ないものは自分で作るしかない

司会者:小林様と白濱先生と、弊社のヘルスケア事業部副事業部長の平田がモデレーターを務めさせていただきます。

平田裕美氏(以下、平田):こんばんは。セブン・ドリーマーズ ヘルスケア事業部の平田と申します。ここからは、私から質問する形式でディスカッションをさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。今日は、まず小林様に健康経営や睡眠の大切さという流れから、新たに必要なサービス、新たな事業をご紹介いただきました。

白濱先生からは、産業医の立場、そして医師の立場から、睡眠と無呼吸症候群を含めた大切さを講演いただきました。まずは、睡眠をテーマに企業を起こされたり、医学を始められたきっかけを教えていただければと思います。小林さんから(お願いします)。

小林孝徳氏(以下、小林氏):きっかけは、実は昔、私自身が被害者だったということがありました。受験生の頃にいい眠りがとれなかった。いい眠りがとれないというよりは、親が「寝ないで勉強しなさい」という感じでした。

社会人になってからもけっこう「寝ないで仕事しなさい」という会社だったので、メンタルも落ち込みまして、それをなんとか解決しなきゃなということがきっかけでした。

平田:もう医療機関に行くことが必要なくらいの疾患に一回陥ったので、そこからこういう新たなサービスが必要だということで始めたんですか?

小林:幸いなことに、私は医療機関に行くまでには至らなかったんですけれども。明らかに会社での人間関係が悪くなったりしたので、もっと前の段階で根本を解決できる仕組みがないかなと思い、(探しても)なかったので自分でやろうというのがきっかけでした。

平田:なるほど。ありがとうございます。白濱先生はどうでしょうか?

睡眠時無呼吸症候群を放置すると約8年で4割が亡くなる

白濱龍太郎氏(以下、白濱):僕の場合は最初のきっかけは、睡眠の中ではやっぱり睡眠時無呼吸(症候群)だったんですね。私が内科の医師としてがんの治療などをしていた当時、我々の世界でエビデンスと呼ぶ、ちょっとこわいデータが気になりました。それは、睡眠時無呼吸を放っておくと、約8年後に4割の方が亡くなっている、というもの。

当時の古い研究ですので、今のレベルからいくともうちょっと違うデータが出てるかもしれないんですけれども、当時の私は逆に、例えば医師としてがんを治すとか救急救命をやろうとか、そういう方向性でいました。そこで、目の前の患者さんだけを治すことよりも、これだけ大事な(睡眠という)ものがあって。

これは小林さんと同じかもしれませんが、医療としてそれ(睡眠時無呼吸症候群)をどれくらいやれるんだろうかと思ったときに、日本はあんまり(取り組みが)進んでいなかったんです。

そういうこともあって、本当にその日の前後から、たまたま睡眠時無呼吸の治療を受けたりしてる患者さんを診てはいましたので、そこからさらにフォーカスしていったという流れかと思います。

平田:ありがとうございます。ご質問のある方はいらっしゃいますでしょうか? 今は、健康経営が流行っているといいますか、(そういう)言葉になっています。

きっかけは、2015年に経済産業省が「健康経営銘柄」という言葉で、一部上場企業から20社とか、今年も26社くらい選ばれて、毎年そういう評価をしていく制度ができてから、健康経営という言葉をよく耳にすることになったと思います。

健康経営って一体なんなのかを、私も改めて調べてみました。まず「従業員の健康維持・増進の取り組みが、将来的に収益等を高める投資であるという考え方のもと、健康管理を経営的な視点から考え戦略的に実践すること」という言葉になっています。つまり、福利厚生というよりは、経営的な視点から健康経営に取り組みましょう、という方針になっているんじゃないかなと思っています。

私たちセブン・ドリーマーズも、ヘルスケア事業部がありますが、健康経営的なことがしっかりできているかというと、実はぜんぜんできていなくて。これからちゃんとやっていかなくちゃいけないかなというところです。

