性が低いですが、(数値が)小さい場合はクレームの可能性が高いと判定して処理します。

結果をお見せしますと、クレーム(の可能性)が低い場合は、優先度は下がりません。何を聞いているかというと、「kintoneアプリの導入について」という質問を投げています。

非エンジニアでもどんどん新機能を追加できる

次に、クレーム(の可能性)が高い場合は、優先度が「高」に自動で切り替わります。つまり、「連絡が遅い。最悪だ!」とめちゃめちゃ怒っている状態ですね。この状態だったら「高」になります。

また、Logic Apps側では日本語で登録できるのですが、Slackでも「クレームが来ているようなので確認してください」と(通知が来ると)いうことで、担当部署も気づくことができます。

このようにiPaaSというサービスを使えば、ブラウザ上でさまざまな機能が使えるようになっていきます。ノンコーディングでここまでできるのは、ちょっとおもしろいのではないかなと思います。

コードがまったく書けない非エンジニアでもここまでできるので、ぜひ活用してkintoneをハックしてみてください。

以上で私のお話は終わりです。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

石井:ありがとうございます。すばらしい。5分間、ありがとうございます。たぶん、このkintone hackのコーナーはディベロッパーの方にご登壇をいただくようなコーナーなのですが、本当にまったくコーディングは(できないんですか)?

松本:はい。全然できません(笑)。

石井:デザイナーということですからね。話を聞いていて、iPaaSなどはなかなか知らない方も多いと思います。しかし、本当にコーディングなしでシステム連携できると感じていただけたのではないかなと思います。今後、何かやっていきたいことはありますか?

松本:今回は感情分析だけだったのですが、弊社でも導入している自動メール送信など、どんどん機能を追加できます。そうして使いながら「これ、いるね」「これ、いらないね」と(機能を)変えていけるのがすごく便利で助かっています。

石井:おもしろいですね。松本さん、ありがとうございました。

松本:ありがとうございました。

プッシュ通知をさらに活用する方法

石井:今回のkintone hive 福岡 vol.3、最後のご登壇になります。株式会社AISICの久米さん、よろしくお願いいたします。

久米純矢氏(以下、久米):こんにちは。先ほどご紹介いただきましたが、私は株式会社AISICから来ました。福岡でkintoneのエバンジェリストをしております。よろしくお願いいたします。今日は「kintoneからLINEに通知を送っちゃえ!」というセッションをさせていただきたいと思います。

まずは軽く(自己)紹介です。基本的にITのコンサルティングなどをやりながら、(kintoneについて)教えたりといったことを中心に(活動)しておりますので、今回もそういったお話ができればと思います。

いきなりですが、みなさんはスマホでちゃんとプッシュ通知を受け取っていらっしゃるでしょうか? 先ほどもプッシュ通知で通知の漏れがなくなるというお話がありました。

通知と呼ばれるものはブラウザに届きますが、ブラウザを開かないといけないですし、丸い印で何件と、ポッと出てくるだけで、実はちょっとわかりづらいんですね。

みなさん、忙しくお仕事をされているので、プッシュ通知が来ることは、実は業務上すごくありがたかったりします。そこで、今回はその通知に関するお話をしたいと思います。

kintoneのアプリを使うと、プッシュ通知が届きます。これは使っている人は使っていると思いますが、案外使っていない人も多くいます。

今日は、みんな大好きLINEを使った通知をご紹介します。みなさんもLINEを使われていると思いますが、今やインフラと言ってもいいぐらいではないでしょうか。とくに非IT系の方であれば、チャットツールといえばLINEという方がほとんどかと思います。

無料で使える通知サービス「LINE Notify」

話を少し進めていきたいと思います。今日は、2年半前くらいにサービスインした、LINE Notifyと呼ばれるサービスをご紹介します。

これは「Webサービスからの通知をLINEで受信する」ものです。LINE Notifyという人(通知してくれるbot)を使うと、わりと簡単にできます。

「LINE@」と呼ばれる似たようなサービスは、お金がかかったり設定がいろいろ面倒くさかったりしますが、このLINE Notifyは、Notify(通知する)だけですので、実はとても簡単に通知の機能が実装できます。

