ポストイットを使ったQ&Aセッションでスタート

仲山進也氏(以下、仲山):仲山です。今日はよろしくお願いします。

青木耕平氏(以下、青木):青木です、よろしくお願いします。

(会場拍手)

仲山:青木さんとは最近仲良くさせてもらっていて、喋ろうと思ったらずっと喋り続けられるという感じです(笑)。お茶を飲みながら3時間くらいはいろいろ話したいことがあるというようなおじさん2人です。

放っておいたらずっと喋っているので、みなさんが今日はどんなことに興味を持たれているか、問題意識を持たれているかを1回受け取ったうえで、それを見ながら喋ると、お役に立てる話にウエイトを持っていけるかなと思っています。

青木:大人なのでニーズにこたえたいです(笑)。

(会場笑)

仲山:ポストイットを持ってきたので、最初に1人2枚ずつくらい取ってもらって、ここに聞きたいこと、話題になったらいいこと、質問などを書いてもらってもいいでしょうか。それを集めて眺めながら進めていきたいと思います。

これをやるとシーンとする間ができるというデメリットがあるので、よろしければ近くの人とごあいさつしていただいて、「今日は何しに来たの?」と軽く話しながら書いていただくような過ごし方をしてもらえればと思います。

(質問事項記入中)

自由とは、自分の判断基準で選びとれるということ

仲山:それでは、まずこの中で青木さんへの質問として、「自由な社員ってどう思いますか?」「クラシコムでも自由に働いている人はいますか」というのがあるので、これを聞きたいと思います。その前提として自由の定義を決めておきましょう。

ちなみに本を読んでくださっているのはどのくらい? ありがとうございます。ごく少数ということで(笑)、読んでいない前提で進めさせていただきます。

タイトルに「自由」と書いてあるので、ちゃんと自由を定義しないといけないと思っていて、どうしようかと考えたときに、普段人から「いいよね、仲山さんは自由に働いていて~」と言われることが多くて、そうすると心がザラっとするんです(笑)。

なんでそう思うのか考えると、「自分はこんなにちゃんとやっているのに、あなたは好き勝手やりたい放題やっていていいよね」というような非難のニュアンスを感じるからかなと(笑)。

僕の中では「自由」とはそういう意味合いではないと思っています。自由の対義語には束縛、規律、統制、命令といったものがあります。「自分」を訓読みすると「自分に由る」と読めて、「由る」は理由の「由」だから、「自分に理由がある」と読めます。

「自分に理由がある」ということは、いくつか選択肢がある中で、自分の判断基準でいいと思えるものを選びとれている状態だと思っています。

反対語は「他人に理由がある」という「他由(たゆう)」。造語ですが、他由というのは「他人にやれって言われたからやっています」というような。

最初に他人からやれって言われてやることでも、自分のなかで意味をつけかえたりすることで、自分で「これならやる意味がある」と思える状態にできれば、それは他由スタートだけれど自由に変換できたという状態になると思うので、自由だと呼べる状態だと思うんです。

そういう状態を僕は自由だと考えているので、何もしないでハワイで寝っ転がっていたらATMに入金されますというようなニュアンスや、職場にいっぱい同僚がいるのに迷惑を顧みず独断で動くようなことを自由とは思っていないということを、まずはお知らせしたいと思っています(笑)。

経営者から見た自由な社員とは、自由意志で働いてくれる人

仲山:そういう意味で言うと、青木さんは自由な社員についてどう思いますか?

青木:「経営者である青木さんは自由な社員をどう思いますか?」「クラシコムでは自由に働く人がいますか?」というご質問をいただいているのですが、基本的に僕らの会社で今仕事をしている人の中で、「ここしか働くところがないから生活のために仕方なくうちで働いている」という人はあまりいないかなと思います。

なので、自分の意志で選択的に選んで働いてくれているかどうかというところで言うと、わりとそういう傾向の強い会社かなと思います。

ただ一方で、例えば自由という言葉が「副業する人がいっぱいいる」「働く場所や時間の制約が全然ない」というようなことを意味しているとすると、決してそういう傾向が強い会社ではありません。

今、制度的にリモートワークができるとか、フレックスで就業と始まる時間をある程度自分がコントロールできるというルールの中でやっていますが、あくまで社内に説明しているのは、

「これは働く人のための制度ではなくて、最も生産性を上げるために何時から何時まで働くか、どこで働くかを選択できる権限を渡している。そして、その権限を活用して生産性を最大限にするための制度なので、『家でも働けて楽だな』『寝坊ができる』ということを実現するというよりは、『本当だったら10時から働いていたほうが自分としては生産性が上がるのに』という人に、わざわざ9時に来てもらわないというだけの話だよ」

ということです。

いろんな揺らぎが許される制度ではあるけれど、いろんなパラレルワークを推奨するようなものではありません。経営者として自由な社員というのは、自由意志で働いてくれている人だけであってほしいと思っています。いわゆる副業をいっぱいしている人の集まりであってほしいとはあまり思っていません。

