2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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(会場拍手)
ということで、ようやく、柿次郎さん。ここまで長かったですね。
徳谷柿次郎氏(以下、徳谷):そうですね。準備、半年ぐらいですかね。
長谷川:もうちょいかかりましたね。
徳谷:今日公開されたオリジナルコンテンツで、僕が出ているんですが、その時点で僕の見た目が違う、今日もまた違うという……。
長谷川:それぐらい時間が経ったという。
徳谷:そうですね。
長谷川:自分としては現場に入ったり、もともとで言うとECやそっち系のプロモーションのことをずっとやっていました。
メディアをやったことがないので、今日の第1部の「メディアとしてどう伝えていくか」というのは、まさに自分もスタートですし、みなさんに一緒に教えていただきながらやりたいなと思っています。
(今日のテーマの)「海の課題をどのように伝えるべきか」。
たぶん、一番海の課題について発信しまくっているのは古澤さんだなと思って
(会場笑)
長谷川:どうですか、この何年か伝えてきて。
古澤純一郎氏(以下、古澤):神奈川県の江ノ島で我々は活動しているんですが、東京に住まれている方たちが、海水浴に行きたいとなったら当然、東京湾の海水浴場は今は葛西臨海公園しかない。30日ぐらいオープンするような海水浴場しかないんです。
要は東京湾は人が入れない状況で、東京の方たちはおそらく湘南や千葉のほうに海水浴に行かれる。この東京、関東区から海への入り口が非常に遠い。
長谷川:目の前にあるのに、そうですね。
古澤:そうです。東京湾は入れませんから。
ですので、とにかく楽しいことをやって、海に来てもらう。来てもらったときに初めて海やゴミの現状がわかる。藻が葉山にたくさんあったんですが、今は海底の藻がどんどん湘南のものではなくなっています。
相模湾でもタイの2匹に1匹は、もう養殖されて放流されたものです。
長谷川:ほー、相模湾で。
古澤:はい。アワビについては9割が養殖されて放流されたもの。こんなに近い東京・神奈川でも、海の変化がとてもある。ここ5年ぐらいでも海藻類については、ものすごく減っているんです。
じゃあ、それをメディアで伝えるときに、僕たちとしてはヤフーさんやみなさんと、メディアで楽しいものを一緒に作り上げて伝えるといったところに、スパイスを入れていただき、現場に来てもらう。
長谷川:そうですね。
古澤:見て体感してもらうことが大事かなと思っているので、メディアを通じて楽しいことをやって、たくさんの人に海にきてもらいたい。海で遊んでもらいたい。海で食べてもらいたい。
そんなことができていったら、自分でゴミを拾うと「(ゴミが)こんなにあるんだ」「こんなに危ないものがたくさんあるんだ」「こんなにプラスチックがあったら、当然海にどんどん溢れるよね」と実感するところから、何かを考えてくれたり、アクションに繋げてくれたりします。
端的に言いますと、メディアを通じて行動・アクションといったところが、本当に海に来る行動に一緒につなげられたらいいというのは、今この課題の中でありました。
長谷川:ありがとうございます。すごく「やってきた感」がありますね。自分もそうだったんですが、遠くに行って、漁師たちに会って、美味しいものを食べて初めて、自分として「なんとかしなきゃな」と思ったんですよね。
なので、やはりアクションや入り口などは、自分も本当に大事だと思っていて、今の海のお話は、(海に行く人が)だんだん減っているけれど、やはり海で遊んだり見たりすると、自分事になるなと思います。
長谷川:今回Rettyさんにお声がけして入っていただきました、山田さんです。武田社長に代わって、Rettyの中で人前でしゃべるのが得意な若い方ということで、山田さんが今回入ってくれたんです。
人間は絶対に食べるじゃないですか。正直、海に入ることや漁業体験などは、全員が全員やらないですが、絶対に食べるから、食べる中で何かを自分事にしてもらいたい。堅いことじゃなくて、親しみやすいことの代表として、Rettyさんに仲間になってもらいたいなと思って、今回相談したんですよね。意気込み的にはどうですか。
山田和正氏(以下、山田):(笑)。
長谷川:今日、武田さんじゃなくて山田さんになった瞬間、まだ一言もしゃべっていないから、まずしゃべらないとね。