手順は(スライドを指しながら)ここに書いてあるので、あとで公開する資料をゆっくりご覧いただければと思います。

弊社にkintoneのアプリのダウンロードサイトを設けており、そこでアプリを入れていただき、Notifyの設定をすれば使えますので、ぜひ試してみてくださいね。

具体的には、グループを作ってLINE Notifyの設定をして、kintone側からボタンをポチッとすると、ピンポーンと通知が来ます。

先ほどのLINE Notifyのサイトに入り、アクセストークンというものを作ります。トークンを発行するボタンをポチッと押すと、こんなフォームが出てきて、トークンの名前を入れて、どこ宛てに送るかだけを決めます。これは先に作っておかなければいけないものですね。

すると、トークンがぴょこっと出てきます。これは作った瞬間しか出てきませんので、忘れずにコピーしておいてください。コピーのボタンを押せば大丈夫です。このコピーしたものを入力して閉じると、こんなものが1個、ポコッとできます。LINE側で、LINE Notifyとして設定するのは実はこれぐらいですね。

具体的にどんなことをするのか。ちょっと想定される場面だけ先にお話ししていきます。利用するシチュエーションは、セミナー参加者へのLINEグループを通じた一斉配信などがあります。

さっき僕が作ったアプリがありますので、試してもらえるといいのですが、「LINE Notifyで送信」というボタンをポチッと押すと、LINE側にこのように通知が来ます。そこに書いている中身が、このあたりに出てきます。

この人(LINE Notify)は通知専門のため、この人に「読みました」と書いても、わかってはもらえません。しかし、こういったものを使うことで、とても簡単に(通知が)できます。ぜひアプリをダウンロードしてみてください。サクッとできますし、全部無料ですから、ぜひ試してみてくださいね。

kintoneのアカウントがなくても通知が可能

ポイントとしては、通知に特化していますので、設定などがとても簡単にできます。特別な費用もかかりません。kintoneのアカウントを持っていない人に通知を送れるのも、ポイントの1つです。その代わり、きちんとお友だちになったりグループに入れてあげてください。

また、事前に送信内容をチェックしたりログを残すこともできます。これは業務で使用する場合はけっこう大事なポイントですので、使ってもらえればと思います。

注意点は、先ほどお話ししたお友だちの問題。あとは、アクセストークンをkintone側に登録しますので、セキュリティ上の問題が出るかもしれません。しかし、運用でうまくフォローすれば大丈夫かなと思います。

(ダウンロードページのスライドを指しながら)ここからダウンロードできますので、よかったら使ってみてください。以上で私のセッションは終わりになります。ありがとうございました。

(会場拍手)

石井:ありがとうございます。すごいですね。LINE Notifyはぜんぜん知らなかったのですが、意外と2年ぐらい(前に)リリースされていたんですね。運用について聞いてみて、社内でも利用したらおもしろい気はしますね。

久米:そうですね。とくに部署単位でスタートするところがけっこう多いです。最初はミニマムでスタートしたいから、例えば上司の方のアカウントは、とりあえずLINEのグループにだけ入れておこうといったかたちですね。

石井:なるほど。

久米:わりと簡単に通知だけ飛ぶので、そういう場面では通知の1つのかたちとして使ってもらうといいのかなと思います。

先ほど僕が作ったものには「kintoneへのリンクのURLを生成する」というチェックをつけられます。そうするとkintoneへのリンクができるので、それをポチッと押すとブラウザが立ち上がり、アカウントがあれば(kintoneに)入れるようになります。そういったことも可能なので、けっこう応用の幅が広いかなと思います。

石井:確かに。LINEはみなさんに本当に身近なサービスなので、ここ(LINE Notify)とあわせて、通知の新しいかたちという感じがします。ありがとうございます。

久米:ありがとうございました。

(会場拍手)

石井:以上でkintone hiveのセッションが終了となります。業種・業態や利用方法などもそれぞれ違ったと思いますが、1つでも参考となるポイントが見つかったのではないかなと思います。改めまして、5名の方に大きな拍手をお願いします。どうもありがとうございます。

(会場拍手)