ここに来られている方も、「健康経営でまずは何をやったらいいのか」という始め方を探している方もたくさんいらっしゃるんじゃないかと思います。

まず小林様から見て、何から始めることが健康経営の一番きっかけに(なるのか)、健康経営はどうするべきかをお伝えいただければと思います。

健康経営にどのように取り組んでいくべきか

小林:例えば、トップの経営者が健康経営を宣言したり、人事の方にタスクが作られたりします。それで、人事の方がなんとかしなきゃいけないということで、従業員の方にアプリを使ってもらうといった対策をされている企業もいらっしゃいます。

健康経営を実現する上で、(こういった睡眠に関する)サービスを提供する我々事業者側としてやらなきゃいけないと思っているのは、すべてのステークホルダーがハッピーになる仕組みを作ることです。

具体的には、よくありがちなのが、トップから「他も健康経営をやってるからうちもやっといて」という感じで人事に振られ、人事はそれが何のことなのかをよく嚙み砕くことができず、どうでもいいから研修をやってみようと。

なんとなくやったつもりになって、なんとなく満足度が高いからそれでいいや、と思って、結局経営者が「(健康経営を)やるぞ」といった本当の目的は汲み取れていなかったりします。

そのあたりはしっかりとヒアリングをした上で、本当に全員がステークホルダーとwin-winになるような仕組みを作っていくことが重要です。あとは見える化をしていくことが(健康経営の)きっかけになるかと思います。

平田:今、企業様とコラボレーションしている中で、産業医の先生はどのような形で入られているんでしょうか。

小林:産業医の先生と我々が深くコラボレーションすることは、今のところはないんです。どちらかというと、ちょっと体調がおかしいなと思って相談する(ようなことが)、企業の中にいる医師が産業医の先生の立ち位置ですよね。

そうなる前に、睡眠であればセルフケアできるような仕組みを、知識として、武器として、スキルとして提供していく。それが我々の役割分担という感じです。

平田:産業医でもある白濱先生としましては、健康経営に対しての考え方はいかがでしょうか。

白濱:そもそも産業医の立ち位置が、日本ではなかなか悩ましいところがあります。たぶん大手企業の方以外は、産業医に会ったことがない方もいらっしゃると思うんですね。従業員が50人以上いたり、100人以上、カテゴリによっては1,000人、2,000人ありますけど、(それくらいの企業規模になると)産業医も何人かいると。

じゃあ産業医ってなんだろうというと、実は健康診断に引っかかった人に二次健診のお話をしたりということではないんです。本来であれば、(社員の方の)職業領域、例えばバスとか電車とか飛行機とか、そういう職に関しては乗務制限とか乗務解除とか、本来の仕事を続けていいのかどうかに踏み込んでいくことが求められていると。

睡眠にも医療と呼べるアプローチが必要

白濱:私はだいたい10ヶ所くらいの産業医になったことがあります。それぞれの業種において、それこそ電通の自殺の事故から、そして職場におけるストレスチェックから、我々もかなり本来の(医師としての)仕事をしなきゃいけない立場になってきたという感覚を覚えています。

例えば、私は、もとから睡眠についてフォーカスして、職業領域の仕事をしていますから、イメージはつきやすいです。ただ、一般の先生にそこが当てはまるかどうかは非常に難しい。さっき小林さんがおっしゃったとおり、産業医に関わらず、会社があまりそういうものを求めていないこともあり得ます。

実は我々は一昨年くらいから、厚労省と駆け引きということで……まあ厚生労働省の改善ですね。職場復帰やいわゆる業務制限に対して、産業医と主治医、会社の人事部がどうコミュニケーションをとっていけばいいのか、という指針を作っています。それも睡眠が必要ですし、両立支援の中で、本当に睡眠もきちっと医療と呼べるようなアプローチがすごく必要じゃないかなと思っています。

平田:先生の産業医としての立場と、(小林氏の事業のように)それよりも一歩手前でケアすることによって、お互いがしっかり仕事を分担でき、良い環境を作っていけるんじゃないかというのが今の現状です。

それを目指していかないと、健康経営だけが走って、それで終わってしまう可能性もあるので、お互いの立場をフルに活用して、社員の健康を維持していくことがこれからの課題かなと思います。フロアの方から何かございますでしょうか。