副業したいと思わないような仕事を用意したい

青木:我々はとくにブランドビジネスをやっていると思っているので、構成員の高度なロイヤリティとコミットメントが必要なタイプの仕事をしていると思います。なので、我々のスタッフで言うと、働いてはいないけれど、休みの日でもどこか暮らしの中で、「これは次の記事に使えるな」ということを考えていたりします。

例えば、マネジメントの立場にある人であれば、自分のスタッフの問題がどこか頭を悩ませているということは全然あると思うんです。多分プロフェッショナルな仕事というのはそういうものかなと思っているので、働く時間はどうあれ、わりと精神的なコミットメントを求めるタイプの会社です。ただ「副業を許しません」というのは、現実に(副業を)している人もいるし、それはケースバイケースでというかんじですね。

ただ経営者としてどうあるかと言うと、経営者は雇う側、働いてもらう側なので、実は選ばれる側じゃないですか? 実は「採用する」というのは、「選んでいる」と思うかもしれないけれど、それはあくまでも「選んでもらっている」人の中から選んでいるだけだから、実は「選ばれる側」なんです。

そうだとして、みなさんは「選ばれる側」だとしたら、絶対に「自分だけ」と思ってほしいと思うんです。それは「人を選ぶ」「結婚する」ということと一緒だと思うんです。経営者としては、副業したいと思わないような仕事を用意したいと思うし、そういうふうに思わないでいいような職場を用意したいというのが率直な気持ちです。

そのうえで、何か事情があって副業しないといけないとか、将来のことを考えてこういうふうにしたいから、こうしたいというようなものがあるのであれば、「別にいいんじゃない、本業に影響しない程度に」というかんじです。

仲山:自由な働き方というテーマで話をすると、「うちは大企業なので、そんなに自由には働けないです」と言う人もいれば、「うちは零細企業なので人が少ないのでそんな自由になんかできないです」と言う人もいます。

世の中には「私の場合は自由に働けない」ということを自信をもって僕に教えてくれる人が多いのですけど、その自信は別の方向に活かしたほうがよいと思います(笑)。

さっき言ったような「自分に理由がある」という自由の定義であれば、大企業であろうが、フリーランスで1人やってようが、経営者であろうが平社員であろうが、別に関係ないと思っていて、本業と副業がどうのこうのというのも、自分に理由があるかどうかという軸で考えたら、どうでもいいと言えばどうでもいいんですよね。

「ここまではセーフ」なラインを探りながら、とりあえずやってみる

青木:副業にも、他由の副業があると思うんです。「今の仕事も不安だから副業もしておかないと」というのは、決して自由意志の行使ではなくて、あくまでも制約事項に対して選んでいるから他由ですよね。まったくの自由意志を行使した結果として副業はしていない人と比べて「どっちが自由なんですか」と言ったときにどうなのかって、わかりにくいですよね。

その仕事だけしている人の中でも自由な人も不自由な人もいるし、副業をしている人の中でも自由な人と不自由な人もいるということは、自由と不自由というのは心持の問題だというところはあるかもしれません。

自由にやるということについて、共通している心持は何かと言ったときに、最終責任を人にゆだねていないというところがあります。雇われているにしても、そうでないにしても、多分仲山さんもそうだと思うんですけれど、自由に組織の中にいて働いている代わりに、いざとなったら「クビにしてください」という覚悟のようなものがたぶんあってのことじゃないですか。

だから、多分そういう心持ちというのは、フリーとか自分で仕事をしている人にも、現代ならできるのではないかなと。自立みたいなこととセットになっているかもしれないですね。

仲山:本にも書かせてもらっているように、新しいことをやりたいと思ったときに上司に許可を求める人が多いと思うんですが、僕は上司の気持ちになってみたんです。そうしたら、「やったことがないこと」をやっていいかと言われてどうなるか。責任を取りたくないなと思ったら、ダメだと言うしかない。もしくは責任を取りたくないからまた上の上司に決めてもらうという二択ですよね。

自分では責任を取りたくないという慎重派の人が縦ラインに1人でもいれば、その時点で新しいことは却下されるのが普通だろうから、わざわざ自分の上司の縦ラインの人に考えてもらうのも生産性が低いなと思いました。だったらそんな迷惑をかけるよりも、とりあえず黙って始められる範囲でやっておいて、「こんな合宿を思いついた、とメルマガに書いたら参加したい人が20人集まってしまったんですけれど、やってもいいですかね?」というかんじでやりました。

あとは会社の誰にも言わず、自分の名前で本を出してみるということを2010年にやって、出来上がった本を三木谷(浩史)さんのところに持って行ったところ、クビにもされず、怒られもしなかったので、「これはセーフ」というような(笑)。

「ここまではセーフらしい」という、ゴルフのOBラインがどこにあるのかを手探りで夜中に確認をするというような作業をしているかんじで働いているところがあるんですけれど、意外と怒られないんです。