山田:そうですね。テーマで言うと、海の課題をどのように伝えるかだと思うんですが、今もハセタク(長谷川琢也氏)さんがおっしゃったみたいに、いきなり海の課題と言われても、割と自分事にできていないと、「解決する」と言われても、はてなマークがつく人が多いと思います。
僕自身、海の課題と言われても、Rettyに入るまではぜんぜんよくわかっていませんでした。それこそ知っていても、ウナギの絶滅危惧みたいな、本当に身近なことしか知らなかった。でも食の仕事に就いて海や食が近くなると、「マグロがやばい」「カツオもどんどん獲れなくなっている」といったことを自然に知っていくようになってきて。
なんでもそうだと思うんですが、自分にとって大切なことや、自分に身近なことじゃないと、海の課題やネガティブなものを、自分事として捉えないと思うので、まずはそういう食の身近な問題として、僕たちは食というところで、発信をしていくことによって、海を身近に捉えてもらうところからスタートできたらなと。
長谷川:とくに今シェフや飲食店の人が熱い。漁師はお客さんに食べさせられないじゃないですか。そうすると、その手前の加工してくれる人や料理してくれる人が、バトンをきちんと受け取って渡してくれるのが一番よくて、レストランの取材などで、「海のことを熱く語ってくれる人たちと一緒に行こう」という話をしているんです。
山田:そうですね。
長谷川:たくさんいますもんね。
山田:今、料理人は本当にすごい。話が飛んじゃうんですが、僕は昨年末から今年の1月にペルーに行って、ペルーのお寿司屋さんに顔を出したんですね。そうしたら、向こうのお客さんはぜんぜん寿司を食べずに、カリフォルニアロールみたいなものばかり食べているんですね。
なぜかと理由を聞いたら、「寿司はペルー人にとっては手抜き料理だ」と言うんですよね。おもしろいなと思って。確かに海外の人から見たら、ただ米を炊いて、魚を刺身にしてシャリに乗っけただけ。寿司が「それで以上」の料理なんですよね。
でも、それこそ日本だと銀座に行ったら3万円や5万円を取るようなお店があるわけじゃないですか。やはり日本人の料理人は、魚に対して付加価値をつけるのがめちゃめちゃすごいと思っていて。
そういうすごさは実はぜんぜん知られてない。それも料理人という目線で、どれだけすごいことをしているかを伝えると、もう少し身近に感じてもらえるというか、おもしろさが伝わるかなと思います。
長谷川:さすがしゃべり上手。
山田:(笑)。
長谷川:しかも今、いい流れを作ってくれてね。オリジナルコンテンツ、実は近日公開予定のものが、寿司職人。まさに、あれは今の話ですよね。
徳谷:あれ、かなりおもしろいですね。海外向けに寿司の価値をどう伝えるかを取り組んでいる。本当にもう知らないことだらけで、そのマグロの話とかかなりおもしろい……よ。
(会場笑)
長谷川:一番しゃべれると思っていた人が歯切れが一番悪い。
徳谷:何を伝えようかなと思っていたんですけど。
長谷川:海さくらさんやRettyさんは、ある種、業界の専門性があるから。Huuuuはもっとそういうことも関係なく、縦横無尽にいろいろなところに突っ込んでいって、いろいろな取材をして、いろいろ伝えてもらいたい思いで今一緒にやっています。いろいろな業界に、いろいろな海に関わるネタがありますよね。
徳谷:かなりおもしろいですね。この前、能登半島に行ってきて、タコ漁師に「なんでスーパーでアフリカ産のタコが並んでいるんですか」と聞いたら、とある日本人のタコ漁師がアフリカに行って、「アフリカ人にタコの獲り方を教えた」と。
それで日本・中国で、みんながタコを食べるようになって、結果的に価格が高騰するとか、そういう思いも寄らない豆知識がバンと飛び込んできたり。
長谷川:繋がってくるんですよね。今日、ライバルの水産業専門誌の方もいるのでアレですけど。日本人がライバルを作っちゃったんですよね。
サケやタコ、エビもそうなんですけど、日本のすばらしい技術を、海外の発展のためにお伝えしたら、ライバルになっちゃって、日本だけ負けてしまったというような。そんなこと(日本人は)知らないですもんね。
徳谷:そうですね。それを主語にして記事のタイトルを考えてみると、「一般の人も読んでくれるかな」「そこは編集でポイントになるのかな」と思っています。
でも、課題を伝える一番の解決方法が1個あって。
長谷川:何ですか?