質問者A:本日はありがとうございます。弊社では未病判定チェックという特許のチェック(テスト)を有しています。いろいろな方にそのチェックをやっていただくんですけども、やはり中小企業やベンチャー企業の経営者様になると、かなり健康状態が悪くて、睡眠の質(も悪く)、夜にうなされて起きる方もおられるんですね。

そういったときに、経営者の人にそれ(事業のこと)を考えるなというのもなかなか厳しくて。忙しくて常に考えていなきゃいけない人が、どうしたら良い睡眠をとれるのかというアドバイスをいただきたいです。ちょっと難しいかもしれませんが(笑)。お願いします。

平田:どうでしょう(笑)。

忙しくても「結果を出したければ寝なさい」

小林:忙しくて、すごく交感神経優位な状態で頭がフル回転している状態でも、比較的、体温や照明のコントロールで、寝付きやすさを誘発していくことはできます。そういったところを、いろんなグッズなどで試してみるのは1つかと思います。

あとは「結果を出したければ寝なさい」ということだと思っていますけどね(笑)。弊社の場合、睡眠ベンチャーだということもあるので、ホームページでもメンバーにも理想的な睡眠時間をお伝えしています。

あと仮眠室もあるんですけれども、先ほど白濱先生もおっしゃったように、基本的に人それぞれに最適な睡眠時間は、年齢によっても変わってくるんですよね。

やっぱり40代の方と20代の方、30代と違ってきます。これまでどういう働き方をしてきたかによっても適切な時間などが違ってくるので、それを見つけ出して、それ(適切な睡眠)をとってハイパフォーマンスを出しましょう、とか。

止むを得ず、今日は4時間しか寝られませんでしたとなったら、仮眠をとりましょうとか。理想(の睡眠)はできなくても、仮眠をとったりしてベターな方向を目指すことを、企業の方や忙しい方にもお話しています。

白濱:中小企業の社長さんって、けっこう寝なくても数ヶ月持つ。要するに、人一倍体力も気力もある。その割には飲みに行ってこいと。自分は大丈夫だと。わからないですけど、もしかすると通常の方と中小企業の社長さんを比べると、人間の中でも少し種類が違うのかもしれないですね。

ただ、その方たちもやっぱり腑に落ちると、けっこうやるわけですよね。要するに、「寝なきゃいけないのはわかってるけど忙しいんだよ」と。社員から夜もメールがくるし、付き合わなきゃいけない。

だから、いかに腑に落ちるかですね。ご存知かもしれないですけど、例えば海外の企業のトップは、実は睡眠時間は7時間くらいとっている方も多いんですよね。スポーツ選手とか、もちろんイチローもしっかり寝ていますし。

それが、ある年齢になった経営者もしくはプロアスリートが、「まあこのぐらいでいいや」と(思うようになる)。モチベーションの低下は目に見えないんですけど、僕は一番こわいと思うんですよ。会社としてすごく新しい取り組みができそうでも、「まあいっか」となってしまうと、とくに中小企業はどんどん変わってきてしまう。

そういうときに、ネットを見ると「このくらいのレベルの方たちが実はこれくらい寝てるんだよ」という情報がいろいろあります。そういうものをちょっと実例としてピックアップするだけでも、腑に落ちるかもしれませんね。

平田:ありがとうございました。他にありますでしょうか?

睡眠の質をリアルタイムで改善することはできるか

質問者B:貴重なお話をありがとうございます。1つお伺いしたいことがございまして。最近、とくに欧米のほうを中心にスリープテックが……。

スリープテックといってもとくに、睡眠中の脳波なり、例えば体動なり心拍なりを計測して、それでその睡眠の状態を判断するだけではなく、アクティブにフィードバックをかけることによって、睡眠の質を改善させる試みが出始めていると思います。

個人によって千差万別の睡眠の状態に対して、リアルタイムになんらかのフィードバックをかけることは、実際にどのくらいの改善効果があるのでしょうか? 今日のお話は、どちらかというとサーカディアンリズムを整えるということが非常に大事だと(いうものだったと思います)。これはもちろん明確だと思うんですけど。

そういったところで、さらに個々人の睡眠をより良くするために、テクノロジーでフィードバックを送ることについて、どのようにお考えなのか、よろしければお話をお願いしたいと思います。