徳谷:それはTOKIOがライターをすることなんですよ。
(会場笑)
山田:あー、なるほどね。
徳谷:それしかないです。『ザ!鉄腕!DASH!!』という番組がいかにすばらしいかという話で。難しいことを、TOKIOが自分の身体を使って伝えるのが最適なんですが、この場に残念ながらTOKIOがいないじゃないですか。
長谷川:いないですね。
徳谷:だから、手を替え品を替え、ヤフーさんの創客や、人の目に届く場所にコンテンツを置く。それをアーカイブしていって、適切なブランドを育てていくことしか、Webメディアに大事な手段がないので。
長谷川:そうですね。
徳谷:そこは本当に時間がかかると思います。
長谷川:メディアは「BLUE SHIP」(注:古澤氏の「海さくら」が運営)もそうだと思うけど、やはり何年かやらないと。「石の上にも三年」じゃないけど、柿次郎さんも3年ぐらいやらないとオウンドメディア的なものは見えてこないかもしれないですよね。
徳谷:そうですね。僕が地方に行くようになったきっかけの「ジモコロ」は今年4年目なんですけど、3年やってようやく見えてきた。同時に僕が詳しくなりすぎて、一般の人の目線を少しずつ失っていくんですよね。
すると、より伝わりにくくなる問題がある。だから僕も3年経ったら、この仕事を辞めないといけないなと思っていますし。
長谷川:なるほど、3年だと。さきほど「BLUE SHIP」が3年とおっしゃっていましたっけ。(海さくらの)活動は13年ですもんね。
古澤:そうですね。
長谷川:メディア的に伝え出したのが2年ぐらい?
古澤:ちょうど3年ぐらいです。
長谷川:どうですか。何か変わってきている感じあります?
古澤:こうやってヤフーさんにお声がけをいただいたのも、一つひとつがうれしいことで、BLUE SHIPを通じて会社のCSRをやったりしました。
このあいだは 「World Clean Up Day」で、エストニアの人たちにBLUE SHIPをご活用いただいて、日本全国の方たちとゴミ拾いをしていただいたり。ここ最近、そういう話はありますが、年と言うよりは僕以外のみんなががんばったおかげかなと思います。
長谷川:なるほど。今しゃべって思ったんですけど、このお三方ともメディアだけじゃなくて、リアルとの接点をけっこう持っている人たちだと思いました。
海でリーチして、いろいろなことをやられていたり、Rettyは当然レストランとの繋がりが非常にあったり。柿次郎さんは、人との繋がり・リアルな繋がりが非常に今濃くなって。長野との2拠点生活もありますけど。
徳谷:お店などをやってますね。そういうクロスで、このGyoppy!軍団でリアルとネットで伝えていく手法を濃くやっていけるといいですね。
徳谷:そうですね。
徳谷:両方あると、スキルとITの双方でWebメディアの情報を伝える限界が1個あるからこそ、リアルな場を求めるという行動になるんですが、今度はリアルな場自体が増えすぎていて、リアルな場疲れがある。
「ハレとケ」で言うハレが増えすぎているので、今度はハレとケのバランスをどう取るか。Webメディアのリアルな場をやるのであれば、それを意識しないとお客さんが疲れてしまう。「うまい魚があるから食え」というイベントをやっても、どんどん減っていったりするんですよ。
長谷川:確かに。集客が苦しくなってきたりしますね。たまに肉を差し込むとまた跳ねたり(笑)。
徳谷:それもやりながら学んでいくことだとは思うんですけども、結局こういう場に来てくれる人の意識自体を少しずつ変えていって、定期的に来る人もいれば、たまに来る人もいる。いろいろなレイヤーで、来るお客さんのことを想像してコンテンツを作っていかないと、みんなすぐ麻痺しちゃう。
流行り・廃りのある即時性の高いものにみんな飛びついちゃう。大事なことが見えなくなることが、2018年は本当に強いなと。
インターネットの仕組み自体がけっこう偏ってきているので、ここにどう抗うかを本当に考えないと、一気に飲まれちゃうなと。しっかりしたことを言っちゃいましたけど(笑)。
長谷川:今日、柿次郎さんしっかりしているなと。どうしようと思って。
(会場笑)
徳谷:それはRettyさんも感じるところがあるんじゃないですか。
山田:今、リアルとネットで言うと、意識高い層とまったくそうじゃない層の二極化みたいによく言われると思います。
海の取材をするようになって、最近思っているのは、その真ん中あたりでおもしろい人たちが出始めていて。僕はそれを勝手に「読モ化(読者モデル化)」と言っています。
例えば、さきほど少し紹介していただいたカツオちゃん。まったく違う業界で働いていた人が、おばあちゃんがカツオ節を削るのを見た瞬間に「これだ!」となって、カツオ節しかやらなくなったという人なんですけど。
プロではないしアマでもない、そういう身近な存在として、カツオちゃんはカツオの読モみたいな感じだと思っていて。そういう人が少しずつ、いろいろなところで出てくると、緩やかなコミュニティができていく。熱量が高い人だけになると疲れちゃう人もいるので。
長谷川:なるほど。
山田:だから、いろいろなバランスでコミュニティが生まれてくると、個人的にはいいかなと思っています。
長谷川:海の読モは誰なんですかね。海さくらはもともとダイバーやサーファーも手伝ってくれて、その中間を確かに繋ぐ役として必要になってくる。
偏りすぎると、ミイラ取りはミイラになってしまう。自分も漁師的なことをやりすぎて、生産者っぽくなる瞬間があるんですけど。
(古澤氏に向かって)最近、海はどうなんですか? 楽しむ人は、やはり減っているんですかね。ほどよく楽しむ海と陸を繋ぐ、レジャーで繋ぐ中間の人はいるんですかね。
古澤:わかんないですね。
(会場笑)
長谷川:そうですよね(笑)。すみません。
古澤:ただ、僕たちがターゲットにしているのは、環境に興味がない人。
長谷川:ですよね。そのほうがいいですもんね。
古澤:僕ももともと、海にポイ捨てをしていた人間なんですね。
徳谷:何を捨てていたんですか?
古澤:タバコです。
山田:えっ!?
古澤:もともとは正直に(言うと)、慈善活動じゃなくて、漁師さんがタバコをパーンと海に投げるのをかっこよく感じていたんです。そういう時代が本当にあって、僕もパーンと。それは正直あったんです。
(会場笑)
古澤:だから自分自身が海は大好きだけれども、ポイ捨てをしていた人間ですし、環境について活動し始めたときも、誰かが環境について真面目に話してくると「うさんくせえな、コイツ」と(思っていたので)、偽善者や意識高い系と思う気持ちもわかるんです。
僕はどちらかと言うとやんちゃ坊主でしたから、そいつが急に海のゴミとか言っていたら、みんなに「金絡んでんの?」と思われるんですよね。
逆にそういう気持ちがわかるので、僕は環境に興味がない。要は海のほとんどのゴミの7~8割が街からきているので、環境団体同士でWIN-WINと肩組むと、まわりは逆に環境から遠ざかってしまうんです。
長谷川:なるほど。
古澤:環境団体じゃない人とやっていかないと、(一般の人が)「煙たいな、環境やだな」と遠ざけちゃう感じがあったので、あえてずっとバカをやっていかなきゃいけない部分もあるんじゃないかなと。
長谷川:なるほど。まさにご自身が「間の人」だったということですよね。
古澤:そうだと思います。そういう環境だと思いますけど。
長谷川:自分も漁業漁業と言っているんですけども、もともと、まず泳げないです。魚を食えなくて、魚の眼を見れなかったんですよ。(魚は)彼らがお亡くなりになっても、ずっと見つめてくるじゃないですか。
そういうのが怖くて、小さい頃トラウマがあって魚は食えなかったりとかして、それで東北に行ってスイッチが入ったので、今のお話はすごくわかるなと思って。
そういう人のほうがどちらの話もわかるから、どちらとも繋げますよね。