小林:我々もスリープテックという領域を専門としているんですけれども、自社の睡眠計測デバイスを開発したり、そこからとれた心拍・呼吸や体動、そういったさまざまな全体情報を、個人差を見て解析するアルゴリズムなどを作っています。

睡眠の質改善という観点では、実際に我々が今やっていることとして、家電メーカーさんとお話ししているものは、リアルタイムの睡眠のデータに基づいて、エアコンや照明が制御されるというものです。

例えばレム睡眠の時、実は体は動かないんですよね。脳はすごく動いてることもあるんですけど、体が動かなくなるんです。ノンレム睡眠が最初に深く出てから、90分後くらいにレム睡眠になる、というサイクルになります。

五感に働きかけて睡眠の質を良くする

小林:これからの季節は暑くなると、レム睡眠の時に体が動かなくなると、マットレスと体の間に熱がすごくこもりやすくなってしまって、暑くなると中途覚醒が起きて睡眠が分断されてしまう現象が起きてきます。

そういうときに、レム睡眠に入ったことを検知をしつつ、エアコンがそこで制御されるような世界観だったり、目が覚めるにつれて光がコントロールされていくとか、とくに阪急阪神第一ホテルグループのレムホテルなどでは、たしか目覚ましの時刻に近づくにつれて(室内の)光がだんだん明るくなっていく、というリアルタイムの制御があったと思います。

寝室の光や空調の制御はすごく(やってみる意味は)あるかなと。あとは香りも、けっこう賛否両論です。論文やエビデンスデータはあんまりないと私は認識しているんですけども、入眠という観点では、ラベンダーや柑橘系はリラクゼーション効果があって入眠しやすい。それは本当に個人差がありますけども、一応いくつかあるんです。

たぶん、眠っている最中は、ある香りを嗅がせることによって深い睡眠がどれぐらい増えるかというのは、そこまではあんまり(効果は)ないかなと思っているんですけど、五感に働きかけて睡眠(の質)を良くするアプローチは最近まあまあ出てきているかな、という認識です。

白濱:我々(医療)の世界だと、どうしても気になってしまうのが、正確に睡眠を評価できているのかどうかです。ポリソグラフィー(PSG:睡眠ポリグラフ検査)というのは、かなり多くの電極をつけて睡眠の評価をしています。ただ、別にそれがいいと言っているわけではなくて。

この数年、日本でも海外でもいろんな外科さんから、ポリソグラフィー(PSG)と自社開発の睡眠を計測する機械が、きちんととアルゴリズムが一致するのか、逆に言うと、ある程度(睡眠を正確に)推測できるのかどうか、という話が意外とあるんです。

睡眠の質は複合的な要因が影響している

白濱:もちろん、新しく開発された機械とPSGがうまく同期しているのかを評価するんですけど、どうしてもあるシチュエーションでは不十分だったりします。ただ、現実的に、正確性が高いからといって、今後もわざわざ睡眠専門のところで検査するということではもちろんなくってですね。

ある程度の折り合いをつけて、なるべく非侵襲的(身体の負担が少なく、体内への器具の挿入を必要としない検査)で、もしくは本当に安価で手軽なパラメーターから、ある程度の専業に手を貸していく。これはすごく大事だなことだと思います。

その中で、どのデバイスをピックアップするか。その先をどうしようかというご相談も、僕のところにいろいろといただいています。リアルタイムに毎日毎日データ化をすることが僕の仕事ですけれども、どんどん蓄積されてものすごく多くなってしまうもの(データ)に対して、毎回毎回、変化を与えていく必要があるのか。

毎日のデータをベースに、次の日に改善点を促していくシステムがいいのか。本当に、先ほど話が出たようなところがいろいろありますけれども、結局、睡眠はなかなか複合的なところがあるので、ある程度きちっと環境づくりをしていくことが大切です。

例えば、マットレスに圧力をかけて体位交換をするものがあります。いずれにしろ、一つひとつの環境の中で正しいものがその人にフィットした場合は、本当に状況改善はできると私も考えております。

平田:ありがとうございます。どうぞ。

質問者C:素人の質問になるんですけども、ポッドキャストで聞いた話なんですけど、最近寝具でも形状に合わせてボンって沈む、低反発と言うんでしたっけ。

平田:はい、低反発。

質問者C:反発が低だから低反発。これは睡眠の質を悪くすると。姿勢が悪い人や高齢者の方など、猫背になっていたり腰が曲がっている人の睡眠の改善はありますが、普通の人が低反発で寝るのは(どうなんでしょうか)。今のテクノロジーによって、低反発を気持ち良いと感じる人が多いと思うんですけど、最新療法などはあったりするんですか?