古澤:本当にいろいろな方がいていいかなと思っていて。環境団体の方や、いろいろな方がいてもいいんですけど、いろいろな方たちに、いろいろなコンテンツ。この人はこれが合うとか、真面目な人から不良まで見たくなるようなGyoppy!になってきたら、うれしいなって思います。
長谷川:めっちゃいいこと言いますね。リアルかネットなのかわかんないですけど、海の環境やRetty、地方系のメディアのチーム1個で、いろいろやってみるというのもいいですよね。Gyoppy!軍団で、合同で何かやったりしたら、おもしろいかもしれないです。
徳谷:確かに。
長谷川:絶対できますもんね。食べて、ゴミ。わかんないですけど。
徳谷:タバコを捨てて。
(会場笑)
長谷川:タバコを捨てたのを拾う。
山田:拾う(笑)。
(会場笑)
徳谷:そのサイクル、なんなんですか。
長谷川:(笑)。
徳谷:難しいのは難しいと思うんですよね。難しいことをヤフーのトップに乗せること自体が、より多くの人に見つかることでもあるので。
長谷川:そうですよね。
徳谷:ヤフーさんのコメント欄はたまに荒れるじゃないですか。
長谷川:そうですよ(笑)。荒れるときもありますよね。
徳谷:編集責任を負っている身として、それが怖いんです。
長谷川:ですよね。
徳谷:荒れ方云々もいろいろあるので。
長谷川:そうですよね。いい荒れ方もありますからね。
徳谷:そうですね。そこに適用のものを差し込んでいく。それぐらいの気合いがないと、世には届かないと思います。いわゆる専門誌の方々のように、難しいことを難しく伝えることと、難しいことをわかりやすく噛み砕いておもしろく伝えるという両軸が必要なので、それがどんなふうにヤフーを読んでいる方々に受け入れられるのかということ自体を、すごく増やすべきというか。
長谷川:そうですね。
長谷川:ふだん僕がやっているメディアよりも、大衆に近いところにボールを投げ込むことになるので、そこの切り口を3人でやる。(古澤氏と山田氏に向かって)企画を月10本ずつぐらいもらっていいですかね。
古澤・山田:(笑)。
長谷川:そうしましょう。
徳谷:僕たちが代わりに取材しに行くので。
長谷川:確かにそれはおもしろいかもしれない。
徳谷:現時点でたくさんネタが飛んできて、山ほど取材対象者があります。全国の漁業・水産業の現地をバランスよく行くのは、すごくハードなことなので。
もちろん経費も嵩みますし、そこでバランスよく現地に行って、情報発信を担う。まだ東京でしか記事を書いていないライターたちが現場に行って、うまい飯を食って、課題に直面する行為自体を優先したほうが、結果チームは強くなるんじゃないかと、今は思っています。
長谷川:確かにそうですね。
長谷川:ですから、まさに柿次郎さんや古澤さんは、自分には持っていないネタやネットワークを持っていらっしゃる気がしています。正直、プラスチック関係のネタが弱いので。今すごくうれしいです。
(古澤氏に向かって)子どもと楽しいことをやっていますもんね。相撲、すごくないですか、力士と。あとはサッカー。
古澤:そうですね。お相撲さんが浜辺に来たら、子どもたちや大人たちも浜に来てもらえると思って始めました。サッカーは、街のゴミの7~8割が海にきているものですから、多くの人に伝えたいと(思って始めています)。
イベントをやっても、我々が一番多く集められたとしても、1,000人ぐらいです。湘南ベルマーレから始まったんですけども、ただサッカーのホームゲームのスタジアムには1万5,000人の方たちが入っている。
ベルマーレの社長と仲良くなって、1万5,000人の人たちに「街と海が繋がっているんだよ。排水口にポイッと捨てていたら、それが海にいっちゃうんだよ」「ウンチしたらどこに行くの?」。そういうことも含めて、街と生活と海がどう繋がっているかを伝えられる母数がサッカーは多いじゃないですか。そこに1万5,000人いるわけですから。
それで毎回、そういうCMを出して、試合終了後、だいたい年間20試合ぐらいのゴミ拾いを、試合終了後にやる。マリノスの場合は試合前ですが。今、Jリーグとプロ野球とバスケットを含めて10チームやっています。
長谷川:すごいですね。そういうネタも含めて繋ぐのが上手ですよね。きっと、急にサッカー選手から「一緒にやろうぜ」ときたわけじゃないじゃないですか。
古澤:最初はお願いしました。逆に海さくらのゴミ拾いに湘南ベルマーレの選手が来ると、「あの選手に会いたい」と海に来て、それで楽しんでもらって。「実はこのゴミは街からきているから、ちょっと(気を付けて)生活をしたらいいんじゃないの」ぐらいの感じで、押し付けがましくならないようにやっている感じです。
長谷川:すばらしいですね、山田さん。
(会場笑)
山田:雑すぎ(笑)。
長谷川:しゃべるのがうまいから、そういう振り方でいいのかなと(笑)。
山田:でも今のお話を聞いて、やはり誰かを媒介にして違うジャンルを繋ぐのはすごく大事ですよね。
長谷川:食は比較的繋がりやすいと思うんですよね。きっとTOKIOさんよりも楽に消費者との接点作りができると思います。
山田:そうですね。例えば、食堂や定食屋に行っても、割と出ているメニューはサバやサケです。
長谷川:大衆魚ね。
山田:大衆魚は、基本的に並んでいるのが似通っているじゃないですか。そういうのがすごくもったいないなと思っていて。お店はこだわりをもっと持っている。取材で行くと、焼き魚1個を取っても、オスとメスで焼き比べをやっている店があるんですよ。
長谷川:マニアック、すごい。でも、実際違うからね。
山田:それこそ誰かに言うと、「そんなのあるんだ」と驚いてもらえたりして、誰か一人のやっていることとか、思いを持ってやっている人の(情報を)発信すると、新しい人と新しい人がつながる。おもしろいことが生まれてくるんじゃないかなと思います。
長谷川:なるほど。今の話を聞いたら、いきなり腹が減りません? そんなことはないですか?
徳谷:減っていますね。
長谷川:なんか近いですよね。その話を聞いた瞬間に興味がパッと湧いてきて、「なんでオスとメスで違うの」というような。なぜ違うか知ってます?
山田:わからないです。
(会場笑)
長谷川:わからないか(笑)。やはり卵を産むというのはすごくエネルギーを持っていかれるので。サケの船に(漁師の)阿部勝太に乗せてもらったから知っているんです。
サケで言うと、卵を持っているからメスのほうが美味かったりするので、値段が高い。いろいろあるわけですよ。そういう違いもあるし、ホタテをむくと、白っぽいのが精巣で、赤いのに卵巣があるんですけど。肝を料理すると味もぜんぜん違うし、食につなげた瞬間にネタも尽きないわけです(笑)。
古澤:我々は小さい団体がずっと13年間やっていく中で、こうやって世間も最近海ゴミとか……。
長谷川:そうですね。今きてませんか? 「オルタナ」さんもプラスチック特集で、日経も昨日だか今日だかも、プラスチックの特集でした。
古澤:僕たちは今まで世間の誰も見てくれない中でやっていたので、企業も含めて我々みたいな団体がGyoppy!さんに加われることは本当にチャンスだと思っているんです。
長谷川:本当ですか。うれしい。
古澤:チャンスを生かしたいと思っているので、いただいた機会やつながりをフルに全力を出して、ヤフーさんから言われることも含めて、みなさんとの課題も「なんかこういうのない?」と言ったときは、とにかく全力でやって。
海の良さとか、海の問題をなくしていきたいという気持ちは本気なので、やるなら今しかないという気持ちで全力を尽くしたいと思っております。
長谷川:ありがとうございます。すみません、1つ。古澤さんにとって海とはなんですか。
(会場笑)
バックグラウンドをさきほど聞いたから、アレですけど。
古澤:もともと船の道具屋さんなので、川や海でお世話になってきています。でも、それよりもTUBEやサザンオールスターズなど、カッコいいところに引っ張られている自分は、ある程度あると思います。
長谷川:なるほど。「その海を一緒に盛り上げる」ということですね。