布団の手触りの良さは、あくまで「起きているときの感覚」

小林:実は私は寝具業界の方と接することも多くて、ちょっとだけ詳しいんです。既存の寝具売り場では、根本的に間違っている可能性がすごく高いです。というのは、もふもふした掛け布団があって「すごく気持ちいい」「低反発が気持ちいいな」という感覚って、起きているときの感覚なんですね。

「すごく感触がいいから買おう」という判断をしてしまっているじゃないですか。だから、その場で感動したものにお金を払うという感じで寝具がどんどん売れていってるという行動が1つあります。それはけっこう間違いなんですね。

マットレスや枕には、体圧分散や寝返りのしやすさ、体温調節などの機能があります。体に良い眠りのために、ちゃんと6~7時間、その方の体に負担がかかりづらいということを評価していく必要があると思います。

最近、高反発マットレスが人気な理由の1つは、もちろん低反発がいいという人もいらっしゃるとは思うんですけれども、やっぱり寝返りがしやすくて体温の調整がしやすいのが、(良い眠りのために)よく言われているポイントかなと思いますね。

一方、低反発の場合は、それで(体が)沈み込んでしまって寝返りがしづらくなると。たしかに触った感触はすごく気持ちいいんだけれども、6~7時間の合計睡眠で見ると、あまりよろしくないようなことがあったりします。

よく寝具業界でも、枕は体重の8パーセントである頭の部分(を支えて)、敷布団などで残りの92パーセントを支えるものなので、そういった体圧分散を実現しましょうね、と言われるところなんですけど。いろんなものを総合的に見て、その場での感動ではなくて、ちゃんと長い時間のスパンでの評価をすることが、けっこう重要かなと思っていますね。

質問者C:ご自身はどういった寝具で寝られているんですか?

(一同笑)

僕は低反発じゃないですね(笑)。昔は低反発だったんですけれども、腰が痛くなったという結果があったので、高反発にしました。

質問者C:じゃあ高反発がやっぱりブームなんですか? 

小林:もちろん個人差はあるんですけど、実際にそれで本当に良い眠りがとれていて、「無呼吸になっていないか」「昼間眠くならないか」「起きたときの感覚がどうか」といった、主観的な評価も鑑みた上で、自分に合っているかどうかをちゃんと見ていくと。今の寝具は(僕には)合っています。

無呼吸症候群やいびきをかく人用のマットレスもある

白濱:とくにすばらしい答えができるわけじゃないんですが、私は、西川の上に丸八を乗せています。要するに試供品が何社かきているんですけれども、結局3社くらいのマットレスを重ねて寝ているんです。ただ、売っている値段と原価率は会社によって全然違うので、高いほうがいいわけではないのは1つですね。

あとは、高さの理論などもそうなんですけど、枕だけを測って作っても、それは結局マットレスとの相性で相対的に決まってくる話です。本来、高さや体圧分散について議論するのならば、自宅で使うマットレスと枕のセットでどうなのかというのが議論です。

その辺りが、今すごくブームでもあるのですけれども、本当にこれが一言で「いいよ」と言いにくいのは、確かかもしれないですね。

ただ1つだけ、今のマットレスはハニカム構造の蜂の巣のようになっているんです。しっかり仰向けで寝ている時は体重を支えますけれども、それが横向きになった時にちゃんと少し落ちて、横向きの眠りもしやすいようなもの、例えば無呼吸やいびきをかく人用のマットレスも開発されていますので、(そういったものは)どんどん出てくるんじゃないかなと思いますね。

平田:ありがとうございます。では、パネルディスカッションをこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

(場内拍手)