古澤:なので、がんばりたいと本当に思っておりますので、よろしくお願いいたします。
長谷川:ありがとうございます。
(会場拍手)
長谷川:(山田氏に向かって)では、海とは。お願いいたします。
山田:今の古澤さんのお話で、「光が当たってこなかった」というようなことをおっしゃったと思うんですけど。僕も取材し始めて思ったんですが、本当に海に関わる人もそうだし、魚の魚食文化もすごいし、知らないのがもったいないことだなと思うんですよね。こんなに楽しいのに、と思って。
話が変わるんですけど、Rettyでお店によく取材に行ったりするので、いきつけの和食のお店があって。そこの料理人にいろいろお話をしてもらうことがあって、「和食の基本は陰と陽だ」というような話をしていて。
陰と陽、つまり光と影だと言っていて。昔から日本文化はニコイチで考えていて、例えば、和食屋さんで刺身を出すときも、絶対にお皿にワカメを敷いたあとにマグロを乗っけるわけなんですよね。
それはなんでかと言うと、ワカメの緑の上にマグロの赤があると映えるので、持ちつ持たれつの関係。それで本当はやっていたのが日本のもともとの文化なんですけど。
最近、都会では、効率など、割と人間が好むものばかりに光が当たっていて、逆に自然や人との繋がりといった部分が疎かになっているのかなと思うので。
僕らとしては生産者や海だとか、最近光が当たってなかったところにしっかりフォーカスして、Rettyでしかできない飲食店や料理人さんや生産者さんの繋がりなどを生かして情報発信していけたらなと思います。
長谷川:なるほど。海とは?
山田:僕は出身が岐阜県で。
長谷川:海なし県だ。
山田:そう。海なし県なんですよ。だから単純に憧れがあって。憧れるものを追っていくというようなところで、これからもがんばって漁師さんの魅力を伝えていけたらなと思います。
長谷川:ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
(会場拍手)
徳谷:僕の意気込みは3つあります。1つはとにかく美味いもんを食いたい。僕はまだ現場にあまり行けていないので、現地で本当に美味いものを食って、それを伝えたい。
もう1個が釣りたい。釣りたいと言うか、獲ってみたいという狩猟本能的なものに自分を置いてみたい。
あとは個人的にはオリジナルコンテンツで、例えば漁師の奥さん3人を集めて対談させる。そういう漁師や水産業の裏側にある人たちの価値観やストーリー自体をおもしろく伝えたいなと思っていて。
あと、漁師ってめちゃめちゃ生命力が強くてかっこいいじゃないですか。
長谷川:はい。
徳谷:セクシーという言い方でもいいと思うんですけど、そういう価値観自体を、不謹慎がどうこうではなくて、そういうものだから美味い魚が獲れるという。
長谷川:なるほどね。
徳谷:まだ原稿化されてないところの記事を読者の好奇心に寄り添った感じで、記事にしていきたいなと。
長谷川:本質や本能に近づくような伝え方ですよね。
徳谷:そして顔の彫りを深くしたいのが僕の人生の目標なので。
長谷川:確かに(笑)。言っていましたもんね。
徳谷:ずっと。だから普段、長野県に家を借りていて。海なし県で、どちらかと言うと山のほうが好きなんです。だから「海とは」と聞かれたら、怖いです。感覚的には海のほうが怖いなという。山も危ないんですけど。
だけど、せっかく長野にいながらそういう漁業のメディアに関われたので、両方知りたい。
海と山が一番近いところがすごくプランクトンが豊富で良い魚が集まるという話を聞いて、かなりおもしろいと思って。そういう知的好奇心を絶やさずにギョピっていきたいなと思ってます。
長谷川:ギョピっていきましょう。
徳谷:よろしくお願いします。
長谷川:ありがとうございます。よろしくお願いします!
(会場拍手)
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